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キスと約束
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- 1 : 2013/11/10(日) 02:04:26 :
- 「はは、まーた泣いてんのか!
大丈夫だよ。
必ず帰るから。マリア。」
「うん。待ってる。。エルド」
数年前
いつも通りの日々。変わることはない。
調査兵団は壁外調査以外は割と自由な時間が作れる。
まぁ、それは一般兵士だけの話で、
団長や兵長は任務に、ハンジ分隊長は研究に追われている。
今回も同じように壁外に出て帰るだろう。俺自身、調査兵になって3年が経った。当初のように巨人にビクビクし、頭が混乱することもなくなり冷静に戦えるようになった。
そのおかげか討伐数は同期の中でも圧倒的に高かった。
「なーエルド。お前今日暇だろー。
内地にでも行こう」
「相変わらずパブリックは内地が好きだなー。正しくは内地の花屋で働く
あの女性かな?」
「おっおい!エルド//
そ、、そーゆうお前は!!
好きな女の1人もいないのか?!」
「ああ?俺には必要ないのー!
調査兵なんてやってる男と付き合おうなんて物好きな女性はいないよ。」
「。。やっぱり嫌なもんかな。。エルド。。うう。。」
「おい。泣くなよ……。内地付き合ってやるから。。な?」
「本当か!!ありがとう!」
そんなこんなで俺とパブリックは
パブリックの意中の女性に会うために内地へ向かった。
パブリックとは訓令兵時代からの友人で壁外でもエルドと3人で行動することが多い。
いわば戦友のような存在だ。
たわいない会話をしていると内地の
例の花屋に到着した。
パブリックは身なりを整え意中の女性の元へと向かって行った。
邪魔してはいけないと思ったので
外で待とうと外に出た。
その時だった。
一瞬だったと思う。
本当にたった一瞬で花屋で花を選ぶ女性に魅入ってしまった。
彼女はオレンジの花を2〜3本手にとり笑っていた。
話しかけずにはいられなかった。
「あ。。あの。」
彼女がこちらを向いた。
とても綺麗な女性だった。
「はい?どうなさいましたか?」
何か話題を。。
「その花!その花なんていう名前なんですか?」
彼女はニッコリ笑って答えてくれた。
「これですか?
これはゼラニウムって言うんです。
花言葉は貴方が居て幸せって意味らしいですよ。」
貴方が居て幸せ。。
「あ……あの!!
もし迷惑でなければ。。
貴方にその花をプレゼントしてもいいですか?」
自分でも恥ずかしい事を言ったと思った。
だけどいてもたってもいられなかった。
「え?うふふ。
貴方面白い人。」
彼女が笑った。
幸せだと思った。
そしてその笑顔をもっと見たいと思った。
「受け取って下さい」
「うふふ。喜んで」
「お名前聞いてもいいですか?」
「私はマリア」
「貴方は?」
「エルドです。」
「そう。エルドさん
ありがとう」
彼女の笑顔は何よりも俺を幸せにした。
もっと君を知りたい。
マリア。
「マリアさん。
もし迷惑でなければ
俺の隣に居てくれませんか」
「え?」
赤くなった彼女の顔を見て初めて自分がとんでもない事を口走った事に気がついた。
「あ、そのすいま
「はい」
フォローを入れる前に彼女の声が聞こえた。
「エルドさん。
不思議ですね。
私と貴方いまきっと同じ気持ちですよ」
ふふ。と彼女が笑った。
抱きしめた彼女の心臓の音は
ドキドキと早い脈をうっていたけど、
それが心地良かった。
この人と生きていきたい。
「ねぇ、エルドさんは
普段何をしてるの?」
あ…………………………
思い出した。本来の自分。
そうだ。
自分は自ら壁外へ出向き巨人と戦う。
いつ死んでもおかしくない。
「調査兵団です。」
幸せな時間は一瞬にして崩れ去った。
-
- 2 : 2013/11/10(日) 02:07:41 :
- そうして彼女には何も伝えられないまま、壁外調査を迎えた。
今でも彼女の泣き顔を思い出すと
胸が痛い。
今回の壁外調査はマリア奪還ルートの
中盤にあたる調査で巨人領域でも危険な地域へと踏み込む。
俺とグンタは荷馬車護衛。
パブリックは右翼側の担当だった。
開門前、パブリックは俺に言った。
【エルド。お前は間違ってない。
今回の壁外調査から帰還したらマリアさんを迎えに行けよ。
今度は俺が付き合ってやるよ。】
【はは。今度は俺が付き添われる番か。ありがとう】
俺は心に決めた。
不安がらせてしまうのも泣かせてしまうのもわかっていた。
それでも俺は彼女といたい。
しかし、パブリックが帰還することはなかった。
残ったのは無残にも引きちぎられた右腕だけであった。
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- 3 : 2013/11/10(日) 02:31:03 :
- 面白い!
