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  1. 1 : : 2014/06/16(月) 03:23:12
    初めて投稿します!私なりの思い込めて増すのでお手柔らにお願いします!

    では始めます!


    ベッドの上でなかなか眠りに就けず寝返りをうつエレン

    (…何だか寝付けない…)

    巨人との戦いで幾度と無く仲間達が倒れていく姿を目の当たりにして、自分の不甲斐無さに苛立ちと情けなさで心も体も砕けてしまいそうに成っている。

    エレン「このままじゃダメなんだ…」

    ぼそっと呟いた。

    (カサッ)

    エレン「ん?」

    アルミン「眠れないの?エレン」ニコッ

    エレン「悪い!起こしちまったな?」

    (ギシッ)

    アルミン「ううん、ちょうど喉渇いちゃって目が覚めただけだよ?」

    アルミン「エレンも飲む?」

    (カチャカチャ,コポコポ…)

    枕元の水差しからグラスに水をつぎ、エレンへと差し出す。

    エレン「…ありがとう」(ゴクッゴクッ)

    一気に飲み干すとアルミンを見た。

    アルミン「エレン?」

    エレン「…」

    アルミン「疲れてるね…エレン…」

    切ない眼差しでぎこちなく笑みを見せるアルミン。

    エレン(ズキン…)

    エレン(クルシイ!ココロガクダケル!ドウスレバ…)

    アルミン「エレン…君一人が苦しい訳じゃないよ」

    エレン「!アルミン」

    幼い時から側でエレンを見て来たアルミンだからこそエレンの心が分かる。人一倍正義感に溢れ正しい事は正しいと貫いて来たエレンにとって、今の状況は許せないのだと…

    エレン「俺が総てを棄てきれたら…皆死なずに済んだんだ…」

    アルミン「…エレン…」

    なんと答えて良いのか迷っているアルミンにエレンが声をかける。

    エレン「悪いな、起こしちまって俺ちょっと夜風に当たってくるわ」

    アルミン「あ」

    (ギィッ)

    アルミンの小さな声に振り向かず表に出て行く。

    アルミン(君は優しすぎるよ…)


    兵舎の外は寒々とした闇夜を月明かりが照している。
    兵舎の脇に乱雑に置かれたブロックに腰掛け静まり返った辺りを見回す。

    エレン
    (強くなりたい!総てを失わないために!…全てを棄てる覚悟が…)

    「眠れねぇのか」

    エレン「えっ!?」

    不意に声を掛けられ驚いて立ち上がる。

    「こんな時間に何をしている」

    エレン「!!リヴァイ兵長っ!」
     
    メデューサに睨まれ石化したかの如くガチガチに固まったエレンに

    リヴァイ「何固まっている」

    エレン「いえっ寝付けなかったので少し夜風に当たろうかと!」

    リヴァイ「そうか」

    一言言うとそれ以上何も言わず月を見上げながらエレンの隣にドカリと座り込んだ。

    エレン
    (?!潔癖の兵長がブロックに直に座ったっ?!!えっ?Σ(゜Д゜)その前に何で俺の隣っ!)

    エレンにとって幼い頃から憧れの存在。
    人類最強の兵士。彼のように巨人を駆逐する事、今こうして彼の班で共に戦える事はエレンにとってこの上無い幸せなのだが、今は素直に喜べないのだ。

    リヴァイ「エレンよ、人間ってのは脆くて弱ぇもんだな」

    エレン「え?」

    リヴァイ「…少し付き合え、歩くぞ」

    エレン「は…はいっ」

    闇夜の中月明かりに照らされた二人の影が伸びる。
    エレンはもともと言葉の少ないリヴァイの横顔を覗き見た

    リヴァイ「エレンお前酒が呑めるか?」

    エレン「?!はっはいっ!」



  2. 2 : : 2014/06/16(月) 04:25:52
    月明かりのを黙々と歩く二人。

    エレン「あの…兵長?一体どこに行くのですか?」

    恐る恐る訪ねる。

    リヴァイ「俺の部屋だ。どうせ眠れねぇんだろう?」

    彼の言葉に従う方が利口だろう。
    言葉は少ないが、自分を気に掛けてくれているのは解る。

    (ギイッ)

    リヴァイ「とりあえず入れよ」

    きれいに整理された部屋へと通され
    机の上に置かれた書類の山と、ベッドサイドの小さなランプが目に留まった。

    エレン「しつれいします!」

    リヴァイ「あぁ…適当に座ってろ」

    エレン「はい」(勝手にって言われても(*_*)なぁ…)

    (カタン…)

    とりあえず近場にあった椅子に腰かける。

    リヴアイ「ほらよ」

    ぶっきらぼうな口調でグラスを手渡す

    エレン「これって酒ですか?」

    リヴァイ「あぁ、大っぴらに未成年に呑ませる訳にはいかねぇが俺の部屋なら誰も文句は言わねぇ」

    エレン「…確かにそうでしょうね」

    (ゴクッ)

    受け取ったグラスを一口呑んで見る。
    喉が焼けつくような熱さを感じて思わず咳き込む。

    エレン「げほっ!げほっっ!!」

    リヴァイ「…呑めねぇなら無理しなくて良いぞ?」

    エレン「す…すいませ…んゲホッ…」

    リヴァイ「気にするな」

    リヴァイ「なぁ…エレンよ」 

    一杯目の酒を飲み干してエレンの持つグラスを受け取り話し始める。

    リヴアイ「人間ってのは弱くて愚かで脆いもんなんだ…」

    エレン「兵長?」

    リヴァイ「お前から見て俺をどう思う?」

  3. 3 : : 2014/06/16(月) 07:55:04
    リヴァイ「俺は他の奴等からどう見えてるんだろうな?」

    エレン「えっ…どっどうって?(汗)」

    (どう言う事だろ?)暫し考え込むエレン

    リヴァイ「難しいことじゃねぇ正直にお前が感じたままを答えればいい」

    エレン「はい」

    エレン「…リヴァイ兵長は何事にも動じる事なく確実に任務遂行する…俺は貴方のその強さに引かれています。俺も貴方ほどの強さが欲しいと」

    エレン「貴方の行動力と強さが俺にあれば仲間を…失わずに済むのにって…」
     
    素直に答える。正直な気持ちを…
    今の自分は迷いばかりで仲間を傷つけ失って逝く辛くて苦しくて情けなくて…リヴァイの強さが眩しく感じている事を。

    リヴァイ「俺が強い?」

    エレン「はい、おれはそう感じています。多分兵長の元に集まっている団員達もおれと同じだと思います」

    リヴァイ「俺は強い訳じゃねぇよ…本気で強けりゃ誰一人逝かせたりしねぇ」

    苦い顔でグラスの酒を見つめるリヴァイ。
    人類最強と唱われるリヴァイ兵長からそんな言葉を聞くとは思わなかったエレン

    エレン
    (兵長…)

    エレン「兵長…あのっ…」

    リヴァイ「…」

    リヴァイ「エレン、お前の言う強さってのは何だ?」

    エレン「おれの思う強さは…」

    言葉に詰まる。

    リヴァイ「俺は元々地下街のならず者だった…」

    エレン
    (あ…)

    リヴァイ「あの頃の俺は誰も寄せ付けず頼ったりもしなかった…それ以前に誰も見ていなかった。在るのは己の姿だけだったよ」

    グラスが空になっていることに気付き新たに酒を満たす。

    リヴァイ「…やはりお前も付き合って呑めエレン」

    エレンのグラスに酒を注ぐ。
    ただし自分の酒とは違う色の物を。

    リヴァイ「俺のとは違うからな。お前みたいなガキでも呑めるだろうよ」

    改めて差し出されたグラスを受け取ると一口口に運ぶ。

    エレン「ァ!旨い」

    リヴァイ「フッ やはりまだガキだな、そいつは葡萄酒だ」

    エレン 
    (葡萄酒かぁ、こんな酒があるんだな!) ゴクッ,ゴクッ,ゴクッ!

    受け取った葡萄酒を一気に呑み込んでリヴァイに話し掛ける。



  4. 4 : : 2014/06/16(月) 08:09:14
    エレン「兵長は何故調査兵団に入ったのですか?それとお訊きしたいのですが、兵長でも悩みなどあるのですか?」

    葡萄酒の力なのか普段ならけして恐れ多くて話しかけることも躊躇われるのに思わず聞いてしまった。

    エレン
    (うわぁっっ!思わず聞いちまったっ!(゜ロ゜;ノ)ノ)

  5. 5 : : 2014/06/16(月) 10:44:19
    エレン
    (うぉぉっ(T△T)空気がおもてぇっ!)

    いたたまれない空気感に息をする事さえ忘れそうになっている自分に気づいて目の前の葡萄酒を瓶からガブガブと呑み始めた。

    リヴァイ「!おいっ!エレンお前何をしてる?!」

    エレン「!Σ(×_×;)!すみませんっ、おれっ兵長に聞きたいこと山ほどあって!普段の兵長には話し掛けられないのでっ…えっと、あのっ」

    リヴァイ「…そんなに普段の俺は話しづらいか?」

    少々困惑した表情で問いかけるリヴァイに申し訳なさそうに答えるエレン

    エレン「は…はい…近寄りがたいオーラ全開で」

    モゴモゴと口ごもるエレン

    リヴァイ「すまん、俺は昔から人と接することに慣れてなくてな…」

    微かに眉を潜めながら酒に視線を落とす。

    リヴァイ「それだけ一気に呑んだなら上がらずに話せるな?」

    エレン「へ?あっはい!」

    (ガタガタッ,ガサッ)

    リヴァイ「お前だけに見せてやるよ…俺の力の源を…」

    エレン「兵長の力の…源…」

    リヴァイから手渡されたのは数枚の絵だった。

    エレン「これは…?」

    リヴァイ「俺の班の兵士達だ…俺が守りきれなかった…」

    渡された絵には勇ましく雄々しい団員達がリヴァイを中心に描かれている。
    一枚一枚違う団員達が描かれていて…最期の一枚は描かれいる最中で黒ずんだシミが付いていた。

    エレン「兵長…これって…最後のこの絵のシミは…?…」

    リヴァイ「…絵を描くのが上手い奴だった…俺のような愛想の無いやつにずっと付いて来て最悪な状況でも笑い飛ばして団員を励ましてくれていた…」

    リヴァイ「…何度も団員を巨人に奪われて…戦う気力さえ失いかけた時も『まだ戦える諦めるな!』といい続けてくれたやつの…最後の絵だ…」

    エレン「ッ!」

    言葉を失うエレン。
    リヴァイ兵長の誰も知らない過去…そんな大切な思い出を自分が聞いて良いのか?いろんな想いがエレンの脳裏をよぎっていく

    エレン「兵長…」

    空になった酒瓶を棚から新しい物に変えグラスを満たすリヴァイ
    エレンの葡萄酒もからなのに気づき新しいものを継ぎ足す。

    (ダンッ!)テーブルを叩くリヴァイ

    リヴァイ「俺は強くなど無い俺に本当の強さが、力があれば…俺を慕ってくれた仲間達を守れたずだっ!」

    リヴァイの激しい感情にエレンの身体は雷に打たれたように震える。

    エレン
    (貴方はいったいどれだけ仲間の死を!?…眼を反らさず受け入れて来たんだ!…貴方の強さは…逝ってしまった仲間の…)

    エレン「兵長…貴方の強さは…」

    (ガッ!)

    リヴァイがエレンの首筋を掴む。

    エレン「!」

    リヴァイ「そうだっ!俺の力は仲間の命の重みだッ!!俺が守り切れなかった団員達のなッ!」

    エレン「っ…へい…ちょっ…!」

    リヴァイ「!」

    はっと我に返ったリヴァイはエレンの首から手を放した。

    リヴァイ「すまない…少し呑み過ぎたようだ…」

    エレン
    (リヴァイ兵長…貴方も苦しんでいるんですね…)

    リヴァイ「エレン」

    不意に名を呼ばれリヴァイの顔を見る。
  6. 6 : : 2014/06/16(月) 11:49:56
    そこに居たのはいつもと変わらないリヴァイだった。

    リヴァイ「エレン」


    エレン「はい…何でしょう?」

    鋭い眼差しがエレンを射抜く。
    狩人が獲物に向ける眼差しのそれはエレンを貫いて離さない。

    エレン
    (目が反らせないっ)

    エレン「なっ何ですか…?」

    リヴァイ「お前は化け物か?人間か?」

    (ズキッ,イ,タイ…)

    エレン「っ!」

    リヴァイ「俺はお前を引き受けて調査兵団に入れた」

    エレン「…はい…解っています」

    リヴァイ「俺は俺より先に逝ったやつらの命を…意思を背負ってここまで戦ってきた…お前は?…」

    エレン「あ…おれは…」

    戦い続けるためには、総てを棄てる覚悟で巨人の力を使わなければ戦えない
    エレンの力と、仲間の命、思いを力とするリヴァイの力では根本的に違う。

    エレン「…」

    リヴァイ「なぁ?エレンよ…お前は人間として戦うんだろう」

    エレン「勿論です!おれは巨人を駆逐するために生かされているんです!おれの命は…おれの力は人類の為に捧げますっ!!」

    (コツコツコツン…)

    エレンの前に立ちエレンの襟首を掴んで引き寄せる。

    (グイッ!)

    エレン「わっ!」

    リヴァイ「いいか?良く聞いておけ…一度しか言わねぇ」

    エレン「はっ…はいっ!」

    リヴァイ「俺はお前を化け物とは思ってねぇ先に逝った奴らもそうだ!奴らの想いをお前も背負え…全てを投げださなけりゃ戦えないなんて言わせねぇぞ?俺の強さが欲しいならな」
  7. 7 : : 2014/06/16(月) 13:23:57
    涙が止まらねー
    期待です!!
  8. 8 : : 2014/06/16(月) 13:51:25
    リヴァイ「俺が強いと思えるのは背負ったモノの意思だろう…きっとお前は俺以上に辛く哀しい現実をまだまだ体験していくだろう…だが、逃げずに受け止めろエレンお前には出来るはずだ。」

    エレン「…リヴァイ兵長っおれは貴方について行くと決めています!幼い頃から貴方の背中を追い続けてっ貴方のその翼が…おれの総てなんですッ!!!」

    リヴァイ「なら死に物狂いでついてこい俺にお前の命賭けろよ」

    エレン「はいっ!!」
      
    苦しかった思いが溢れ出て来るように声の限りにはっきりとした口調で告げるエレン。
    その姿に少しだけ襟首を掴む力を緩まるリヴァイ

    リヴァイ「ふん…返事としては悪くない」

    (パッ)

    エレン「うわっっ!」

    (ドタンッ!!)

    エレン「いってっ」

    大きな音をたてて尻餅をついたエレン

    リヴァイ「何もかもを受け入れて前を向け」

    エレン「え?」

    床にしゃがみこんでエレンの顔をのぞきこむリヴァイ。

    リヴァイ「巨人の力でお前が暴走するなら俺が何度でも削いで止めてやる」

    エレン「兵長…」

    リヴァイ「…立てるか?」

    エレン「はっ…はいっ!…あれっ!?」

    リヴァイ「?どうした」

    エレン「なっなんか足元がっ力入らなくて!あれれっ(汗)」

    リヴァイ
    (今頃葡萄酒が回って来たのか…)

    リヴァイの過去や自分を化け物だと思っていない事、リヴァイについていくと伝えられた事で一気に張り詰めた緊張の糸が切れたのか一瓶空けた葡萄酒に足元をすくわれているエレン。

    エレン「すいません…今すぐたちますからって…うわぁっ!」

    完璧に酔いが回って立ち上がることさえ覚束無いエレンやっと立ち上がったもののイスに足を取られ…。

    リヴァイ「!」

    (ガシイッ!)

    リヴァイ「アブねぇなっ!確りしろ!」

    テーブルの角に頭を打ち付ける寸での所でリヴァイ兵長に支えられる。






  9. 9 : : 2014/06/16(月) 13:55:23
    あさか様コメントありがとうございます!なにぶん初めてのドシロートですんで、大きなお心でお読み下さいませ!(^∇^)
  10. 10 : : 2014/06/16(月) 14:35:11
    リヴァイ「取り合えずソファーまで行くぞ?」

    エレン「すい…まヒックせん…」

    リヴァイ「チッ…あれぐらいで酔えるお前がましいよ!」

    リヴァイ「酔いが抜けるまでここで寝てろ」

    デカイ手のかかるエレン(ガキ)をソファーに転ばせてふとテーブルの上の絵に手を伸ばすリヴァイ。

    リヴァイ「すまないな…まだ俺はお前らの場所には逝ってやれねぇ…お前らの決意、意思、命の全てを奴等巨人にぶつけて削ぎまくってから逝くから…待っててくれ…」

    すぐ隣のソファーで酔い潰れているエレンに視線を移しながら数枚の絵をいとおしそうに胸元で抱き締める。

    リヴァィ「今更お前らに逢いたいと想うなんてなぁ…俺の身勝手だよな?…今なら解るよ…お前らの優しさが…あー……まじで逢いてえ……クッ」

    絵を抱き締めたまま声を圧し殺して哭くリヴァイ彼はけして人の前でこんな姿は見せることはない。
    けれど、この姿こそが人類最強とまで言われるリヴァイの本当の姿なのだろう…。

    リヴァイ「…ク…ウウッ…!…」


  11. 11 : : 2014/06/16(月) 15:35:50
    窓から差し込む月明かりに照らされるリヴァイ…胸元に抱き締めた今は亡き団員達…自分を慕って自分を信じ逝った大切な仲間達に想いを馳せる。

    リヴァイ「…クソっ…あの時あの瞬間に…ツ…俺に力があれば…お前らを守…ってやれたのにっ!…」

    唇を噛み締めて声を押し殺す血が滲み出し胸元の絵にポツリと落ちる。頬を伝う涙を止める術さえ今は解らないリヴァイだった…




    エレン「う…ん…あれ?ここは…」

    いつもと違う感触に目を覚ましたエレン。
    ふと、窓際に視線を移すと…リヴァイ兵長の姿が!

