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黒執事 第一巻 第一話 「その執事、有能」
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- 1 : 2015/01/24(土) 20:36:15 :
- まず、1巻目を書こうと思います。
一応場面名は書きますが、スレが変わったら場面が変わったと解釈してください。
他作も書いているので基本亀更新。
それでもいいという方は、首を長ーく長ーくして待っていてください。
どうぞよろしくおねがいします!
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- 2 : 2015/01/24(土) 21:38:19 :
- ロンドンから少し離れ、霧けぶる森を抜けると、手入れの行き届いたマナーハウスがあらわれる。
その屋敷に住まう名門貴族
ファントムハイヴ家。
当主の朝はアーリーモーニングティー
から始まる。
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- 3 : 2015/01/24(土) 21:49:40 :
- シエルの部屋
セバスチャン「坊っちゃん。お目覚めの時間ですよ。」コポポ...
シエル「...」モゾ...
セバスチャン「本日の朝食はポーチドサーモンとミントサラダをご用意致しました。付け合わせはトースト、スコーンとカンパーニュが焼けておりますがどれになさいますか?」
シエル「...スコーン」ファ~
シエル「この香り...セイロンか」
セバスチャン「ええ。本日はロイヤル・ドルトンのものをティーセットはウェッジウッドのブルーホワイトをご用意致しました。」
シエル「今日の予定は?」
セバスチャン「本日は朝食後、帝王学の権威ユーグ教授がお見えです。そして、昼食後は───」キュッ!
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- 4 : 2015/01/24(土) 22:26:05 :
- 中庭
ジョワーン!!!
仙人「くらえ!!奥義!!花鳥風月百花繚乱拳ーーーーーーッッ!!!(かちょうふうげつひゃっかりょうらんけん)」ホアタアアアアア!!
セバスチャン「...」ザシュッ!!
仙人「がはっ...」
仙人「こ...この技は我が龍は秘伝の最終奥義...!!」ガクッ...
仙人「猛虎龍咆万華散裂拳...(もうこりゅうほうまんげさつれつけん)きさま一体何者だ!!」
セバスチャン「ファントムハイヴ家の執事たるもの、この程度の技が使えなくてどうします。」パンパン
セバスチャン「...という訳で坊っちゃん。私が勝ちましたのでお約束通りこれから晩餐まで本日の復習と明日の予習をなさってくださいね。」ニコッ
シエル「チッ..」
フィニ「すごいですセバスチャンさん!!今日で連続50勝です!!」
メイリン「さ...さすがワタ..セバスチャンさんネ...」
バルド「スゲーなウチの執事は」
シエル「わざわざ秘境まで行って連れて来た拳法の達人...今日こそ地に膝をつくお前が見れると思ったんだがな...」
セバスチャン「それは残念でございました」ニッコリ
シエル「まっご苦労だったなセバスチャン。まぁ飲めイッキにな。」
タナカ「よく冷えておりますよ。」
セバスチャン「恐れ入ります」グイーー。
セバスチャン「ところで...」コトン
セバスチャン「貴方達はどうしてここにいるんです?」ゴゴゴゴゴゴゴ
使用人達「ギクッ..」
セバスチャン「フィニ。中庭の草むしりは終わったんですか?」
フィニ「あっ!」
セバスチャン「メイリン。シーツの洗濯はどうしました?」
メイリン「え..ええっと...」
セバスチャン「バルド。貴方は晩餐の仕込みをしていたのでは?」
バルド「ちぇー!」
セバスチャン「こんな所で油を売っている暇があるなら仕事なさい!」ゴゴゴゴ
シエル「仕事と言えば、セバスチャン。イタリアのクラウスから電話があった。」ガタッ
セバスチャン「クラウス様から?」
シエル「それについて少し話がある。来い。」
セバスチャン「かしこまりました。」
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- 5 : 2015/01/24(土) 22:37:09 :
- 書斎
セバスチャン「──では、クラウス様が直々にイギリスへ?」
シエル「ああ。例の品が手に入ったと連絡があった。今回は大分手こずったようだな。6時にはこちらに着くそうだ。商談は我が家で行う。どういうことかわかるな?セバスチャン」
セバスチャン「心得ております。必ずやクラウス様にご満足頂ける最高のおもてなしを...」
セバスチャン「時に坊ちゃん...」
セバスチャン「先程のレモネードには一体何が?胸焼けが止まらないんですが...」
シエル「タナカ特製「味〇素」入りレモネードだ。砂糖と間違えたんだろうな。白いし。僕は一口でやめたがな。」
セバスチャン「ゴホン..では、私は準備を致しますのでこれで」イライラ
シエル「ああ。頼んだぞ」
セバスチャン「おまかせ下さい。」
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- 6 : 2015/01/25(日) 21:21:41 :
- セバスチャン目線
まずは本日のメニューに合わせた食器をグラスから大皿まで選び磨き上げる。
銀食器(シルバー)は鏡の様に一点の曇りもなく。
テーブルクロスはシミ一つない新品を。
坊っちゃんのお気に入りの白薔薇(スターリングシルバー)は傷んだ花を摘み美しく。
アプローチの雑草を除草したら
芝生の緑の背丈を揃えベルベットの様に仕上げる。
おもてなしの要であるディナーは最高の食材で。
牛肉はもちろん。野菜や米、塩や胡椒一つにも拘わって直接市場に出向き、選び抜いたものを贅沢に使用して下ごしらえを。
これぞファントムハイヴのおもてなし!!
