アニ「素直になれない私」
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- 1 : 2014/11/01(土) 19:33:55 :
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初投稿、作品作り自体も初心者につき読みにくい文章であれば申し訳ありません。
ネタバレ、創作あり。
キャラ崩壊もあると思います。
因みにエレアニになると思われます。
苦手な人ごめんなさい!
〜〜〜
「おやすみ、アニ!」
「……ん」
同室の友人への返答はたった1文字で。
無愛想な私の言葉に彼女は頬を膨らませる。
「もー、アニってばいっつも言ってるでしょ?もうすーー」
「……『もう少し愛想良くしなよ』だろう?」
それこそ耳にタコができるほど何度も。
ひょっとしたらもうできてるかもしれない。
口には出さないが彼女の気遣いには感謝しているくらいだ。
分かってるならやってよ、とぶつくさ呟きながらもそれ以上のお小言は無しでミーナは自分の寝床へと潜り込んでいく。
消灯された部屋は真っ暗。
静寂が辺りを包む中、音を立てないように静かに寝返りを打つ。
厳しい訓練で疲労した身体には寝心地の悪いベッドであろうと万々歳だ。
明日は格闘訓練、か……
もしアイツが来たらどんな技を使ってやろうか。
そんなことを考えながら心地よいまどろみに身を任せるうち、自然と意識は闇へと引き込まれていった……
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- 2 : 2014/11/01(土) 19:54:06 :
- 期待です。
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- 3 : 2014/11/01(土) 21:15:10 :
「アニ!早くしないと置いてっちゃうよ?」
「あ、あとちょっとだから待ってっ」
大急ぎで髪を纏めて自分の格好を確認。
「ねぇ、変じゃない?」
「大丈夫! ほら行こ?」
ミーナに手を引かれて歩き出す。
その先にいるのは坊主に芋女、馬面を始めとした見慣れた104期のメンバー。
いつもと違うのは来ているのが私服ということぐらいか。
「みんなー! ゴメン遅くなっちゃって。 アニの準備に時間が掛かっ!?」
明らかにからかうつもりのミーナが言い終える前に膝裏へ蹴りを入れて牽制。
ミーナは恨めしげな目は見てないふりで黙殺。
ついでにそこに立っていたライナーも蹴っておく。
「なんで俺が蹴られるんだよ」
ニヤニヤしてたからだよ。
そのくらい分かれ。
「ほらほらアニも落ち着いて? これで全員だったよね」
間に入ってきたミーナに免じて許そう。
「ならさっさと行こうぜ、せっかくの休みなんだ有意義に使わねーとな!」
「ジャン、お前ちょっとせっかち過ぎるぞ」
「うるせぇっテメェには言われたくねぇよ」
例の如く喧嘩を繰り広げる二人を見守りながら皆が微笑む。
なんて平和なんだろう。
巨人がいるなんてこと、壁に囲まれて暮らしている死と隣り合わせの状況だなんてことが嘘みたい。
……でもこれは現実じゃない。
友達がいて、街に出かけて、全てニセモノ。
朝になれば消えてしまう、空虚な私の夢。
そう分かっていても、私はこの夢を見ていたい。
夢の中でくらいありのままの自分でいたい。
そう願うことくらいは許されるだろうか?
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- 4 : 2014/11/02(日) 08:54:03 :
「……二、アニってば!」
ミーナの声で私は目を覚ます。
薄く開いた目には窓から入ってきた太陽光が飛び込んでくる。
暖かくて真っ直ぐな光。
でも……この光は私には眩し過ぎる。
「いいかげん起きなさいっ」
「……朝からうるさいよ」
まだ夢を見ていたかったのに。
そんな苛立ちもあって相変わらず愛想の欠片もない言葉が口から零れた。
「ちょっと! 私起こしてあげてるんだけど!?」
これが日常
ただ一言『ありがとう』とすら言えない無愛想な私。
そもそも私は戦士。
こいつらとの馴れ合いなんて必要ない。
そう思ってた。
いや、思ってたはずなのに。
ほんの少しだけチクリと胸を刺すこの痛みは何?