    エレン「うゎっ…て…兵長?…」

    声を上げてはイケないような気がして手で口を塞ぐ。
    月明かりに照らされたリヴァイ兵長は声を上げず哭いていたのだった。

    エレン
    (兵長が…哭いて…る…声かけて良いのだろうか?…)

    迷いながらも、リヴァイの傍に歩み寄るそっと脅かさないように…

    エレン「兵長…あの…」

    エレンの方を向かずに応えるリヴァイ

    リヴァイ「…酔いは覚めたか?…」

    エレン「はい…あのっ兵長」

    リヴァイ「…なんだ…」

    エレン「あのっ…大丈夫…です…か?」

    酔って眠ってしまう前の記憶が戻ってきたエレン
    リヴァイ兵長の力の原動力とも言える仲間の死…残されていく思い…そして今リヴァイの胸元に抱き締めてるあの絵…あれがリヴァイ兵長の全てなのだった。

    リヴァイ「…こんな姿見るんじゃねぇよ…」

    エレン「何故ですか?今の兵長が本当の姿でしょう?…おれは今の兵長の方が良いです」

    リヴァイ「俺が…すべき事はあいつらの為に哭くことじゃ無い…全て受け止めて…背負い巨人殲滅させる事だ…」
     



  12. 12 : : 2014/06/16(月) 16:32:53
    団員達の絵を抱き締めて唇を噛み締めて涙するリヴァイ…エレンはその傍らに立ち尽くすのが精一杯だった…。


    エレン「兵長…独りで哭かないで下さい…おれ傍に居ますから!何時でも貴方のツラい時は傍にいますから…」

    リヴァイ「…」

    エレン「あ…」

    エレン「唇切れて血が…」

    そっとハンカチを手渡すエレン。

    (ガシッ)

  13. 13 : : 2014/06/16(月) 19:01:24
    エレン「どうかしましたか?兵長」

    穏やかな声でリヴァイに問いかけるエレン。

    エレン
    (今この時しか貴方は哭けない…夜が明けたら又ポーカーフェイスで人類最強の戦士として巨人討伐に出るんだ…せめて今だけは…)

    リヴァイの本当の姿は誰もしらない。
    エレンにしか見せていない姿は仲間達を思い悔やみ、涙を流す、エレンと何一つ変わらないのだった。


    リヴァイ「エレン…俺はお前に誓おう…」

    エレン「はい」

    リヴァイ「もう誰1人逝かせたりしねぇとっ!今以上に強くなると…だから…」

    リヴァイ「エレンお前も俺の目の前で誓え 最後の日まで人として戦い続けると 俺の背中を追い続けると…」

  14. 14 : : 2014/06/17(火) 00:54:56
    リヴァイの目には強い決意が宿っている。
    なんびとたりとも消すことの出来ない強い決意の焔はエレンの中にも芽生えていた。

    エレン「勿論誓います!奴等巨人を全て駆逐するまで戦い続ける事を、そして俺の命の限り貴方が走り続ける限り貴方の背中を追い続けると!」

    エレンの中の蟠りはリヴァイが流していた涙で影を潜めた。
    いつか又エレンが心の闇に囚われてしまってももう迷いはしないだろう。

    エレン「リヴァイ兵長」

    エレンは手を伸ばしリヴァイが抱き締めている絵にソッと触れる。

    エレン「貴方が背負った十字架をおれにも背負わせて下さい」

    エレン
    (貴方が抱えるものも総ておれも背負ってみせます…だからもう独りで泣かないでください…)

    素直な気持ちを伝えたい。
    そうする事がリヴァイの心に寄り添えると感じるエレン。

    リヴァイ「…」

    エレンの言葉がひび割れたリヴァイの心に染みて行く。
    微かな甘い痛みを伴って広がって行く。
    人との関わりの苦手なリヴァイにとって何と応えれば良いのか分からない。

    エレン「迷惑でしょうか?…」

    リヴァイ「…いや…迷惑では無いが…何と応えれば良いのか…」

    コミュニケーションが苦手なうえ口下手なリヴァイは頭を掻きながらナニかを考えているようだ。

    エレン「兵長?」

    (グイッ!)

    エレン「うわっ?!」

    力任せに上着を引っ張られ前に転けそうになったその瞬間リヴァイに抱き止められる格好になってしまったエレン
    小柄だと思われるリヴァイのその身体は難なくエレンを抱き止めている。

    エレン「へ…兵長?あのっ」

    微かな酒の匂いと石鹸の匂い…以外にもがっしりとしたリヴァイの胸元にエレンは目眩を感じていた。

    リヴァイ「言葉遊びは得意じゃねぇから…これが一番手っ取り早いと思うんたが」

    そう言うとエレンの髪をグシャグシャかき回して少しだけ力を込めてエレンを抱き締め直した。

    エレン「わ」








  15. 15 : : 2014/06/17(火) 10:20:17
    不器用な生き方しか出来ないリヴァイのその優しさが切ないほど伝わってくる。

    エレン「おれの命有る限り貴方の背負ったものをおれも背負い戦います。だから…もう…声を押し殺して…独りで泣かないで下さい…」

    精一杯の想いを込めてリヴァイの顔を見詰めリヴァイの頬に触れる。

    リヴァイ「っ!」

    涙で濡れた頬に切なさが込み上げるのを感じるエレン…リヴァイ兵長はは一体どれだけの時間を独りで耐えて来たのだろうかと… 
    リヴァイの心の痛みを想うと苦しくて思わず涙が溢れた。

    リヴァイ「エレ…ン…なぜお前が泣く?」

    その問い掛けには答えず、自分の両腕でリヴァイの首筋にすがって泣いた。

    リヴァイ「!」

    今までの全ての出来事はリヴァイに出会う為だったのだとエレンは思った。
    不器用な生きかたしか出来ないリヴァイ…彼の為にすべてを賭けたいと。

    エレン「貴方が悲しい時はおれが傍に居ますっ…独りで苦しまないで…どんなこともおれに分けてください…」

    それ以上何も言え無くて涙を堪える事が出来ずにいるエレンを優しくなだめるように髪を指で透くリヴァイ。

    リヴァイ「もう泣くな…お前の気持ちは…解った」

    幼子をなだめ触れるようにそっとエレンの頭を撫でる。

    リヴァイ「俺達は…お互いに闇を抱えている…おそらく、いつの日かその闇にに捕らわれて動けなくなる事も有るだろう…」

    リヴァイの言葉にハッとして顔を上げるエレン。
    幼い頃から感じてた不安を見透かされたようで驚きに目を見開いた。



  16. 16 : : 2014/06/17(火) 14:01:54
    エレン
    (何故兵長が…兵長も闇を感じて?…)

    リヴァイの言葉に驚きを隠せないで居るエレンに微かな笑顔を見せ、るリヴァイ。

    エレン「!」

    その瞬間時が止まる。
    リヴァイの唇がエレンの唇に重なっていた。

    エレン「つ…!…」

    微かな血の味のする口づけ…
    心臓が高鳴るのを感じてリヴァイから離れようと身体を捩るエレン。
    それでもリヴァイはビクともしない。

    リヴァイ「俺が怖いか?」

    エレン「っ…怖くはありあせん!ただ…いきなりきっ…キスとかされたら誰だって驚くでしょう!っ…」

    エレンの言葉に少し間をあけてエレンを解放する。

    リヴァイ「確かにそうだな」

    それだけ言うと床に落ちた絵を広い、机の引出しに納めた。

    エレン「っあのっおれ…これで失礼します!今日の事は誰にも話しませんから安心してくだっ…」

    (グイッ!)

    言い終わらない内に腕を強く引かれるエレン、有無を言わせず又唇を塞がれてしまう。

    エレン「っ…う…!」

    先ほどのキスとは比べ物に成らないほど激しい口づけに息が出来ない。
    リヴァイの唇と血の感触に全身が熱を帯びていくのが分かる。

    エレン「やっ…めてくだっ…んっ」

    身体中の力がリヴァイに奪われていくような感覚に何もかも考えられなくなっていく。

    リヴァイ「チッ…駄目だ…抑えがきかねぇ…」

    エレン「はぁ…はぁ…兵…長なぜです?…」

    エレンをキツく抱き締めるリヴァイ

    エレン「兵…長?…」

    リヴァイ「今日…いや…今だけでいい…俺の傍に居ろっ」

    自分を抱き締めているリヴァイの腕が
    僅かに震えているのが分かり、抵抗する事を止めた。

    エレン「兵長?一体どうしたんですか?…」

    リヴァイ「…訳の分からん不安に…俺が俺で無くなって終いそうだっ!」

    エレン「兵長…」

    抱き締める腕に一層力が入る。
    その姿に自分の姿が重なる…漠然とした不安が自分を飲み込んで潰されてしまう…自分の存在自体が消されてしまうそんな感覚…

    エレン
    (兵長…貴方もおれと同じ感覚を…)

    リヴァイの顔を見上げると今にも消えてしまいそうな表情に思わず自分から唇を重ねる。

    エレン「う…」

    気恥ずかしさに消えてしまいそうになるエレン。
    それでもリヴァイを不安から救い出したい気持ちが恥ずかしさより勝っていた。

    リヴァイ「エレン…」

    エレン「…傍に居ます…大丈夫ですから…」

    リヴァイ「すまない…」

    そう言うとエレンを優しく抱き寄せ唇に触れる。
    唇に軽く触れるだけでエレンの身体はビクッと跳ねる…

    エレン「っ…ん…」

    リヴァイ「断るなら今しか無いぞ?…これ以上は…俺が抑えられねぇ…」

    エレン「っ…嫌なら…さっき出て行って…ます」

    それはエレンの本心だった。
    リヴァイの涙に触れたあの瞬間からエレンは全て受け入れる覚悟だった。

    リヴァイ「…いいんだな?…途中で辞めてはやれねぇぞ?」

    エレン「構いません…」

    エレンの顎を捉えたリヴァイの指が唇をなぞる。

    エレン「あっ…」

    触れた指の冷たさがエレンの奥底に眠っている感
    エレン「ぅ…あ…っ!」

    エレンの唾液で濡れた指先でもう一度唇をなぞるとそれだけで刹那げに肩で息をしているエレンにリヴァイが意地悪な笑みを浮かべる。

    リヴァイ「エレン…これくらいで息が上がってちゃ、これから先もたねぇぞ?」

    意地悪い言葉とはうはらな優しい口付けを繰り返す。
    啄むように、軽く深く繰り返される口付けにエレンはもう何も考えられなく成っていた。

    エレン
    (モウナニモカンガエラレ…イ…)

    エレン「…ぅ…んっ!…や…」

    身体が溶けてしまうような熱に襲われて頭の芯がボヤけてしまう。

    エレン「へ…いち…ょ…もう…や」

    息が上がり焦点の合わない目でリヴァイの名を呼ぶエレン。

    リヴァイ
    (…ヤベェ…そんな顔で見られたら…)

    震えながらもリヴァイに身体を預けるエレン。

    (ドサッ!)

    リヴァイ「もう後には退けねぇ」

















  17. 17 : : 2014/06/17(火) 14:26:05
    熱に浮かされ、焦点の会わない目でリヴァイを呼ぶエレン

    エレン「っ…へ…いち…ょうっ…」

    リヴァイ「…何も聞かねぇ」

    エレン「あぁっ!っ…んっ…」


    今はただこの体温熱が全てだと。いつの日かお互いの闇に飲み込まれようと

    この瞬間がお互いを繋ぐ生きた証なんだと…





  18. 18 : : 2014/06/17(火) 15:16:42
    いつも独りで生きて来た…
    自分意外は何も無かった…
    理不尽な闇に怯えながらずっと独りで戦って来た…
    『調査兵団』此所に来るまでは…



    不意に目が覚め自分以外の体温が傍に有ることに驚く。

    リヴァイ「?!」

    隣で小さな寝息を立てている人物を理解するまで時間はかからなかった。

    リヴァイ「夕べのは…夢じゃねえのか?!」

    自分の弱さを見せてしまった事もどうやら夢では無かったのだ。
    その体温の人物の首筋やあちらこちらにある紅い印が夢で無いことを理解させる。

    リヴァイ「…やっちまった…」

    その人物が余りにも幸せそうな寝顔でいる事で少しだけ救われた気分だった。

    リヴァイ「このまま寝かせてやりてぇが…」

    (ギシッ)

    ベッドの縁に腰掛けてその人物の髪を透く。

    リヴァイ「…おい、エレン起きろ」

    エレン「ん~…もう少し寝かせてくれよ…」

    リヴァイ
    (寝かせやりたいが…)

    リヴァイ「起きねぇと犯しちまうぞ?良いのかエレン」

    エレン「!!?!」

    アルミンともミカサとも違う低い声に驚き飛び起きるエレン

    エレン「うわぁっ!?リヴァイ兵長っ!」

    リヴァイ「目が覚めたか?」

    エレン「はっ、はいっ!」

    上半身何も着けていないエレンのその姿は昨夜を思い出して思わず眼を反らしてしまう。

    リヴァイ「////取り敢えずこれを使え」

    下ろし立てのタオルをエレンに渡しシャワールームに行くよう進める。
    タオルを渡されたエレンもようやく状況が理解できたようであわててタオルにくるまる。





  19. 19 : : 2014/06/17(火) 15:31:53
    エレン「う~…恥ずかしい!けどこのまここに居るわけにも…」

    モゾモゾとタオルくるまってベッドから降りようとした時、腰から下にまるで力が入らない。その場にぺたりと座りこんでしまったエレン。

    リヴァイ「大丈夫か?」

    エレン「すみません(/´△`\)足がが言うこと利かなくて…」

    その姿を見たリヴァイは少し考えてから、軽々とエレンを抱き起こしベッドに座らせる。



  20. 20 : : 2014/06/17(火) 16:05:07
    リヴァイ「今日はエルヴインと兵団会議に行く。俺が帰って来るまでここで大人しく休め」

    エレン「えっ?でっでもそれじゃぁ…」

    リヴァイ「兵舎の方は心配いらん」

    エレン「?」

    リヴァイ「俺の言う事は良く聞く奴等だからな…躾は効いてる」

    エレン
    (そりゃぁ貴方の躾は完璧でしょうとも…)

    リヴァイ「あぁ…あとお前の友人にも伝えといてやる」

    エレン「アルミンです。きっと心配してるとおもいおもうんで…」

    リヴァイ「解った。少し落ち着いたらシャワーを浴びろ。」

    スッと腕を伸ばしてエレンの顎を捕まえると素早く口付けする。

    エレン「〃〃っ何するんですか!」

    リヴァイ「昨日の素直なお前も良いが、怒ったお前もワルくねぇ」




  21. 21 : : 2014/06/17(火) 19:04:50
    ニヤリと意地の悪い笑顔を見せエレンの反応を楽しんでいるようだ。

    エレン「おれで遊ばないでください!兵団会議に行くんでしょ?遅れますよ!」

    エレン
    (リヴァイ兵長ってあんな性格だっけ?!キャラが違うんですけど!Σ(×_×;)!)
  22. 22 : : 2014/06/17(火) 22:07:37
    兵団服に着替えるリヴァイの後ろ姿を見詰めながら、昨日の出来事を思い出していた。
    【心の闇】闇に押し潰されて自分の存在を消される不安定な感情…
    エレンが幼い頃から感じていた事をリヴァイも知っていた…そしていつかその闇に捕らわれて動けなくなる日が来る事を…。

    (コツ、コツ、コッ)

    リヴァイ「エレン」

    あれこれ思い返しているエレンの傍にリヴァイが来ていることも気付かないほど昨日の事が気になっていた。

    頭を撫でられて初めてリヴァイが傍まで来ていたことに気づく。

    エレン「リヴァイ兵長!」

    リヴァイ「…?大丈夫か?…熱は」

    おでこに手を当て、熱がないことを確認してから怪訝そうな顔でエレンを見詰める。

    エレン「大丈夫ですって。心配しないで行って下さい!遅れるとエルヴィン団長のお説教が待ってますよ?」

    リヴァイ「本当に大丈夫か?」

    エレン
    (こんなに心配するなんて…なんだかか悪いなぁ…)

    エレン「本当に大丈夫ですから行って下さい!他の団員にも示しが付きませんし!」

    リヴァイ「…分かった…終わり次第戻ってくる…大人しく寝てろ」

    エレンの髪に触れ軽く口づける。

    エレン「っ…」

    立ち上がりもう一度軽く口づけすると部屋を出ていく。

    エレン
    (ふぅ…)

    リヴァイの言葉に甘えベッドに潜り込み身体を休める。
    柔らかなシーツに昨日の事が嘘のような静けさだった。

    エレン
    (心の闇…)
    (帰って来たらまた聞いてみよう…)

    あれこれ考えている内に睡魔に襲われ眠りに落ちていく…





  23. 23 : : 2014/06/17(火) 23:15:41
    どの位眠っていたのか、甘い香りが鼻をくすぐる。

    「具合はどうだい?」

    エレン「え?」あ

    すぐ横でアルミンが笑っている。

    エレン「アルミン!いつの間に来たんだよ?」

    アルミン「リヴァイ兵長が知らせに来たんだよ?君が自分の部屋で休んでるからって」

    (カチャカチャ…コポコポコポッ…)

    アルミン「お腹すいたでしょ?もうお昼過ぎてるよ、はいっ先ずは温かい紅茶をどうぞ♪」

    差し出された紅茶を一口口に運ぶ。
    空っぽの身体に心地よい暖かさが充ちてくる。

    アルミン「美味しい紅茶でしよ?これリヴァイ兵長の差し入れだよ♪飲ませてやれって」

    エレン「…あのな、アルミン」

    エレンの言葉を遮りアルミンが話しかける。

    「エレン、ぼくは何も聞かないよ?僕も子供じゃ無いから何があったかのか位解るもの」

    アルミンの言葉を聞いてふと自分の身体を見る。
    朝リヴァイに渡されたタオルだけでベッドに潜りこんだのを思い出した。

    エレン「(//////)アルミン…」

    アルミン「クスッ…はい君のシャツ持ってきたから動けるようならシャワー借りて着替えなよ?あ、それからこれも」

    傷用テープにシャツ準備は完璧だった

    エレン
    (…さすがアルミン(/▽\)手際がいいわ!)

