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愛を知らない恋愛小説家の恋
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- 1 : 2014/08/25(月) 12:09:12 :
- こんにちは
今回の作品は腐川 冬子ちゃんのお話を書こうかなと思い
書いてみました
はじめての腐川 冬子ちゃんの作品なので書き直しをほとんどしていません。
なので読み苦しい場面や
謎が残るかもしれませんがご了承ください
最後にもう一言
『次回書くときは本気出す(書くとは言っていない)』
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- 2 : 2014/08/25(月) 12:09:27 :
- 私は幼い頃から内気な性格だった
人にどんな風に接していいのかすらわからない
だから、友達何てできることは無かった
それでもいいと思っていた
いや、仕方ないと思っていた
私は思う
これが私の人生
高校受験を控えたある日1枚の手紙が私の家に届いた
希望ヶ峰学園への入学許可証
何かが変わる気がした
きっと私はきっかけが欲しかった
だから入学を決めた
自分でも矛盾していると思う
現状を受け入れている私が変化を求める
でも、私はその矛盾とも付き合っていきたいと思った
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- 3 : 2014/08/25(月) 12:09:39 :
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高校生活は華やかなものだと思っていた
それは、幼稚園から小学校にあがる時も
小学校から中学校にあがる時もそう思っていた
でもどうだろう、私にとって華やかなものだったのだろうか
いや、そんなことは無い
だから、高校生活も
期待をすればするほど裏切られたときのショックは大きい
それは一番私が知っていること
だから過度な期待はしない
入学して学校生活が始まって落胆したくない
でも、私は知っている
それは、私が変われないからこその
ただの言い訳だ
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- 4 : 2014/08/25(月) 12:09:55 :
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夕飯を食べ
私はいつものように1枚の手紙をかく
それは私自身に書く手紙だ
厳密に言うともう一人の私に
もう一人の私の説明をしよう
もう一人の私は殺人鬼だ
男の人を連続して殺した殺人犯
そして、私はもう一人の私との記憶の共有もできなければ意思疎通も直接はできない
私の中に何故と、以前は思ったが
今は思ってはいない
彼女は私の一部であり私は彼女の一部だった
そして、彼女は私の書いた小説を評価してくれる人なのだ
ある日
私が起きると
私が書いた小説にはさみが刺さっていた
その下には
『きらいじゃねーよ その話 萌えないけど』
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- 5 : 2014/08/25(月) 12:10:10 :
- 私は私が嫌いだ
腐川 冬子という私が
そして、もう一人の私も嫌いだ
きっと、誰かに好いて欲しかったんだと思う
だからこうして私の書く小説は全て恋愛小説
幼い頃から愛と言うものを知らない私が書く
愛への憧れ
いくら本が売れようと
どれだけ有名になろうと私は満たされない
愛されたいという欲求
きっと、もう一人の私も愛が欲しい
それ故に狂ってしまったのだろう
世間一般では許されざる行為なのに、私は認めていた
愛を知らない2人の少女
そして、2人は1人であり1人は2人である
愛とは何だろうか
愛されるということはどういうものなのだろうか
どういう気持ちになり
どのような言動に現れるのだろうか
私はただ、知りたかった
そして、私は出会う 彼と
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- 6 : 2014/08/25(月) 12:10:21 :
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彼は、御曹司だった
それも、日本で一番大きな財閥の跡取り
私は一目見た時 彼の全てに惹かれた
彼の仕草、彼の表情、彼の発言
1つたりとも逃したくは無かった。
私は彼に近づこうとした
でも、鏡を見る
私は私が嫌いだ
顔も声も体も全て
彼と釣り合うはずのない私
だから、話しかけることもできず 話しかけられることもなく
ただただ、見ているだけ
それだけで私は幸せを感じられた
毎日のように彼を目で追った
彼と出会ってからというもの執筆作業もまともにできていない日々が続いた
彼の事しか頭に無かった
その間、もう一人の私の殺人は前よりも多くなっていた
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- 7 : 2014/08/25(月) 12:10:40 :
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夏の日差しが一向に収まらない夏の終わりのある日の事だった
私は彼に初めて話しかけられた
「おい、お前」
「はっ・・・はいぃ!」
突然のことに声帯がきちんと震えずに素っ頓狂な声を出してしまった
「お前は恋愛小説を書いているようだな」
彼は片手にカバーのついた本を持ち私に問いかける
「そっ・・・そうです・・・」
「なら聞こう 恋に落ちる音とはどのような音なのだ」
恋に落ちる音
確かに、私が書いた小説にもそのような表現を使った
でも・・・
「おい、黙ってないで早く言え」
彼は急かす
私は・・・・
私の答えは・・・
「わっ・・・わかりません。」
重い沈黙が場を支配する
まるで、2人以外の時が止まってしまった様な
息をすることさえ許されないような
そんな、沈黙
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- 8 : 2014/08/25(月) 12:10:50 :
- そして、彼がその静寂を打ち破る
「フン、自分にわからないことをお前は文にするのか なら、お前は超高校級の小説家などではないな」
彼は吐き捨てるように言い
立ち去って行った
初めて話すことができて嬉しいはず
ようやく話せた想い人
