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私たちの将来
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- 1 : 2014/08/19(火) 00:58:23 :
- どうも、お久しぶりです!
リハビリを兼ねて普段ツイッターで仲良くさせていただいている3人の方々の好きなキャラと3人を登場させたSSを書いてみようかなぁ
なんて思ってまして
注意:このSSはBSS(ベリーショートストーリー)です
現段階でラストすら考えてません
生暖かい目で見てください
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- 2 : 2014/08/19(火) 00:58:40 :
- 「困ったなぁ・・・」
私は作文用紙に一文字も書くことができずに机の上でうなっていた
将来の私
カメラマンになるものだとばかり思っていた私だが
最近はその小さいころからの夢さえも疑問視するようになった
笑顔の写真を撮ることが私のカメラマンとしての信条であり生きがい
そうだったはず
「でも」
知ってしまった
誰かが笑顔でいるということは誰かの笑顔が無くなっているということを
今の私もそう
希望ヶ峰学園に入学した私は笑っていられるけど
希望ヶ峰学園への入学を目指していた他のカメラマンからは笑顔を奪ってしまったということだったのだ
カメラマンとしての私のありかたと言うのを振り返っていくうちに
私がカメラマンでいるという事実さえも不安になり
将来、この職業で過ごしていくのかさえわからなくなってしまった
「どうしようかなぁ」
お盆も過ぎて夏休みもあと少しで終わる
他の課題は7月中に終わったのに、この課題だけ終わらせることができない
「寝ようかな・・・」
今日も考えているうちに時計の針が新たな日付を告げる
-
- 3 : 2014/08/19(火) 00:58:54 :
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「うゆぅ・・・」
将来ですかぁ・・・
私は、今まで未来を見ることなく現在を必死で生きていたので・・・
そう、最初はいじめられるようになってから
明日に怯える人生よりも
今、自分に何ができるのかってことを探す日々でした
そんな私に将来についての作文を書けというのは
「酷ですよぉ・・・」
でも、書かないと・・・きっと私だけ書けてなかったら目立ってしまいます
それだけは避けないと
私は超高校級の保健委員という私の職業
社会に出て何の役に立つのでしょうか
医学の知識はほとんどないに等しいですし・・・
応急処置だって
私がイマを一生懸命生きるための副産物でしかない
夏もあと少し
「本当にどうしましょうか」
-
- 4 : 2014/08/19(火) 00:59:34 :
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「・・・。」
全く私の父は何を考えているのだか
夏休みのしおりと書いてある冊子の課題の部分を見る
将来についての作文
「将来ね・・・」
私の将来
今まであまり考えることは無かったこと
全く考えなかったわけでは無い
考えることから逃げていたって言ったほうが正確かもしれない
前は探究心から命の危険さえも顧みることなく事件の解決を優先していた
でも、今は・・・
大切な仲間がいる
そしてその輪の中に私がいる・・・
そう、命が惜しいの・・・
探偵という職業を失ったとしたら私に成功は待っているのだろうか
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- 5 : 2014/08/20(水) 02:14:03 :
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「ふぅ・・・」
朝ご飯もできた
お父さんは昨日から学生時代の友人と旅行に行っている
「・・・あっ」
しまった、2人分の朝食を用意してしまった
どうしようかと思ってたら
インターホンが鳴る
「誰かしらね」
私は疑問を持ちながら玄関の扉を開く
?「よーっす!」
そこには私の近所に住む越後 空(えちごそら)の姿があった
「なんだ、アンタか」
少しほっとした気分になり声をかける
空「何だはねーだろ!今日さ真昼が帰ってきてるって母さんが言ってたからさ来たんだよ」
靴を脱ぎながら口をとがらせる空
空とは小さいころからの付き合いで
私が希望ヶ峰学園に入ってからはあまり付き合いは無くなってしまったけど
大切な幼馴染だ
空「おっ?いい匂いするじゃん!朝飯?俺まだだから腹減っちゃってさー」
「もう、ちゃんと靴並べなさいよ!あと、何勝手にあがってんのよ!」
空は変わらない
私は変わってしまったのだろうか
空は将来を考えているのだろうか
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- 6 : 2014/08/20(水) 02:14:20 :