    エレン「アルミン、悪いが少し肩かしてくれないか?シャワー行きたいんだ」

    にっこりと柔らかな笑顔を見せながらエレンの肩を支える。

    アルミン「大丈夫かい?シャワー浴びたら傷用テープ貼ろうミカサが見たらきっとリヴァイ兵長とバトルしそうだからね!」

  24. 24 : : 2014/06/17(火) 23:59:30
    アルミンに手伝ってもらい何とかシャワーを浴びて傷用テープを貼る。

    アルミン「あれっ!こんな所にも」

    自分では貼れない場所をアルミンに貼ってもらう、きてくれたのがアルミンでよかった。

    アルミン「兵長は少し遅くなるそうだから兵舎に戻る?」

    そうすべきなのは分かってはいるが、まだ話しを聞いていない…

    エレン「まだ聞きたい話を聞いて無いから帰りを待つよ、ありがとなアルミン」

    アルミン「…わかった!じゃあまた後でね?食事持ってきたからちゃんと食べるんだよ」

    (ギィッ)(パタン…)

    アルミンが部屋を後にする。
    博識で頭の回転が早くて本当に頼りになる友人だ…




  25. 25 : : 2014/06/18(水) 03:32:24
    「ん」
    部屋の暗さに太陽がおちたことに気づく。

    エレン「兵長遅いな…」

    ベッドサイドの小さなランプに明かりを灯すとベッドの上にうずくまる。

    エレン「…リヴァイ…」

    (ギィッ)

    エレンが呟くのと同時に部屋の扉が開く。
    ベッドにうずくまるエレンに気づき歩み寄るとベッドに腰掛けてその名を呼ぶ。

    リヴァイ「まだ居たのか…」

    エレン「お帰りなさい兵長」

    リヴァイの声にベッドから起き上がるとリヴァイの隣に座り直すエレン

    リヴァイ「…アルミンには伝えといたが来なかったか?…」

    エレン「いいえ、来てくれましたよ兵長が遅くなることも聞きました。」

    エレン「おれ…どうしても昨日兵長の言われた言葉が気になって…待っていたんです」

    エレンは真っ直ぐにリヴァイを見詰め返答を待つ。
    リヴァイは少しだけ驚いたような表情を見せたが直ぐに何時もの表情に戻っていた。

    リヴァイ「…何を聞きてえ?」

    エレン「【闇】の事をいつから知っていたんですか?」

    エレン「おれは幼かったころから漠然と感じていた【闇】を巨人の力を発動した頃からはもっと強く感じるようになって…」

    ベッドサイドの小さな明かり越しに見えるエレン。拳を握りしめ微かに震えているエレンにリヴァイは

    リヴァイ「【闇】か…」

    ベッドから立ち上がりジャケットを脱ぐとソファーに腰掛け深い溜め息をつく。

    リヴァイ「俺が【闇】を感じ初めは15の時だった…」



  26. 26 : : 2014/06/18(水) 07:31:08
    リヴァイ「俺がまだ地下街にいる頃…生きる為には何でもやった…盗みに強盗…人を殺す事さえ何も考えず躊躇いさえ感じなかった…」

    エレン「!」

    驚きと共にリヴァイの過去が告げられる。息を殺してリヴァイの話を聞くエレン

    リヴァイ「だが…ある時期自分の中の闇に飲まれるような不快な感覚に捕まるようになってな…」

    リヴァイ「どんな酷い扱いを受けても、人を殺しても何をしても何も感じなかったのに…だんだんとその闇が俺を浸食し始めた…」

    リヴァイ「それからはずっと…暗く深い底無し沼にでもいるように気持ち悪ぃ感じがして…俺の存在は必要無いと…全てを否定されているみてぇで…」
  27. 27 : : 2014/06/18(水) 15:00:52
    苦しげに言葉を紡ぐリヴァイ
    その姿をただ息をころして聞き入るエレン。
    自分の身体が小刻みに震え出すのを抑える事が出来ず自分の身体を抱きしめる。
    余りにも衝撃的なリヴァイの過去…
    そしてエレン自身の感じてきた不安定な感情がリヴァイの話でより色濃く現実味を帯びてくる。

    エレン
    (息が…出来ない…クルシ…イ…へい…ちょ…う…)

    呼吸が荒くなり肩が大きく揺れている。
    エレンの様子がおかしいことに

    リヴァイ「!…エレンっ」
  28. 28 : : 2014/06/18(水) 19:12:04
    急いでエレンの肩を掴み激しく揺さぶる。
    エレンの酷く浅い呼吸に、リヴァイの血の気が失われる

    リヴァイ「おいっ!エレン!!しっかりしろっ!」

    エレン「っ……へいち…ょ…」

    リヴァイ「落ち着け!【闇】に引きずられんじゃねぇ!」

    リヴァイ「落ち着いて呼吸を調えろっ」

    リヴァイの声にかろうじて応えるエレン


  29. 29 : : 2014/06/18(水) 22:47:46
    エレン「ふ…う…っ…」

    少しずつ呼吸を取り戻すエレン。
    目を閉じ、自分を取り戻す


    リヴァイ「そうだ…ゆっくりでいい」

    リヴァイの声だけを頼りに、自分を取り巻く闇の中を歩く
    真っ暗な闇の中小さな光を頼りに…

    エレン「っ…」

    光を追いかけてゆっくり目を開く。

    リヴァイ「エレン」

    目の前にリヴァイの姿が映る

    エレン「兵長…」

    呼吸が落ち着いてきた事を確認してほっと胸を撫で下ろすリヴァイ。
    エレンの顔色を再確認するとエレンの身体から離れ、手近にあった椅子に腰掛ける。

    リヴァイ「俺の【闇】に引きずられやがって…」

    エレン「…」

    何も言えないでいるエレンにリヴァイは話し掛ける

    リヴァイ「なぁエレン。俺の【闇】に引き込まれた時…何を見た?」

    エレン「…漆黒の闇でした…上も下も全く解らない底無し沼のような…」

    闇がベットリと身体にまとわりつくゾッとする感覚に身体がが震える…足元から闇に飲み込まれもがけばもがくほど闇の深い所へと堕ちていく…そんな不快な感覚だった。

    リヴァイ「お前が感じて来た【闇】と違ったか?」

    エレン「…違いません…同じです…おれが感じてきたもの…そのものです。」

    思い出すだけで身体が凍りつき震えが止まらなくなる。

    (カタン…)

    椅子から立ち上がりエレンの前に立つリヴァイ

    リヴァイ「チッ…」

    ガタガタと震えるエレンを有無を言わせず抱き止めてそのまま言葉を続ける。

    リヴァイ「恐がんじゃねぇ」

    リヴァイ「同じ【闇】を持ってんなら好都合だろうが…」

    震えが止まらずにいるエレンに視線を落とす。




  30. 30 : : 2014/06/19(木) 10:12:03
    リヴァイ「お前の【闇】は…お前自身を呑み込むのは想像以上に早ぇみてえだ…」

    リヴァイは溜め息をつく
    リヴァイの中の【闇】がエレンの【闇】にこれほどの影響があるとは想定外の事だった…


  31. 31 : : 2014/06/20(金) 03:14:35
    エレン「兵長…兵長は…なぜ知っているんですか?この【闇】事を」

    エレン「一体…これは何なんです?…」

    聞かなければいけないと感じた。
    知らなければいけないことなのだと思つた。


    エレン「知っていることを教えて下さい…」

    リヴァイ「…人はそれぞれ皆心に【闇】をもっている」
  32. 32 : : 2014/06/20(金) 08:51:49
    リヴァイ「まぁ、大概の奴らはそれ【闇】に気付かず過ごしてるがな…」

    抱き止められたままリヴァイの言葉を聞いているエレン

    リヴァイ「俺たちの様に良かれ悪かれ血生臭せぇ場所で生きてると否応なく【闇】は色濃く育ってくるらしい」

    エレン「…それは…」

    リヴァイの話を聞いてエレンが答えを捜すように呟く。
    これからも戦い続け、多くの仲間や罪の無い人々の死を見続ける限り続いていく事を意味していた。

    リヴァイ「理解できたようだな、エレンよ」

    エレン「っ…」

    次の言葉が見つからないエレン…

    リヴァイ「調査兵団に席を置いからは物凄い勢いで俺の中の【闇】はでかくなりやがって…まぁ、それだけ多くの命の最期に立ち会ったって事なんだが…」

    エレンの震えが収まったことに安堵してエレンを解放する。
    そしてゆっくり立ち上がるとベッドの側の棚から酒瓶を取り出しグラスに注ぐ。
    一口呑んでからエレンに視線を移した。

    リヴァイ「さっきお前が俺の【闇】に過剰に反応したのはお前の中の【闇】が俺と同じ質のものだったからだろう。」

    リヴァイ「お前の【闇】は周りの闇に同化してお前自信を捕り来んじまうって事だ…まったく質が悪ィ」

    静かにリヴァイを見つめるエレン。

    エレン
    (リヴァイ兵長の【闇】と俺の【闇】…)

    リヴァイ「これは俺の推測の域だが…心に傷のある奴の【闇】は同じ質の闇に反応して本人にダメージを与える…体も心も食い潰しちまうんだろう。」

    エレン「…兵長…おれ…」

    リヴァイ「不安になったか?」

    エレン「…」

    そんなエレンの不安を察してなにも言わずグラスを渡す。

    リヴァイ「呑め」

    リヴァイ「お前の好きな葡萄酒は生憎切れちまってこれしかねぇが」

    自分のグラスをエレンに渡し酒を注ぐ
    琥珀色の酒を受け取ったエレンに呑むように促すリヴァイ。

    リヴァイ「俺の酒は呑めねぇか?」

    エレン「いいえっ…頂きます」

    意を決して一気に流し込む。


  33. 33 : : 2014/06/20(金) 14:09:47
    エレンは受け取って飲み干すとリヴァイにグラスを返した。

    喉の焼けつく様な熱さが一気に身体中にまで広がっていく。
    その熱は不安定な気持ちさえ溶かしてくれる、そんな気がした。

    リヴァイ「まだまだこれから奴等と殺り遭わなきゃなんねぇ…だとしたら、俺達はしばらくこの【闇】とうまく向き合わなけりゃ自身の心の【闇】に喰われちまうって訳だ。巨人に喰われる前にな」

    エレン「しかも…貴方の心の【闇】とおれの【闇】はお互いを引き寄せる…ですね?」

    リヴァイ「そう言う事だ」

    ついさっきリヴァイの闇にのまれた時を思い返すエレン。

    エレン
    (あの時まとわりついた闇の中でリヴァイ兵長の声が聞こえて…それから小さな光がおれを現実に引き戻してくれた…リヴァイ兵長の【闇】は確かにおれの闇に影響したのかもしれないけど…)

    色々と考えているエレン。

    エレン「さっきの事思い出したんですが…」

    リヴァイ「?なんだ」

    エレン「あの底無しの闇の中でも兵長の声は聞こえてたんです。その声と同時に小さな光がおれを現実に引き戻してくれました。」

    リヴァイ「で?」

    エレンは大きな瞳でリヴァイを見据えてわずかな可能性を伝える。

    エレン「確かに貴方の闇に感化されておれ自身の闇に飲まれてしまうでしょう。でも、そのおれを救ってくれるのもリヴァイ兵長なんですよ」

    リヴァイ「…つまり…お前を殺すのも生かすのも俺だって言いてぇのか?」

    エレン「はいそうです」



  34. 34 : : 2014/06/20(金) 14:34:42
    エレン「そう考えたら貴方に惹かれるかっこも説明が付くんです」

    エレンの大きな瞳は照れる事無くリヴァイを見据えている。

    リヴァイ
    (…確かにそう考えりゃ俺がこいつをかた離したくねぇって理由もハッキリするが…)

    リヴァイ「で?お前はどうしたいんだ?」

    リヴァイが訊ねる

    エレン「おれは貴方の傍に居れたらそれでいいんです。

    リヴァイ「あれだけ【闇】に振り回されたのにまだ俺の傍に居たいってお前…バカだろ」

    エレン「あはっ!確かにそうですねでもおれ思ったんです。あの時リヴァイ兵長がおれの光になったみたいに貴方が闇に捕まったらおれがあなたの光になるって」
  35. 35 : : 2014/06/20(金) 23:58:09
    エレン「…確かにおれはバカなんですよきっと。昨日から今までおれなりにいろんな事考えて見たんですけど」

    至って真面目に答えるエレン。
    そんなエレンを諦め気味の表情でエレンを見るリヴァイ。

    エレン「おれ…何か変なこと言いましたか?兵長?」

    リヴァイ「……懲りねぇヤツだ…」

    リヴァイ「確かにお前をどうのこうの出来るのは俺以外適任は居ねぇな」

    苦笑するリヴァイ兵長
    ついさっきまで子供のように【闇】に怯え震えていたのに…

    リヴァイ「分かりやすいバカで助かる」

    エレン「!兵長それって…おれをけなしてますか?」

    リヴァイ「いや褒めているんだが」

  36. 36 : : 2014/06/21(土) 07:53:02
    リヴァイの言葉に笑顔をみせる 
    親に褒められて喜ぶ子供のような純粋な笑顔。
    巨人の力を駆使して戦うようになってからは笑顔を見せることも無く苦悩の表情しか見たことが無かった。

    リヴァイ「…久しぶりに笑ったな」

    エレン「兵長おれそんなに笑って無かったですか?」

    エレンの言葉にリヴァイは声を押しコロし苦笑する。

    リヴァイ「フッ…」

    エレン「兵長も久々に笑いましたね」

    (コツコツコツッ…)窓辺に歩み寄り外を眺めるリヴァイ

    窓辺に目をやるリヴァイ
    月の高さから新兵兵舎の就寝時間が近いことを知る。

    リヴァイ「もうすぐ就寝の鐘が鳴る…兵舎まで送ってやろう」

    窓辺から離れエレンの隣に腰掛けて優しく声をかけた。

    エレン「あ、そうですよねっ兵長今日は貴方と話せて良かったです!ベッド貸して下さって有り難うございました!」

    リヴァイに礼を伝え、ブーツを履こうとしたその時、リヴァイがエレンの前に膝をつく。
    とても自然な仕草に一瞬エレンは見惚れてしまった。

    エレン「!へっ兵長っ何してるんですかっ」

    我に帰ってリヴァイの行動を止める。

    エレン「ブーツ位自分で履けますからっ!?」

    リヴァイ「…うるせぇ…少し黙ってろ」

    レエンの片足を自分の膝にのせブーツを履かせるリヴァイ
    自然にさも当たり前のように…

    エレン「っ…」

    リヴァイに言われて黙るしかないエレン。
    それでも人類最強と言われるリヴァイ兵長が自分にこんな事してるのはやはり落ち着け無い。
  37. 37 : : 2014/06/21(土) 08:33:53
    エレン「つ…へいちょぉ↓(×_×;)」

    顔から火が出るほどくすぐったくて恥ずかしいやらでいたまれずに声を上げる。

    エレン「もうっ本とに自分でやりますっ」

    リヴァイ「チッ…まじで黙れ…黙らねぇとまた躾るぞ?」

    もう片方をまた膝に乗せながらエレンを一睨みする。
    リヴァイの鋭い眼差し『蛇に睨まれた蛙』状態に陥るエレン。

    エレン
    (黙っていよう…)

    大人しくなったエレンにリヴァイが一言。

    リヴァイ「良い子だ…」

    言い終わるとエレンの手を取り付ける。

    エレン「へっへいちょうっ!!」

    リヴァイ「もう終わる」

    ブーツを履かせ終わると立ち上がりエレンに自分の手を差し出す。

    リヴァイ「…さぁ行くぞ?」
  38. 38 : : 2014/06/21(土) 20:26:10
    差し出されたリヴァイの手を取りベッドから立ち上がる。
    ひんやりとした冷たい手をそっと握る
    先ほど感じた【闇】を感じながらもリヴァイの手の冷たさがエレンを現実に引き留める。

    リヴァイ「?どうした」

    エレン「いいえ!何でも無いです。丸一日兵舎空けてしまったから気になって」

    リヴァイにこれ以上心配させたくなくて笑顔を返すエレン

    エレン「就寝の鐘の前に帰らなきゃ」

    リヴァイ「…そうだな」

    エレンの手を繋いだままドアに歩き出す。

    ドアの側まで来てからリヴァイの手を離そうとする。

    エレン「兵長、もう手を離して下さい…誰かに見られたら…」

    頬を赤らめて手をほどこうとするエレン
    顔色1つ変えずにリヴァイはいい放つ

    リヴァイ「気にするな、言いたい奴には言わせておけばいい」

    繋ぐ手に力を込めて部屋のドアを開きツカツカと歩き出す。
    リヴァイの自信に満ち溢れた強引さに
    軽い目眩を感じながらもそれにしたがい部屋を後にする。 
  39. 39 : : 2014/06/21(土) 22:34:57
    リヴァイに手を引かれながら兵舎に向かう。
    月明かりの中二人の影だけが浮かぶ
    静かな夜。
    こんな静かな夜は本当に久しぶりだとエレンは思う。

