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夏のお話
- カゲロウプロジェクト
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- 1 : 2014/08/20(水) 21:50:57 :
- やぁ、どうも。
Mr.掛け持ちです。
二作同時進行一度も上手くいってない癖に、学習しろよと自分を罵倒しながら書きます。
本当すいません、学習します。
ヒビヒヨ…になるといいな。
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- 2 : 2014/08/20(水) 21:55:01 :
- そう、これは、
焼けるような、溶けるような、
暑い、
夏のお話。
忘れはしない、あの日。
僕が一番、恨むあの日を、
僕は、
明日も忘れない。
君を溶かした、
夏のお話。
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- 3 : 2014/08/20(水) 22:09:00 :
- 絶望とは、こういうのだろうか。
何度も、何度も、
繰り返す。
君が僕の目の前から無くなって、消えて、跡形もなくなる。
そしてまた、何事も無かったかのように、始まる。
絶望の一日。
僕は勇者でもなければ、騎士でもない。
だから、君を守る勇気が出ない。
そんな余裕な事、考えられるくらい、僕は意気地無しで、本当に何も出来なくて、僕は……………、
大切な人一人、守れないんだ。
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- 4 : 2014/08/20(水) 22:19:21 :
- 今日もまた、公園には君が居るんだ。
昨日も見た、この光景。
時間なんて解んない。
現実なんて解んない。
だってほら、
耳を塞げば、
何も聞こえない、聞こえない。
耳を塞いで、目を固く瞑って、躰を丸めれば、ほら、
聞こえない、聞こえない。
見えない、見えない。
いないいない、いないよ。
現実何て、いないよ。
「何立ってるのよ、此方来なさいよ、ヒビヤ。」
甲高い声が、僕を呼び戻す。
君を見た瞬間、涙が溢れそうになる。
ああ、ああ、居る、君はまだ居る!
僕は思わず笑みが溢れた。
「何笑ってんのよ、キモいわよ。」
君のその罵声さえ、今は愛しい。
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- 5 : 2014/08/20(水) 23:42:53 :
- 「え…あ、ごめん…」
「?何で謝るのよ、あんた変ね。」
ヒヨリは首をかしげながら僕を見つめて言う。
取り敢えず僕は、ヒヨリが乗っている隣のブランコに座った。
「暑いわね…」
ヒヨリはそう言いながら、抱き抱えていた黒猫を撫でる。
猫は金色の瞳を細め、ゴロゴロと喉を鳴らした。
僕はそれを見ながら、
「そうだね…」
とだけ言った。
やけに今日の太陽はワザとらしい。
まぁいつもだけど。
僕が何しようと、君は死んでいく。
運命は、巡って巡って繰り返し、変わる事は無い。
何もする気がしない。
気力の無くなった躰を、無力な躰を、
誰が、誰が、必要とするだろうか。
僕はただ、純粋に君が、
ヒヨリが、好きなだけなのに。
何故、君が。
「あ…」
不意に漏れた君の言葉。
まただ。
僕は立ち上がったヒヨリの腕を掴んだ。
強く。
ヒヨリは案の定、驚いた顔をして此方を向く。
僕はヒヨリの漆黒の瞳を見つめる。
吸い込まれそうなそれに、僕はまた恋をする。
キィキィと不気味な音を発てて無人揺れる、2つのブランコ。
「今日は、もう帰ろうか。」
「え、ちょ、ヒビヤ!」
驚くヒヨリを尻目に、僕は強くヒヨリの手を引いて、急いで公園を出る。
ヒビヤ!と言うヒヨリの声も、今は耳に入らない。
いっそ、君を抱き締めて、君を守りたい。
いっそ、僕が、死んで…………………。
僕は何かを思い付いたかのように立ち止まった。
今度は君の手は離さない。
歩道橋の上。
そう誓った。
…………………………筈だった。
「ヒビ…」
そう聞こえて、後ろを振り向く。
君の手は僕の手からスルリと抜けていった。
あんなに、強く握っていたのに。
「ヒヨリ!!」
ヒヨリは階段を転げ落ちていく。
ああ、ああ、また、まただ。
また、始まった。
君の死に際。
足が鋤くんだ。
膝から崩れ落ちて、地面に手をつく。
流れる涙で、ポツポツと地面が色を変える。
「あああああぁぁぁぁぁ!!!!」
馬鹿な自分の腕を殴る。
何で、僕じゃないんだ。
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- 6 : 2014/08/21(木) 01:54:31 :
