エレン「暖かな光の中で」
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- 1 : 2015/03/08(日) 20:51:10 :
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みなさんこんにちは!
亀更新になると思いますが、暖かい目で見守っていただけると嬉しいです!
そこはどこか遠く、どこか暖かい、
光が溢れる不思議な場所だった。
辺りには見たこともない美しい花が咲き、空からは光の雨が降り注いだ。
俺はそこで目を覚ました。
エレン「ん…どこだ?ここ…」
今自分の置かれている状況が分からず、
困惑するしかなかった
エレン「っ…!頭いてぇなぁ…何でこんなところにいるんだっけ…?」
何も思い出せない。記憶が欠けていた。
しかしー。
エレン「そうだ…俺は確か、巨人化したライナーと戦って…」
頭の中で欠けていた記憶がパズルのように
繋がっていく。
そうだ、ライナーとベルトルトの正体が巨人で、俺はあいつらを殺すために戦って、それで…
エレン「…負けたのか?」
必死に考えるが、どうやっても俺が勝ったという答えには行き着かなかった。
エレン「そうだ、みんなは…アルミンやミカサ…調査兵団のみんなは…?」
脳裏をよぎるのは最悪な結末ばかり。そんなわけないと自分に言い聞かせても、不安が俺の心をかきたてた。
エレン「いや、考えても仕方ない。とりあえずここはどこなのか…早くここから出ないと」
俺はまずここがどこなのか、探ることにした。
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- 2 : 2015/03/08(日) 21:05:41 :
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上だぁぁぁぁぁ!避けろぉぉぉぉ!
まずい…このままじゃみんなが…
エレン!よせ!やめろ!!
そんなことしたら君がっ!
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「っ!クソっ…」
恐らくライナーと戦っている最中の記憶だろう。
場面的に頭をちらつくが、思い出せない。頭がズキズキと痛んだ。
エレン「何なんだ一体…俺は一体何をしたんだ…?」
時々脳裏をよぎる記憶が俺をさらに困惑させた。
俺は頭を抱えながらも歩き続けた。
エレン「にしても…なんだ?ここは。人影も全く見えないし…それに、光がやたら眩しいな」
目に映るものすべてが初めて見るものだった。
光の雨、光の霧、とにかくすべてが優しい光を帯びていた。
しかし不思議とこの場所に安心感を覚えている自分がいた。
初めてくる場所のハズなのに、どこか懐かしく、どこか優しい感じのする場所だった。
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- 3 : 2015/03/08(日) 21:49:19 :
しばらく歩くと、一本の大きな木と、木の下で何かをしている1人の少年が目に入った。
その少年が誰なのか、俺にはすぐ分かった。
木の幹にもたれかかり、なにやらふてくされているようだ。
俺は優しく声をかけた。
エレン「そんなところに座り込んでどうしたんだ?」
少年は驚き、飛び退いた。しばらく俺のことをじっと見つめてから口を開いた。
「お兄ちゃん、誰?」
エレン「俺は……俺は、調査兵団の兵士だ」
少年は一瞬驚き、俺の服についている自由の翼の紋章を見つけると目を輝かせた。
「ほ、本物の調査兵団!?すげー!
お、おれ、大きくなったら調査兵団に入りたいんです!」
少年は目を輝かせ、嬉しそうにそう言った。
エレン「どうして君は調査兵団に入りたいの?」
理由を問う。
「外の世界のことを何も知らずに、巨人に怯えながら一生壁の中で暮らすのは家畜同然だ!」
「それに、友達のアルミンってやつと約束したんだ、いつか一緒に外の世界を探検しようぜって!」
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- 4 : 2015/03/09(月) 18:05:20 :
少年の真っ直ぐな瞳、嬉しそうに夢を話している姿を見て俺は胸が痛くなった。
俺はもう知っている。大切な物を多く失うことを。悲しむ暇もないことを。
俺はもう知っている。それが調査兵団というものなんだと。
失いながらも求め続ける、そうするしかないことを。
希望の代わりに絶望を。
夢の代わりに後悔を。
自由の代わりに死を。
この子に、そんな道を歩ませたくない。
エレン「調査兵団には、入らない方がいいと思う…」
俺は得体の知れない何かに怯えながら口を開いた。
その言葉を聞いた途端、少年の眼が変わった。
「な、なんだよアンタ!調査兵団だろ!?どうしてそんなこと言うんだよ!」
俺は再びそっと口を開いていく。
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- 5 : 2015/03/09(月) 22:51:09 :
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エレン「俺も、お前ぐらいの時はお前と同じように調査兵団に憧れ、尊敬していた。もちろん今もしてる、でもな…」
俺は一瞬言葉を止めるが、また話し始める。
エレン「実際に調査兵団に入って目の当たりにしたのは、無慈悲な現実だけだった。死ぬことなんか怖くない、ただ、失うのがすげー怖いんだ。」
気付けば俺は涙目になっていた。
どうしてこんなことを話しているんだろう、と思った。
しかし、それ以上に、この子に伝えたい、いや、伝えなければならない。何か使命感のようなものを感じた。
巨大樹の森での出来事、兵長の言葉が鮮明に思い出される。
迫り来る巨人、目の前で殺される仲間。
そして、あの言葉。
「悔いが残らない方を自分で選べ」
俺が、選択を間違えたから…
これだけじゃない、いつだってそうだった
俺は何も救うことができなかった…
トーマスやミーナ…リヴァイ班の皆…
母さんさえも…
だから…俺はこの子に伝えなければいけない。
夢を…希望を…絶望を…
ゆっくりと口を開く
「よく聞いてくれ、お前はー。 」
少年の目には自由の翼の紋章が映っていた。
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