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サシャ「夢を語りませんか?」
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- 1 : 2014/11/14(金) 19:27:30 :
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満月の夜
月明かりに照らされた大地に
一人孤独に佇む少女がいた
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- 2 : 2014/11/14(金) 19:28:24 :
ヒュオオオオオオオオオオオ……
サシャ「…………」
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- 3 : 2014/11/14(金) 19:33:07 :
サシャ「あーぁ、誰もいませんねー」
サシャ「私一人ですか」
サシャ「誰もいないというのはこんなにも寂しいものなんですね…」
サシャ「はあ……」
ザッザッザッ
サシャ「……!」
ジャン「おう、サシャじゃねぇか!」
サシャ「誰かと思えばジャンじゃありませんか!」
コニー「俺もいるぜ!」ヌッ
サシャ「コニーも一緒でしたか!」
コニー「お前は一人なのか?」
サシャ「えぇ、一人寂しくここにいました」
コニー「そうか…それは悪かったな」
サシャ「本当ですよ!一人ぼっちほど辛いものはありませんよ!」
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- 4 : 2014/11/14(金) 19:43:50 :
ザッザッザッ
ジャン「お、誰か来たぞ」
コニー「あれは…」
サシャ「アルミン!」
アルミン「やあ、みんな。ここに集まっていたんだね」
ジャン「これで丁度、104期が集まったな」
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- 5 : 2014/11/14(金) 19:57:10 :
サシャ「折角集まったので何か話でもしませんか?」
ジャン「こんな真夜中にか?」
サシャ「いいじゃありませんか?」
コニー「固いこと言うなよ」
アルミン「まあ、折角だしね」
ジャン「わかったよ…」
ジャン「…で、何話すんだよ?」
サシャ「うーん、そうですねぇ…」
サシャ「夢を語りませんか?」
アルミン「夢?」
サシャ「はい。皆さんの夢を語っていくんです」
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- 6 : 2014/11/14(金) 20:13:44 :
ジャン「夢か…」
サシャ「ダメでした?」
コニー「いいじゃねぇか!皆ぶっちゃけようぜ!」
アルミン「うん、そうだね。皆で揃って話をするなんて久々だしね」
サシャ「それじゃ決まりですね!」
ジャン「俺も参加しないとダメか?」
コニー「当たり前だろ!ここにいる以上お前もぶっちゃけてもらうぜ!」
アルミン「道連れって奴だね」
ジャン「…ふん、仕方ねぇな」
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- 7 : 2014/11/14(金) 20:24:38 :
サシャ「誰から話しますか?」
ジャン「言い出しっぺのお前が先に話せよ」
サシャ「えぇ!?私ですか?」
ジャン「なんだ?下らなくて話せねぇのか?」
サシャ「そ…そんなことありませんよ!」
ジャン「なら、問題ないだろ?」
サシャ「うぅ…仕方ありませんね」
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- 8 : 2014/11/14(金) 20:42:10 :
アルミン「サシャの夢というと…」
コニー「食いもんだろうな」
サシャ「そ…そこまで意地汚くありませんって!」
ジャン「なら、さっさと話せよ」
サシャ「…では、話すとしましょう」
サシャ「私は山奥の小さな村にいました。ウォール・マリアが崩落するまでは食べ物に困ることなく暮らしていました」
サシャ「小さい頃は春から秋はお父さんの狩猟を手伝いながら森で遊んで、冬は備蓄したお肉を食べながら雪と戯れる…そんな平凡な日々を繰り返していました」
サシャ「しかし、あの日…ウォール・マリアが崩落して避難民が私達の村にもなだれ込んで来ました」
