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しあわせハガクレ
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- 1 : 2015/02/28(土) 04:06:01 :
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昔昔のノヴォセリック王国でのこと。
田舎から出て奉公してた葉隠は、そろそろ田舎へと帰りたくなりました。
葉隠「ご主人様!俺も長いこと勤めたし、そろそろ田舎に帰りたいべ!」
十神「フン……そうか。愚民は愚民なりに陰日向なくよく働いてくれたな……」
葉隠「ありがとうございますだべ!」
十神「7年だったか?……それなりの給金を与えなくては財閥の名が廃るな」
そういうと十神の御曹司は葉隠の頭ほどもある金の塊を手渡しました。
葉隠はポケットから布切れを出すと、それを包んで肩に担ぎました。
十神「せいぜい気をつけて帰れよ。お前のお袋によろしく言っといてくれ」
葉隠「わかったべ!」
十神「……まったく。わかりました。だろ?その言葉遣いだけは最後まで直らなかったな……」
こうして葉隠は、母の待つ田舎へと歩いていきました。
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- 2 : 2015/02/28(土) 04:06:31 :
- 田舎に向かってトボトボと歩いていると、葉隠はある女性と道連れになりました。
その女性は馬に乗っており、葉隠はそれがとても羨ましかったのです
葉隠「馬はいいべ。靴は減らないし勝手に進んでいくし、何より速いべ」
セレス「葉隠くん?あなたはどうしてそんなトボトボ歩いているのですか?」
葉隠「そりゃ、塊を1つ田舎に運ばなきゃならないからだべ……金の塊なんだけどよ、コイツが重くて……肩にめり込んでくるんだべ」
セレス「……どうでしょう葉隠くん?この馬と、その金の塊、交換して差し上げますわよ?」
葉隠「ほ、本当だべ!?……でも、いいんか?この塊を、背負ってかなきゃなんないべ。」
セレス「それならご心配なく。大丈夫ですわ。女性を気遣うだなんて葉隠くんは優しいんですのね」
葉隠「いやあ……へへへ」
こうして馬と金の塊を交換した葉隠は、馬に乗せてもらうと、うきうきしました
セレス「よろしいですか?さらに速く走らせたい時は鞭を打って……」
セレス「ハイィィ!!ハイィィ!!」
セレス「…………と、言うんですのよ?」
葉隠「わ、わかったべ……」
こうして葉隠は、見事に馬を手に入れました
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- 3 : 2015/02/28(土) 04:06:47 :
- 葉隠は、馬を手に入れたのが嬉しくて、つい、速く走りたくなりました。
葉隠「ハイィィ!!ハイィィ!!」
すると、馬は勢いよく走り出し、葉隠は直ぐに振り落とされ、畑と道の間の溝に落ちてしまいました。
近くを通りかかった女性が馬を止めてくれなかったら、きっと馬はどこかへ行ってしまってたことでしょう
葉隠はバラバラになったみたいな手と足を動かし、道へと戻ってきました
西園寺「くすくす。馬から振り落とされるなんてかっこ悪いねー」
葉隠「う、うるさいべ!もう二度と馬になんか乗りたくないべ!」
葉隠は、その女性にムカツクと同時に、連れていた牛に目が行きました
葉隠「……でも、牛はいいべ?後ろからのんびりついてくるし、ミルクが出るからチーズやバターが毎日間違いなしだべ!」
西園寺「アンタさー、この牛が気に入ったなら取り替えてあげよっか?その馬と。」
葉隠「願ったり叶ったりだべ!」
こうして、葉隠は馬に西園寺を乗せると、牛を連れてのんびり歩いていきました。
すると、飲み屋を見つけたので、表に牛を停めて入っていきました
葉隠は牛を手に入れたのが嬉しくて、持っていたお弁当を全部たいらげ、なけなしの小銭で
葉隠「ビールひとつだべ!」