- 気が付けばベッドの上。
窓から差し込む光を睨み付ける。
汗で着ていたシャツが肌にべっとりくっついて気持ちが悪い。
取り敢えず蒸し暑いベッドから降りた。
また、また、また、繰り返す、今日という何でもない日。
面倒だ。
そう心の奥、考える自分が居た。
普段着に着替え、今日もあの公園へ重たい足を引き摺る。
もういっその事、行かなければ…。
行かなければ、ヒヨリの死に際何て見なくて済むのに。
それでも、ヒヨリを守りたいという気持ちの方が勝る。
頭が痛い。吐き気がする。
歩き慣れた道が、とても長く感じる。
遠くで、蜃気楼が揺れた。
僕はそれをぼんやり眺めて、歩き続ける。
この突飛なセカイ。
脱け出せないセカイ。
僕達は、また、繰り返す。
終わりの無いセカイ。
理性何て保てない。全ては感情で動いている。本気で思えた。
やっぱり。君は公園に居た。
黒猫を抱きながら。
いつも通り、君の隣のブランコに座り、他愛もない会話をする。
シナリオ通り演じる僕は大根役者だね。
ニヤけが修まらないよ。
「何ニヤニヤしてんのよ、キモいわ。」
「…………うん、そうだね………」
陽炎が僕を操るなら、僕はその操る糸を引きちぎって、逃げ出そう。
もうピエロはお仕舞いだ。
操り人形何て御免だね。
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- 7 : 2014/08/21(木) 01:59:39 :
- 溶けて無くなる寸前に、僕が君の手を引いて、今度は僕が、
溶ける番。
暑くて暑くて無くなりそうな、僕の躰。
呆れる程に空は炎天下。
もう、感心するよ。
けど、何度も見てきた映画の筋くらい、僕だって解るさ。
馬鹿じゃないんだから。
君が溶けるなら、
僕が溶けて無くなろう。
この暑い暑い太陽に。
溶かされて…。
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- 8 : 2014/08/21(木) 04:46:26 :
- 今回もまた、何でもない話を君とする。
それさえ、今の僕にとって唯一の希望だった。
好きと伝えられないヘタレ。
短くて、でも深い意味で、それは不器用に頬を赤く染める。
好き。
きっと、もうこれしか僕に術は無いのかも知れない。
君の代わりに、僕が死ぬ。
君の代わりに、僕が溶ける。
陽炎は相変わらずニヤニヤとした面をしていると思うと滑稽な事この上なしだ。
僕は人形でもなければ、ロボット何かでもない。
だから、それくらい変えられるよ。
大好きな、君の為に。
いつものように、君は道路へ走って行く。
まるで黒猫に導かれるかのように。
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- 9 : 2014/08/22(金) 00:29:45 :
- 信号機が赤に変わる。
その瞬間勢いよくトラックが走り出す。
心では、何処か焦りと不安が混ざりあっていた。
気持ち悪いくらいだ。この暑さは。
蝉の鳴き声が大音量で聞こえる。
………大丈夫………
大丈夫、大丈夫。
耳を塞げば、
聞こえない、聞こえないよ。
目を固く瞑れば、
見えない、見えないよ。
僕がこの赤信号に変わった道路に、
君の代わりに飛び込めば、
いない、いない、いないよ。
跡形もなくなる。
僕はいないよ。
足が勝手に動く。
勝手に動いた手が君の手を掴んで歩道へ引き寄せる。
僕はそれに反射して、クラクションと蝉の鳴き声が耳を貫く中、
飛び込んだ。
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- 10 : 2014/08/22(金) 00:38:19 :
- さぁさぁ、
耳を塞いで、
目を固く瞑って、
この黒い黒い大きなタイヤに躰を踏み潰されたら、
引きちぎられたら、
僕はいないよ。
現実何て無くなるよ。
時間何て無くなるよ。
大丈夫、大丈夫。
君の泣き叫ぶ声何て聞こえない。
赤い赤い液体何て見えない。
嘲笑う陽炎何ていないよ。
僕は陽炎に向かって
ざまぁみろ
口パクで伝えた。
鉛のように重い躰。
ベトッと汚い赤黒い液体。
あぁ、何でだろう…
耳を塞いで無いのに、
何も聞こえない。
目を瞑って無いのに、
何も見えない。
僕はいないよ。
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- 11 : 2014/08/22(金) 00:43:39 :
- あれ、早すぎやしないか?
まだ、まだだよ。
まだ、終わって無いよ。
僕、まだ……………………………
ヒヨリ………
好き…………。
届かない想いを抱いて。
溶けるような、暑い、暑い、
夏のお話。
end
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