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  1. 1 : : 2014/11/16(日) 17:14:22

    「でもさぁ、夏は嫌いかな」




    ***

    ジリジリと夏特有の蒸し暑さが全身を覆い尽くす。病気になりそうな程眩しい日差しは、僕を疲労へと貶めていた。  

    不快にただただ溜め息が溢れ、歩き続けている足は苦痛を訴え始める。


    あぁ、帰りたい。


    僕とは対称的に、機嫌の良さそうなヒヨリの整った横顔を見つめた。

    ヒヨリ機嫌の良さの理由は当然僕ではないだろう。

    なら、アイツしかいない。

    「 コノハ 」
  2. 2 : : 2014/11/16(日) 17:29:07
    アイツの名前を呟くと、ヒヨリは驚いたようにこっちを見つめた。 

    僕もヒヨリを見ていたせいか必然的に目が合う。


    何だ図星か。
    またコノハのことを考えていたのか。


    ヒヨリは驚いた顔を笑顔に切り替えて言った。
    「カッコいいよね~コノハさん!背高いしさぁ。はあ、また会えないかな」

    「かっこいい?どこが」

    「全部に決まってんじゃない。ていうか、あんた何拗ねてんの?」

    「っ、別に拗ねてなんか・・・」
    ない、とは言えなかった。
  3. 3 : : 2014/11/16(日) 17:41:28
    年上のお兄さんに嫉妬なんてダサイけど、ヒヨリが自分以外の人を褒めていてガマンできる訳なかった。


    『…たまには僕のことだって考えてよ』
    小さくボヤいた言葉は幸いなのか、災難なのかヒヨリには伝わらない。

    「なんか言った?ヒビヤ」

    「!何でもない!!」
  4. 4 : : 2014/11/16(日) 17:52:52
    「嘘。なんか言ったでしょ」

    「言ってないよ。ていうか歩くスピード早くない?」

    「早くない。フツーよフツー。本当にあんたって何考えてるのか分からないわね」

    ーいや、それはこっちのセリフだ。
    ヒヨリは何を思ってコノハのことを考えるのか僕には分からない。

    やっぱり、好きとか?

    そりゃあアイツは身長高いし、ガタイもよくて女子にモテそうだけど。
  5. 5 : : 2014/11/16(日) 18:01:24
    僕だって身長くらい、あと数年あれば…


    何かを察したようにヒヨリは唐突に言った。
    「でも一番は肝心なときに助けようとしてくれるか、逃げるかよね」

    「?」

    「体格がどうとかは、その後でいい。私は私を助けようと思ってくれる人がいい。好きだって思ってくれる人がいい」

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