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「えっと、包帯と消毒液と・・・」
いつもは学校で買っているのですが夏休みで実家に帰っている私は家の近くのドラックストアで買い物をしていました
お目当ての物をカゴに入れてレジへと向かう
店員「いらっしゃいませー」
これを買い終わったら作文を考えないと
帽子を深くかぶった私はそんなことを考えていた
店員「あの?お客様?」
考え事をしている間に店員さんが私に声をかけていた
「あっ、すみません・・・なんでしょうか?」
店員「あ、ポイントカードを・・・ってあれ?蜜柑ちゃんじゃね?」
店員さんが驚いたような声を出す
しまった、バレてしまった
中学生の頃の同級生と会わないようにあっても気づかれないようにとしていたのに
「えっ・・・えっとー・・・」
口ごもってしまう
店員「やっぱそうだよな!俺のこと覚えてる?小学校の時仲良くしてた富士風太だよ!」
「えっ?」
店員さんの顔を見る
だいぶ大人っぽくなってしまっていたが昔の面影がある
「風太くん」
小学校時代の友達だった
懐かしい思い出がよみがえる
風太「そんで、ポイントカードは?」
「無いですぅ」
風太「おっけ、合計で1260円になります」
私は財布から2000円出して会計をする
風太「740円のお返しとなりますありがとうございましたー」
もっと話したかったが、彼も仕事なので私はカゴを持ち離れる
風太「あ、蜜柑!」
背後から声がかけられる
「はい!」
風太「後15分で今日はもう終わりだからさ、待っててくれる?」
願ってもないことだった
「はい!お待ちしてますぅ・・・」
小学校の思い出
必死で生きていた中学校時代とはちがって
私の大切な思い出
そして、その思い出の中には全部彼がいた
袋に買った物を詰め込みつつ私は昔の事を考えていた
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- 7 : 2014/08/20(水) 02:14:38 :
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「このファイルからして、犯人はこの人に違いないわ」
彼の逃走経路は・・・
夏休みでも、探偵の仕事には休みは無い
渡されたファイルを読みながら
コーヒーを飲む
?「熱心だねー響子ちゃんは」
背後から急に声をかけられ
心臓が飛び上がる
でも、それも数秒 この声は・・・
「久しぶりね渡辺君」
渡辺「うん!さすがだね ご無沙汰」
渡辺 陽太 私のいとこだ
陽太「ふーん。。。この事件を今取り扱ってるわけねー」
陽太は勝手にファイルを手に取る
私はそのファイルを陽太から奪い去り言う
「個人情報よ・・・謹んでくれないと困るわ」
陽太「5月上旬にあった殺人事件 被害者は心邊美晴 死因は刃物で腹部を刺されたことによる出血でのショック死」
「なっ・・・」
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- 8 : 2014/08/20(水) 02:14:54 :
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空「ほえぇ・・・」
私は作文についての苦悩を言うが
空はほとんど上の空のようだった
「ねぇ!ちゃんと聞いてるの!?」
まぁ、無理を言って話したのは私の方だし
さらに、久しぶりに会ったのにこんな話しちゃったからこんな反応になるのも仕方がないか
「まぁ、アンタに話しても仕方が無いか」
諦めて食器を下げる
空「あのさ」
ふと、空が口を開く
「何?」
空「真昼は何がしたいの?」
唐突な質問
「は?」
空「だからさ、何かあるじゃんか 写真を撮りたいとかさ」
何を言ってるの?それについて悩んでるのよ
「アンタは何か無いの?」
空「俺?俺は特にねーよ別に」
あっけらかんと空が言う
「あのさ!だったら私に聞かないでよ!あんたは何にもないのに私に答えを急かすの?」
つい感情的になってしまった
空「別に急かしているわけじゃねーよ、俺も別にねーけど探してるってことだからな」
眠そうに目をこすりながら答える空
「だいたいアンタとあたしは・・・」
ここまで言ってしまったと思う
そう、中学までは一緒の学校一緒に過ごしてきた
でも、あたしは・・・希望ヶ峰学園に
空は・・・
空「確かにな、ちげーよな 真昼は 俺なんかと」
笑顔
でも、その笑顔は
どこか悲しげな雰囲気があった
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- 9 : 2014/08/20(水) 02:15:12 :
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彼は小学校の終わりに親の仕事で海外へ行ってしまった
私は中学校で彼のいない中学校で
風太「わりーお待たせ!」
私の思考は中断される
「いえ、私も今来たところですし」
咄嗟に口から出てしまう
風太「何言ってんだよ蜜柑」
ハハハと笑い飛ばす彼
昔と変わらない
私はどうだろう
風太「かわんねぇな蜜柑」
両手に持ったジュースの片方を私に向けて言う
変わらない?
