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  1. 1 : : 2015/01/05(月) 10:57:33
    前作

    http://www.ssnote.net/archives/29735

    の続きとなる、『嫌われ者』シリーズの続編です。前作を読んでいないと設定等分からない可能性大。前作は短いのでサラッと読んで行ってね!←


    今作からは更新スピードが落ちるかもしれません。冬休みは終わりを迎えたのです。


    注意書きは以上です。








    ↓本編スタート
  2. 2 : : 2015/01/05(月) 15:23:52



    ーーー時が経つのは早いもので。


    前回の事件から、もう2ヶ月が過ぎた。


    とは言っても、食料問題だの何だのを片付け終わったのがつい3日前なので、2ヶ月間のんびりしていたというわけでも無いのだが。


    ノーリ「うーん…」ググ…ッ


    大きく伸びを一つ。


    毎朝の「これ」は欠かせない。気持ちが引き締まるし、昼夜のスイッチが完全に切り替わる。


    ノーリ「ふぅー…さて、今日も1日頑張りますかね…っと!」


    ノロノロせず、一気に起き上がる。


    中々起き難い冬の、密かな技である。


  3. 3 : : 2015/01/05(月) 18:15:03



    おっと、自己紹介を忘れてた。


    私はノーリ。ノーリ・ジェール。知ってる人は知ってると思うけど。


    希少種って呼ばれる種類の隣人(ネーブル)よ。


    因みに今日で3歳と4ヶ月。人間に例えると17、8歳ってとこかな。


    ノーリ「さぁーて、今日は何しようかしら」


    私は基本、予定というものを立てない。


    風に吹かれて東へ西へ、というのに心から憧れている程の、生粋の自由好きだからだ。


    …決して、ズボラとかじゃない。
  4. 4 : : 2015/01/05(月) 18:32:29


    ノーリ「…そうだ、今日はアデス(あいつ)の群れでも見に行こうかな」


    前回の事件以降、私達の仲はかなり良好になった。いや、別に元々仲が悪かったわけでは無いのだが、一段と良くなった。


    私は、施設内で無ければ自由に群れの縄張りを歩けるようになった(もちろん採集等は禁止ではあるが)。


    それで、最近は散歩を日課にしている。


    食べ物採って、食べて、寝て、食べ物採って、食べて…のルーチンワークを繰り返していた私にとっては、非常に有意義で楽しい時間だ。


    ノーリ「〜〜〜♫」


    適当に組み上げた鼻唄を歌いつつ、住処にしている洞穴を出る。


    ノーリ「〜〜♫……あっ」


    結論から言うと、完全に油断していた。
  5. 5 : : 2015/01/05(月) 18:50:30



    「ノーリおっはよーぅ!!!!!!」


    まるでスタンバっていたかのように上から降ってくる人影。


    いつもなら避けている所なのだが…


    ドシッ


    ノーリ「きゃっ!?」


    不覚にも、完全に不意を突かれてしまった。


    為す術もなく、私は押し潰された。


    「きゃっ!?ご、ごご、ごめんノーリ!!退くね!すぐ退くね!!?」


    凄い勢いで謝罪の言葉を並べ上げ、私の上から飛び退くその人影。


    彼女はトリー・ティリアス。透き通るように綺麗な空色の髪と淡い赤の瞳が珍しい、女目に見ても可愛いと分かる程の容姿を持った女性なのだが…


    ノーリ「あんた…謝るくらいなら止めなさいよ」


    トリー「だって!ノーリいつもなら避けるじゃない!!」


    ノーリ「私の回避を前提に行動しないでよ!そもそも、私が避ける前提なら私要らないじゃない!!1人で地面に突っ込んでなさいよ!!」


    トリー「それは違う!それは何か違うの!!」


    …如何せん、性格に難あり。
  6. 6 : : 2015/01/05(月) 23:44:18



    前回契約してから、住処をこの洞穴の上に構えたトリー。


    私が起きている頃には必ず起きていて、このように上から降ってくる。今では目覚まし感覚だ。


    本当に、彼女はよく分からない。


    ノーリ「はぁ…もう慣れたから良いわ。それより私、散歩行ってくる」


    トリー「えっ!ちょ、ちょっとだけ待って!!トリーちゃんも行く行く!!」


