この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
ももいろデュエット
- ファンタジー × 青春 × 恋愛
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- 1 : 2015/03/08(日) 02:47:20 :
- …音楽は芸術だ。
音楽は未来だ。
音楽は海。
音楽は空。
そして、音楽は私の全て。
私、赤坂月夜は音楽が大好きです。
音楽は人の心を動かす。
勉強なんかより、友達と話すより、ずっとずっと楽しい。
だから今日も音楽室へ向かう。
そして、その扉を開ける。
私だけの世界。
私は自由。
そのはずなのに、かすかにヴァイオリンの音色が響いている。
私だけではなかった。自由ではなかった。
私の世界を壊したその人物はヴァイオリンをやめ、私を見つめて、微笑んだ。
「何故、あなたはここにいるのですか?」
「その言葉、君にかえってくるだけだよ。1年B組の赤坂月夜さん。」
「何故、私の名前を知っているのですか?」
「僕は1年C組の水谷そら。いきなりでびっくりしたでしょ。」
この中学校の全校生徒数は1000人を超している。
何故、この水谷そらは私の名前を知っていたのだろう。
でも、私にはなにも関係ない赤の他人だ。
「私の世界から出て行って下さい。」
「君…冷たいね。」
「一体、なんなのですか?」
「僕は君が好きなんだ。」
水谷そらはまた、微笑んだ。
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- 2 : 2015/03/08(日) 18:48:43 :
- 【お知らせ】
『ももいろデュエット』は、毎週土曜日の連載形式にしたいと考えております。
都合により、多少の遅れがありますが、ご了承ください。
※尚、現在執筆中の『神様のシンリガク』は、連載形式ではありません。
『神様のシンリガク』、『ももいろデュエット』共にこれからもよろしくお願いします。
お気に入り登録やフォローして頂けると嬉しいです。
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- 3 : 2015/03/08(日) 20:48:56 :
- >>2おお!貴方の文章好きです!!神様のシンリガクもこの作品も執筆頑張ってください!!期待してます!
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- 4 : 2015/03/09(月) 17:52:35 :
- ありがとうございます◝(๑⃙⃘′ᗨ˂̶๑⃙⃘)◞
じけいさんの作品はとても面白いです!
私も頑張りたいと思いますପ(⑅ˊᵕˋ⑅)ଓ
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- 5 : 2015/03/12(木) 21:19:04 :
- 期待です♪(´ε`*)がんばれ
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- 6 : 2015/03/15(日) 20:05:47 :
- 「ふざけているのですか?」
「ふざけてなんかいないさ。」
ずっと微笑みながら私に訴えかける水谷そらに私は目も合わせず、振り返り、ピアノに向かった。
「僕、君のピアノ、ずっと聞いてたんだ。とても綺麗で目が釘付けになったよ。…できれば今、弾いてくれないかな?」
「嫌です。失礼ですが、出て行ってもら…」
突然、音楽室にヴァイオリンの音が響いた。その曲は紛れもなく、私が作曲した曲だった。
「な…何故、私の曲を知っているのですか?」
教室に響いていたヴァイオリンが静かに止まった。時計の音だけが聞こえる中、水谷そらはゆっくりと話した。
「さっきも言ったはずだよ。僕はずっと君のピアノを聞いていたんだよ。」
この人は一体何なのだろうか。
いきなり告白してきたり、私の曲を聞いていて、ヴァイオリンで弾くことまでできるなんて。
それに…ヴァイオリンの音色は綺麗だった。私が今まで聞いたヴァイオリンの中で、きっと一番美しかっただろう。
「また明日、来るよ。明日はピアノ、弾いてくれるかな?」
「あなたは何故、私に好きなどと言ったのですか?」
「君、質問好きだね。」
「あなたが質問させるようなことをしているのですよ?」
「ごめん、ごめん。…好きになることに理由っているのかな?」
「理由がなければその感情はそのとき限りの無意味な感情です。」
「ない訳じゃないよ。…きっと僕は、君のピアノに心を奪われたんだと思う。」
そう言うと、水谷そらは満面の笑みで教室を出て行った。
いきなり現れ、嵐のように去っていったあの人は、私の心に大きな不安と変化を置いて行ったのだった。
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- 7 : 2015/03/28(土) 01:56:52 :
- 水谷そら…御主なかなかやるな
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- 8 : 2015/03/28(土) 22:22:29 :
- 翌朝、いつも通りに学校へ行き、いつも通りに授業を済ませ、いつも通りに…音楽室へ行った。
昨日あった不思議な出来事は、やはり私に大きな影響を及ぼしたように思える。
何故なら、私は初めて人に自ら会いに行きたいと思ったから。
またあのヴァイオリンを聞きたい。
そして私は、音楽室の扉を開ける…。
「赤坂さん‼︎来てくれたんだね。」
私の思った通りに水谷そらは、昨日と同じく微笑んで言った。
「いつも通りに音楽室へ来ただけです。」
「相変わらずだね、赤坂さん。」
「ヴァイオリン…弾かないのですか?」