私が?小学校の時と?
風太「そんなことより蜜柑、すげー高校通ってるらしいじゃんか」
彼は続ける
風太「超高校級の保健委員だっけ?お前にあってんじゃん」
風太「ふじやま、蜜柑コンビ組んでた俺としては鼻が高いぜ」
違う
私は、そんなに褒められるような人ではない
風太「まぁ、俺としてはおまえばっかり有名になっちまって寂しい気持ちもあるけどよ」
風太「でも」
「やめて!」
違う違うの
「私のこと、知ったような口を利かないで」
誰が話しているのだろう、こんな大きな声で
「私は 風太が思っているような人じゃない」
周りの人が注目してるじゃないですか、近くで大声何て出して
「小学校までしか付き合いなかった癖に全部知ってるような事言わないで」
「はぁ・・・はぁ・・・」
肩が大きく上下する程呼吸が乱れている私
そうか、私だったんですね
さっきの言葉
きっと彼は驚いた表情をしているでしょう
謝らないと
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- 10 : 2014/08/20(水) 02:15:28 :
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「詳しいのね」
彼はファイルを見ることなく
ファイルに書いてあること、つまり事件に関する資料をまるで読み上げるかのごとく言ってみせた
陽太「まーね」
私の机に腰をかける
「ちょっと、そこは机よ 椅子じゃないわ」
陽太「あはは・・・ごめんごめん」
彼は立ち上がり ポケットから携帯電話を取り出して操作する
「なるほどね・・・」
現代はここまで情報が流出しているというわけね
陽太「ほんでさ」
携帯を操作しながら 陽太が言う
陽太「誰が犯人だと思う?」
今日何日?と聞くような軽さで問いかける彼に少し憤りを感じながら
「この人よ」
写真を指差す
7人の写真の一番左の彼
陽太「ふーん 根拠は?」
またしても軽い発言
「この人たちの部屋の割り振りと凶器を照合して、逃走経路が一番最短でみんなから気づかれない位置にいるのはこの人だからよ」
陽太「そっか そっか」
まただ
「あんまりこういうこというのもなんだけれど、そういう態度よくないと思うわ 仮にも人が死んでいるのよ」
人の命を軽く見るような発言は許すことはできない
陽太「んじゃ俺からも言わせてもらうわ」
真面目な顔になり私と対面する形となる
陽太「お前、探偵やめろよ」
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- 11 : 2014/08/20(水) 02:15:50 :
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「なんであんなこと言っちゃったんだろうな・・・」
『確かにな ちげーよな 真昼は俺なんかと』
そして、その時の笑顔
触れただけで壊れてしまいそうな飴細工のような笑顔
罪悪感だからだろうか、私は部屋に戻った
「こんな時、どうするんだろうな」
ふと一冊の本を手に取る
私のお気に入りの本
世話好きの女の子
決して弱みを見せることなく気高く振舞う その子
だが、ある日悩み事ができてしまう
自分では解決することができずに周りに助けを求めようとするが
今まで、自分から助けを求めたことが無く 求め方がわからない
自己解決をしようとすればするほど悩みは深まっていくばかり
葛藤する女の子のお話
私はこの本に惹かれていた
自分と重なるところがあったから
「でもさ」
最後には彼女は助けを求めることができた
私は・・・
ちらと時計が見える