続きが気になる
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- 4 : 2013/11/10(日) 22:32:34 :
- 後日、パブリックと同室だった俺は遺品整理をした。
綺麗好きだったパブリックの机周りにはホコリ一つなかった。
最後に机の中を確認した。
するととても可愛いネックレスを見つけた。
きっと彼女にだろう。
パブリックはもういない。。
だけどせめて
これだけは届けてやろう。
重い足を動かし俺は内地へと向かった。
1人で向かう内地はとても遠く感じた。
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- 5 : 2013/11/16(土) 21:38:27 :
- かなしい
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- 6 : 2013/11/16(土) 21:38:34 :
- 支援
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- 8 : 2013/11/16(土) 23:55:06 :
- 内地に到着すると
いつもの花屋が見えた。
パブリックが愛した女性はこちらに気づき笑顔を見せてくれた。
店の前に立つと
「お久しぶりです。エルドさん!
今日はパブリックさんはご一緒じゃないんですね。」
と残念そうにに言った。
涙が出そうだった。
だって彼女の顔から痛いほどわかる。
ああ。パブリックの事、愛してるんだな。
って。
「パブリックは……もうここには来ません。」
やっとの思いで伝えた。
文末は聞こえないほど小さな声だった。
エルドの泣きそうな表情を見て、全てを悟った彼女は、先程の笑顔が嘘のように泣き崩れた。
もう何も言えなかった。
ただただ彼女に差し出した。
パブリックの精一杯のプレゼント。
「パブリックは貴方を本当に愛していました。この愛は永遠です。
どうかあいつの想い、受け取ってやってくれませんか?」
「は…い。はい。」
彼女は嗚咽しながら何度も頷き
プレゼントを抱きかかえていた。
愛する人にこんな辛い思いをさせるくらいなら俺は1人で……
「幸せでした。」
「え?」
「彼はもういないけど、それでも私は彼がここに来てくれる日を今か今かと待ち続け、会えたその日は全てを忘れるほど幸せでした。エルドさん。ありがとうございます。」
「あいつも幸せだったと思います。
貴方の話をしている時が1番幸せそうでした。」
言葉に出来ない思いを抱いて
内地を後にしようとした。
その時
「エルドさん!」
まさか。。この声!
振り返るとそこには愛しい女性が立っていた。
「マリアさん…」
今ここで話ところで辛くなるだけだ。
存在を無視し歩き続けようとした。
「待ってよ!エルド!」
大きな声で叫び
彼女は続けて言った。
「ねぇ、エルド。私、あの日から考えた。貴方は調査兵団の人かもしれない。だけどそれ以前に私の愛した人だから。私待ってる。何度貴方が壁外に行っても何度でも待つわ。だから背を向けないで。抱きしめて。」
「マリアさ…マリア……
俺はいつ死ぬかわからない。
それならもっと相応しい男がいるだろう!!」
「うるさい!私は貴方が良いと。
貴方が欲しいと言ってるの。」
マリアは泣きながらエルドに唇を重ねた。
「エルド…もう離れないで。」
「マリア……」
握ったこの手を二度と離さない。
そう決めた。
「愛してるよ。マリア。」
2人はもう一度、唇を重ねた。
なぁ。マリア。
これからも2人で生きていこうな。
第57回
調査兵団死亡兵士報告。
「………………………………………………………………………………………………………………
……………………
…………エルド ジン」
「エルド……?」
なぁ。マリア。
ごめんな。
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- 9 : 2013/12/03(火) 15:40:33 :
- ぐわぁぁぁぁ!!
な、泣ける…
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