「うん‼︎…じゃあ、僕と一緒に弾いてくれるかな?」
彼は、手に持っていたヴァイオリンを私に見せながら言った。
「一度…だけですよ?」
「うんっそういえば、赤坂さん、いつも通りに音楽室に来ただけじゃなかったっけ?」
「…ピアノやめますよ?」
「ごめん、冗談だよ。」
そして私はピアノを演奏した。
水谷そらのヴァイオリンは美しかった。
まるでどこまでも広がる空のように…。
「やっぱり、赤坂さんはピアノが上手だね。目の前で聞いたから、なおさらすごかったよ。」
「ヴァイオリンも…お上手でしたよ。」
「ありがとう‼︎…それと、いきなりなんだけど、僕、来週にコンクールがあるんだ。…できれば君も来てくれないかな?」
「コンクールに出るのですか?」
「うん‼︎僕はいつかたくさん賞を受賞して、お金を稼ぐんだ。」
「違います…私は…私はコンクールに…あなたのためには行きません。」
「赤坂…さん?」
そう、そんなの音楽じゃない。芸術でもなんでもない。
私は音楽室を出た。
そのときは水谷そらの顔なんて見もしなかったけど、きっと彼は不思議な顔で私を見つめていたのだろう。
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- 9 : 2015/04/04(土) 23:58:58 :
- その日、私の頭は一日中真っ白だった。
それじゃなくてもつまらない性格なのに、何も考えることができない。
大した事ではないはずなのに…
私の音楽は、水谷そらのような音楽じゃない。
ただそれだけなのに…
あんな人…私の人生にとってほとんど関係のない人にこんなに振り回されるなんて。
ちょっと悔しい。
でも、ちょっと…息ができない。
この感覚も感情も今までの私じゃない。
私の心は確実に変化している。
翌日、また私は音楽室へ向かう。
でも私は音楽室の前で立ち止まった。
かすかに流れるヴァイオリン。それは紛れもなく水谷そらだ。
…ラ・カンパネラ。
ニコロ・パガニーニが作曲したこの曲はヴァイオリン協奏曲の中でもかなり有名な曲だ。
きっとコンクールではこの曲を弾くのだろう。
私は不思議と足が前に進まず、音楽室から逃げるように去った。
つまり、私はこの日初めて音楽室に行かなかったのだ。
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- 10 : 2015/04/13(月) 21:40:00 :
- 萌花とか菜月とかごくろうですん
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- 11 : 2015/04/18(土) 22:23:09 :
- それから2日後、私は憂鬱な気分のまま学校へ行った。あれから私は一度も音楽室へ行ってない。
教室へ向かい、自分の机の上を見ると、一枚の封筒が置いてあった。
『赤坂さんへ』と書かれた白い封筒。
おそらく水谷そらだろう。
そして私は封筒を開けた。
大体予想はついたけれど、いざ見ると、手が震えた。
そう、それはチケットだった。
日付は明後日で、開場は10時30分だった。
同封されたプログラムを開き、上から順に見ていくと、
『曲…ラ・カンパネラ
演奏者…水谷そら
時間(予定)…11時30分』
と、書かれていた。
私はゆっくりと封筒を閉じて、深呼吸をし、鞄に封筒をしまった。
学校にいても家にいても、つまらない。私の一番の楽しみだったピアノが弾けなくなった以上、生き甲斐を見つけることは出来ない。
私は再び、自分はつまらない人間だと思い知ったのだった。
それもこれも全部、水谷そらの………いや、私のせいだ。
私があんなことを言わなければ…あのときに戻ってやり直したい。
多分、今更後悔しても遅いだろう。
明後日、私はいつも通りにまた学校へ行った。今日はコンクールの日だが、行くつもりはなかった。
10時になり、私は手を固く握りしめた。
水谷そらは会場に私がいないことを知って、どう思うだろうか。
きっと喜びはしないだろう。
水谷そらが悲しむ姿を想像して、私は胸が苦しくなり、急に具合が悪くなった。
水谷そらを悲しませたくない。
あの音色をもう一度聞きたい。
そんな私の本当の気持ちが一気に溢れた。
そして私は、鞄を持って、担任の先生に話した。
「先生、具合が悪いので、早退してもいいですか?」
「えっ⁉︎赤坂さん、大丈夫?お家まで送ろうか?」
「いいえ、大丈夫です。」
そう言って、私は学校を飛び出した。
そして私が向かった先は、地下鉄だ。
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- 12 : 2015/05/10(日) 18:17:22 :
- 走って、走って、走って。
やっと地下鉄に着いた時にはもう10時30分に近かった。
ここから8つ目の駅に会場がある。
私は急いで地下鉄に乗り込み、扉の近くに座った。
中はかなり空いていて、まるでこの世界から音が消えてしまったかのように静まり返っていた。
しばらく揺られ、目的の駅の一つ前の駅に着いた時、ふと、このまま水谷そらに会っていいのか、と思ってしまった。
一体、私の音楽とはなんなのか、それを知らずにそらに会ってはいけない気がした。
目的の駅に着くと、私は扉の前で立ち止まった。
とてもそらに合わせる顔がない。
でも、そらは私に来て欲しくてこのチケットを渡したはず。
たくさん考えた末、私は自分が出した答えを胸に、歩き出した。
会場へ着いた時には、11時20分。
急いで会場に入り、受付を済ませると、私は水谷そらがいる、大きなホールの大きな扉を開けた。
その扉はとても重くて、私の心の中でも、大きな扉が少し開いた音がした。
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