「え!2時!?」
洗濯物乾いてるだろうし取り込まないと
お昼ご飯も
空の分も作んないと
そう思ったが
あの笑顔・・・
いるわけないよね
酷いこと言っちゃったし
そう思いながら階段を降りていると
リビングから笑い声が聞こえた
「あんた・・・何してんの?」
いた、リビングでテレビを見ながら腹を抱えて笑っている空が
さっきの笑顔とは違う、私の好きな笑顔で
空「あー、面白かった 真昼何してたんだよ 俺もうはらペコペコだよー!」
ふと、クラスメイトの顔が思い浮かんだがすぐに消す
「全くしょうがないわね」
私は本をテーブルに置いて食事の準備に取り掛かる
「そうだ、この本貸してあげるから読んでみなさいよ」
彼には気が付いてほしい
わたしが悩んでいることも
そして、助けを求めていることも
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- 12 : 2014/08/20(水) 02:16:04 :
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風太「ん?落ち着いたか?」
あれからしばらくたち、だいぶ落ち着いてきた私に彼は声をかける
「はい・・・」
どうしてだろう、あんなにひどいこと言ったのにどうして優しくするんだろう
やっぱり変わらない彼は
謝らないと
「あの・・・」
風太「悪かったよ」
「え?」
風太「そうだよな、久しぶりに会った俺からわかったような風に言われたらそりゃ腹も立つわ」
私のことを真っすぐ見て笑いかける
「あの、聞いてもらってもいいでしょうか」
言おう、今までの事
そして、私がどんなに人間として最低な人で有るかを
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- 13 : 2014/08/20(水) 02:16:28 :
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沈黙の時間が場を満たす
「どういうことかしら、私に探偵をやめろだなんて」
私は沈黙を破った
「仮にも超高校級の探偵と呼ばれた私に 今までの難事件だって解いてきたのよ」
黙って聞いている彼
「それに、人の命は軽いものではない 罪は裁かれなければならないの」
そう、人の命は重いものだ
陽太「だったらよ」
ずっと黙っていた彼が口を開く
陽太「だったらよ お前が犯人と思ってるやつが犯人じゃなかったらどうすんだよ」
「あら、それは無いわだって今まで私は外さなかった だから希望ヶ峰学園にいるのよ」
事実だ
陽太「そうかよ、お前にとって重要視してるのは人が死んでいるってことだけなんだな」
「言っている意味が分からないわ 他に何を重要視すればいいのかしら」
私は疑問をそのまま問いかける
陽太「冤罪の人の将来を潰すってことはそいつの人生を殺すってことなんだぞ」
「だから、何度も言っているでしょう私は外したことは無いわ」
陽太「だからよ!お前が今間違った推理をしてるから俺は言ってんだよ」
「あり得ないわそんなこと」
陽太「お前、人の人生を人の将来をなんだと思ってんだよ」
「つまりどういうことかしら」
陽太「人の将来ってのは、考え事をしながら推理したもんで簡単に変わっちまうんだよ」
「え・・・」
何で、なんでわかったの
陽太「お前にとってそんなに軽いもんなのかよ」
「それは・・・」
陽太「だから、そんな生半可な気持ちだったら探偵をやめろよ」
「・・・」
またしても沈黙が場を支配する
しばらく経ち 彼が口を開く
陽太「悪かった、ちょっと言い過ぎた」
どうして謝るの?