床が水滴によって濡れる
嬉しいはず
嬉しいはずなのに
尚も床に水滴が降り注ぐ
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- 9 : 2014/08/25(月) 12:11:01 :
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私はその夜
久しぶりにペンをとった
執筆の為ではない
私に送る手紙
もう一人の私に送る手紙
『恋に落ちる音ってどんな音だろう』
その1文だけ
彼女はどんな答えを用意してくれるのだろう
私は期待しながら布団を被り
そのまま、深い眠りに落ちて行った
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- 10 : 2014/08/25(月) 12:11:13 :
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起きた私は
いち早く彼女からの返信を探した
でも、それは無かった
テレビからニュースが流れる
また、彼女は人を殺した
この手紙も見ているはずなんだ
私は、想い人を想うことさえ許されないのか
ネガティブな思考に走る
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- 11 : 2014/08/25(月) 12:11:27 :
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1人で学校から家に帰るまでの帰路で私は考えていた
そして、今日1日を振り返っていた
何事もないただの1日
いつものように授業を受け
昼食を食べ
帰る
ただそれだけ
昨日が特別な日だっただけ
私は少しだけ変化したことに対して喜んでいた
今後も変わると思っていた
でも、変わらなかった
目に涙の膜がはる
泣いて変わるのだろうか
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- 12 : 2014/08/25(月) 12:11:45 :
- 「いっち、にっ、さんしっ!」
公園で一人の少女が踊っていた
誰もいない夕方の公園
その中で1人だけひたすら一生懸命に
汗を流し、呼吸も乱れているのに
彼女は踊っていた
私は彼女の動きを立ち止まって眺めていた
彼女が私の視線に気が付く
「腐川さーん!」
私の名前を呼び小走りで近寄ってくる女性は
同じクラスのアイドルだった
「腐川さんこんなところで何しているんですか?」
彼女は私に問いかける
「別に・・・何も・・・あんたこそ」
私は問い返す
「私ですか?私は・・・そうですね 努力?してました」
「努力?」
「腐川さんは好きな人はいますか?」
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- 13 : 2014/08/25(月) 12:12:02 :
- 唐突な質問に言葉が出ない
何で彼女はそんな質問をしたのか
その答えは彼女の口から出た
「私はいます。中学生のころからずっと見ていました」
彼女はどこか遠い場所を見ながら話す
「でも、私は話しかけられなかったんです。中学生の時一言も」
何故だ?私と違い アイドルであり人気のある彼女なら話しかけるくらいどうってことないだろう
「何故?って思いましたか?」
彼女は私の顔を覗き込み私の思っていたことを言う
「私、わかっちゃうんですよ 人が何を考えているか」
悲しげな目で自分の手を見つめる彼女
「アイドルって言うのは生存競争が激しいんです」
「・・・うん」
「だから、気に入られるためにはみんなより一歩先に行動しなければいけないんです」
「そうやっているうちに私はどんどん上手くなってしまったんです人の心を読むことが」
ポツリポツリと彼女の口から言葉が漏れる
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- 14 : 2014/08/25(月) 12:12:18 :
- 「でもですね、人の心を読むことが上手くなっていく自分がどんどん嫌いになっていくんです」
「私の一目ぼれが穢れていくようで」
そして、私を見る
「だから、私は努力するんです!」
「えっと・・・」
なんで、その答えに行き着いたのだろうか
「自分を愛すことができないのに人から愛されることなんてないって それが私の出した答えです」
笑顔の彼女が言う
「だから、腐川さんも自分を好きになってください 愛しちゃってください」
私の心に風が吹く
「今のは読んだわけじゃないですからね!女の勘です!」
胸を張って言う彼女に
「あの・・・その・・・ありがと」
今まで生きていて初めていう言葉
「はい!それでは私は努力に戻ります!何かあったら力になりますからね!」
そう言って走り去る彼女
「愛かぁ・・・」
ポツリと呟く私だった
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- 15 : 2014/08/25(月) 12:12:27 :
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あれから何日過ぎただろう
私は未だに自分を愛することができていない
産まれてきてから今まで嫌いだったものを愛することなんてできないだろう
「でも」
努力はしよう
彼女がしていた努力
私にできること
私はペンをとり机に向かった
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- 16 : 2014/08/25(月) 12:12:39 :
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私は夢を見た
小さい頃の夢
独りの私
誰からも近寄られず
誰にも近寄らない
そんな幼い頃の私
そんな幼い私が振り返る
そこにはもちろん誰もいない
私を見ている私だけ
幼い私が口を開く
「お姉ちゃんも独りなの?」
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- 17 : 2014/08/25(月) 12:12:50 :
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目が覚める
何だったんだろう、あの夢は
そして部屋の異変に気が付く
机の上が荒れている
それはきっともう一人の自分が荒らしたのだろう
「どうして?」
あの日から書き上げた原稿がはさみでバラバラにされていた
どうして邪魔をするの?