    ノーリ「そう言うと思ったわ。ほら、早く準備して」


    それだけ言って、私は歩き出した。


    待つ気などサラサラ無い。…まあ、彼女なら待つ必要もないだろうが。


    トリー「うおおおおノーリ待ってよぉぉぉ!!!」


    …ほら。


    案の定3分と掛からずに追い付かれた。
  7. 7 : : 2015/01/06(火) 08:33:15



    一方通行の発声(仲良く会話)していると間も無く、目的地が見えてきた。


    「あっ、おはようございます!」

    「やっほー!」


    群れのメンバー達の反応は様々なものだった。


    元気に挨拶をしてくる者も居れば、遠巻きから様子を伺ってくる者も居る。


    怪訝な眼差しを向ける者や明らかな侮蔑の意を持つ者も居るが……前者の方が圧倒的に多いのだから、ここは良い群れだと言えるだろう。


    ノーリ「…」


    トリー「?どうしたの?」


    ノーリ「いや、なんでもない」


    横目でチラ、とトリーを見る。


    勿論、その意味なんて教える筈がない。


    トリー「えー、なんでよ教えてよー!!」


    ノーリ「なんでもないっての。それが答えよ」


    トリー「……なんか釈然としなーい…」


  8. 8 : : 2015/01/06(火) 09:05:03
    「ねえ、ねえ、トリー」


    不意に、ある隣人(ネーブル)がトリーを呼んだ。


    トリー「んん?…あー、誰かと思ったらゴミ拾い(スクラッパー)のガキじゃない」


    彼はダウザー・ハンテスト。まだ1歳とちょっと程度(人間で言えば9歳か)の子供である。ゴミ拾いを仕事にしている。


    ゴミ拾いと言うと聞こえは悪いが、実は立派な仕事だ。


    人間のゴミ捨て場から使えそうな物を漁るゴミ拾い(スクラッパー)、それを使えるように加工する技術者(エンジニア)、そしてそれを売り捌く商売人(ビジネスマン)によって隣人(ネーブル)の産業は回っているのだ。


    とは言え、現場労働のゴミ拾い(スクラッパー)は1番待遇も悪い。この辺りは人間社会と似ていると言えよう。


  9. 9 : : 2015/01/06(火) 11:32:24


    ノーリ「こんな子にガキって…あんたねぇ…」



    彼女の過去を知ってしまっているが故に強くは言えないが、それでもどうかとは思う。


    …まあ、本人が気にしてないみたいだから良いけど。



    ダウザー「頼まれてた鉄の研磨、終わったよ!」


    トリー「あら、思ってたより早いじゃないの。あんた技術者(エンジニア)行けんじゃない?」


    ダウザー「うーん…まあ、色々あるから」


    トリー「ふーん」



    色々、とは十中八九人間関係の事だろう。隣人(ネーブル)社会にも年功序列という奴はある。ダウザーなんて子供も良いとこなのだから、当たり前と言えば当たり前だろう。


    そんな事、トリーも分かりきっている筈なのだが。



    ダウザー「はい!」


    トリー「仕上がりも中々ね。ま、中々止まりだけど」



    一々嫌味を挟むので、もしや本当に嫌っているのではないかと心配になる。


    …まあ、そうでない事は明白なのだが。技術者でもないあの子にわざわざ依頼している事から、それは分かる。



    ダウザー「えへへ…」


    トリー「まあ良いわ。はい、これ料金」



    そう言うと、トリーは果物とキノコ数個をダウザーに手渡した。仕事量に対して明らかに多過ぎる量だ。



    ダウザー「お、多過ぎますよ!?」


    トリー「使わないと溜まる一方なのよ。…それに、あんた親いないんでしょ?なら蓄えは多い方が良いじゃない」


    ダウザー「で、ですけど…」


    トリー「あーもう!ゴチャゴチャ五月蝿い!!客にケチ付けんな!!!」


    ダウザー「ひっ!ご、ごめんなさーい!!」



    そう言うが早いか、ダウザーは走って逃げていった。



    ノーリ「…あんたねぇ…もう少し言い方考えなさいよ…」


    トリー「出来たら苦労してないのよー!!」


    ノーリ「その私に対する接し方で良いと思うんだけどなぁ…」


    トリー「無理なのよ!!やりたくても無理なのよぉぉ!!!」



    そう言って抱き着こうとしてくるトリーにカウンターを決めてから、私は再び歩き出した。

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