サシャ「私達からすればよそ者です。その人達も私達の森で狩猟をするもんですから、獲物が減って食べ物も減ります」
サシャ「ですが、彼らが好きで私達の村にいる訳ではないのです。巨人に土地を奪われて追いやられた被害者なのです。私はそんなことにも気づかずによそ者である避難民を憎み、早く出ていけばいいのにと思っていました」
サシャ「そんな私にお父さんがあることを話してくれました。私達はこの世界に生かしてもらっており、外の世界と繋がっている…そして世界が繋がっていることを受け入れる必要があると…」
サシャ「最初はピーンと来ませんでしたね。訓練兵を志願したのも兵士になれば旨い食べ物を食べられると思ったからですし」
サシャ「でも、訓練兵団の訓練は厳しく食事抜きにされることもたびたびで逃げ出したくなることも多々ありました」
アルミン「(それ自業自得じゃ…)」
サシャ「私は10番以内に入って安全な内地でようやく旨い食べ物を沢山食べられると夢見ていました」
サシャ「でも、エレンのあの演説とトロスト区防衛戦がきっかけで考えが変わりました」
サシャ「このまま内地に逃げたとしても結局は何にもならない。いつかまた巨人の襲来があるかもしれない。そしたらまた食べ物も減っていくと…」
サシャ「同時にお父さんの言葉の意味もわかってきた気がするんです。言葉ではうまく説明できませんが…」
サシャ「だから、旨い食べ物を食べながら暮らしていくには戦う覚悟が必要だと気づきました」
サシャ「私の夢は奪われた土地を奪還して旨い食べ物を食べられる暮らしを取り戻すこと…」
サシャ「これが私の夢でした」
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- 10 : 2014/11/14(金) 21:10:08 :
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ジャン「随分と長たらしく回りくどい話し方だったが…」
コニー「結局は食いもんに落ち着くんだな」
アルミン「まあ、サシャらしくていいと思うよ」
サシャ「それ褒めてるんですか?」
アルミン「うーん、一応褒めてるつもりだけど」
サシャ「一応って何ですか!?一応って!」
ジャン「めんどくさいから次誰か話せよ」
コニー「なら、ジャンが話せよ」
ジャン「はあ?」
コニー「言い出しっぺが先に話せってお前が言ったじゃねぇかよ」
ジャン「はあ…しょうがねぇな。じゃあ、俺の次はコニーだぞ」
コニー「おう、いいぜ」
アルミン「それじゃ僕は最後だね」
サシャ「もしもし?おいてけぼりですか?」
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- 11 : 2014/11/14(金) 21:14:28 :
ジャン「俺の夢はな…」
ジャン「普通に暮らして、普通に仲間と遊んで、普通に恋をして、普通に結婚して、普通に子供と遊んで、普通に家族団欒な人生を送ること…ただそれだけだ」
ジャン「大した夢じゃねぇけど、俺にとっては平凡が一番の幸せなんだよ。こんな偏屈な世界じゃなかったら簡単に叶えられた夢なのにな…」
ジャン「本当は憲兵団に行きたかったのに、なんで調査兵団なんか入っちまったんだろうな俺…」
ジャン「……まあ、俺の夢はこんな感じだ」
サシャ「………」
コニー「………」
アルミン「………」
ジャン「おいおい、反応なしかよ!?」
サシャ「…えーと、なんとなく私の夢に近いですね」
ジャン「どこがだよ!?」
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- 12 : 2014/11/14(金) 21:29:07 :
アルミン「……僕は理想的な夢だと思うよ」
ジャン「お世辞か?」
アルミン「本音だよ。僕だって、ジャンの夢みたいな生き方をしてみたいと思っていたよ」
ジャン「へぇー、てっきりエレンみてぇに変なこと考えてると思ったぜ」
アルミン「失礼だなー、エレンはそこまで変じゃないし、僕だって普通だよ」
ジャン「変態になぶられた時におかしくなった奴がよく言うぜ」
アルミン「そういうジャンもミカサを見ている時のいやらしい表情は気持ち悪かったよ」
ジャン「」
コニー「やはり、ミカサが好きだったんだな」
サシャ「え、そうなんですか?」
コニー「いつだったかジャンがミカサを見つめながら呆然としていたんだ」
