この作品は執筆を終了しています。
アニ「最近、よく泣くようになった」
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- 1 : 2014/07/08(火) 00:45:24 :
- アニ主観視点です。
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- 2 : 2014/07/08(火) 00:46:04 :
- 期待
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- 3 : 2014/07/08(火) 00:46:31 :
- 期待じゃぁ!
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- 4 : 2014/07/08(火) 00:51:57 :
- 最近、泣くようになった。
泣きたいと思って泣いている訳じゃない。気付くと、涙が目から零れている。涙がそのまま足元に落ちるのを見届けると、またそれが目から溢れてくるのを感じる。少し考えれば何が原因かは容易に見つかるが、結局自分にはどうしようもない事だと再確認して終わる。この原因を否定する事は、自分の存在意義も否定する事になるからだ。同期の他の女達はお洒落や街の流行、恋愛の話で盛り上がっている中、こうやって自分の気持ちを冷静に分析する私は、おかしい存在なのだと気づく。
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- 5 : 2014/07/08(火) 00:54:37 :
- 同期の中で、一人変わった男がいる。大した成績点数はつかない対人格闘術の科目で、私の技術を学びたいと言う男だ。エレン・イェーガーという。こいつは入団当初から巨人への異常なまでの憎しみを口にしてきた。これは私を殺したいと言っているようなものであり、危険な人間として入団当初から目をつけ、同時に距離を置いていた。だが、熱心に私の技術を習得しようとするこの男に興味を持ち、この訓練兵団の中で、この男とはよく話すようになった。
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- 6 : 2014/07/08(火) 00:57:02 :
- 日が過ぎるのに比例して、自分の心の状態はひどくなった。今はまだ一人の時しか涙が出てこないが、人前でそうなる事は避けなければならない。一緒にいて心地好いと感じ始めたエレンとは、対人格闘訓練を避けなければならないと考えた。
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- 7 : 2014/07/08(火) 00:58:12 :
- 私は一方的にエレンと距離を置いた。エレンが話しかけてきても無視し続け、とうとうあいつは話しかけてこなくなった。その日の夜、消灯時間後に部屋を抜け出し、近くの湖のほとりで思い切り泣いた。この時ばかりは、何故こんなにも涙が出るのか、考えても分からなかった。考えれば考えるほど涙が止まらず、私は考えるのをやめた。
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- 8 : 2014/07/08(火) 00:59:51 :
- ある日、ライナーとベルトルトとの密会を終えて、消灯時間直前に兵舎に戻ると、顔見知りの女子数名が私を囲んできた。何かと思えば、エレンとの関係はどうなっただの、一方的に振ったのかだの、くだらない事ばかりだ。説明するつもりもなかったので、適当に返事をして場を流そうとすると、遠くから視線を感じた。それが殺気にも似た視線だったので思わず振り向くと、ミカサが私を無表情で見ていた。無表情というより、感情を圧し殺した故の表情だろうか。ミカサとエレンの関係は訓練兵の中でも有名だったので、また検討違いの嫉妬かと思い、囲む女子を押し退けて自分の寝具に入った。消灯してから、先程までライナーとベルトルトと話した事を思い出していると、また涙が零れていた。涙が出ていると知らず、目をこする時に声が出た。それが泣き声だと気付き、すぐに手で口を塞いだ。その時、近くから何か音がしたが、気にする余裕もなく、自己嫌悪を抱きしめて眠った。
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- 9 : 2014/07/08(火) 01:02:01 :
- 翌朝の食堂、エレンとミカサがこちらを見ているのに気づいたが、そのまま無視して朝食を取った。
訓練兵は食堂で夕食を取った後、消灯時間まで自由時間を設けられている。私はその中の一時間は、訓練兵団敷地内の小さな湖を見に行く。何もないこの敷地内で、小さいながらも美しいこの湖は、訓練兵の中でも人気だ。湖のほとりには普段仲良い者で集まる者、あるいは恋人と時間を共にする者、様々な人間がいる。この沢山の人だかりを嫌って、今日も湖のほとりではなく、湖を見渡せる丘に腰を落ち着かせる。
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- 10 : 2014/07/08(火) 01:02:48 :
- 月の光に照らされた澄んだ湖、年齢相応にはしゃぐ同期を見ながら、何度も考えた。この訓練兵団、この壁内において自分が異質な存在であるという事実を。同じ境遇の人間は二人いるが、言えない。今、私が悩みを打ち明けたところで、彼らにはどうする事も出来ない。むしろ、二人の様子のほうがおかしく見える。ライナーとは話が噛み合わない事が多々あり、ベルトルトの口数は会う度に少なくなっている。直接身体に影響が出ていない私は、まだ楽をしているらしい。今以上に自分に厳しくしなければならない
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- 11 : 2014/07/08(火) 01:17:13 :
- 暗い空で一際輝く月の光が湖を照らしており、あまりの美しさについ見とれてしまった。
「アニ」
私を呼ぶ声が聞こえた。警戒心も薄れていたのだろう、緩んだ顔で振り向くと、そこにエレンが立っていた。
一瞬驚いたような顔で呆然と私を見てきたが、すぐに普段のようなぶっきらな表情に戻った。
「ミカサに、お前がいつもここにいるって言ってたからよ」
「…」
何も答えずにいると、横に座ってきた。
「また俺に教えてくれねぇか、お前のあの技術?」
「…」
「よく泣いてるって聞いてよ、俺に何か出来る事があったら…」
そんな風に…優しく言うな…。気づくと涙がまた溢れていた。
そうだ…私は…欲しかった…。昔のような…人からの愛情が…
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- 12 : 2014/07/08(火) 01:17:42 :
- 終わり。
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