私は変わろうとしているのに
どうして、理解してくれないの?
こぼれ落ちてしまいそうな涙を堪え
私はペンを握る
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- 18 : 2014/08/25(月) 12:13:00 :
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夏も終わりが近くなり
陽射しも和らいできた昼過ぎ
私は一つの決心をした
彼に告白をするということ
想いを告げるということ
今までの私は変化を待っていたずっと今まで待つことしかしていなかった
そして、それでは変われないこともわかった
私は私を愛するためには踏み出さなければならない
ペンを握る
『行ってくる』
ただそれだけ書いて私は彼のいる場所へ向かった
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- 19 : 2014/08/25(月) 12:13:22 :
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私は彼のいる場所へ向かいながら
もう一人の私とした文通を思い出す
「どうしてそんなことをするの?」
『お前のそういう態度が気に入らなかった』
「どういうこと?」
『小説を書くことでお前は逃げている』
「そんなことないよ、私は変わろうとしている」
『それで変われたのか?今まで書いて変われていたのか?』
「そんな・・・でも今回は」
『今までもそうやって生きてきたのだろう』
「殺人鬼のあなたにはわからないと思うけど私は恋をしているの」
『殺人鬼?今まで1人しか殺したことのないのに殺人鬼呼ばわりか』
「嘘よ!ニュースにもなってるわ被害者は20人以上出てるのよ」
そう、もう一人の私は殺人鬼
電気屋の前でテレビがニュースを報道する
『昨夜未明 連続殺人事件が発生しました 現場にはキャラクターもののお面と罪には罰を という書置きがありました』
『警察では以前に起こった殺人事件と同様の犯人として捜査を進めています』
そうなのだ、これがもう一人の私なのだろう
世間で『キラキラちゃん』と呼ばれている犯罪者を殺す殺人鬼
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- 20 : 2014/08/25(月) 12:13:42 :
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「なんのようだ?」
扉を開くと彼は椅子に座り本を読んでいた
「えっと・・・その・・・」
言葉に詰まり立ち尽くしてしまう
「用が無いなら出ていけ 邪魔だ」
吐き捨てるように彼は言う
今までの私なら逃げ出していた
でも
「私はあなたのことが好きです」
彼のページをめくる手が止まる
言ってしまった
顔が熱い
どこを見ていいのかわからない
ちゃんと言えたのか不安になる
おろおろしている私
そして彼が口を開く
「それで?」
「え?」
「好きだからなんだというのだ?わざわざそんなことを伝えに来たのか?」
彼の発言を受けて私は気が付く
私はいったい何をしたかったのだろう
どうして想いを告げたのだろう
もしかして、変わりたいという理由で彼に告白したのだろうか
本当は彼のことなんて好きなんかじゃ・・・
いや、違う
私のこの気持ちは本物だ
今まで恋をしてこなかった私が思っていても確証は無いが
私はこの気持ちが恋で彼を愛していることは本当なんだ
「私と・・・」
結果何てどうでもいい
私はこの想いを
あなたに届けたい
「私と付き合ってください」
2人しかいない部屋に私の言葉が響く
そして、残るのは騒がしいセミの鳴き声
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- 21 : 2014/08/25(月) 12:13:58 :
- 「1つ、お前に話をしよう 1人の少年の話だ」
彼は窓際に立ち空を見上げる
「彼は、生まれた時から恵まれていた。欲しいものは何でも手に入った」
「小さなころから周りにはたくさんの人がいた」
「そして、物心がつくまでその人間たちは自分の味方だと思っていた」
「だが、時間と言うのは残酷なものなんだ、少年は気が付いてしまったんだ」
「周りにいる人間は 自分の姿など一切見ていないということに」
「自分の後ろにある財閥としての苗字ばかりみていたことに」