弐大「足りんぞおおおお!!!!!」
ビールを半分、コップに入れてもらいました
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- 4 : 2015/02/28(土) 04:07:04 :
- 飲み屋を出て、またのんびり歩いていると、喉が渇いてきました
葉隠「そんな時は、ミルクだべ!」
葉隠はコップを持ってなかったので自らの帽子を乳の下に置いて、乳を搾り始めました
しかし葉隠の搾り方が悪いのか、ミルクは出ません。何度やっても出ないので、何度も搾ります。
そのうちに牛もイライラしてきて、後ろ足で葉隠の頭を蹴飛ばしてしまいました。
……………………
………………
……
「ねぇ……聞こえる……?」
「ねぇ……大丈夫?」
「だいぶまいってるみたいだね……」
葉隠が目を覚ますと、それはそれはイケメンな男がいました。
狛枝「よろしく。ボクは、狛枝凪斗だよ。肉屋なんだ」
葉隠「そ、そうなんか……だから豚なんか連れてるんだべ?」
狛枝「そうだよ。これは上等な子豚だよ。脂ものってるし……」
葉隠「あぁそうだ。あんた肉屋なら動物に詳しいべ?こいつ乳が出なくてよ……」
狛枝「……これは乳なんか出さないよ。婆さんだもん」
葉隠「なっ、なんだっべー!?」
狛枝「せいぜい……荷物を引かせるか、潰すかだね」
葉隠「確かに潰せば肉はいっぱいだけどよ……牛肉は嬉しくないべ。パサパサしてっからな」
狛枝「そうかな?……まぁ、そうかもね」
葉隠「……そんな子豚がいいべ。肉は柔らかいし、ソーセージもできるべ」
狛枝「もしかして、この子豚が欲しいの?」
葉隠「できればだけどな」
狛枝「もちろんいいよ!それがキミの希望なんだよね……でも、こっちも商売だからね。その牛と交換でいいかな。」
葉隠「ノープロブレムだべ!」
こうして葉隠は子豚を手に入れました。
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- 5 : 2015/02/28(土) 04:07:23 :
- 子豚を持って歩いていくと、今度はある男と道連れになりました
葉隠「アンタ俺の奉公先のご主人様に似てるべ」
豚神「フン、そうか……」
男は小脇にがちょうを抱えていました。
がちょうのことを聞くと、どうやら心を許せる友とのパーティーに持っていくものらしい。
豚神「このがちょうはうまいぞ。なんせ、上質な餌をたっぷり食わせて太らせてるからな」
葉隠「おっ、どれどれ……」
葉隠はがちょうを持たせてもらうと、
葉隠「これは重いべ!確かに重い!」
豚神「そうだろう……こいつを丸焼きにしたら油が端から垂れて……拭き拭き食わなきゃならんだろうな」
葉隠「うまそうだべ……」
豚神「だが、お前のその豚もうまそうじゃないか……どこで買ったんだ?」
葉隠「買ったんじゃなくて交換したんだべ。」
豚神「……何とだ?」
葉隠「牛と交換したんだべ」
豚神「その牛は?」
葉隠「馬と交換したんだべ」
豚神「その馬は?」
葉隠「金の塊と交換したんだべ」
豚神「その金の塊は?」
葉隠「そりゃ、俺の7年の奉公の報酬だべ」
豚神「フン……うまくやったもんだな」
葉隠「だべ?」
豚神「……だが、その豚。引っかかるな」
葉隠「な、なんつった?」
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- 6 : 2015/02/28(土) 04:07:42 :
- 豚神「引っかかるなと言ったんだ。俺は近くの村を通ってきたが……豚が一頭村長の家から盗まれたらしい。」
葉隠「ま、まさかこれが……」
豚神「そうは言っていない。だが、もし村の連中に見つかれば……」
葉隠「あ……あわわ……」
豚神「ひどい目にあわされるかもな」
葉隠「やめてくれだべ……そ、そうだ!そのがちょうとこの豚、取り替えてくれよ!」
豚神「なぜ俺がお前のために交換せねばならん。……だが俺のせいで貴様がひどい目にあわされるというのも寝つきが悪いな」
そう言うと男はがちょうを葉隠に手渡し、子豚を手に持った。
