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  1. 1 : : 2014/10/11(土) 12:51:37

    オリジナルの物語です。


  2. 2 : : 2014/10/11(土) 12:55:46


    さようなら。
    そう告げた歌沢サキコの死は、誰にも知られぬまま真相と共に封印された。

    だが、サキコの娘、歌沢飛鳥は例外だった。彼女の死を、受け入れなければならなかった様だが、全てを悟り、知っていた。それは、飛鳥自身も自覚している様で───。



  3. 3 : : 2014/10/11(土) 13:37:29

    「...っ!」

    はっと目を覚ます。
    嫌な夢を見た。むくりと上半身を上げた飛鳥は、辺りを見回す。
    はぁ、と息を整えては、ベッドから体を解放した。

    ...最近は肌寒い。人肌が恋しくなる一方だが、相手なんぞ居る訳がない。
    飛鳥は、一人寂しいリビングで、市販のメロンパンの袋を開けた。

    ピリリリッ

    机の上に置いていた携帯の着信音が鳴り響く。ブルルッと小さく震えている携帯を手に取り、電源を入れた。

    [メッセージを受信しました。] 

    年中「ぼっち」の私に、誰が何の用で連絡をとってきたのか。...いや、アプリの更新かもしれない。
    ぐるぐると思考を巡らせたが、やはり考えつかない。メールボックスの表示へとタッチして、一件の受信メールを開く。
  4. 4 : : 2014/10/11(土) 13:50:59
    【よう、久しぶりだな。元気か?】

    ...?
    飛鳥の頭上に、はてなが浮かぶ。取り敢えず、返信しておこうか。

    【誰?】

    ピリリリッ

    返信がきた。画面をタッチ。

    【はぁ?俺だよ。蓮だよ】

    「...えっ...」

    飛鳥は目を見開く。慌ててキーボードを表示して、文字を入力する。

    【え!?なんで、今更メールなんかしてきたの...?】

    【...ま、理由はメールじゃ言いたくねぇかな?直接言いたい】

    飛鳥は、怪訝そうに表情を堅くした。
  5. 5 : : 2014/10/11(土) 17:53:24
    「会ってほしい」のお誘いに乗るか乗らぬか。元彼の話。どうしたものか...。
    ふぅ、と息を吐いて、決断をした様子で、画面を叩く。

    【わかった。私の家の近くの、コンビニで待ってて】

    そう返して、出かける準備を行った。
  6. 6 : : 2014/10/11(土) 18:07:23
    ────

    「...まだか」

    元カノの家の近く。コンビニでの待ち合わせに了解、と返信をして、一時間近く経つ。
    ...いくらなんでも遅すぎるのだ。
    スマートフォンの画面に指を滑らせ、電話帳のページを開く。
    [飛鳥]と表示された欄へ、指の腹を何度も落とそうとした。が、やはり、踏み出すような勇気は不足していた様子。ゆっくりと電源を落とすと、懐へとそれを仕舞う。

    辺りをきょろきょろと見回した後、小さな足音が聞こえてきた。
    蓮は、ふっと笑って、そちらを一瞥した。

    「...おせーよ」

    「...っ、うっさい、わね...。準備に手間がかかったのよ」

    ぜぇぜぇと息を切らせて、上目遣いで蓮を睨んだ飛鳥だったが、微かに動揺している様にも見えた。
  7. 7 : : 2014/10/11(土) 23:36:32
    「おいおい、挨拶より先に『うるさい』とは。礼儀を知らん奴だな、相変わらず」
    蓮はけらりと笑って、「久しぶり」と零した。
    「ふん、あんたに挨拶する価値なんかないじゃん」
    ふいっと顔を逸らした飛鳥は、小さく口を数回動かし、「久しぶり」を返した。

    ───

    「ところでさ」
    あれから15分程後、沈黙が続いた空気を打ち破るように、飛鳥が言葉を発した。
    「うん?」
    「...何があったのよ。6年間も会えないまんま、自然崩壊...」
    「...嗚呼」
    蓮は、小さく返した後、決心した様子でぐっと目をつむった。
  8. 8 : : 2014/10/13(月) 08:57:19
    「...俺さぁ、親に虐待受けてんだ」

    ぽつん

    放たれた言葉は、飛鳥の耳に、妙に響く。飛鳥は暫く何も言えないまま、考えの整理に浸る。

    「...は...、何それ...。冗談、止しなさいよ...」
    ぽつりぽつり、小さく弱々しい一言一言とは裏腹に、飛鳥の拳は、怒りやら悲しみやらで、強く強く握られていた。

    ───飛鳥と蓮の関係性。

    それは、"元"恋人同士だ。だが、お互いに、嫌って別れた訳ではない。
    蓮の方には未練があり、飛鳥は、どうかわからない。時折悲しげな表情を浮かべるも、すぐにいつもの彼女に戻ってしまう。

    「...冗談じゃねぇよ」

    ぼそりと呟いた。か細い声だったが、それははっきりと飛鳥のみみに
  9. 9 : : 2014/10/13(月) 08:57:46
    再送信↓

    それははっきりと飛鳥の耳に届いていた。
  10. 10 : : 2014/10/13(月) 09:34:25

    「...っ、で、何。続き、聞かせなさいよ」

    飛鳥はわかっていたのだろうか。この先、計り知れない程の辛い報告を受けること。それとも、予感していたのか。
    続きを求めるように、じっとそちらを見やった。

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