今のはどう考えても非があるのは私の方なのに
陽太「俺はただ、嫉妬してるだけだ」
どこか宙をみながら話し出す
陽太「俺だってよ、推理することだってあるんだ その推理を話したって世間では俺なんかの発言は聞いちゃくれないんだ」
そして私を見る
陽太「お前は違う、お前がクロと言えばシロだった奴ですらクロになっちまうんだ」
陽太「だから、間違ってほしくなかった」
「ごめんなさい」
私は心からの謝罪をする
陽太「俺が事件に詳しいのは警察官を目指してるからだよ」
初耳だ
「どうして警察官を?」
陽太「あん?」
そんな質問するか?普通 と言いたそうな顔だ
陽太「お前金田一読んだことねーの?」
「あるわ!」
流石にそこまで世間に疎いわけでは無い
陽太「だよなぁ!だったらわかるだろうよ!俺の言いたいことがさ!」
「ごめんなさい、ちょっとよくわからないわ 確かに八つ墓村とか読んだことはあるけれどもそれと陽太が警察官を目指すことと何か関係があるとはおもえないの」
陽太「わりぃ・・・ちょっといいか?金田一の下の名前を一緒に言おうな せーの」
陽太「ハジメ」
「耕助」
「ハジメ?」
陽太「やっぱそうだよなぁ・・・」
それから私は金田一一とその周りについて詳しく説明された
「つまり、陽太は的外れの推理をして探偵に蔑んだ目で見られたいというわけね」
陽太「ちげーよ!」
「そう、もう少しで陽太と心の距離ができるところだったわ」
陽太「響子と事件を解決してぇだけだよ」
そっぽを向きながら言う
「あら、どういうことかしら 私の足手まといになりたいなんて 迷惑よ」
陽太「ちげーよ!大体お前は危なっかしいから俺が付いて行ってやるって言ってんだよ」
「なら、私の助手になるというのはどう?」
陽太「死んでも嫌だね」
ペンをとる
そして原稿用紙に一文だけ
『ベータと事件を解決する』
陽太「なにしてんだ?」
「何でもないわ」
-
- 14 : 2014/08/20(水) 02:17:00 :
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「なんでよ」
私はこぼれ落ちそうになる涙をこらえながら言った
空はその本を手に取ることは無かった
本をとらなかったことにショックを受けたのではない
私の助けを助けとして見てくれなかった彼にショックを受けていたのだ
「そうよね、あんたにはそんな繊細な文章を理解することはできないか」
空「おい・・・」
「あー、やだやだ 男子って言うのはホントにがさつで」
こういわないと私は泣いてしまう
「ホントに・・・頼りにならないんだから最近の男は」
空「だからさ」
「言い訳とかやめてよ、口を開けば言い訳しかでてこないのよね最近のだ」
空「真昼!」
突然の大声に心臓が躍る
空「助けが欲しいならそういえばいいだろう」
「・・・ッ」
図星だ
「なっ、なんで助けを求めなきゃなんないのよ」
平常心、こんなときこそ冷静に
「私が助けを求めてるってなんで決めつけるのよ」
空「じゃあなんでその本を渡そうとしたんだよ」
「それは・・・」
空「その主人公のように悩んでるからじゃないのかよ」
「・・・なんで?」
何でわかるの
そうか、空も読んでたのか
だから、私の意図が分かったのか
空「言わなきゃ伝わらないことだってあるんだよ」
「はぁ~・・・読んでるなら読んでるっていって欲しかったんだけど」
出てしまった・・・私の強がり
「せっかくお気に入りの本を渡してまで気づいてもらおうと思ったのにさ」
空「は?」
驚いた顔をして空は私を見る
「何よ その顔 口開いてるわよ」
空「その本の作者知ってる?」
知ってる
「知ってるわ スカイって人でしょ近日最新作出すんだよね」
空「あのさ、俺の名前わかる?」
はぁ?幼馴染の名前忘れる人なんてどの世界にいるのよ
「何言ってんの 空でしょ 小さいころから何回も呼んでるし流石に忘れたりしないわよ」
空「そうか・・・」
少し落胆したような顔をみせる
「今度は何よ暗くなっちゃって」
空「真昼って・・・」
少し間があって
空「残念すぎるわ」
「はぁ?空にだけは言われたくないわね!その言葉」
空「空って英語でなんて言うか知ってるか?」
「skyよスカイ」
空「んじゃ、そのあとがき読んだか?」
「読んだわよ!主人公は作者の幼馴染がモデルになってるんでしょ!」
空「で?」
「で?って何よ空と何が関係あるわ・・・・・け・・・・」
え?