サシャ「えぇ!?噂は聞いてましたが本当だったんですね…」
ジャン「」
コニー「ちなみに、その時に俺の服で何かを拭ったんだ」
ジャン「」ビクッ
コニー「何を拭ったのか聞いたら何と言ったと思う?」
サシャ「え?なんですかねぇ?」
アルミン「あ、思い出したwww」
ジャン「やめてくれ…俺の黒歴史が…」
コニー「“人との信頼だ”って言ったんだぜwww」
サシャ「え…なにそれ…」ドンビキ
アルミン「wwwwwwwww」
ジャン「」チーン
コニー「今思うとミカサがエレンと一緒にいたから、エレンを敵視するようになったんだな」
サシャ「うわぁ…そんな理由ですか?ジャンキモいです…」ドンビキ
ジャン「ぐふっ」バタッ
アルミン「ジャン撃沈だねwww」
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- 13 : 2014/11/14(金) 21:34:09 :
コニー「てか、今更調査兵団に入ったことウダウダ言うんじゃねぇよ!俺はお前の勢いに巻き込まれて入っちまったんだぞ!」
ジャン「いいじゃねぇか!一緒に死ねる仲間が多いのはよ」
コニー「………」
サシャ「………」
アルミン「………」
ジャン「す、すまん!今のは不謹慎だった…」
コニー「本当にお前は口を滑らすのが上手いな」
ジャン「…本当にすまん」
アルミン「…まあ、死ぬ時に仲間が一緒なのはなんとなく心強いよ」
サシャ「そうですね。一人寂しく終わるよりはずっといいですね」
全員「………」
コニー「しんみりしちまったな…、話を戻そうぜ!次は俺だな?」
アルミン「コニーの夢か…」
サシャ「意外と想像しにくいですね」
ジャン「天才になるとか言わねぇよな?」
コニー「それもいいけど、もっと叶えたい夢があったんだ」
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- 14 : 2014/11/14(金) 21:44:37 :
コニー「俺の夢はとにかく強くなることだったんだ」
コニー「俺は小さい頃から皆と比べてチビだったから、よくいじめられていたんだ。負けじと反撃はするけどよぉ…結局デカイ奴には勝てねぇ」
コニー「いつも泣きながら家に帰っては、父ちゃんと母ちゃんに弱虫って叱られたよ。弱いから負けるんだって…」
コニー「だから、俺は訓練兵を志願したんだ。兵士になれば俺をいじめていた奴らや家族を見返せると思った。結果、俺は天才だった。10番以内に入れた」
コニー「今となっちゃ見返せる奴らも家族もいなくなっちまったがな…」
ジャン「………」
サシャ「………」
アルミン「………」
コニー「あ、またしんみりしちまったな…」
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- 16 : 2014/11/14(金) 21:50:09 :
アルミン「……でも、お母さんは兵士になったコニーを辛うじて見れたんだよね?」
コニー「わからねぇ…あの時俺は私服だったし…」
アルミン「そっか…」
ジャン「でも、お前の姿を見れただけでもお母さんは幸せだったんじゃねぇか?」
コニー「なら、いいんだけどな…」
アルミン「反抗期だったジャンが珍しいこと言うね」
サシャ「え、そうだったんですか?」
ジャン「うるせぇ!!うちのお袋と他の奴らの親は別なんだよ!!」
サシャ「照れてるんですか?」
ジャン「ちげぇよ!!」
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- 17 : 2014/11/14(金) 21:55:14 :
コニー「こうなった今だからこそ、親のありがたみってよくわかるよな…」
アルミン「うん、そうだね…。僕も口減らしで両親を亡くしたから痛いほどわかるよ」
ジャン「……まあ、反抗できる相手がいたのは幸せだったかもな」
サシャ「そうですね…」
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- 18 : 2014/11/14(金) 22:01:03 :
アルミン「…さて、最後は僕だね」
サシャ「アルミンの夢ですか…」
コニー「お前はよく色んなこと語ってたけど、自分の夢のことは全然話してなかったな」
アルミン「まあ、大声で言える夢じゃないからね」
ジャン「はっ、やらしい夢なのか?」
アルミン「そういう意味じゃないよ!」
ジャン「冗談だって」
アルミン「もう…」