    エレン
    (ずっとこんな穏やかな日がつづけばいい…)

    こんな事を思うのは不謹慎だと解っていても願わずにはいられなかった。

    リヴァイ「もうすぐ着くな…」

    エレン「はいっ」

    兵舎が近くなった頃リヴァイが不意に建物の影にエレンを引き込む。
    行きなりの出来事で反応できないエレン。

    エレン「なっ?!」

    エレンが驚いて固まっているのを知りながら壁に両腕をついて逃道を塞ぐ

    リヴァイ「もうすぐ兵舎に着くが…」

    エレン「はい…着きますね」

    エレンの首に貼られたテープを一枚剥がすと痕の残るその場所にもう一度強く跡を付ける。唇を押し当ててきつく強く、激しく…
    ジリジリとした痛みは一瞬で昨日の
    出来事を思い出させた。

    エレン「ヒッ…い…やだっ!…」

    リヴァイ「嫌じゃねぇだろう?これはお前が俺を忘れねぇための印だ」

    エレン「っ…う…」

    ジリジリ焼けるような痛みはだんだん甘い感覚へと変わっていく。
    その場に座り込んでしまいそうになるのをこらえて荒く息をするエレン

    リヴァイ「どんな時も俺を忘れんな…必ず傍に居てやるから…」

    首筋から唇を離すとくっきりと残る痕に舌を這わす。

    エレン「ァ!っ…く…うっ…」

    思わず声が漏れる。
    必死に口元を押さえ声を殺そうとするエレンの首筋を掴んで乱暴に口付ける
    優しく、深く繰り返す。

    エレン「ん…っ」


    長い口付けからようやく解放されその場に座り込んでしまった。   

    リヴァイ「エレン覚えておけ…俺の翼はいつでもお前の傍にある…これから先どんな奴等と殺りあったとしても…お前を殺すのも生かすのも俺しか居ねぇって…」


  40. 40 : : 2014/06/22(日) 16:31:27
    エレン「…解ってます」

    短いが確りとしたエレンの応えに微かに頷きエレンを立たせる。

    リヴァイ「忘れなきゃ良いがな?…お前は無茶をしやがるから…目が離せねぇ…」

     
  41. 41 : : 2014/06/23(月) 01:30:34
    エレン「…」

    壁にもたれ掛かりながら何も言わずに真っ直ぐリヴァイを見つめるエレン。
    リヴァイはそんなエレンの腕を引き寄せ抱き締めながらクシャっと頭を撫でた。

    リヴァイ「…何なんだろうな?…この気持ちは…」

    エレン「兵長?…」

    リヴァイ「…何でもない…こっからは一人で戻れるな?鐘が鳴る前に部屋に戻れ」

    それだけ言うとエレンに背を向けて自室に向かって歩き始めた。
    リヴァイの後ろ姿を見送りながら、早鐘のような心臓を抑える事が出来ず大きく息を吸い込む。

    エレン「兵長…おれは…」

    月明かりに遠ざかるリヴァイの姿をただ切なげに見送るエレン
    エレンもまだ自分の気持ちに気づかずにいた…

  42. 42 : : 2014/06/23(月) 02:06:44
    モヤモヤとした気持ちを抱えたまま部屋に向かう。

    (ギイっ…) 扉の開く音

    ドアの開く音にアルミンが駆け寄る。

    アルミン「お帰りエレン」

    にっこりと優しげな笑みを浮かべエレンを迎え入れた。
    その笑顔に安堵してエレンも笑顔で応える。

    エレン「あぁ、遅くなって悪かったよゴメン」

    アルミン「大丈夫謝ること無いよ!リヴァイ兵長と一緒なの知ってたからね。」

    軽くウインクしながらイタズラっぽく笑う。
    エレンは思う、『こいつが親友で本とに良かった』と。

    アルミン「兵長とは話し出来たの?」

    エレン「あぁちゃんと話せたよ」


    リヴァイの過去には触れずに色々な話をし終わるとアルミンに尋ねる。

    エレン「あの…」
  43. 43 : : 2014/06/25(水) 01:27:48
    エレン「なぁアルミン」

    エレンのといかけに振り向くアルミン

    アルミン「どうしたの?」

    エレンの隣に腰掛けてゆっくりエレンに話しかける。

    アルミン「話しならなら幾らでも聞くよ?」

    柔かな笑顔のアルミンにエレンは戸惑いながら話し出す。

    エレン「おれ…な…リヴァイ兵長を見てるとなんて言うか…胸の奥が締め付けられるっうのか、…苦しくてなんか…う~…うまく言えないんだけど…その…これって何だろうな?」

    自分の感じる気持ちがなんなのか分からなくてアルミンに答を求めるエレン
    その問い掛けに驚いた顔をするアルミン。

    アルミン
    (エレンΣ(゜Д゜)君っ自分の気持ちに気付いて無かったの?いやっ…エレンの事だからそう言う感情を感じた事さえ無いんだっ…だからミカサのアタックにもスルーしちゃうんだっ!…にぶいっ鈍すぎるよエレン…Σ(×_×;)!)

    エレン「?アルミン?どうした?」

    眼をまん丸に見開いてぽかーんと口を開けたままのアルミンを訝しげに見つめるエレン。
    エレンの視線にハッと我に帰りぶるぶると頭を降るアルミン

    アルミン「あぁっごめんごめん!」

    あわててエレンに答える。

    アルミン「あのねエレン?君、本とにその気持ちが何なのか分からないの?冗談じゃ無くてホントに?」

    エレン「?…本当にってなんだよ?分からないからお前に聞いてるんだろ?」

    少し不機嫌な声色になるエレンに苦笑しながらアルミンは話し始める。

    アルミン「あのね?その気持ちの正体は『愛』だと思うよ。君は兵長に恋してるって事だよ」

    エレン「!」

    思い付きもしなかった答を聞いて驚いた表情で口をパクパクさせているエレン
    そんなエレンを横目に見ながら続けるアルミン。

    アルミン「『恋』って相手の事を考えルだけで胸が苦しくなって切なくて、その人をいつもどんな時も考えてしまうんだよ。」

    アルミン「…多分だけど、リヴァイ兵長も君と同じ気持ちだと思うけど」


      
  44. 44 : : 2014/06/25(水) 01:37:07
    エレン「でっでもっ!リヴァイ兵長は男だしっおれも男だぞ?…」

  45. 45 : : 2014/06/25(水) 07:51:36
    エレンの予想以上の反応にアルミン自身も驚く。
    『恋愛』などと無縁だとは思っていたがこれほど鈍いとは…とは、言うもののエレンが自分の気持ちを理解しないことにはエレンが可愛そうだし、リヴァイ兵長も毒な気がしてきたアルミン

    アルミン「ねぇ、エレンは僕の事好きだよね?」

    エレン「あ?そりゃ好きだよ?昔からの親友だしな!」

    アルミン「ありがとう♪僕もエレンが好きだよ。」 
  46. 46 : : 2014/06/26(木) 05:04:04
    そう応えるとにっこり微笑む。 

    アルミン「僕のこと好きって行ってるくれたけど、僕を見ても胸が痛んだり、切なくなったりはしないしょ?」
  47. 47 : : 2014/06/26(木) 08:05:37
    エレン「確かに…だから余計に分からないんだよ…」

    複雑に絡まった思考回路が余計にエレン自身の気持ちを分からなくしている事に気づいたアルミンは諭すように優しく語りかける。

    アルミン「エレン複雑に考えずにシンプルに考えてみてよ」

  48. 48 : : 2014/06/26(木) 10:54:58
    アルミン「僕にに対する『好き』と兵長に対する『好き』は違う。」

    訝しげに首をかしげてアルミンを見るエレン。

    エレン「どう違う?」

    アルミン「つまり、君はリヴァイ兵長に『恋』しているから切なくて、『愛』があるから胸が苦しくなる。」

    エレン「だからぁ!何でそうなるんだよ?」


     

  49. 49 : : 2014/06/27(金) 15:51:26
    エレン「『恋』とか『愛』とかそういうのってふつう女にたいして感じるものダロ?…良くわかんねえけど…」

    今にも考える事を放棄しそうなほど真剣に悩むエレン

    (ポン、ポンッ) 

    エレンの肩を軽く叩きながら話し出すアルミン

    アルミン「僕ね思うんだけど、人を好きになるのに男も女も関係無いんじゃ無いかな?」

    アルミン「惹かれるのは一瞬だよ…強く自分の総てがその人に釘付けになって、一瞬でも目を放せない。その人を想うだけで苦しくて切なくて…その人に触れたくて…無意識にその人を探してしまってる…それが『愛』だよそれにね?」

    そう話した後そっとエレンの首筋に触れながら言葉を続けるアルミン

    アルミン「…この痕もそうだよ。この痕は自分だけのものだって印だよね?普通そういう行為をしたとしても『愛』してなきゃ着けたりしないもの」

    エレン「っ…」

    アルミンの触れた痕が微かに疼く。
    のこ
  50. 50 : : 2014/06/27(金) 22:23:03
    エレン「…」

    アルミン「リヴァイ兵長を受け入れたって事が何よりもはっきりした答でしょ?」

    ぱちっとウィンクをするとエレンのベッドから立ち上がるアルミン

    エレン「アルミン…お前は…その…経験から喋ってるのか?」

    エレンの問いにはぐらかす様に悪戯な笑顔を魅せるアルミン

    アルミン「…さぁ♪…どうだろうね?」

    クスクスと意味ありげに笑いながら答えると丁度就寝の鐘が鳴り出した。

    アルミン「さぁ、今日のところはここまでにして寝よう?」  

  51. 51 : : 2014/06/27(金) 22:56:16
    アルミンの言葉に促されるようにベッドに横になるエレン。
    その姿を確かめて薄い毛布を掛けてアルミンも自分のベッドに潜り込む。

    アルミン「お休み、エレンとりあえずゆっくり体を休めてね?」

    エレン「…お休み…」

    返事をして目を閉じると強い睡魔に襲われ深い眠りに落ちていく。

    エレン
    (おれはリヴァイ兵長が好きだけど…それは…『恋』『愛』なのか?…わかんない…兵長…)



    静かに夜は更けていく。
    エレンの想い、リヴァイの想いすべての想いを包み込む静かな夜だった。
  52. 52 : : 2014/06/28(土) 09:09:34
    起床の鐘の音を聞く前にベッドから飛び起きると、大きく伸びをして窓の外を見るエレン。

    エレン「今日も晴天だな」

    (コン、コン…)

    部屋のドアをノックする音が響く。

    エレン「誰だ?ミカサか?はどうぞあいてるよ」

    エレンの返事を待たずズカズカと部屋に入ってきた人物はエレンを捕まえると全身をくまなく確かめてから話し始める。
    その姿に困惑するエレン

    エレン「ちょっ!いきなり何なんだよっ!ミカサっ」

    ミカサ「…具合悪いのでしょう?体は大丈夫?」

    (ガバッっ!)
     
    あわててミカサから離れると少しだけ怒って見せる。

    「朝っぱらから何なんだよ!いきなりっ!!」

    ミカサ「…2日もエレンを見なかったから心配だったの」

    エレン「あ…悪い体調悪くて寝てたんだアルミンがずっと居てくれたからもう平気だ!」

    二人のやり取りで目を覚ましたアルミンが声をかける。

    アルミン「お早うミカサ、エレン」

    エレン「お早う!アルミン」

    ミカサ「…お早う」

    あいさつの後が続かずしばし沈黙が3人を包む。

    (カラン,カラン,カラン…)

    起床の合図の鐘がなると同時に自分のベッドのシーツを直し始めるエレン
    それにつられるようにアルミンも身支度を進める。

    エレン「ミカサっおれはもう大丈夫だから自分の部屋に戻れよ?もうすぐ朝食だしおれ達も直ぐ行くからさ!


    エレンの言葉に合わせてアルミンも話しかける。

    アルミン「エレンの言う通りだよ?もう元気になったから安心してミカサ食堂にすぐ連れて行くからね♪」
  53. 53 : : 2014/06/28(土) 10:21:30
    ミカサ「…分かった…アルミン…エレンをお願い…エレン…あまり無理しないで」

    まるで保護者『母親』のようにエレンを心配するミカサ。
    全てにおいてエレンが優先されるミカサにとって当たり前の言葉だが、エレンはその言葉の思いを知らない。

    エレン「もうっ分かったって!また後でな!ほれっ着替えるから出てけよ!」

    半ば強引にミカサをドアの前まで押し出すと勢い良くドアを閉める。

    ミカサ「…また後で…」

    (コツコツコツ…)

    ミカサの靴音が遠ざかるのを確認してドアの前にへたりこむエレン。

    エレン「うぉぉ~アブねえ!体の痕気づいてないよな?なぁ、アルミン?」

    エレンの問いかけに頷きながら応えるアルミン

    アルミン「多分大丈夫だと思うけど、肝が冷えるってこんな感じなんだ…しばらくその痕が消える間で出来るだけ僕のそばにいてね?ミカサから隠さなきゃ…バレたら血の雨が降るよぉ!」

    アルミンの言葉にゾッとする。
    確かにリヴァイ兵長との情事が発覚すれば誰も止められない惨事が起こる…

    人類最強兵士と10年に一人の逸材
    血を見るのは明らかだ。

    エレン「だよな…アルミン迷惑掛けるけどしばらく頼むよ」

    アルミン「勿論そのつもりだよ?乗り掛かった船だもの」

    ぱちっとウィンクを返しながら支度を急ぐ

    アルミン「急いで準備して食堂行かなきゃミカサが迎えに来ちゃうよ!」

    エレン「!だったっ急いで行こうっ」



    バタバタと慌ただしく支度を整えて部屋を後にする二人。
  54. 54 : : 2014/06/28(土) 11:44:07

    食堂にて


    兵士「おぉ!エレンもう大丈夫か?」

    誰ともなく声をかけられるエレン

    エレン「おぅ!もう大丈夫!悪いな心配かけて」

    仲間達と雑談しながら食事をしているといきなりシンッと食堂が静まり返える食堂の入り口に目を向けるとそこにはリヴァイ兵長が入ってきた所だった。

    エレン「あ」

    思わず小さく声をあげたエレンにリヴァイの視線が向けられる。

    (ツカツカツカッ!)

    エレン「ひゃっ!」

    アルミン「うわ…」

    エレンとアルミンの後ろに立つと二人の肩に手を置く。
    有無を言わせない威圧感に固まる二人

    周りはその行動に凍りつく中で一人だけがそんな沈黙を破った。

    ミカサ「…リヴァイ兵長…二人に何のご用でしょうか?…」

    恐ろしく冷ややかな声でリヴァイに問いかけるミカサ。

    リヴァイ「…用があるから来てんだが?」

    無表情で答えるリヴァイ
    その視線はミカサを見据える。

    ミカサ「二人はまだ食事中…あとにしてください…」

    リヴァイ「あぁ…分かってる」

    リヴァイ「二人とも後で俺の部屋にこい。」

    エレン、アルミン「はっ!了解しましたっ!」

    軽く頷くときびつを返して食堂を後にするリヴァイ
    後ろ姿を見送るエレンとアルミン、食堂に集まっていた兵士達…


    エレン「メチャクチャ怖いぞ…」

    アルミン「僕だって同じだよ…(汗)」





  55. 55 : : 2014/06/28(土) 16:59:05
    朝食後びくびくしながらリヴァイ兵長の自室へと向かうアルミンとエレン。
    突然リヴァイに喚ばれた理由を懸命に考えてみるが思い付かない二人は…

    エレン「なんだろう?…おれたち何かしたか?」

    アルミン「してないと思うけど…」

    お互い顔を見合わせて身震いする。
    何も無くてもリヴァイ兵長に呼ばれるのは未だに緊張する
    あれこれ考えている内にリヴァイの自室前まで来てしまった。
    覚悟を決めてドアをノックする二人

    (コンコン)

    エレン,アルミン「失礼しますっ!エレン、アルミン只今参りました!」 

  56. 56 : : 2014/06/29(日) 07:43:01
    ノック音に答えるようにリヴァイの声が響く。

    リヴァイ「…入れ」

    (カチャッ…)

    アルミン「失礼します!」

  57. 57 : : 2014/06/30(月) 04:18:25

    (キィ…パタン)

    アルミン「失礼します」

    エレン「…失礼します…」

    アルミンの後に続いてエレンも入室する。
    緊張の色が隠せずにいる二人にリヴァイが声をかける。

    リヴァイ「…別に獲って喰おうってんじゃねぇ安心しろ」

    その言葉に少しだけ落ち着いたような気がする二人。

    アルミン「リヴァイ兵長、御用とは何でしょうか?」

    アルミンが口火を切って話し掛ける。
    リヴァイは中央に置かれたテーブルの紅茶のポットを手にしてティーカップに注ぐ。手際よく三人分注ぎながら応えた。

    リヴァイ「大した事じゃないが…取り合えず座れ。突っ立てちゃ話しも出来ねぇだろうが?」

    ソファーに腰掛けながらエレンとアルミンに座るように目で合図する
    特別何かがあった訳では無さそうな様子のリヴァイに素直に従い向かい合わせのソファーに腰をおろす二人。

    リヴァイ「冷めねぇうちに飲めよ」

    勧められた紅茶のカップを手にして一口、口にして落ち着きを取り戻した二人は改めてリヴァイに話し掛ける。

    エレン「兵長?何かありましたか?」

    アルミン「急な呼び出しで少々驚いてしまいましたよ?」

    二人の話しを聞きながら紅茶をすするリヴァイが不意に訪ねる。

    リヴァイ「アルミン、悪いがしばらくエレンを預かりたいんだが?」

    エレン「えっ?!」

    アルミン「…僕に聞かれ無くても構わないと思いますよ?」

    リヴアイの言葉の意味を察知して答える





    リヴァイ「…悪かったな…」 
  58. 58 : : 2014/06/30(月) 07:17:39
    アルミンの応えにリヴァイが呟く。

    アルミン「何の事です?」

    その呟きが誰に対しての言葉なのかアルミンはすでに理解していてにっこりと笑顔を見せながらリヴァイに問い掛ける。
    エレンは黙ったまま二人のやり取りを聞いていた。

