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  1. 1 : : 2014/10/03(金) 19:14:03
    僕は鹿野修哉。
    今、非常に困っている事がある。

    それは──────



    キド「どけ、邪魔だ。死ね。このゴミが」チッ

    カノ「」

    最近。キドの僕に対しての口調が更に酷くなった気がする。
    確かに、最近の僕の行動も疑わしいけど…後ろから抱きついたり、寝てる間にほっぺツンツンしたり、玄関にキドが好きなうさぎのぬいぐるみを僕がぎゅーってしてたとしても酷いよ。

    カノ「どうかしたの?最近キドおかしいよ、暴言吐きまくりだしさ」

    キド「黙れバカノ、お前に心配されたくもない」

    キドは僕から目を逸らす。
    本当にどうしちゃったの?
    今まで、喧嘩してもそこまで酷くなかったのに…
    むしろ喧嘩した覚えもない。

    じゃあ、何だろう?
    キド、言ってくれないとわかんないよ。
    伝えてくれないとわかんないんだよ?
    いつまでたっても僕はわからないままだよ?

    僕はそんなの、嫌だ。

    カノ「キド。そんなに暴言吐いても、僕には通じないこと…知ってるよね?」

    僕はどれだけキドに殴られても、蹴られても、暴言を吐かれても、キドに嫌われること意外なら許せるんだ。
  2. 2 : : 2014/10/03(金) 19:18:54
    キド「俺はお前が嫌いだっ!」


    キドは勢いよくドアを開け、開けっ放しのまま外へ飛び出して行った。
    キドは何故か泣いていた。
    何でか僕にはわからなかった。

    キドが泣いているのは僕のせい?
    心臓が痛いのは君のせい?



    僕の目から涙が溢れ出ているのは誰のせい?
  3. 3 : : 2014/10/03(金) 19:26:22
    僕はただ呆然と立ち尽くしていた。
    時間が過ぎていることはわかったけれど、どのくらいたったかはわからないくらい立ち尽くしていた。

    カノ「…ははっ…馬鹿なことしちゃったなぁ…」

    下手な笑み。
    頬には涙の跡が残っている。
    くしゃ…と髪をかきあげると、汗が滲み出てくる。

    そして、あぁそうか…僕は焦っていたんだな…と気付く。
    そりゃそうだろう。キドには…君には『一番言われたくない言葉』を言われてしまったのだから。

    ショックで、いつもならキドのことを追いかけているはずなのに…何故か足が動かなかった。
    動かなかったのではない、動けなかったのだ。

    キドにこれ以上暴言を吐かれたら、いくら僕だって傷付く。
    キド。キドに会いたいよ。

    会って話がしたいなぁ…
  4. 5 : : 2014/10/03(金) 20:34:03
    …こんなことしてたって、なにも変わらないよね。
    何がいけなかったのか、考えないと先に進めないから。


    僕がいつもしつこいから?

    僕がキドキド五月蠅いから?

    僕がキドのプリン食べちゃったから?


    僕が──────
















            ───本心を見せないから?
  5. 6 : : 2014/10/03(金) 20:36:57
    本心なんて人に見せる物じゃないと思うけどなぁ…とか、思ったり。
    むしろ本心を見せる人の方が少ないと思う。

    キドだって僕に本心見せないし、セトくらいだからね、僕の本心がわかるのは…

  6. 7 : : 2014/10/03(金) 20:46:31
    僕は気付く。

    (キド、言ってくれないとわかんないよ。 伝えてくれないとわかんないんだよ? いつまでたっても僕はわからないままだよ?)