「それは肉親も同じだった そして、言い寄ってくる女性も全て」
「少年は誰も信じることができなくなっていた。信じることなど馬鹿らしいことだと」
わたしは彼の言葉を黙って聞く
いや、黙って聞くしかないと思わせるような声だった
「ある日、彼はそんな自分が嫌になった」
「親からの愛は偽物で、周りの人間からの好意も偽物」
「まるで偽物に育てられた自分は偽物の自分なのではないかと思った」
「そして、1件の書店に立ち寄ったんだ」
「いや、吸い寄せられたと言ったほうがいいな 店先に本があったのだ」
「本当の恋愛ストーリー 愛と言うものを教えてくれる本 と宣伝されていた」
「彼は迷わなかった、それを購入して読んだ 引き込まれた そして、作者を見て驚いた」
「彼と同じ年齢の人が書いたことにまず驚き、憎んだ」
彼の手が固い拳を作り震える
「愛を知らない彼に愛を教えてくれた人は同じ年齢 恵まれた家庭に生まれたのに得られなかったものを持っているなど」
「そして、彼はある学園に入学し名簿を見た時にその作者が同じクラスにいることを知った」
「すぐにでも話を聞きたかった・・・彼女にどんな生活をしているのか聞きたかった」
「彼女を一目見た時にわかってしまった」
「彼女も愛を知らない人間、彼と同じと言うことを」
「彼女の言動は、彼の心の中と同じだったからだ 周りの見えない真っ暗な世界どんな行為もどんな言葉も偽物に感じる世界」
彼の肩が震える
彼が振り返る
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- 22 : 2014/08/25(月) 12:14:16 :
- 「お前はそんな彼を愛することができるか?」
振り返った彼の目からは涙が流れ
今までの高貴な態度は微塵もない姿だった
「お前は、俺と」
言いかける彼の口を私の口が塞ぐ
そうだったんだ、彼も私と同じ
心のどこかではわかっていたのかもしれない
彼を見た時に感じだものも
彼に惹かれていったことも
『彼と私は似ている』ということも
合わさった口が離れる
「私は、あなたを愛し続けます」
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- 23 : 2014/08/25(月) 12:14:27 :
- 彼は扉の前に移動する
そして、振り返る
「恋に落ちる音、俺には聞こえたぞ」
「私も」
隣に並ぶ
これからの私たちはどんなことがあろうとも一緒だ
だって
『似た者同士なのだから』
FIN
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- 24 : 2014/08/25(月) 12:14:44 :
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本を閉じる
『超高校生級の小説家が書いた自伝本』
「そろそろ時間です 準備はよろしいでしょうか」
今度は私が変わる番ですかね
「舞園 さやか いきます!」
END
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- 25 : 2014/08/25(月) 12:22:51 :
- と言うことで
初の冬子ちゃんのSSですがどうでしたでしょうか訳が分からないって思ったことも多いでしょう
なのでSSならではの解説をしていきましょう
本来ならばSS内で回収するはずの伏線が実力不足であるが為に回収できなかったのです
と言うことでゲストを招きました
ジェノサイダー翔さんです
ジェノ「まぁ、アタシのことについて聞きたいことがあるっつーのはアタシ自身も思ってるわ」
ジェノ「このSSの世界でのアタシは人を殺してなんかいないんだわ もう一人のだっせー名前の小説家が創造したもう一人のアタシってこと だから存在もしていなければ何もしちゃいないんだわ」
ボク「でも、1人殺したって言ってたよね?」
ジェノ「それは、アタシがアタシ自身の感情を殺したってこと、だからこの作品の腐川 冬子にジェノサイダー翔が現れることはもうないってことだわ」
ボク「優しい殺人鬼ってことだね」
ジェノ「まーそんなことはどーでもいいんだが ところで男と男がぶつかり合う様なSS書けよ お前のSS萌えねーからよ」
ボク「どっ努力するよ」
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