    アルミン「…人の想いは誰であっても止められはしないんです…僕の考えが正しければですけど?…」

    そう言うとリヴァイを真っ直ぐ見つめるアルミン。
    正直な考えをリヴァイに話しその答を待つ
    全て理解しているアルミンの言葉にリヴァイも正直に応える。

    リヴァイ「頭の回転が早いお前に誤魔化しは効かねぇな…まぁ…お前の考えは外れてねぇ…」

    その応えにアルミンが続く。

    アルミン「つまり、エレンに対して感じている気持ちを確かめる為エレンを傍に置くと…」

    リヴァイ「…そう言う事になるな…」

    ばつが悪いのか照れているのか…首元のスカーフを緩ませながながらエレンに視線を向けるリヴァイ。

    エレン「っ…」

    リヴァイの視線に思わずうつ向いてしまうエレン
    そんなエレンとリヴァイの二人を交互に見つめ小さくため息を付きエレンに話しかけるアルミン。

    アルミン「ねぇ?エレン昨日僕君に言ったよね覚えてる?君の気持ちを確認するチャンスだと思うんだ…リヴァイ兵長の提案にのるよね?」

    エレン「!あ…あっあれはきっと気の迷いでっ…そんなことあるはず無いっ」

    まだ迷いのあるエレンは素直には受け入れられずにいる。

    リヴァイ「これは頼みじゃねぇ…命令だ…お前のすべてはい俺の指揮下にあるって事忘れたか?」

    エレン「うっ…」

    リヴァイの視線がエレンを刺す
    何も言えなくなるエレンに助け船を出すようにアルミンが話し始める。

    アルミン「リヴァイ兵長 エレンも貴方と同じで今は自分の気持ちに困惑しているんです…貴方の気持ちをはっきりさせたいのならもう少し穏やかに接する方が良いのでは?」

  59. 59 : : 2014/06/30(月) 07:44:31
    穏やかながらも強くハッキリした口調でリヴァイを制止するアルミン
    その姿に片手で顔を覆うリヴァイ。
    リヴァイを見てハッとするアルミン

    アルミン「!すみません!生意気な事言って…でもエレンは僕にとってかけがえの無い大切な親友なので…少しでも早く貴方とエレンが自分の気持ちに気づいて欲しくて…」


  60. 60 : : 2014/06/30(月) 08:37:59
    リヴァイ「…お前の言う通りだ…」

    それだけ言うと溜め息をつき顔を上げエレンを見つめ声を掛ける。

    リヴァイ「…エレン…こればかりは俺の一存じゃ決められんお前はどうしたい?…」

    穏やかな声でエレンに問う。 
    先ほどまでの貫くような視線はもう無く、静かにエレンの答を待っている。
  61. 61 : : 2014/06/30(月) 09:31:45
    しばし流れる沈黙。
    薄いカーテンを風が揺らす…
    アルミンは静かかことの成り行きを見守る。

    エレン「おれ…は…」

    アルミン「君の答は?」

    アルミンの問い掛けにカップの紅茶を一気に飲み干し意を決して答えるエレン

    エレン「分かりました…兵長の考えに従います」

    はっきりと応えたエレンに頷くリヴァイ
    そんなエレンに安堵の表情を浮かべるアルミン

    アルミン「きっと君の選択は間違ってない…リヴァイ兵長にとっても…」

    ふと我に返りアルミンに話し掛けるエレン。

    エレン「でも、おれがここに居るとミカサが黙って無いだろっ?」

    アルミン「確かにね…さて」
  62. 62 : : 2014/06/30(月) 09:50:09
    アルミン「どう説明しようか…」

    悩み始めた二人に事も無げにリヴァイがいい放つ。

    リヴァイ「あいつなら俺が黙らせる」

    エレン.アルミン「えっ?!」

    リヴァイの一言に二人は固まってしまう。
    そんな二人を後目にしながら言葉を続けるリヴァイ

    リヴァイ「…何固まってやがる?ハンジの実験に付き合わすとでも言えば納得するだろうよ」

    力任せに説得するのかと考えていた二人は拍子抜けしている。

    リヴァイ「今日から俺の部屋に来い…
    話は以上だ」

    アルミン「分かりました,では支度出来次第エレンを越させますね?」

    リヴァイ「あぁ…」
  63. 63 : : 2014/06/30(月) 17:23:22
    リヴァイの部屋を後にして兵舎へ向かう二人。
    良く晴れた空を見上げてアルミンが話し掛ける

    アルミン「エレン…しばらく兵長の側で自分を確かめると良いよ、僕から見て兵長は君の良い理解者なんだと思うから…ね?」

    エレン「ん…そうだな…良く考えてみる…」

    アルミンの問い掛けにそう答えて空を見上げ塀の外に向かい飛んでいく鳥を羨ましげに見つめる。エレン

    アルミン「どうしたの?エレン」

    エレンの見つめる先に二羽の鳥が付かず離れず飛んでいる。

    アルミン「…きっといつか自由に飛んでいけるよ…」
  64. 64 : : 2014/06/30(月) 20:37:59
    エレンに聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟くアルミンの声は風に欠き消されていった…。


    部屋の前に付くと見馴れた姿が目に映るそれはミカサだった
    心配そうに二人に話しかける。

    ミカサ「二人とも何も無かった?…エレンは?…」

    アルミン「大丈夫だよ!何も無かったよ♪」

    努めて明るく振る舞うアルミン

    エレン「アルミンの言う通り何も無いかったし、されてないから心配するなって!」            

    ミカサ「…本当に?…何かあったらすぐに知らせて…」

    心配されるのは分かるが何故か素直になれずついつかかってしまうエレンにアルミンが間に割って入る。

    アルミン「エレン駄目だよ!そんな言い方しちゃ?ミカサもエレンを心配する気持ちは分かるけど、もう子供じゃ無いんだからそろそろエレン離れしないと…ね?」

    諭すように優しく話すアルミン

    ミカサ「ごめんなさい…エレン…私どうしても心配で…」

    エレン「あ…いや…おれも悪かったよ」

              
  65. 65 : : 2014/06/30(月) 23:08:41
    二人を見ながら笑うアルミン
    アルミンは思う
    いつまでもこんな風に過ごせたらいいのにと…
    それぞれがいろんな想いを感じ傷ついて傷つけて苦しんで悩んで各々の道に進んでいく…誰も変わらずには居られないそんな当たり前の事が少しだけ寂しく思える
    漠然とした感情に浸っているアルミン

    エレン「どうした?アルミン?」

    エレンの声にニコッと笑うと応えるアルミン

    アルミン「何でもないよ!それより急いで支度して行かないと?」

    ミカサ「…?どこかに行くの?」

    エレン「あ?あぁ、4~5日ハンジさんの研究の実験に付き合うんだ」

    それを聞いてミカサの顔が曇る

    ミカサ「実験…あの人は何をするか解らない…私もついていく」

    アルミンがそれを止める

    アルミン「ミカサ大丈夫だよ!リヴァイ兵長がついているから心配ないよ」



  66. 66 : : 2014/07/01(火) 00:20:00
    元々リヴァイとは肌が合わないミカサハンジ分隊長はエレンを実験台にしかねない人類の奇行種そんな二名の名を聞いてますますミカサは不安を募らせる。

    エレン「4~5日だけだから心配すんなって!な?ミカサ」

    アルミン「僕も様子を見に行くからミカサにも状況を報告するからそれに明日の壁外調査にはエレンも参加するし心配ないよ」

    アルミンの言葉に納得出来てはいないようだがそれ以上は何も言わないミカサ
    エレンを見つめながら一言だけ呟く

    ミカサ「…どんな時も側にいるから…」

    エレンとアルミンに背中を向けて歩き出すミカサの後ろ姿に少しだけ胸が痛むアルミン…
    それでも今のエレンにとって支えになれるのはリヴァイなのだと感じる。

    アルミン「…さあエレン準備しなきゃ」 

    エレン「そうだな」

    エレンの支度を手伝いながら心から願う二人の想いが繋がって行くようにと…


  67. 67 : : 2014/07/01(火) 07:08:08
    エレン「んじゃ…とりあえず行ってくるよ」

    着替えを詰めたバッグを肩に提げアルミンに話す
    笑顔で送り出すアルミン

    アルミン「明日の壁外調査で会おうね?」

    エレン「おぅ!じゃ、な」

    (キイッ…)
    (パタン)

    小さな音を立てドアが閉まる
    エレンの後ろ姿を見送るアルミン 

    アルミン「自分の気持ちにキチンと向き合っておいで…それが今の君には大事な事だから…」

  68. 68 : : 2014/07/01(火) 08:38:43
    (コンコン…)

    ドアをノックすると中からリヴァイの声が聞こえる

    リヴァイ「…入れ」

    凛とした澄んだ声に一瞬緊張するがドアを開け中へと進むエレン。

    エレン「失礼します」

    リヴァイの姿を確認して少しだけ身体がこわばるのを感じながら側に歩み寄るエレン。リヴァイは書斎のテーブルの上の書類に目をやりながらエレンに話し掛ける

    リヴァイ「明日の壁外調査だが」

    エレン「ァ!はいっ」

    リヴァイ「少々厄介らしい…今までのようにはいかねぇと覚悟しておけ」

    リヴァイの真剣な口調にエレンは身を固くする。

    (カタン…)

    書類から視線をエレンに移し窓際に向かって立ち上がるリヴァイ
    遠くに見える壁を見つめながら話を続ける。

    リヴァイ「今まで駆逐した巨人とは別の奴が発見されたらしい…奇行種とも違う新種だ…何かを探しているのか人間には全く反応を示さないそうだ」

    エレン「!人間に反応しない…?…そんな巨人が?…」

    リヴァイ「そうだ、新種だ。ひょつとするとお前が狙いなのかもしれねぇ…人間で在りながら『巨人』に成れるお前が…」


  69. 69 : : 2014/07/01(火) 12:43:41
    リヴァイの言葉に思わず息をのむ。
    自分以外にも巨人の力を持つ者がいる事は兵団の全てが周知しているのだ…
    それはまぎれもない事実
    すでにかつての仲間が巨人の力を駆使してエレンを連れ去ろうとしたこともある。

    エレン「また…おれが目的?なんでしょうか?…」

    リヴァイ「かもしれん…だがハッキリとしたことはわからねぇ」

    拳を握り締め小刻みに震えるエレン
    自分が置かれた立場に改めて責任を感じていた。
    押し黙るエレンにリヴァイが声を掛ける。

    リヴァイ「エレン」

    自分の名を呼ばれリヴァイを見る

    リヴァイ「まだどんな敵なのか分からねぇんだ…落ち着け」

  70. 70 : : 2014/07/01(火) 23:47:06
    リヴァイの言葉に頷くエレン
    今考えても仕方がないと思うものの、もし又誰かの命と引き換えに自分が存在する事は絶対に有ってはならないと強く心に誓う。

    エレンの悲痛な顔色を見てリヴァイが話しかける。

    リヴァイ「…エレン」

    エレン「はい」

    リヴァイ「お前の最初の意志を聞いた場所に行く…着いてこい」


  71. 71 : : 2014/07/02(水) 07:06:10
    薄暗く光の射さない地下への石階段をガスランプの灯りを頼りに下へと降りる

    (カツン…カツン…カツン…)

    二人の足音だけがひどく響く…
    エレンは自分が拘束されていた日を思い出していた。
  72. 72 : : 2014/07/02(水) 07:32:24
    最下部の鉄格子に塞がれた部屋の前で立ち止まる二人

    エレン「ここがおれにとってすべての始まりの場所です」

    リヴァイ「俺にとってもこの場所は同じだ…」
  73. 73 : : 2014/07/02(水) 08:38:30
    リヴァイは言葉を続ける
    そんなリヴァイをただ静かに見つめるエレン

    リヴァイ「『巨人をぶっ殺したい』その言葉をいい放つお前の眼が俺には衝撃的で強い意志を感じた…こんなクソみたいな安穏とした塀の中の世界でまだそんな眼をするやつが居るんだとな…」

    そこまで言うとエレンの方を向き自分の拳をエレンの胸元に押し当てるリヴァイ。

    リヴァイ「改めてこの始まりの場所で誓ってやる…俺は必ず奴等巨人共を殲滅すると!だからお前ももう一度あの瞬間の自分を取り戻せ」

    激しい感情を剥き出しでエレンに誓う
    その想いが身体の奥深くに潜むエレンの焔を熱くする。

  74. 74 : : 2014/07/02(水) 18:57:22
    リヴァイ「…お前のあの眼に俺は引かれたんだ鎖に繋がれても怯まないお前にな…一瞬でお前のすべてが欲しいと思った」

    リヴァイは隠すこと無く自分の本心を伝える。
    そんなリヴァイをただ見つめるしか出来ずに困惑するエレン

    リヴァイ「…エレン…俺達は戦うしかねぇんだ…たとえどれだけの犠牲を払っても多くの命を賭けても、前に進まなきゃいけねぇって分かっているはずだ」

    エレン「!」

    エレンの迷いを知っているからこそリヴァイは続ける

    リヴァイ「恐れるな…仲間の死を…最期の時まで全ての巨人どもを駆逐するまで…」


  75. 75 : : 2014/07/02(水) 23:02:29
    エレン「兵長…」

    心の奥に隠して来た恐怖心を見透かされていることを知りいたたまれず視線を反らすエレンの腕を掴み視線を反らすことを許さないリヴァイ

    リヴァイ「俺から逃げるのかエレン?」

    掴んだ腕により強く力を込めるリヴァイ。リヴァイの声に身体の自由を奪われる。

    エレン「っ…離してくださいっ兵長」

    リヴァイ「エレン」

    (ガシャッ…)

    鈍い金属音が響く。
    部屋を塞いだ鉄格子の冷たい感触に思わず身をよじるエレン

    リヴァイ「なぁ、エレン…先に逝った仲間達には最期の日を迎えた時に詫びればいい…それまでは逃げずに戦え…」

    何も言わずリヴァイの肩口に額を押し当てるエレン。

    リヴァイ「…」

    くしゃっとエレンの頭を一撫ですると小さなため息を付くリヴァイ

    リヴァイ「…お前を兵舎に送った夜言った事を覚えてるか?」

    肩口に顔を埋めたままうなずくエレン

    リヴァイ「あのとき俺が感じた気持ちが何なのか今なら解る…」

    エレン「兵長…」

    リヴァイ「…とにかくどんな時もお前と共に戦ってやる…お前の楯になろう…だから何も恐れる必要は無い、お前はお前の思うまま戦え。」












  76. 76 : : 2014/07/03(木) 07:23:32
    ランプの灯りだけが二人の姿を照す
    明日になればまた巨人との死闘が待っている…先の事など誰にも解らない。

    エレン「戦う事は怖くない…ただ…仲間の命を失う事が辛くて…たまらなく怖くて…夢の中で…自分の身体が仲間達の血溜まりで真っ赤に染まって…いって…どれだけもがいても抜け出せ…なくて…いつか…現実になるのかと…」

    それだけ話'すとエレンはリヴァイの背中に腕を回ししがみつく。
    その腕が震えている事にリヴァイは不安を覚える…
    エレンの恐怖心から微かな【闇】の気配を感じ取るとリヴァイは躊躇する事なくエレンを抱き締める。
    力強く、しっかりと抱き締めながら話し掛ける。

    リヴァイ「何も心配要らねぇ…いつでも傍にいる」

    はっきりとした口調で伝える。

    リヴァイ「好きだ」

    エレン「えっ…?」

    その言葉に顔を上げリヴァイを見つめるエレン。リヴァイは迷わずエレンに告げる

    リヴァイ「俺はお前が好きだ冗談なんかで言わねぇ…お前を……愛してる」

    エレン「!」

    突然の告白に驚きを隠せないエレン





  77. 77 : : 2014/07/03(木) 18:27:25
    大きく見開いたエレンの瞳はリヴァイを映す。

    リヴァイ「あの日からずっと考えてた…お前意外は何も要らねぇ…お前が居れば俺は戦い続けられる…どれだけ傷つこうが身体中の血を流しても構わないと本気でそう思えた…」
  78. 78 : : 2014/07/04(金) 09:25:20
    エレンの身体を解放すると鉄格子にもたれながら自分の掌を見つめる

    リヴァイ「エレン…俺が何度この手で仲間の死を受け止めたと思う?数えたら限がねぇほどの数だ…自分を押し殺して戦ってる内に俺自身感情を表に出せなくなってたよ」

  79. 79 : : 2014/07/04(金) 13:30:19
    静かなリヴァイの言葉を受け止めるエレン

    リヴァイ「そんな幾度となく繰り返してきた戦いの中でお前に出逢って俺の内で何かが弾けた…『コイツなら命を賭けてもいい』と」

    エレン「おれは…貴方にそこまで思って貰うようなやつじゃありませんよ…」

    唇を噛み締めながら呟くエレン
    自分の掌から視線をエレンに移したリヴァイ

    リヴァイ「自分を分析する事は大事だが否定する事は許さねぇ」

  80. 80 : : 2014/07/06(日) 11:28:09
    言葉を続けるリヴァイ

    リヴァイ「なぁエレンよ…お前がお前自身を否定したら…お前のために逝ったやつらをも否定する事だとは思わねぇか?」

    静かな地下廊に響くリヴァイの声
    強く鋭い視線にエレンはただ聞き入ることしか出来ずにいた。





  81. 81 : : 2014/07/06(日) 12:25:44

    (カシャンッ…)

    鉄格子を離れエレンの前に立つリヴァイ

    (ダンッ!)