チリリーン♪ チリーン チリリーン♪...
セバスチャン「やれやれ..この忙しいのに坊っちゃんは...何の用でしょうね。」パン
「「「...」」」ノゾキ ゴゴゴゴゴ
バルド「セバスチャンのあの気合の入り方...間違いねェな」
バルド「今日は客が来るに違いねぇぜ!」
メイリン「まっ間違いあるないネ」
フィニ「わーいっ!ごちそうが食べれるねっ!!」
バルド「バァータレ!そうじゃねェだろ」
フィニ「え?」
バルド「これはチャンスだ!」
バルド「一歩先行くサービスであのセバスチャンをあっと言わせてやるんだよ!オレ達使用人の腕の見せ処ってもんだ。そうだろ?」
フィニ「あっそうか!!」
フィニ「じゃあっ僕はお客様が見たことないくらい美しい庭にしてみせます!」
メイリン「じっじゃあワタシお客様用のティーセット、新品に負けないくらいピカピカにするだよ!」
バルド「そいじゃオレ様は客が驚いてアゴ外しちまうくらいスゲェメインディッシュを作ってやるぜ!」
バルド「よーしじゃあ作戦決行だっ頑張るぞーーっ!!」
フィメイ「「おーーっ!」」
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- 7 : 2015/01/25(日) 21:24:31 :
- その頃のセバスチャン
セバスチャン「何かご用ですか?」
シエル「腹が減った。何か甘いものが食べたい。パフェ的な。」
セバスチャン「いけません坊っちゃん。それ食べたら夕食残すでしょう。」
シエル「いいから作れ。」
セバスチャン「ダメです」
シエル「いいから作れ」
セバスチャン「いけません。」
と口論していたのであった。
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- 8 : 2015/01/25(日) 21:38:48 :
- セバスチャン「...で?」
セバスチャン「一体何をどうしたらこういう事になるんです?」ニッコリ..
使用人「「「ひいっ!!」」」
フィニ「雑草抜いた後除草剤まこうとしたら、フタがあいてて!芝生も除草を...」
メイリン「お客様用のティーセットを出しておこうとしたら転んで台車に...ティーセット棚に激突を...」
バルド「だってよぉ生肉が置いてあったから、火炎放射器で焼いてやろうと思って...」
ワーン! スイマセーン! セバスチャンサンゴメンナサイ! ワーン!
セバスチャン「ふー...わかりました。仕上げをまとめてやろうと置いておいた私にも非はあります。いいからとりあえず落ち着きなさい。」
セバスチャン(緑が根絶やしになった庭。木っ端微塵のティーセット。炭と化したメインディッシュ。クラウス様は6時過ぎにはお見えになる。)
セバスチャン(ご到着までせいぜい2時間弱...今からでは上質な肉もティーセットも揃わない...どうする?)
ウワァ セバスチャンサン アアーーッ! オコッテル! ゴメンナサイ!
モウシマセン! エエーン!エーン! ワアワア
セバスチャン「貴方達もタナカさんを見習って少し大人しく...!」
セバスチャン(これだ!!湯のみだ!)
パンパン!
