そして世界は、“輝いた。”
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- 1 : 2015/01/30(金) 14:53:19 :
- シンタロー「なぁ」
好きだ。
なんて、言えない。
だって、彼女が見ているのは――――
いつだって
前だけだ。
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- 2 : 2015/01/30(金) 15:03:51 :
- シンタロー「はぁ!?お前またこの点数なのか!?」
彼女はエヘヘ、と恥ずかしそうに笑う。
36点と書かれたテスト用紙をクシャッと握った彼女は、
ただ、窓の外を眺めてた。
アヤノ「シンタロー・・・私、今日は早退するね。」
彼女はそれだけ言って鞄を持った。
待てよ・・・
そんなことすら言えずに俺は、ただただ、彼女の後ろ姿を
見送る。
あぁ、今お前を引き止めて、「一緒に帰ろう」と言えた
なら。
彼女は、先ほどとは違う、優しい笑顔を返してくれるの
だろうか。
シンタロー「待てよ、アヤノ・・・」
そんな小さな言葉は、彼女に届くことなどなかった。
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- 3 : 2015/01/30(金) 15:19:32 :
- モモ「お兄ちゃん!なんか友達来てるよ!」
妹のモモが俺の部屋をバンバンと叩く。
シンタロー「あぁ。」
一体誰だ?
アヤノか?
ガチャ
アヤノ「こんばんわー」
昼間とは打って変ったようにそこにはヒマワリのような笑顔のアヤノがいた。
シンタロー「こんな時間にどうしたんだよ・・・」
あぶねぇだろ。
という言葉を飲み込んで。
アヤノ「あのさ、ちょっとついてきてほしいんだけど。」
まぁ、いいだろう。
俺たちは、いつもの坂道を上る。
横を見ると、今にも泣き出しそうな、彼女の顔があった。
アヤノ「ほら、見てよ。」
言われなくたって分かってる。
目の前には―――――
沢山の、星。
シンタロー「綺麗だな・・・」
不意にそんな胡散臭い言葉が出た。
しかし、彼女はそんな事どうでもいいように空に手を伸ばした。
アヤノ「シンタローと見てみたかったんだぁ・・・」
なんて
俺にとって嬉しい事言いやがって。
シンタロー「あぁ、俺も」
言葉が喉の中間でストップする。
“お前と、見たかった。”
そう言おうとした。
でも、もう隣には、彼女はいなくて。
届かないであろう言葉を、今、口にした。
“好きだ”
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- 4 : 2015/01/31(土) 11:26:25 :
- 「アヤノ・・・」
それからの俺はそうつぶやくだけの一日を繰り返して。
戻ってきてくれ。
俺と、もっかい喋ろうぜ。
なんてかっこいーセリフ言えない。
ごめんな。
こんなカッコわり―男で。
でも。
この言葉がお前に届いたのなら。
輝く世界に踏み込んでみようと思う。
お前がいる、
輝く世界に―――――――
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