    エレンの襟首を掴んで一気に引き倒す
    突然の出来事で受け身を取れず背中をしこたま打ち付け一瞬息が詰まるエレン

    エレン「ぐッ…」

    リヴァイ「…前にも言ったはずだお前を生かすのも殺すのも俺だ。お前が自分を否定して戦えねぇなら今ここでかけりを着けてやる…お前を信じて逝ったやつらの為にもな」

    倒れたエレンの上に馬乗りになり両手で襟首を掴むリヴァイ
    リヴァイの手を掴み返すエレン

    エレン「っ…!おれはっ戦います!!逃げたりしない!」

    エレン「貴方が言う通り…おれは恐怖心から臆病になっていました…それは認めます!でもっ仲間達を否定なんてしてないしするつもりもありませんっ!」

    しっかりとした口調でリヴァイに応えるエレン
    瞳を反らす事無くリヴァイを見据える

    リヴァイ「…なら迷いや恐怖に気後れすんじゃねぇ!自分を認めて前だけ向いて戦え総てを受け止めろ…それがお前の力になるから」

    エレン「兵長…」

    リヴァイ「…俺の命すべて賭けて良いと思わせた責任はキッチリ取ってもらうぞ?」

    そう言うとエレンから離れ手を差し出すリヴァイ、素直にリヴァイの手を取り立ち上がるエレン

  82. 82 : : 2014/07/06(日) 23:34:48
    リヴァイ「どんな状況になろうが俺がが傍にいる…だから安心して戦い続けろ」

    リヴァイの言葉に頷くエレン

    エレン「はい」

  83. 83 : : 2014/07/07(月) 07:17:30
    リヴァイ「そろそろ戻ろう…明日の準備もあるしな」

    エレンの手を離そうとしたその時エレンがリヴァイの手を強く握り返す

    リヴァイ「…どうした?」

    エレン「兵長っおれ…今言わないと後悔しそうで…っ…」

    黙ってエレンを見つめるリヴァイ

    リヴァイ「何だ?」

    リヴァイの問いに少しだけ戸惑いながら答えるエレン

    エレン「おれ…貴方が好きです…これが『愛』なのかおれにはまだ解らないですけど…でも、最期の瞬間まで貴方の傍で生きていたいと強く願っている自分が居るんです」

  84. 84 : : 2014/07/07(月) 08:32:32
    エレンの応えにリヴァイは何も言わずクシャっと頭を撫でる

    エレン「兵長?」

    リヴァイ「今はそれでいい…」

    それだけ言うとリヴァイはエレンの手
    を見る、巨人化する際に噛み切るエレンの手の甲にはうっすらと傷痕が残る
    その傷痕に軽く口づけするリヴァイの行動に驚くエレン

    エレン「っ!…」

    リヴァイ「『汝は我の為我は汝の為その身を捧げいざ進まん死するまで』か…」

    リヴァイの呟きはエレンの心に深く染み込んでいく

    エレン「兵長…」

    エレンの視線に気づき声を掛けるリヴァイ

    リヴァイ「さぁ…戻るぞここに残りてぇなら構わんが?」

    エレン「!イイエっ戻りますっ」

    慌ててリヴァイの後を追い掛けて階段を駆け上がる
    後ろにエレンが追い付いたことを感じてリヴァイが話しかける


  85. 85 : : 2014/07/07(月) 22:58:33
    リヴァイ「エレン」

    エレン「はいっ何ですか兵長?」

    呼ばれた自分の名に素直に返事を返すエレン

    リヴアイ「明日の壁外調査が終わればしばらくは壁外に出る事もねぇだろう…エレンお前何かしたい事は無ぇか?」

    いきなり尋ねられ困惑しながらも答えるエレン

    エレン「はい?…あ、休みになったらですか?したい事??…ん~そうですね……何にも考えず草っなき個故国区々九絹こⅨぬ故国毛か抜く故国九九九九九九企画九九ここ角きここ来ぬ濃き危機樹聞かぬこここここか喜古こ九九危機こ句かこくくくくこかきくかくくくぱらに寝転んで空を見たいです」

    リヴァイ「そうか、なら壁外調査がお.aa鹿屋市区々九九九九区九九かこ故国九九九九九九茎九九樹毛九九九九九九九九茎九九九九九九危機毛毛九九区こここくくくぐり家茎茎角く区こきくきくこかこかぬぬかここくく」

  86. 86 : : 2014/07/08(火) 07:33:18
    大変失礼しました!文章が乱れてしまいました!お見苦しい文章訂正いたします!






    リヴァイの問いかけに少しだけ困惑しながらも答えるエレン

    エレン「調査から戻ってからですか?ん…そうですね…無事に帰って来れたら何も考えないで空を見たいです」

    イヴァイ「空?えらく漠然とした答えだな」

    エレン「ですね、おれもそう思いますでも、結構落ち着くんです」

    エレンの応えにリヴァイは

    リヴァイ「分かった…なら明日はさっさとかたずけて空を見よう」

    エレン「え…ァ!はい!!」

    リヴァイの言葉の意味に素直に喜ぶエレンその声を聞きながら苦笑するリヴァイ

    リヴァイ「…ッタク…旨いエサ貰った犬みてぇだな?エレン」

    エレン「!おれって犬ですか?Σ(゜Д゜)」

    リヴァイ「そうだな、そう見える」

    笑いを堪えながらエレンをなだめる
    印象深い大きな瞳をまん丸にしながらリヴァイに抗議するエレン
    喜怒哀楽がはっきりしているそんな感情豊かなエレンはとても分かりやすい
  87. 87 : : 2014/07/08(火) 09:01:20
    リヴァイ「別に悪気がある訳じゃねえからそう怒るな」

    そんな些細な会話をしながら出口に向かう
    薄暗かった階段を登りきると目の眩むような眩しさに思わず顔をしかめる二人

    エレン「うわっ眩し!」

    リヴァイ「…っ」




  88. 88 : : 2014/07/08(火) 17:04:21
    良く晴れた雲一つ無い青空がとても印象深かった。
    片手で陰を作って空を見上げるリヴァイ

    リヴァイ「こんな青空は珍しいな…」

    エレン「ホントにいい天気ですね」

    二人で同じ空を見上げる
    良く晴れた青空を
    毎日が命懸けの二人にはこんなふうに空を眺める余裕すら無いのだった

    エレン「明日帰ったら…又こうやっておれと空を見て下さいね兵長?」

    不敵な笑みを見せて一言だけ応えるリヴァイ

    リヴァイ「当然だ」

    それだけ言うとエレンの肩を軽く叩く

    エレン「兵長?」

    リヴァイ「…明日の装備品点検に行くぞついてこい」



  89. 89 : : 2014/07/09(水) 00:17:43

    武器保管庫にて


    リヴァイとエレンが武器保管庫に着くと兵士達がすでに集まっていた
    各々自分の名の記された棚から起動装置とマントを取り出すと近くのテーブルで整備を始める。
    細かいパーツを一つ一つ確認しながら確かめる。例え小さな破損でも見落とせば立体起動装置は作動しない
    それは巨人と対峙する事が主な調査兵団兵士にとって命取りなのだ。

    エレン
    (みんな気合い入ってるな…)

    そんな団員達を見ながら室内に入るリヴァイ
    LIVぁいに気づき団員達は一斉に道を譲る

    リヴァイ「…俺に構わず整備を続けろ」

    それだけ言うと自分の装備を棚から取り出しエレンに声を掛ける

    リヴァイ「先に戻る、自分の装備を持ったらこい」

    エレン「はいっ」

    リヴァイの言葉に急いで自分の装備品を抱えリヴアイの後を追うエレン


  90. 90 : : 2014/07/09(水) 07:17:46
    起動装置とマント、交換用のブレードを準備して急いで戻る
    そんなエレンの後ろ姿を心配げに見つめる人影がある
    それはミカサだった…

    ミカサ「…なぜ兵長と?…」

    怪訝な顔でエレンの後ろ姿を見つめる
    そんなミカサの姿に気付いたアルミンが声を掛ける

    アルミン「ミカサどうしたの?もう準備は終わった?」

    ミカサ「…今エレンが…リヴァイ兵長と出て行ったの…」

    アルミン「エレンが?」

    普段はけして感情を見せないミカサの険しい表情に努めて穏やかな笑顔を作るアルミン

    アルミン「兵長と一緒でも不思議じゃ無いでしょ?リヴァイ兵長はエレンのお目付け役だもの」

    ミカサ「…」

    アルミンの言葉を静かに聞きながらも納得仕切れない様子のミカサ

    アルミン「さぁ!早く点検終わらせて陣形練習に行こう!」

    ミカサ「分かった…もう終わる…行こう」

    アルミンに応え武器保管庫を後にした
  91. 91 : : 2014/07/09(水) 10:11:13
    (コン、コン)

    装備を抱えたままリヴァイの部屋のドアをノックする

    エレン「兵長、エレンです」

    「入れ」

    リヴァイの返答を聞き中へと入とすでに装置の手入れをしているリヴァイに声を掛けるエレン

    エレン「失礼します」

    リヴァイ「お前の起動装置も見せて見ろ」

    エレン「はいっ」

    慌ててテーブルに装置を置くとリヴァイは慣れた手付きで分解し始める。
    その姿は見とれてしまうほど手際が良い。

    リヴァイ「ん?」

    次々とバラしながら整備しているリヴァイから指摘される

    リヴァイ「アンカーが少しだが欠けている…これでは打ち込んだ時しっかり食い込まずに抜けちまうぞ?」

    そう言いながらエレンにアンカーの欠損部分を見せる。
    見せられたアンカーは確かに欠けている

    (!2日前確認した時は欠けて無かったのに…)

    驚いているエレンを横目に見ながら少しだけ溜め息を付くリヴァイそのまま話し続ける。

    リヴァイ「いくら丈夫に作られていても所詮人間の造る物だ。それに人間の目で確認していても内側の小さな劣化は解らねぇよ」

    リヴァイの話を真剣に聞きながら頷くエレン

    リヴァイ「…あと刀身の補助スイッチが甘い…ロックが解除され難かったはずだが?」

    エレン「!ソコまで解るんですか?Σ(゜Д゜)」

    リヴァイ「あのなぁ…エレンよ訓練兵時代何をしていた?全て叩き込まれただろうが…立体起動装置の整備は基本中の基本これが出来なきゃ巨人の餌にしかならん」

    エレン「はい…すみません…」

    申し訳無さそうにうつ向くエレン
    大きな溜め息をつくと立ち上がりドアに向かって歩き出すリヴァイ。
    あわてて声を掛けるエレン

    エレン「どこに行かれるんですか?」

    リヴァイ「…武器倉庫だ、交換部品を持ってくる」

    エレン「あっおれが自分でいってきます!兵長は御自分の点検をしてくださいっ」

    エレンの言葉をリヴァイが遮る。

    リヴァイ「お前ではどれが適しているか分からんだろう?ここで待っていろ…すぐ戻る」

  92. 92 : : 2014/07/09(水) 13:05:07
    しばらくすると交換部品を持ってリヴァイが戻ってきた

    エレン「すみません(/´△`\)おれの部品まで…持ちます」

    リヴァイ「ここにいる間にみっちりもう一度仕込んでやる…覚悟しろよエレン?」

    目力だけで威圧感を醸し出すリヴァイ
    表情を変えずエレンの交換部品を手渡す。

    リヴァイ「ほらよ」

    エレン「有り難う御座います!」

    リヴァイ「組み換え位は自分で出来るな?終わったら見せろ」

    そういい終わるとリヴァイは自分の装置の交換を始める
    リヴァイの姿を見ながらエレンも始める
    一つ一つ細かいパーツを拭き上げグリスをかませ組み上げていく。
  93. 93 : : 2014/07/10(木) 10:00:34

    エレン「組み上がりました!確認御願いしますっ」

    組上がった起動装置をリヴァイに渡し確認してもらう。
    交換したアンカー部分、ワイヤーの緩みをチェックして、最後に刀身の補助スイッチのバネの返りを確かめる

    リヴァイ「…これならいいだろう」

    リヴァイの応えにほっと胸を撫で下ろすエレン
    そんなエレンを横目に見ながら話しかける

    リヴァイ「エレン」
  94. 94 : : 2014/07/10(木) 12:06:47
    エレン「はい?」

    リヴァイ「これからはもっとシッカリ装備点検しろよ?いくらお前が『巨人』になれたとしてもだ…普段は俺たちと同じ装備で戦うんだ…解るな?」

    リヴァイの言葉に素直に頷く。
    その姿を見て納得したのか、立ち上がりベッドサイドの小さな引き出しを開けると何かを手に握りエレンの側に歩み寄る。

    リヴァイ「手を出せ」

    エレン「?」

    言われるがまま素直に両手を差し出す

    (カシャッ…)

    微かな金属が掠れる音がする
    エレンの手のひらには小振りなペンダントが置かれている。

    エレン「これは?…」

    リヴァイ「…お前に預ける…肌身離さす持ってろ」

    美しい細工の施されたペンダントをじっと見詰めるエレン
    リヴァイはなにも言わずエレンの手にあるペンダントの中心を押さえる

    (カチッ)

    小さな音を立て上部が開いて音楽が流れる

    エレン「これ…は?…」

    リヴァイ「オルゴールだ…いい音色だろう?」


  95. 95 : : 2014/07/10(木) 14:55:01
    エレンの手のひらのペンダントに触れながら話を続ける

    リヴァイ「俺の私物だ。兵団に来た時これだけは手離せなくてな…」

    リヴァイから渡されたペンダントに視線を落とすエレン
    繊細な銀細工のそれは優しい音色を奏でている。
    しかし、なぜ自分にこんな大切な物を預けるのかリヴァイの心意が解らず困惑する。

    エレン「兵長あのっ何故こんな大事な物を俺に預けるんですか?」

    普段けして見せる事も見る事も無い凛とした笑顔を見せながらエレンに話しかける。

    リヴァイ「エレン…お前だから預けんだ絶対無くすなよ?…それにもし俺と離れる事が有ってもそいつがあれば俺を忘れたりしねぇだろう」

    エレン「え…なん…でそんなこと?…」


  96. 96 : : 2014/07/11(金) 11:32:18
    言葉に詰まるエレン
    次の言葉を探してみても思い付かずただ自分の手のひらに渡されたペンダントを見つめた。

    リヴァイ「そんな顔するな間違ってもお前より先に逝く事はねぇから」



  97. 97 : : 2014/07/12(土) 09:03:32
    そう言うとリヴァイは自分のソファーに深く腰を降ろし視線だけを窓の外へ移す。
    風で揺れるカーテンの隙間からふわりと何かが入ってきたそれは、渡り鳥の物だろうか、柔らかな純白の羽だった

    ふわふわ、風に乗ってリヴァイの前に落ちたその羽を拾い上げるリヴァイ。

    リヴァイ「…なぁ、エレン」

    エレン「は…はいっ」

    リヴァイ「何が在ろうと必ず生きて戻るんだ…いいな?」

    羽を見つめたままエレンに話す。

    エレン「勿論です!貴方が存在する限りおれは死にませんっ」

    リヴァイの言葉を聞きペンダントを握りしめ答えるエレン
    渡されたそれはリヴァイの想いが込められている事に気付いて胸が熱くなる。
    エレンは自分の首に下げている『地下室の鍵』をほどくとリヴァイのソファーの前に膝を着く

    リヴァイ「?どうした」








  98. 98 : : 2014/07/12(土) 11:36:28
    エレン「リヴァイ兵長…これは貴方が持っていて下さい」

    エレンは自分の鍵をリヴァイに差し出す自分の想いを込めて…

    リヴァイ「…」

    エレン「兵長なら絶対無くさないでしょう?」

    何も応えないリヴァイの手に握らせる

    エレン「…この鍵を見るたびにおれの事忘れないで下さいね?」

    ニコッと笑顔を見せるとリヴァイの膝に顔を埋める

    エレン「生きて帰りましょう…必ず…」

    顔を伏せたまま話すエレンに視線を向け渡された鍵をきつく握り締めリヴァイが答える。

    リヴァイ「当然だ…俺を誰だと思っている?お前との約束は果たす」

    エレン「…『人類最強の兵士』ですからね…」

    リヴァイ「あぁ」


    それ以上言葉は必要無かった
    二人の想いはお互いの胸に深く刻まれている。

    静かな時間と風だけが二人を包んでいた…
  99. 99 : : 2014/07/12(土) 12:08:32

    壁外遠征当日


    「此より壁外調査へ出兵するっ!皆隊列を崩すなっ!」

    「ハッ!!」

    調査兵団全体がビリビリとした雰囲気に殺気立っている。今まで出会った巨人とも違う新たな奇行種の出現は皆の精神を乱すには十分過ぎる情報だった。

    未だにウォールマリア奪還には至らず、エレンの生家の地下にたどり着けないでいる現状がことさら不安感を駆り立てる。

    エレン
    (…一秒でも早く『地下室』にたどり着かなければ…まずはウォールマリアを奪還しない事には)

    「おいっエレン」

    名を呼ばれ割れに帰るエレン

    エレン「はいっ!」

    振り向くとリヴァイが馬を連れエレンの隣まで来ていた。

    リヴァイ「ぼさっとしてんな!気を引き締めねぇと喰われんぞ?!」

    エレン「はいっ!」

    リヴァイ「いいか?しっかり聞いておけ、」
  100. 100 : : 2014/07/12(土) 12:54:09
    リヴァイ「この壁を出たら絶対俺から離れんな!いいか…何が有ってもだ」