本を見る
もしかして、この本を書いたのって
空を見る
本を開く
ここにいる主人公の女の子って
自分自身を指差す
頷く空
「・・・え」
空「知ってるに決まってんだろ お前の性格くらい 何年の付き合いだと思ってんだよ」
そうだったんだ、私
我慢していたものがこぼれ落ちる
空「おいおいおい!泣くなよ!そんなショック受けることはないだろ!」
「違う」
私は誰からも理解されてないのかと思っていた
でも、
いたんだ理解してくれる人
ありがとうって言わないと
空「ありがとな」
「え?」
なんで空にお礼を言われているのかわからずに少し上ずった声になってしまった
空「ほら・・・俺の書いた本をさ あれだ お気に入りって言ってくれてさ」
照れ笑いのようなでも、庭に植えてある太陽に向かって咲く向日葵のような笑顔
やっぱり私は笑顔が好きだ
この日
私は一文だけ作文用紙に文字を書いた
『私の好きな笑顔を撮り続けること』
-
- 15 : 2014/08/20(水) 02:17:17 :
- =========================================
言い終わった後
彼はとても難しそうな顔をしている
無理もないこと
私が保健委員になった理由
怪我や病気をしている人への優越感の為
そのためになったなんて聞いたら
彼は立ち上がる
そして私から少し離れる
嫌われてしまった
私のただ1人の幼馴染
私がどんな辛いことがあっても頑張れた大切な思い出を作ってくれた大切な人に
背を向けたまま立っている彼
彼は大きく息を吸い込むと
風太「しゃぁぁ!」
大きな声を出して走り出した
彼は加速する
小さい頃に富士山のようにたくましく風のように速く行動力のある彼
「・・・富士風」
思い出す
彼の姿をいつも先頭に立ち物事を進める彼
でも、決して後方を気に掛けることを忘れなかった彼
その彼が
振り返らず走っていく
私から また離れて行ってしまう
風太「おらあああああ」
そして彼はスライディングをした
風太「いってぇええええええええ!!」
アスファルトに半ズボンでスライディングをしたのだ
「大丈夫ですか」
遠目からでも出血しているのは見える
駆け寄る私
「ちょっと待ってくださいね」
彼まで後数メートルの位置まで来たところで彼が口を開く
風太「蜜柑」
「はい」
風太「お前は今の俺を見て優越感に浸るためだけに手当てしようとしてんのか」
そんなわけない
ただ、心配だったから・・・
風太「もし、そうだったら 手当はいらない 俺はこのまま帰る」
靴下を血で染めながらも立ち上がる彼
「そんなわけないじゃない・・・」
そうだ、私は何か理由が欲しかったんだ
だから、今までそう思ってやってきた
「心配だからに決まってます」
私は自分を騙してた
風太「人はそう簡単にかわんねーの」
彼の言葉を思い出す
『かわんねぇな蜜柑』
風太「お前は充分そのままで良いと思うぜ」
痛みに顔をゆがめながらも笑顔を作る彼
「・・・風太くん」
風太「ちょっと、マジで痛いから早くして」
たくましくて無鉄砲で優しさを持つ彼が言う
私は彼に向かって走り出す
全速力で・・・
ドテッ
「転んでしまいました・・・」
風太「ったく」
彼は財布から一枚の絆創膏を取り出す
キャラクターものの絆創膏
「それって」
幼い頃の記憶がよみがえる
『風太くんまた怪我してる』
『大丈夫だっつーのそんくらい』
『ダメだよバイキン入っちゃうんだよ』
『ほら、これ!バンソーコー』
『サンキュー蜜柑』
風太「思い出したか?お前は中学の時に決心したとか言ってたけど小学生のころからだったんだぞ」
涙が溢れだす
私は、忘れていただけだった
帰ったら作文を書こう
一文しか書けないけれども
『傷ついた人に手当てをする』って
風太「ちょっとマジで早くしてくれって」
-
- 16 : 2014/08/20(水) 02:18:25 :
- ありがとうございました
色々悩んじゃっていろいろ考えた挙句のこんな物語になってしまってすみませんでした!