セバスチャン「お静かに皆さん。これから私の言う事をよく聞いて直ぐに行動してください。」
セバスチャン「コレで何とかします」
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- 9 : 2015/01/27(火) 21:21:59 :
- バルド「おいセバスチャン本当にこれでいいのかよ!?」ジョリジョリ
セバスチャン「ええ」
メイリン「セバスチャンさーん!」
メイリン「あっただよ!」タッタッタッ コケッ
メイリン「きゃ!」
セバスチャン「!!」
カッ パシッ ダキッ
セバスチャン「貴女は...だから何度も屋敷内は走るなと言っているでしょう」
メイリン「すっすすすすすまんですよ!メガネ割れて、前あまり見えるないデス」アワワワワワ
セバスチャン「しかしコレで主役は心配ありません。」
メイリン「...//////」ポーッ
バルド「大丈夫かオメー」
フィニ「セバスチャンさーん!」
フィニ「植木屋で砂利と言われてきた物買ってきました!」
セバスチャン「そうですか。ご苦労さまでした。では、私が最後の仕上げをしましょう。後は私に任せて皆さんは休んでいてください。」
セバスチャン「くれぐれも大人しく『大人しく』お願いしますよ。」
バルド(二度言った... )
フィニ(今、二度言った... )
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- 10 : 2015/01/27(火) 21:32:53 :
- 屋敷前
「やれやれ、本国は遠いなまったく。」
クラウス「ここに来るのも久しぶりだ。」
シエル「来たか。クラウス」
クラウス「ボナセーラ、シエル!元気にしていたか?少し背が伸びたかな?」
シエル「残念ながら変わってない」
クラウス「それは失礼!相変わらずで何よりだ。」
シエル「貴殿も相変わらずだな。」ギィィ
使用人達「いらっしゃいませ。クラウス様。」
クラウス「おお...これは...あの屋敷を綺麗にしたものだ。」
セバスチャン「お待ちしておりました。クラウス様。」
クラウス「セバスチャン久しぶりだ!どうやらこの家にも新顔が増えたようだな。」
セバスチャン「主人と積もる話もおありでしょう。すぐに晩餐の用意を致しますので、どうぞ中庭へ」
クラウス「中庭?」
セバスチャン「この度のご苦労に見合うおもてなしを主人から申しつかっております。お気に召して頂ければ幸いです。」
ギィィ
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- 11 : 2015/02/01(日) 19:01:27 :
- セバスチャン「どうぞ、おつくろぎ下さい。」
中庭
クラウス「おお...!Prodigioso!(すばらしい!)」
セバスチャン「日本に伝わるストーンガーデンと申します。」
セバスチャン「お茶の用意ができております。どうぞあちらへ」
クラウス「あやめが実に美しいな。枯れ木と花...『ワビサビ』というヤツか」
セバスチャン「失礼します。」コポポ...
クラウス「お茶まで日本風か。凝り性だな君も」
セバスチャン「勿体無いお言葉。恐縮です。」ニコニコ
クラウス「こりゃ夕食も期待できそうだ。」ハッハッハッ
茂み
フィニ「す...すごいです。セバスチャンさんっ」
バルド「口八丁手八丁で切り抜けやがった。」
再び中庭
シエル「...」ニヤニヤ
シエル「ところでクラウス。例の品だが」
クラウス「ああ。約束通り持って来た。イタリアでは未発表でね。手に入れるのに苦労したよ。」
シエル「ふん..苦労ね...朝からやたら強調するな..」
クラウス「そりゃそうさ。王子様は従者に苦労に見合う『ご褒美』をくれるもんだろう?」
シエル「『ご褒美』に見合うゲームならいいがな。この間クリアしたのはさして面白くないエンディングだった。」ギィギィ
クラウス「やれやれ..きみの手にかかればゲームなどひとたまりもないな。どうせまた、すぐに次をよこせと言うんだろう?」
シエル「そう。ぼくはゲームに貪欲だ。」
クラウス「そんな君だから12歳にしてファントムハイヴをこの国一の現具メーカーに成長させたんだろうがね。まったく、末恐ろしいよ」
セバスチャン「お話中失礼致します。」
セバスチャン「晩餐の準備が整いましたのでお持ち致しました。本日のメニューは当家のシェフ、バルドロイによる『牛たたき丼』でございます。」
クラシエ「「DON?」」
クラウス「これが晩餐...かね?」
セバスチャン「はい」ゴトン
クラウス「てっきり京懐石か何かかと..」
セバスチャン「クラウス様ご存知でしたか...?」キラキラ
クラウス「え?え?」アセアセ
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- 12 : 2015/02/01(日) 19:20:23 :
- セバスチャン「丼とは古来日本から労働者をねぎらう、ごちそうとして用いれられてきたものなのです!一仕事終えた功労者に感謝とねぎらいの意を込めてふるまわれた料理...それが丼という食べ物なのです!!」*実話です