    リヴァイの真剣な表情に気持ちを引き締め直すエレン

    エレン「了解しました!」

    エレンの応えに頷くと馬に騎乗しエレンのすぐ隣に付く。
    エレンは昨日リヴァイから預けられたペンダントを胸元で握り締める

    エレン「何が有っても生きて帰るんだ…」

    決意を新にしたその時開門の鐘が鳴り響く。

    「開門っ!!全員一気に進めっ!!」

    掛け声と共に一斉に駆け出す。

    リヴァイ「行くぞっエレン!遅れるな!!」

    馬の脇腹を蹴り勢い良く駆け出すリヴァイの後をエレンも追いかけて駆ける。
    調査兵団を送り出す鐘の音はここから先の出来事を示唆するかのように鈍く鳴り響いた…







  101. 101 : : 2014/07/12(土) 15:53:11


    かろうじてもっていた天候がどんよりとした雲を孕んで大粒の雨が兵士達を濡らす
    雨の為視界が悪いうえに、わずかな音を聞き取る事さえ出来ない
    兵士達にとってこれ以上最悪な状況はなかった。



    突然前方から赤の信煙弾が上がる。

    「前方900メール先巨人発見!!20メートル級二体!5メートル級三体っ!!」

    「全員戦闘体制に移れっ!誘導部隊は奴等を森に誘い込め!!」

    「了解!」「ハっ!!」

    各々が自分の持ち場へと移動する中
    エレンとリヴァイは前衛部隊が応戦する間を全速力で走り抜ける。
    それはいち早くウオールマリアに向かい、人類史と巨人の秘密を知る為にかされた作戦だったのだ。

    エレン「何故こんな突然に巨人が!?」

    リヴァイ「解らんっ!だが今は命令通り突っ走れ!!」


  102. 102 : : 2014/07/12(土) 23:59:02
    ますますひどくなる雨の中リヴァイとエレンはがむしゃらに馬を走らウォールマリアを目指す。
    すると突然リヴァイが駆ける馬を止めた

    リヴァイ「!止まれっ!!エレン!」

    エレン「兵長!?どうしたんですか?!」

    リヴァイ「…奴が…近くにいる…何処から来るか分からねぇがいつでも動ける準備しておけ…」

    馬の背に乗ったまま刀身を構えるリヴァイ
    エレンも構えて戦闘に備える。

    薄暗い森の中雨音と遠くで交戦する音がやけに響く。

    リヴァイ「来るぞ…」
  103. 103 : : 2014/07/13(日) 01:09:16
    言うが早いかリヴァイの言葉が終わらない内に前方から4メートル級の巨人が近づいてくる。

    リヴァイ「チッ…うぜぇな…準備はいいな?エレン行くぞコイツらと遊んでやる時間はねえ」

    エレン「はいっ!」

    二人揃ってアンカーを撃ち込み巨人めがけ斬り込む。
    ワイヤーの軋む音と同時にエレンは足首のすじの筋肉を削いで動きを止める
    リヴァイは一瞬で巨人の背後に付くと一気にうなじめがけ刀身を叩き込む。
  104. 104 : : 2014/07/13(日) 09:24:04
    リヴァイの刀身が閃光を放ち巨人の弱点であるうなじを捕らえる
    一寸の狂い無く正確に削がれ抵抗する間もなく倒れる巨人。

    巨人の死体から蒸気が立ち昇る
    むせかえる蒸気の向こう側で何かが動いたのをリヴァイは見逃さなかった。

    リヴァイ「…まだ居やがる…エレン気を付けろ」

    エレン「了解」

    刀身を持ち直し構えたその瞬間背後から飛び出して来た巨人に不意を突かれ巨人の爪がエレンの肩を赤く染める

    エレン「グッ!」

    リヴァイ「!エレンっ!!」

    リヴァイが削ごうとしたその時エレンを襲った巨人が今までの巨人とは違う事に気付く
    2~3メートル級の小柄な巨人だが異様に鋭い爪が有り今までの巨人とは明らかに違う。リヴァイの刃を素早く交わしまたエレンを襲う。
    補食しようとするのではなく確実にエレンだけを狙い傷付ける事を目的にしているように感じる。

    エレン「クソッっ!ふざけんな!てめえなんかに遊ばれてたまるかよっ!」

    アンカーを放出し高く飛び上がると巨人のうなじめがけて飛び掛かる。

    リヴァイ「エレン!!」

    額を流れる液体に視界が奪われ一瞬何が起こったのか解らなかった
    胸元が激しく疼くと同時に自分が地面にしゃがみこんでいると理解したエレン

    エレン「っ…なっ…何が…」

    巨人はそれ以上動こうとはしない。

    リヴァイ「てめぇ…覚悟しろよ」

    リヴァイの刃が巨人を狙う。確実に仕留めるために宙を舞う

    リヴァイ「殺ってやる!」

    リヴァイの刃をまたもや交わし森の奥底へと姿を紛れ込ませた。

    リヴァイ「クソッ!逃がしちまった…ハッ…エレン!!」

    エレンの側に駆け寄ると酷く出血しているのが判るほどエレンの周りは赤い血溜まりが出来ていた。

    リヴァイ「エレン!確りしろ!」

    エレン「すみません…兵長…油断し…て…」

    リヴァイ「大丈夫だ…お前のせいじゃねぇ…もうしゃべるな…」

    エレン「…このくらいの…傷…すぐ治りま…す心配しないで下さい」

    リヴァイを安心させたくて笑みを作るエレン

    リヴァイ「直ぐ治療してやる…頑張れよ?」

    エレン「は…い…」

    リヴァイに何とか応えると意識が遠退いて行くのを感じるエレン

    エレン
    (おれ…死ぬのか?…兵長と約束…果たして無い…の…に…)









  105. 105 : : 2014/07/13(日) 11:05:52
    (…ここは…?…どこ…だ…兵…長は?…)

    柔らかい感覚にゆっくりと目を開く
    ぼんやりとした視界に見慣れた姿が映る。

    ミカサ「エレンっ」

    アルミン「エレン!良かった…気がついたんだね!僕らが解る?!」

    涙を溜めながらエレンの手を握る二人にエレンが声を掛ける。

    エレン「おれ…何で寝てるんだ?…あ…おれはっ!」

    起き上がろうとした瞬間胸に激痛が走る息が出来ない程の痛みにベッドにうずくまる。

    エレン「ぐっ!つっ…なんだ?…」

    ミカサ「!ダメっエレンまだ動かないで!」

    アルミン「そうだよ!君の肩と胸の傷口まだ塞がってないんだよ!?」

    エレン「っ…アルミン…起こしてくれ無いか?…」

    アルミンは慌ててエレンの体を支えるとゆっくり起こす。
    ミカサはその背にクッションをあてがいエレンが苦しくない角度を作る
  106. 106 : : 2014/07/13(日) 21:17:29
    エレン「あれからどのくらい寝てた?…」

    アルミン「壁外調査の日から5日経ってるよ…胸の傷がかなり深くて出血も酷かった…肋骨まで達してて…二本は折れてる状態だったよ…」

    ミカサ「…意識が戻って…本当に良かった…」

    エレンにすがり付き泣きじゃくるミカサやアルミンに心配をかけたことを詫びるエレン

    エレン「悪かったな…心配掛けて…」

    アルミン「ううん…意識が戻ったからもう大丈夫だね、ホントに良かった…」

    アルミンとミカサと会話する内にあの瞬間を思いだしアルミンとミカサに訪ねる。

    エレン「なぁアルミン、ミカサ…あの時リヴァイ兵長も側にいたんだ…兵長は今どこに?…怪我とかしてないよな?」

    エレンの問い掛けにアルミンが応える

    アルミン「大丈夫、かすり傷程度だから安心して?エレンの事気にして何度も見に来てくれてるんだ」

    ミカサ「…」

    アルミンの応えに安堵の表情を浮かべるエレン

    エレン「良かった…」

    そんなエレンに憤りをぶつけるミカサ

    ミカサ「少しも良くない!…彼がもっと細心の注意を払っていたら…エレンはこんな事には成らなかった!!」

    アルミン「ミカサ…」

    エレン「違う…ミカサ…そうじゃないッ…兵長には何の責任も無い!おれが自分でヘマしただけの事だろう?兵長を悪く言うな…」

    ミカサ「でもっ!」

    エレン「ミカサ…いい加減にしろっ」

    エレンははっきりとした口調でミカサの言葉を否定する
    ミカサはそれ以上言葉を口にする事は無かった。

    エレン「…少し…疲れたから…一人にしてくれ」

    クッションに体を預けたまま視線だけを反らす。

    ミカサ「…わかった…ゆっくり休んで…」

    少しだけ口惜しそうな視線をエレンに向け部屋を後にする。

    アルミン「あ…ミカサ…」

    ミカサ「アルミンはもう少しエレンの側に居てあげて…」

    アルミンに声をかけて部屋を出ていく。


  107. 107 : : 2014/07/13(日) 22:38:09
    ミカサが部屋を出ていった後しばらくの沈黙の時間が流れた。
    エレンはゆっくりとアルミンに視線を向ける
    それに気づいたアルミンは優しく声を掛ける。

    アルミン「どうしたのエレン?」

    エレン「リヴァイ兵長は…本当に無事なんだな?…」

    アルミン「僕はエレンに嘘は付かないよ?ミカサと僕が来る前まではリヴァイ兵長が君を看ていたんだから」

    にっこり笑うと椅子から立ち上がり話を続ける。

    アルミン「少し待っててね?兵長に君が眼を覚ましたこと伝えてくるから…君が昏睡してる間ずっと付きっきりで心配してたから」

    エレン「兵長…」



     


  108. 108 : : 2014/07/14(月) 01:03:50
    アルミンが部屋を出てしばらくして勢いよくドアが開く。

    (バンッ!)

    エレン「!」

    乱暴にドアから中へ入って来た人物は
    エレンの元へ歩み寄るとエレンの顔をまじまじと見据える。
    鋭い眼差しで怒っているのか眉間にシワを寄せている。
    驚きで目をまん丸く見開いたエレンを確認すると安堵したのか表情が微かに和らいだ。

    「何時まで寝てるつもりだ…エレンよ?」

    エレン「リヴァイ兵長」

    エレンの声を聞きふっと小さなため息を付きながら目尻に掛かるエレンの髪に触れる

    リヴァイ「お前がこのまま眼を覚まささねぇんじゃないかと…生きた心地がしなかった…」

    エレン「すみません…兵長おれがヘマしたばかりに心配掛けてしまって」

    エレンの言葉に首を振るリヴアイ




  109. 109 : : 2014/07/14(月) 06:57:18
    リヴァイ「お前のせいじゃねぇよ…俺の注意力が足りなかった…すまない」

    エレン「貴方じゃ無くて良かった…」

    リヴァイ「エレン…」

    エレンの言葉に返答出来ずにいるリヴァイの手にそっと触れるエレン
    そのまま笑い掛ける

    エレン「…本当に大丈夫ですおれの異常な回復力は兵長も良く御存知でしょう?…ほらっもう平気ですから!」

    体を起こして見せるが胸の傷の痛みでわずかに顔をしかめるエレン

    リヴァイ「!エレンっ…無理をするな…」

    エレンの体を支え胸元の傷に目をやる
    未だに塞がりきらない傷は血が滲みエレンの服に染みを作っている

    普段なら本人の言う通り傷は一日掛からず回復する。
    巨人化した後極度の疲労感から2日ほど眠り続ける事も珍しいことではない。
    ただし、今回のように傷口が塞がらす五日も眠り続けるのは明らかに普段では考えられない事だった。

    リヴァイ「確かにいつもなら傷も塞がっているはずだが、今回は違うようだ…未だに傷は塞がらず出血も止まってねぇ」
  110. 110 : : 2014/07/14(月) 07:25:44
    リヴァイ「…何か思い当たる事はねぇか?エレン」

    リヴァイの問い掛けにしばらく考えていたエレンが口を開く。

    エレン「…あの爪が体に触れた時…なんて言ったらいいのか…瞬間的に闇に包まれたみたいな…いきなり真っ暗な世界に放り込まれたような感覚が有って…気が付いたら地面にしゃがみこんで……それ以降は全く覚えてません…」

    その話をしている間にエレンの呼吸が微かに荒くなったことに気付いてリヴァイが声を掛ける。

    リヴァイ「…エレン…お前自分の呼吸が乱れてる事は理解しているか?」

    エレン「え?…」

  111. 111 : : 2014/07/14(月) 09:32:23
    リヴァイに指摘されて自分の体の異変に気づく。
    傷が疼くのに伴って脈が早まっている
    身体中の血が沸騰しているように熱い





  112. 112 : : 2014/07/15(火) 07:53:13
    傷口の疼きを押さえながら深呼吸してリヴァイに応えるエレン

    エレン「確かに…兵長の言われるように…何かがおれの中で変化しているのかも知れません…」

    エレンの言葉の意味を探りながらリヴァイは血の滲む胸元に目を向ける

    リヴアイ「…奴の爪が関係してるのは確かだな…だが今は傷を塞ぐ事に集中しろ…ガーゼを変えようまた血が滲んでるぞ」

    エレン「はい…」

    素直に従いシャツを脱ぐ
    血の気の引いた青白い肌に包帯がいやに目立つ。
    リヴァイはゆっくりと包帯をほどき、ガーゼを剥がす
    肩の傷はふさがりかけているのを見て少しだけ安堵する。胸のガーゼを剥がした時、リヴァイは険しい表情を見せる。

    エレン「兵長?…どうしました?」

    エレンの問いに

    リヴァイ「…いや…何でもない…痛くねぇか?エレン」

    エレン「平気です」

    リヴァイ「そうか…少し染みるぞ」

    そう言うと消毒液の瓶を傷口に近づけそっとかけ流す。

    エレン「いっ!」

    染みたのか唇を噛み締め痛みを堪えるエレン
  113. 113 : : 2014/07/15(火) 12:39:13
    エレンの表情にリヴァイが声を掛ける

    リヴァイ「もう少しだけ辛抱しろよ?…もう終わる」

    エレンの胸の傷は刃物ですっぱり切った痕とは違い、えぐりとられた周辺の皮膚は酷く荒れて縫合さえ不可能なほど引きつっていた。

    リヴァイ「傷口の中に直に血止めのガーゼ詰めるから…耐えろよ…」

    自分の手を消毒液に浸して新しいガーゼを傷口に詰める。
    激痛がエレンを襲う。

    エレン「!!うっ…!うぁっ!…」


    裂けた傷口を更にナイフで刺されたような酷い痛みに気を失いそうになるのを必死に耐えるエレン

    リヴァイ「あと包帯で固定したら終わりだ」

    手早く傷薬を塗り包帯を巻いていく
    やっと痛みから解放されベッドに倒れこむエレン。

    リヴァイ「大丈夫か?エレン…」



  114. 114 : : 2014/07/15(火) 22:34:08
    リヴァイの問い掛けに辛うじて応える。

    エレン「…はい…大丈夫です…」

    そう応えるのが精一杯だった。
    リヴァイはベッドに横たわったエレンを見つめる
    血の気の無い青ざめた顔色はリヴァイの不安を掻き立てる。
  115. 115 : : 2014/07/16(水) 12:41:27
    嫌な予感が胸の奥で沸き上がって来るのを否定しながらエレンを見つめるリヴァイ。

    (エレン…俺より先に逝くなよ?…)

    リヴァイの視線にエレンが話し掛ける。

    エレン「兵長…大丈夫ですよ…貴方を残して先に逝ったりしません…」

    自分の心の声が聞こえたのかと一瞬驚くリヴァイ
    リヴァイの驚いた顔を見てクスッと小さく笑うエレン。

    エレン「リヴァイ兵長の事は良く解るんですよ?」

    ベッドに体を預けたままリヴァイを見る
    少しだけ困ったような表情見せて両手で顔を覆いエレンから顔をそむけるリヴァイ。

    リヴァイ「チッ…こっち見んな」

  116. 116 : : 2014/07/16(水) 23:51:03
    穏やかな表情でリヴァイに話し掛ける

    エレン「…兵長…一つだけ我が儘聞いてくれませんか?…」

    顔を上げエレンを見つめるリヴァイ
  117. 117 : : 2014/07/17(木) 07:43:43
    リヴァイ「…なんだ?…言ってみろ」

    エレンに答えるリヴァイ

    エレン「今だけで良いんで…おれの傍に居てください…駄目でしょうか?…不謹慎ですけどこんな時しか貴方を独占出来ないから…」

    少し照れながら話すエレンの言葉に微かに驚くも、エレンの申し出を受け入れるリヴァイ
    汗で額に張り付いたエレンの髪を優しく払うと応える。

    リヴァイ「分かった…傍に居てやる…だからゆっくり休め」

    リヴァイの応えに笑顔を見せるエレン

    エレン「有り難うございます…拒否されるんじゃないかと思ってました…だから…嬉しいです」

    素直に応えるエレンにリヴァイも苦笑する

    リヴァイ「ガキが気を使うんじゃねぇよ?…したい事はハッキリ言え。聞いてやるから…」

    エレン「じゃぁ…手を握っても?…」

    おずおずと手を伸ばしリヴァイの手を取る
    リヴァイは何も言わずエレンの手を握る。
    親に甘える子供のようにリヴァイの手に頬を付け目を閉じるエレンその顔は幸せそうな笑顔が浮かんでいる。

    エレン「一日でも早く傷を治して…また…貴方の背中を…追いかけます…待ってて…下さい…」

    それだけ話すとエレンは眠りに落ちるリヴァイの手を握り締めたままで…

    リヴァイ「…ゆっくり眠れ…お前と空を見るまで…待っててやるから…」

    眠りに落ちたエレンの頬に顔を寄せて軽く口付けしてため息をつく

    リヴァイ「…俺も焼きが回ったな…」

  118. 118 : : 2014/07/17(木) 08:13:27

    窓から差し込む眩しい陽射しで目を覚まし辺りを見回す。

    「ここは…」

    綺麗に整理された部屋の中柔らかなベッドに眠っていた事に気付きこの部屋の主の姿を探すエレン。
    窓辺にもたれティーカップを片手にこちらを見ているシルエットに声を掛ける。