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- 20 : 2014/11/14(金) 22:13:32 :
アルミン「それじゃ話すよ」
アルミン「僕の夢は…外の世界を冒険することだね」
アルミン「今だから言える話だけど、僕のお爺ちゃんは外の世界について書かれた本を持っていたんだ」
アルミン「その本によると、この世界の大半は『海』っていう水で覆われていて、しかも全部塩水で商人が取り尽くせないほど広いらしいんだ」
アルミン「他にも炎の水、 氷の大地、砂の雪原、壁の中にはない世界があるらしいんだ」
ジャン「へぇ…」
サシャ「なんだか…」
コニー「壮大過ぎて想像つかねぇな…」
アルミン「それで僕はそんな外の世界を探険してみたかったんだ」
アルミン「………」
アルミン「…できればエレンと一緒に探険したかったな……」
アルミン「もう叶わぬ夢だけどね…」
ジャン「………」
サシャ「………」
コニー「………」
アルミン「はあ……」ヘタッ
アルミン「もう夜明けだね…」
チュンチュン…
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- 21 : 2014/11/14(金) 22:23:26 :
ジャン「あぁ、そのようだな…」
コニー「もうそんな時間か…」
サシャ「………」
サシャ「私達死んじゃうんですね…」
アルミン「…………」
コニー「…………」
ジャン「…………」
ジャン「仕方ねぇよ…」
ジャン「だって、ここは…」
ズシン…
ジャン「ウォール・マリアだからな…」
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- 22 : 2014/11/14(金) 22:31:20 :
-
サシャ「……巨人が来たようです」
ジャン「お迎えが来たか…」
コニー「いよいよだな…」
ジャン「結局、俺達は何だったんだろうな…」
ジャン「シガンシナまで来てやっと壁を塞げたのに…」
ジャン「ライナー達に見事にやられたよ…」
ジャン「結局、ライナー達を殺すこともできず進撃を許しまた壁も壊された…」
ジャン「エレンもミカサもエルヴィン団長もハンジ分隊長もあのリヴァイ兵長もやられた…」
ジャン「俺達以外みんな死んだ…」
サシャ「………」
コニー「………」
アルミン「………」
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- 24 : 2014/11/14(金) 22:41:33 :
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ジャン「立体機動はガス切れで刃もない…。馬も失った…」
ジャン「…俺達は死を待つのみだ」
サシャ「うぅ…」グズッ
コニー「泣くなよサシャ。最期くらい笑ってようぜ」
サシャ「コニー…」グズッ
コニー「死ぬ時は一緒だぜ」
アルミン「僕らは天国なのかな?それとも地獄かな?」
ジャン「地獄じゃねぇのか?色々やっちまったしな」
アルミン「地獄からまた地獄か…」
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- 26 : 2014/11/14(金) 22:57:08 :
巨人の群れ「」ドドドドド
ジャン「10体はいるな…」
コニー「団体で来やがったか…」
サシャ「終わるんですね…」
ジャン「はぁ……、悲惨な人生だった」
アルミン「…………」
アルミン「でも、最期に皆と一緒に過ごせて楽しかったよ」
ドドドドド!!!!
アルミン「みんな…」
ガシッ!!
アルミン「ありがとう」
ベキベキッメキメキッ…
グチャ…
~ END~
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- 27 : 2014/11/14(金) 22:57:32 :
最後まで読んで下さった方々
ありがとうございました。
非表示にしてしまいましたが
コメントを下さった方々も
ありがとうございました。
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- 33 : 2018/03/04(日) 11:57:09 :
- なんだこれ!ほんとなんだこれぇ!!
こにぃ!!
とてもいい話ですね!
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