豚神「こいつは俺がなんとかする。お前は田舎に帰るといい」
葉隠「あ、ありがとうだべ!」
こうして葉隠は不安要素を一切なくし、がちょうを手に入れました。
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- 7 : 2015/02/28(土) 04:07:58 :
- 上質ながちょうを手に入れた葉隠は、がちょうをどうしようか考えてうきうきしていました
葉隠「まず、柔らかい肉を母ちゃんと食うべ?……それからこの羽を枕に入れて……」
がちょうのことを考えて歩くうちに、なんだか楽しげな歌が聞こえてきました
江ノ島「研ぎ屋はー、えーと……風の吹くまま吹かれていくさー」
その美しい容姿に葉隠は見とれ、しばらく歌を聞きながらその女性の胸元を眺めていました
江ノ島「やけに暗い♪やけにヤバイ♪」
しばらく歌を聴いていると、葉隠はこう尋ねました
葉隠「景気がいいんだな。歌なんか歌って……」
江ノ島「ん?……そうだよー?研ぎ屋はね、技さえあればいいんだもん!」
葉隠「へぇ……」
江ノ島「人間よ。貴様が持ってるがちょうはなかなかのものじゃのう。どこで手に入れたのじゃ?」
葉隠は今までのいきさつを話しました。
江ノ島「へえ…………すごいですね…………」
江ノ島「あとは常にポケットが小銭でジャラってるとこまで行けば文句なしだなぁ?オォイ!」
葉隠「どうすればいいんだべ?」
江ノ島「簡単なことだよ……研ぎ屋をするのさ。私のようにさ……」
そう言うと、自分の研ぎ石の隣に置いてあった予備の研ぎ石をポンと叩き
江ノ島「これをオメーにやるぜ!」
葉隠「ほ、本当だべ!?」
江ノ島「ただ、貴重な商売道具だから……失うのは絶望的に嫌なんだけど……お兄さんかっこいいからそのがちょうで勘弁しとくよ?取り替える?」
葉隠「わかりきったこと聞くなって!ダッハッハ!」
江ノ島「あ、そうだ」
近くにあった石を拾って……
江ノ島「コイツもつけよう。これは何かを置くのに最適だよ。硬さもいいし、曲がった釘なんて絶望的にすぐ真っ直ぐになるよ!」
葉隠「おおお!太っ腹だべ!」
葉隠はがちょうを渡し、石を二つ手に入れると、また布切れを取り出し、それにくるんで歩き始めました
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- 8 : 2015/02/28(土) 04:08:18 :
- しばらく歩くと、葉隠は疲れてきました。
お腹はすくし、喉はカラカラ。なんで飲み屋でお弁当を全部たいらげちまったんだと後悔しました。
おまけにこの石ころ。これがまた重くて肩にめり込んでくる。
葉隠「い……井戸……あ、あったべ!」
冷たい水で元気を出そうと、葉隠は井戸に近づきました。
葉隠はその石を、落とさないように落とさないように井戸の淵に置き、水を汲みました。
その時!石に体がぶつかってしまい、石は二つとも井戸の底へと布ごと消えていきました
葉隠「あ……」
葉隠「ありがとうございますだべ!神様仏様!」
葉隠「こんな手段で俺の障害を取り除いてくれるなんてすごいべ!」
葉隠はもう嬉しくて、まるで日曜日に生まれた子みたいだと喜び、水を飲みました。
こうして葉隠はルンルンスキップしながら、また田舎へと進み始めましたとさ。
おしまい
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- 9 : 2015/03/06(金) 00:48:28 :
- なんか泣いた
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- 10 : 2015/03/09(月) 18:28:50 :
- 葉隠かわいいなw
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- 11 : 2015/04/14(火) 20:42:23 :
- 葉隠ェ…
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