いくら考えても答えは出なかった。
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- 5 : 2014/11/02(日) 12:08:59 :
「そういえばさ、アニは今日はどんな夢見てたの?」
動揺なんてしなかった、といえば嘘になる。
「……何だい藪から棒に?」
「いや、寝てる時のアニがすっごく幸せそうに笑ってたからね〜」
「私が?」
「うん。 それはもう可愛くって!」
「……次、そんなこと言ったら蹴るから」
可愛いとか、そんなのは私には似合わない。
というか、恥ずかしい。
「えぇ〜、じゃあやめとこっと」
ホッとした矢先、続くミーナの言葉に絶句した。
「夢ってね、その人が心の底で願ってることが形になったものなんだって」
「願いだって?」
思わず聞き返した私に向かってミーナはペロリと舌を出す。
「アルミンが言うには、だけどね」
その後、夢の話題に戻ることはなかったが何故かその話が気になってしょうがなかった。
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- 6 : 2014/11/02(日) 17:21:43 :
いつからだろう。
あんな夢を見るようになったのは。
心の底で願ってることっていうのがあれなら私は大馬鹿だ。
友人なんて、仲間なんて、持つのは無理だと知っているのに。
ただでさえ貧相で不味い朝食は考え事があると全く進まない。
ため息をつきながら視線を下げた時、誰かのブーツが目の前にあった。
「なぁアニ。 今日も訓練組もうぜ!」
上から降ってきた声は最近良く聞くようになった奴のだ。
無視するって訳にもいかないよね。
「またあんたかい? 本当に懲りないね……」
呆れ半分、関心半分の感想だ。
何度やられてもしぶとく食い下がってくる。
死に急ぎ野郎とかいうあだ名はこいつと犬猿の仲の馬面が付けたんだったか。
まんざら外れてもない。
「今日こそ俺が勝つからな! 待っとけよ!」
「好きにしな」
目の前のそいつはそれだけ言うとサッサと立ち去り、自主練でもするのかそのまま食堂を出て行った。
「アニってさ、男子でもエレンとだけは普通に話すんだね」
「別に。 他の男子が話しかけてこないからだろう?」
話す気もないけど。
「いや、入隊当初のアニなら絶対無視してたよ。 アニが丸くなったのってエレンと話すようになってからだよ」
「……丸くなった? 私が?」
「それまでは話しかけるな、私に近づくなって雰囲気出しまくりだったもん」
それは感情が上手く制御出来なかったから無視するしかなかったんだよ。
……そんなこと言えるはずもないけど。
ただ、確かに少し思い当たる節がないでもない。
あいつと格闘訓練で組むようになって、スッキリする事が多くなったような気もする。
だとしたら、変な夢を見るようになったのはあいつのせい?
まさかね。
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- 7 : 2014/11/02(日) 19:02:15 :
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訓練が始まってスグにエレンは来た。
準備は万端、とか思ってるんだろうね。
まぁ、私も負ける気はしないんだけど。
今日はどう来るかな。
瞬時に幾つかの想像を巡らしながら、ふと思った。
何で格闘訓練なんか真面目にやってるの?
意味なんてないのに。
いや、別にやりたくてやってる訳じゃない。
こいつが来るからやってるだけだよ。
そう言って頭の中のもう一人の自分を納得させた。
「なぁアニ、もういいか?」
「……いいよ、来な」
言い終わるか終わらないかというタイミングで既にエレンは雄叫びを上げながら突っ込んで来ていた。
そんなに早くやられたい?
「雄叫びは立派だよ、けどーー」
あえて隙だらけの突貫。
こっちの蹴りを誘ってるのが丸分かりだ。
大方躱してからのカウンターでしょ?
耐えられなかったどうするつもりなんだか。
でも耐えれると思ったんだろ?
その賭け、乗ってあげる。
「ふっ」
左脚で踏み込み、腰を捻る。
ベストなタイミングで勢い良く振り抜いた右脚は寸分違わずエレンの脛を強打した。
「ーーまだまだだよ」
「くうっ」
一瞬、エレンの顔が苦痛に歪んだ後に地面に倒れこむ。
「くそっ! また駄目か!」
真剣に悔しがる姿を見てると何故か昔を、昔の自分を思い出した。
そしたら言葉は勝手に口を継いで出ていた。
「あんた、重心下に持って行きすぎ。 それじゃ足首やるよ」
「え?」
何を言ってるんだろう、私は。
「全員集合しろ! 急げ!」
呆気に取られたようなエレンの顔から目を逸らすと集合の声が掛かったのをいい事に足早に立ち去った。
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- 8 : 2014/11/03(月) 15:05:38 :
1日の終わり、水も浴びてさっぱりしたはずなのに心の霧は晴れない。
ミーナと席を並べて食事をとりながらも会話は上の空だ。
『あんた、重心下に持って行きすぎ。それじゃ足首やるよ』
本当、どうかしてた。
同情か励ましか、何にせよ他人を心配するような台詞が私の口から出るとはね。
しかもよりにもよって、またアイツ絡み。
あんな馬鹿のことなんて私は別に……
そんな風に考えてる時間が無駄か。
自分でも気付かない内にため息が漏れていたらしい。
隣で夕食を口に運んでいたミーナが素っ頓狂な声を上げる。
「ど、どうしたの!? アニがため息付くなんて……」
「……別に。 ちょっと考え事してただけだよ」
「アニったら全然食べてませんね! なら私がそのパァンを頂いてーーって、あぁっ」
芋女が何か言ってるな。
無視してパンを口に運ぶ。
硬くて、冷たくて、味がなくて……不味い。
故郷で食べたそれとは全く違う。
思い出せ、アニ・レオンハート。
何でこんなとこにいるのかを。
……私は戦士だ。
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