これからもよろしくお願いします
-
- 17 : 2014/08/20(水) 02:27:55 :
- after story ①
空「そういやよ真昼」
遅めの昼食を口にしながら空が話し出す
「何よ」
空「不味いぞ」
「はぁ?だったら空が作ればいいじゃない!これも没収!」
皿を取り上げようとする私から皿を守ろうとする空
空「ちげーって!」
「んじゃ何だっていうのよ」
空「いや、その俺たちまだ高校生じゃん?」
「そうよ」
空「学生なわけだし」
「そうね」
空「ほら、学生らしいさ あるだろ ほら」
言いにくそうに俯く空
「何よ男子だったらシャキッと答えなさいよ!」
私は空に注意をする
空「そんな派手なパンツはどうかと思うんだよね」
「なっ!!」
顔から火が出そうになるくらい熱くなる
「さいってー!変態!」
真夏の日中に私の声がこだまする
空「いやいやいや!わざとじゃねーし目に入ったんだよ洗濯物が!」
必死に言い訳をする空
「男子なら言い訳しない!」
私は、最大の理解者と過ごすこの時間を大切にしたいと思った
-
- 18 : 2014/08/20(水) 02:41:26 :
- after story ②
「そういえば陽太」
私は先ほどの疑問を解決しようとする
陽太「何?」
「警察官になりたいんだったら犯罪はやめることね」
陽太「は?」
「聞くけれども、どうしてあなたは事件のことを事細かに知っていたの?」
陽太「これでも、警察官の知り合いに頼まれたんだよ」
胸を張って答える陽太
「嘘ね」
陽太「嘘じゃねーから渡辺陽太通称ベータは結構頼られてるんだぞ!」
「それはもっと嘘ね」
陽太「嘘じゃねーから!」
「だったらさっき携帯電話を確認していたのはなんでなの?」
陽太「それは・・・」
「ほら見なさい だめよ 不正アクセスなんてしちゃ」
陽太「いや、そんなことはしてねーよ」
「なら、何をしていたの?やましいことが無いのなら見せられるでしょう」
陽太「それは・・・」
「何?これから私たちはパートナーとしてやっていくのよ 片方が犯罪者何て私は嫌よ」
陽太「んじゃ、言うけど軽蔑しない?」
「えぇ、犯罪じゃないのなら軽蔑何てしないわ」
陽太「そっか ほら」
携帯電話の画面を見せる
そこには、ツイッターのある人のページ
そして、そこに映るたくさんの写真
「これはいったい何なのかしら」
陽太「Hな女子高生BOT」
「わかったわ、新しいパートナーを探すことにするわ」
陽太「何でだよ!軽蔑しねーって言ったじゃん!」
蝉の声にも負けず騒ぐ陽太
傍から見れば凸凹なコンビかもしれない
いとこで幼馴染ではなく
パートナーとしての
一番最初の夏の事だった
-
- 19 : 2014/08/20(水) 02:55:59 :
- after story③
「もう、あんなことはしないでね」
足に包帯を巻いた風太に声をかける
風太「頼まれたってしねーよ あんないてぇこと」
風太「そんなことよりよ」
不意に口を開く風太
「なに?」
風太「敬語抜けたな」
「え?」
気が付かなかった
今まで風太に対して敬語を使っていたことも
そして、敬語でなくなったことも
風太「小っちゃい頃に戻ったな俺ら」
ハニカム風太
「そうだね」
つられて笑う私
風太「敬語が抜けた記念に1つアドバイスしてやろう」
胸をはり偉そうにする風太
風太「その白衣みたいなエプロンみたいな奴ババくせぇぞ」
「えっ・・・」
風太「華の女子高生なのにババくせぇ服着てるなんて俺は悲しいぞそれともあれか?ババァになる予行練習か?」
続ける風太
風太「安心しろ!高校卒業したらババアになるのは早いぞ!だから今のうちだけでも・・・」
バシッ
私は彼のけがをしている足を蹴った
風太「いてぇ!ありえねぇ!保健委員に怪我してる足蹴られた!」
「もう、知らない!」
立ち止まる私
風太「悪かったってさ!」
「フン!」
今まで異性の事なんて気にしたことも無かった
ましてや自分の服装何て 着れればいいと思ってた私にとってその言葉はとても来るものがあった
風太「ほら、行くぞ 機嫌治せって」
「どこに行くの?」
風太「昨日給料日だったから服買ってやるよ」
ちょっと、乱暴で、でも周りのことを考えている彼
風太「ほれ、さっさと歩く!」
誠実で曲がったことが嫌いで優しい彼
風太「でも、あんまり高いのは勘弁な」
ちょっと抜けてるところもあって
風太「コンビなんだから当たり前だろ」
昔からちっとも変わらない
私の大切な幼馴染と数年ぶりに過ごす夏を忘れはしないだろう
-
- 20 : 2014/08/20(水) 11:14:31 :
- 見ていてニヤニヤが止まりませんでした!
ありがとうございます。本当にありがとうございます…!
これからも仲良くさせてくださいねヾ(^v^)k
- 著者情報
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