    さっき思ったこと。
    僕にそっくりそのまま返ってくる。

    キドだって僕が言ってあげないとわかんないんだ。伝えてあげないとわかんないんだ。いつまでたっても…キドはわからないままなんだ…

    不意に涙が零れ落ちる。

    何故キドが泣いていたのかがわかった気がした。
    そして、何故僕も泣いていたのかも。


    僕は伝えてほしかったんだ。

    嫌いと言った言葉はどういう意味なのか。
    僕は一生嫌われたままなのか。


    キドだって同じだったはず。


    僕も…キドも通じ合いたかったはずなのに、空回りして…




    二人で押し合っているような…

    それなら…引いてみる?
  7. 9 : : 2014/10/03(金) 21:00:46
    キドside

    …一方的に暴言を吐いてしまった…

    団長として失格…


    いや、片思い人として大失格か…


    俺は、カノが好きだ。
    だからこそ素直になれない。
    最近暴言ばかり吐いているのは、カノが何かと俺にちょっかいを出してくるからだ。

    俺に気がないくせに、抱きついてきたり…俺ばかり胸が鳴る。

    口では酷いことを言っているが、本当は嬉しかったりする。
    しかし、それと同様に虚しさも込み上げてくる。

    俺に気がないくせに…なんで俺なんかに…もしや?…と期待しては何もない。がオチ


    そんな乙女チックな頭をしているなんて、我ながら意味のわからない脳みそだ。
    つまり、男のような格好をしていたり、男口調でも何も変わらない、外見的には変わっていても、本質的にはなんら変わりないと言うわけだ。

    …それなら、カノだって小さい頃から何も変わっていないはず。
    なのに、カノは無理矢理隠す。
    本心を。

    俺はそれが許せなかった。
    それに、俺のことをどう思っているか…というのも聞きたい。

    とにかく聞きたいことがたくさんあるのである。

  8. 10 : : 2014/10/03(金) 21:12:07
    カノは泣き虫であり、寂しがり屋でもある。
    そんなところを無理矢理隠す。

    だが、たまに見せる哀しげな表情に俺は気付いている。
    しかし、カノは俺に伝えてはくれない。

    何故?
    という怒りが、暴言となり現れる。
    本当はこんなこと言いたくない。
    止まれ、止まれ!止まってくれ!!

    という頃には遅すぎて、カノは偽りの姿で俺に問い掛ける。
    そのせいで、更に酷い暴言を吐く。

    勝手に脳が処理し、考えてもいない言葉がポンと現れ、言っては現れ…を繰り返す。
    こんなんじゃ、カノに嫌われるのは当然だ。

    伝えてほしかった。
    カノの口から…そうしたら止められたのかもしれない。
    と、カノのせいにする自分が嫌いで憎い。

    もう、嫌だ。
    いっそそんな事なら…引いてみる?



    「俺はお前が嫌いだっ!」
  9. 11 : : 2014/10/03(金) 21:23:34
    ──────と、今考えてしまった俺が馬鹿に思える。

    「俺はお前が嫌いだっ!」と言ってしまったことに理由を付けているだけだ。

    そんなことしても何も意味も無いのに。


    これは30分ほと前の出来事で、今は歩道橋を歩いているところだ。


    日光が直に当たる。
    暑い日差し。
    周りにはビルが建ち並んでいるが、ここはどうやらビルの間を縫って出来た、日なたのようでスポットライトを浴びているような感覚である。

    暑い。
    とりあえず、日陰に行こう。と考えた矢先、歩道橋の下に黒パーカーを着た男の姿。

    すぐさま目を逸らす。
    何故アイツが此処に…?
    という事より、意外にも最初に浮かんだのは、黒は光を集めると教わらなかったのかあのバカノは…

    だった。


    目を赤くし、能力を発動させる。
    降りようとしたところ、カノが登ってくる。

    無視だ無視。
    そうだ、俺は引くと決めただろ。

    だから────────
  10. 12 : : 2014/10/03(金) 21:24:22
    誤字、30分ほと←ほど

    でした、すみません。
  11. 13 : : 2014/10/03(金) 21:47:58
    カノは俺の前を通り過ぎて行った。

    俺は一瞬、アイツを引き留めようとしてしまった。
    何故なら、アイツは俺を…

    …誰がそう言いきれる?
    ましてや俺が。
    自意識過剰にもほどがある。

    どうやら俺の脳内は花畑のようだ。
    鳥は囀り、草は風邪が吹くと波のように靡く。
    そこに1人の俺。

    …どうして…

    と、後悔の言葉。
    四文字でどうにか出来ることではない。
    人が俺の前を通り過ぎる中、アイツも他人と同じように通り過ぎることが、こんなにも悲しいことだとは知らなかった。