セバスチャン「かつては庶民が憧れた『芳飯』というものが丼の元祖と言われております。それに...凝りに凝ったクラウス様の舌は飽いていらっしゃるかと思いまして最高級の肉をシンプルに味わって頂くためにこのような趣向をこらしてみました。」
フィニ「さすがですセバスチャンさん!」ヒソッ
バルド「ナイスフォロー!」ヒソッ
メイリン「次ワタシの仕事よ!邪魔するないネ」ヒソッ
クラウス「ハッハッハ!シエル!!最高だよ。君はいつでも私を驚かせてくれる!この業界には、ユーモアに欠ける連中が多くてね。だが君とならこれからも楽しくやれそうだ」
シエル「それは光栄だな」
使用人達「やったぁ!!成功だぁ!!」
クラウス「日本の丼がそんなに奥深い料理だったとはな。君は実に知識人だ。」
セバスチャン「恐れ入ります。」
この時ファントムハイヴ邸の書斎はセバスチャンが読みほした日本料理についての本がごちゃごちゃに落ちているのであった。
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- 13 : 2015/02/06(金) 19:36:53 :
- クラウス「正に君らの言う通り。イタリアの濃い料理に飽き飽きしていたところだ。頂くよ」
フィニ「あとは...」
セバスチャン「ワインの方はお口に合わせまして、イタリア産のものをご用意しました。」
シーン
セバスチャン「.......」
セバスチャン「メイリン!」アセアセ
メイリン「はっはい?」ニコニコ
セバスチャン「はい?じゃなくてボーッとしてないで...グラスにワインを」ボソッ
メイリン「!?!?///////////」カァッ
バルド「...なぁ」
フィニ「うん?」
バルド「なんかお嬢ちゃんの様子がおかしくねーか?」
メイリン(だだだめですだセバスチャンさん////そんな人前でかかか顔をそんなままMAマMA///////)カァッ ブルブル
バルフィ「「あっ...ああ"ーーっ!!!」」
メイリン「...ブツブツ...」ドボボボボボボ
フィニ「メイリンさんワインこぼしてるゥゥゥゥ!!!」
バルフィ((このままじゃ今までの苦労が台ナシにいいいいいーー!!!))
シエル「!?」
バルフィ「「わ...ああ"わあああああああああああああああああ!!!」」
シュッ!! セバスチャンガテーブルクロスヲヒイタオト
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- 14 : 2015/02/06(金) 21:04:28 :
- シエル「!」
カタタンッ
クラウス「...ん?...お..おおっ!!?テ...テーブルクロスはどこにいった!?」
シエル「...ふっ」
シエル「クロスにちょっとした汚れがついていたから下げさせた。気にしないでくれ」
セバスチャン「大変失礼いたしました。ごゆっくりお食事をお楽しみください」スタスタ
セバスチャン「ふー...」
フィニ「すごいっすごいですセバスチャンさん!」
バルド「おうおうヒーローのご帰還だ!オレの国じゃあお前みたいな奴のこと、スーパーマンって言うんだぜ」
セバスチャン「..."スーパーマン"などではありませんよ...私は」
セバスチャン「あくまで、執事ですから」
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- 15 : 2015/02/06(金) 21:12:53 :
- クラウス「君の執事は実に有能だな。シエル」
シエル「ふっ...有能?」
シエル「奴は僕の下僕として当然の仕事をしたまでだ。」
クラウス「厳しいな。だが、きっと英国中捜してもあれだけの器量を持つ逸材は中々いないぞ?」
シエル「当然だ。だが、僕が奴を雇っている理由はそれだけじゃない。」
クラウス「?」
シエル「僕は奴のスイーツより美味いスイーツをまだ、食べたことがなくてね」
クラウス「ふ..ははは!確かに君には実に重大な理由だな!」
シエル「今日のデザートが楽しみだ」
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- 16 : 2015/02/06(金) 21:19:54 :
- フィニ「わあっ!おいしそう!!いい匂いですねー!」
フィニ「焼きたてサクサクミルフィーユ♡」
バルフィ「「...」」グギュー グー キュルルル
セバスチャン「はぁ..あと少し大人しくいい子にしていたらご褒美に食べさせてさしあげます。」
フィニ「わーいっ!!」
フィニ(そう言えば...)
僕が買ってきたのはあやめの球根だったのに...
セバスチャン『私が最後の仕上げをしましょう』
セバスチャン「お待たせ致しました。食後のデザートでございます。」
セバスチャン「本日のデザートは『アプリコットと抹茶のミルフィーユ』でごさいます。」
どうやって咲かせたんだろう?
フィニ「まっいっか♡」
第一話 終わり
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