    俺は、カノは強い奴だと思っていた。


    だが、そんなものは俺の空想で、本来のカノはもっと繊細な物だった。

    いつの間にか俺の中では、カノは俺を悲しませない。という誤認識が出来上がっていたのである。
  12. 14 : : 2014/10/03(金) 21:54:47
    俺は、いつの間にか泣いていたようで、歩道橋を黒く染めていた。

    涙のこともあり、俺は、歩道橋の上でうずくまった。
    邪魔かもしれないが、そんなことは今構っていられない。


    カノは…気付いてくれると思っていた。

    どこかで、そんな淡い期待を膨らませていた。

    そんな馬鹿な自分が恥ずかしくて、不細工で、どうしようもないと感じた。


    もう、こんな世界なんて…
  13. 15 : : 2014/10/03(金) 21:58:31
    カノside

    確かにキドがそこにいた。
    うずくまって、縮こまって。

    珍しく、泣いていたようだ。


    僕はキドが行くところはだいたいわかる。
    寂しいときは、人通りの多い此処等辺りにいることが多いのだ。

    きっと、1人は嫌なんだろう。


    何で、泣いてるの?
    聞きたいことは山ほどある。
    でも、引くって決めたから。


  14. 16 : : 2014/10/03(金) 22:07:29
    …どうしても引かないといけないの?

    …どうしても引かないといけないのか?


    ここで引いたら…一生わかり合えない気がするのは気のせいなのかな?

    引いている時期が長いほど、心はより遠くへ行ったりしないのか?



    …今日は…いや、今日も。


    …今日だけ…いや、今日も。




    この気持ちを貴方に伝えます。
  15. 17 : : 2014/10/03(金) 22:16:13
    カノ「キド!」

    僕は振り向く。

    キド「カノ!」

    君は顔を上げる。


    行動が同時だったことに笑い合い。
    一緒にいれることに感謝し合い。
    二人で笑えることに嬉しさを分かち合う。



    カノ「ごめんね、キド。僕…キドが好きなんだ」

    キド「バカノめ、遅いんだよ」


    会話が出来る時を一秒一秒大切にし。


    カノ「つぼみは正直じゃないなぁ?」

    キド「なっ!その呼び方やめろ!」///


    これから共に歩むこの先を大事に築いていこう。


    ~end~
  16. 18 : : 2014/10/03(金) 22:22:16
    閲覧者様はどうもありがとうございました。
    カノとキドの駆け引き的な咄です。

    このカノキド達は将来結婚してhappy endになってしまえと思っています。

    もしかしたら夫婦編を作る可能性があるので、一応チェックしてもらえると嬉しいです。

    尚、このssは自己満足小説となっておりますのでいろいろと雑なところが見受けられたり、誤字、脱字があった場合は指摘してもらいたいと思います。

    閲覧 thank you!
  17. 19 : : 2014/10/04(土) 19:32:42
    乙です!
    すごい文章力ですね!
  18. 21 : : 2014/10/04(土) 21:14:01
    >>kids r2r様

    ありがとうございます!
    駄作ですみませんが読んでいただけて、とても嬉しく思っています!
  19. 22 : : 2014/10/06(月) 22:45:13

    感動したお疲れ様です
  20. 23 : : 2014/10/22(水) 17:48:48
    興味がある方はこちらもよろしくお願いします!

    http://www.ssnote.net/archives/24838『押して駄目なら更に押す。~夫婦編~』
  21. 24 : : 2015/02/21(土) 14:36:07
    (´・ω・`)
  22. 25 : : 2015/08/18(火) 23:07:20
    最初から最後までおもしろかったです!
  23. 26 : : 2016/04/25(月) 00:34:06
    凄く面白かったです。

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