    エレン「兵長」

    エレンの声に振り返ったその人物はエレンの傍に歩み寄る

    リヴァイ「目が覚めたか?気分はどうだ」

  119. 119 : : 2014/07/17(木) 08:37:55
    エレン「はい!もう大丈夫です。体も軽く感じます」

    そう応えるエレンの頬に触れ顔を覗きこむリヴァイ

    エレン「!あっあのっ兵長?」

    触れられた頬が熱を帯びて急に恥ずかしくなり慌ててリヴァイの手を振りほどこうとするとリヴァイの声が耳元で響く。

    リヴァイ「今さら何を照れてやがる?」

    エレンの髪を指ですきながら顔色を確認して小さく笑うリヴァイ

    リヴァイ「かなり血色も良くなったな…安心したよさて…傷を見せてみろ」

    エレン「あ、はい」

    ベッドに腰掛けリヴァイに従いシャツを脱ぐとリヴァイの方を向く
    包帯をほどくと傷口が露になる。
    出血は僅かに有るものの以前ほどの出血は無いようだった。

    リヴァイ「…出血は大分収まったな…だが傷痕は残るぞ?」




  120. 120 : : 2014/07/17(木) 12:16:18
    リヴァイに訪ねるエレン

    エレン「兵長、おれどのくらい寝てたんでしょうか?兵長の手を握ったのは覚えてるけど…」

    傷口のガーゼを代えながらリヴァイが応える

    リヴァイ「あぁ、あれから丸二日間眠りっぱなしだったな…このまま起きねぇのかと思った位だな。」
  121. 121 : : 2014/07/17(木) 12:28:34
    この名前カッコこいいね
  122. 122 : : 2014/07/17(木) 12:45:48
    (!そんなに眠ってたのか?…)

    エレン「トータル一週間眠りっぱなし…」

    エレンの顔を見ながら安堵の表情を見せながらリヴァイが話し掛ける。

    リヴァイ「腹は減ってねぇか?スープがあるが…食うか?」

    スープの乗ったトレーを運び、エレンの前に椅子を持ってくる。

    エレン「兵長?」

    リヴァイ「ほれ?口開けろ」

    スプーンにスープをすくうとエレンに差し出す。
    目をまん丸く見開き口をパクパクさせているエレンに

    リヴァイ「…お前は魚か?手がダリい早く食え」
  123. 123 : : 2014/07/17(木) 21:59:17
    リヴァイの眉がぴくっと上がったのを見て抵抗する事は得策で無いと潔く諦め口を開く。
    一口飲み込むとほっと一息つくエレンその様子を見ながらリヴアイはクスッと笑った。

    リヴァイ「旨いか?今まで何も食ってねぇから固形物は無しだが、とりあえず腹に入れば落ち着くだろうよ」




  124. 124 : : 2014/07/18(金) 08:14:59
    リヴァイから出されたスープをすべて飲み終わると自分が生きていると改めて実感するエレン

    エレン「ごちそうさまでした。すごく旨かったです」

    リヴァイ「もう良いのか?」

    リヴァイの問いに応える

    エレン「はい,なんか腹一杯ですよ…あの兵長、そろそろ体を動かしたいのですが…ダメでしょうか?一週間も寝てたんで体が鈍ってしまって」

    エレンの質問に少し考えてリヴァイが応える

    リヴァイ「…まぁ、構わねぇだろう…ただし、俺がいる時だけだ。」
  125. 125 : : 2014/07/20(日) 23:23:53
    正午の鐘が鳴り響く兵舎廊下を二人で歩く。
    エレンを気遣い彼の歩幅に合わせ歩くリヴァイ
    微かな衣擦れの音さえ良く聞こえる廊下でリヴァイの声が響く。

    リヴァイ「エレン」

    リヴァイに応えるエレン

    エレン「はい」

    リヴァイ「…おそらく2~3日中に壁外遠征に出る…お前も例外無くメンバーに組まれる」

    エレン「はい承知しています!」

    はっきり応えるエレンに溜め息を付く

    リヴァイ「…死ぬなよ?お前との約束は必ず守る…だからお前は…死ぬな…」

    リヴァイは苦しげに言葉を紡ぐ
    エレンの身体が血に染まり体温が徐々に失われていったあの瞬間全てが失われ自分の命さえ終ったと感じたのだ。
    リヴァイの言葉にエレンは胸が痛む

    エレン「リヴァイ兵長…ご免なさい…もう貴方にそんな言葉言わせません!だから、いつもの自信に満ちた兵長を見せて下さい…ね?」

    精一杯の笑顔でリヴァイを見るエレン

    リヴァイ「…分かった…今日からお前が寝ていた分ミッチリ鍛え直してやる…覚悟しろよ?」

    エレン「はい!」


    二人の姿は訓練場へと消えていく…



  126. 126 : : 2014/07/22(火) 12:32:20
    訓練終了後


    「エレンっ!」

    シャワールームへ向かう途中後ろから急に声を掛けられ振り向くとミカサとアルミンが駆けてくる。

  127. 127 : : 2014/07/23(水) 07:44:30
    アルミン「エレン!」

    ミカサ「もう大丈夫なの?!」

    二人の慌てぶりに心配させてしまった事を痛感し素直に謝罪するエレン

    エレン「ごめんっ!二人にもえらく心配掛けたな…もう大丈夫だよ!」

      
  128. 128 : : 2014/07/23(水) 12:43:35
    明るく応えるエレンの胸元に二人は目を向ける
    汗で濡れた胸元にはまだうっすらと血が滲んでいることに小さな声をあげた。

    ミカサ「!エレンっまだ血が…傷口は塞がっていないの?!」

    エレン「あ」

    あわててジャケットで隠したが、ミカサがすばやくエレンの手を止める

    ミカサ「どうして…傷が塞がらないの?…」

    エレン「大丈夫だっていってんだろ!手を離せよっ」

    ミカサの手を振りほどき後退りするエレン

    エレン「おれにも分かんないんだよ…頼むからほっといてくれよ?」

    アルミン「エレン…」

    二人の視線にいたたまれず、胸の傷を押さえる。

    エレン「とにかく!大丈夫だから心配要らないからっおれシャワー浴びたいし先行くわ!」

    それだけ言うと二人に背を向けて駆け出して行くエレン
    その姿を止めることも出来ずただ見つめているアルミンとミカサだった…




    ミカサ呟きを
  129. 129 : : 2014/07/25(金) 01:18:32
    ミカサの呟きを最後まで聞くことは無かった。


    (バタンッ!)
     
    リヴァイの部屋のドアを勢いよく閉めるとドアの前にしゃがみこむエレン

    (何してんだおれは…)

  130. 130 : : 2014/07/26(土) 22:16:05
    ドアの前に座り込み頭を抱えるエレン

    エレン「…二人はただ心配してくれただけなのに…訳解んない八つ当たりみたいな言い方しちゃったな…はぁ…」

    ため息をつくと自己嫌悪に堕ちる。
    しばらく落ち込んでいるとドアの向こうから聞き慣れた声が聞こえてくる
    声の主がドアに手をかけ中に入ろうとするとドアが開かない事に怪訝な顔をしながら中に居るであろうと思われる人物の名を呼ぶ。

    リヴァイ「エレン居るんだろ?ドアを開けろ…それともぶっ壊して入れってのか?」

    エレン「!すっすみません!今開けます!」

    慌ててドアの前から飛び退きリヴァイを部屋へ迎え入れた。
  131. 131 : : 2014/07/26(土) 23:28:20
    エレン「お帰りなさい兵長」

    笑顔でリヴァイを迎えるエレン
    そんなエレンに視線を向けると汚れたジャケットの胸元がうっすら紅く染まっている事にリヴァイが冷ややかな声色でエレンを呼ぶ。

    リヴァイ「こっちに来い…まだシャワー浴びてねぇな?傷口に障る…」

    エレン「わっ!?」

    エレンの首根っこを掴むと乱暴にシャワルームまで引っ張って行く。


    (バタンッ!!)
  132. 132 : : 2014/07/27(日) 17:24:05
    エレン「へっ…兵長?( ; ゜Д゜)」

    エレンのジャケットに手をかけ脱がし始めるリヴァイにエレンが慌てて後退りして身体を離す

    エレン「何するンですか?!」
  133. 133 : : 2014/07/27(日) 18:46:43
    顔が異様に熱くて耳まで赤く成っているエレンにリヴァイが話かかける。

    リヴァイ「シャワー浴びるだけだ…なんなら全部脱がしてやろうか?」

    何食わぬ顔でサラリと言ってのけるリヴァイ
  134. 134 : : 2014/07/27(日) 19:26:56
    エレン(兵長には照れるってこと無いんだな…)

    リヴァイ「早く脱げ」

    少しイラついたようにエレンのシャツをめくり上げる

    エレン「わっ!」

    脱げたシャツから血の滲んだ胸元の包帯がリヴァイの目の前露になる。

    エレン「見ないでくださいっ」

    戸惑いながらリヴァイに背を向けようとするエレンの肩を掴んで背を向ける事を許さない。

    リヴァイ「こっちを向けエレン…包帯をほどいてやるから」

    少し戸惑いながらもリヴァイに従いリヴァイの正面に向き直るエレン
    リヴァイの指が包帯の結び目に触れる
    ただそれだけの事がエレンにとっては甘美に感じてしまう。

    エレン「っ!…」
  135. 135 : : 2014/07/27(日) 20:27:58
    リヴァイ「…どうした?」

    エレンの表情を見ながらリヴァイがわざとエレンの耳元で囁く

    リヴァイ「…まだ早ぇぞ?…」

    リヴァイの低く甘い声がエレンの全身を痺れさせる。心臓が飛び出してしまいそうになるのを抑えエレンは応える。

    エレン「っ…何言ってンですか!早くほどいて下さいよっ」

    全身を真っ赤にしながら応えるエレンを見なが包帯をほどいていくリヴァイ
    ほどき終わると傷口が露になる。
    かなり塞がって来てはいるものの深く抉れた部分から血が滲む
    リヴァイはその血の滲む傷にそっと触れる。

    エレン「やっ…兵長っ!…っ…」

    リヴァイの触れた傷口は異常に熱くてエレンはただその熱を堪えるしか無かった
  136. 136 : : 2014/07/28(月) 01:12:08
    エレンの傷口から滲む血に触れたリヴァイは心の奥底に影を潜めていた【闇】が動き出したのを感じてエレンの傷から指を放した。

    リヴァイ
    (何故俺の【闇】が動き出した…」
  137. 137 : : 2014/07/28(月) 22:15:38
    エレンの傷から滲む血に触れたリヴァイの内に燻っていた【闇】がざわつく。
    リヴァイの総てを呑み込むようにジワジワと拡がっていく。

    リヴァイ「くそっ…」

    傷から指を放しエレンに尋ねる

    リヴァイ「…エレン…お前の傷が塞がりきらない理由が解るか?…」

    エレン「えっ?…」

    リヴァイはただそれだけ言うと自分の指先に目を向けた。エレンの血が指先を伝いポタリと床に落ちる

    リヴァイ「その傷は…【闇】の力が関係してるようだ…」

    エレン「【闇】…ですか…」

    エレンはリヴァイの言葉を静かに受け入れリヴァイの眼を見つめる

    エレン「兵長…おれの傷から…【闇】を感じたんですね?」

    リヴァイに尋ねる

    リヴァイ「あぁ…」

    短く応えるリヴァイにエレンはそれ以上聞けなかった。







  138. 138 : : 2014/07/28(月) 22:37:38
    リヴァイ「来いエレン傷口を流すぞ」

    リヴァイに呼ばれ慌てて傍に行くエレン

    エレン「はい、今行きます」

    リヴァイ「そこに腰掛けてろ…」

    リヴァイに言われるままバスタブの縁に腰掛けているエレンの頭からシャワーをかける。
  139. 139 : : 2014/07/29(火) 07:35:16
    (ザァー)
    シャワーの湯がエレンの身体を流れ落ちる。
    心地よい温度に静かに眼を閉じるエレン
    胸元の傷の血も流されはっきりとした痕がリヴァイの視界に映った
    塞がりかけた傷痕は酷く肌を引きつらせイビツな痕を残している…そして、未だ塞がりきらない部分は傷の深さを見せつけるように赤い肉片が見え隠れしたままだった。

    リヴァイ「…痛みは無いか?」

    リヴァイの問い掛けに眼を閉じたまま応えるエレン

    エレン「いいえ…もう痛みはありません。…あの兵長?…おれの傷…気持ち悪く無いですか?」

    エレンの応えに溜め息を付くリヴァイ

    リヴァイ「…なぜそんな事を聞く?…」

    エレン「あ…いえ…ただ気になって…酷くイビツな傷痕だから…」




  140. 140 : : 2014/07/29(火) 12:38:30
    そう言いながらおずおずと顔を上げリヴァイを見るエレン

    リヴァイ「…」

    何も応えず黙ったままエレンの顔を見つめる

    エレン「兵長?」

    リヴァイ「…お前が生きてれば…たとえどんな酷い傷だろうが、胴体が千切れてようが、 構わない…」




  141. 141 : : 2014/07/29(火) 23:05:10
    リヴァイ「その傷も…滲む血も…お前が生きてる証だ…」

    エレン「リヴァイ兵長…」

    リヴァイの言葉にうつ向くエレン

    リヴァイ「…エレン」

    (グイッ)

    エレンの顎を掴み自分の方を向かせると語りかける

    リヴァイ「なぁ…エレン…」

    リヴァイの瞳が暗く淀んだ光を孕んでいる事に気付いてエレンが声を掛ける。

    エレン「兵長…どうしたんです?…兵長ッ!」

    何時もとは違うリヴァイの気配にエレンは不安を感じる
    自分が【闇】に呑まれた時のような感覚をリヴァイから感じた。
    シャワーで流さされたエレンの血にリヴァイの【闇】が蠢く。

    リヴァイ「…血の…匂い…が…」

    エレン「大丈夫ですか?!兵ちょ…」

    一瞬の出来事…リヴァイはエレンの傷口に唇を寄せ塞がっていない傷を舌でなぞる。
    滲んだ血に吸い付くように口付けを繰り返す

    エレン「!!ッ!」

    リヴァイ「…お前の血は甘いな…」



















  142. 142 : : 2014/07/30(水) 08:09:21
    エレンはリヴァイから感じる【闇】の感覚に身を固くする

    エレン「リヴァイ兵長ッ!しっかりして下さい!何時もの自分を思い出してっ…!」

    エレンの言葉を遮るように激しく傷痕に歯を立てられる。

    エレン「ッ!!」

    痛みが全身を走り抜ける

  143. 143 : : 2014/07/30(水) 17:34:27
    エレン「ぐっ…リヴァイ兵長ッ!しっかりして!【闇】に呑まれないで!!」

    痛みを堪え精一杯の想いを込めてリヴァイの名を呼ぶ。
    微かにリヴァイの表情が変わったのを見逃さずエレンは続けてリヴァイに呼び掛ける

    エレン「兵長…早く戻ってきて下さいッ!貴方は…【闇】に沈む人じゃ無い…どんな時もおれの光でいてくれるンでしょ!?」


  144. 144 : : 2014/07/30(水) 22:28:32
    エレンの声が浴室に響く。
    リヴァイの手を強く握りしめ、ただリヴァイの名を呼ぶ。

    エレン「リヴァイ兵長…おれの声が聞こえてるンでしょ?…いつもみたいにおれを呼んで下さい…」



    リヴァイから【闇】の気配が一瞬薄れたその時



    リヴァイ「…エレ…ン…」

    エレンの名を呼ぶリヴァイ

    エレン「!兵長ッここに居ます!貴方の目の前にっ…」

    握りしめたリヴァイの手を自分の頬にあてがう

    エレン「ここに居ます…分かりますか?」



    リヴァイの瞳にぼんやりと人影が映る。
    ボヤけた意識が徐々にはっきりして自分を取り巻いていた闇が薄らぐと同時に目の前に居るのがエレンだと確認できた。

    リヴァイ「エレン…」

    自分の名を呼ぶリヴァイに思わず抱きつくエレン

    エレン「兵長…良かった…大丈夫ですか?…」

    抱きついたままリヴァイに声を掛ける

    リヴァイ「俺は…今まで何を…」

    エレンを抱き止めてボヤけた意識をたどる。

    リヴァイ「…お前の傷痕から【闇】を感じて……血の匂いがして………!!」

    (バッ!!)

    エレンの肩を掴んで自分の体から離し、胸の傷痕を見る。
    塞がっていなかった傷口が尚更酷く開き真っ赤な鮮血が流れ出していた…

    曖昧な記憶がハッキリと甦る
    リヴァイは【闇】に呑まれた事を理解した。

    リヴァイ「すまない…」

    エレン「平気です!貴方が【闇】から抜け出せて本当に良かった…」

    ニコッと人懐っこい笑顔を見せるエレンにリヴァイは困惑する。









  145. 145 : : 2014/07/31(木) 12:38:31
    リヴァイは【闇】に捕らわれ感情のままにエレンの傷を広げた事を思い出していた。

    リヴァイ
    (あの時…エレンの傷痕から【闇】を感じて…血の匂いに俺の内にある【闇】が…)

    エレン「…?兵長?本当に大丈夫ですか?まだ気分悪いんじゃないですか?…」

    自分の傷を気にもせずリヴァイを気遣うエレン

    リヴァイ「平気だ…それよりお前の傷の方が酷いだろうが…俺の心配する事は無い」

    エレン「でもっ…」

    微かに青ざめたリヴァイの顔色に不安になるエレン

  146. 146 : : 2014/08/01(金) 16:52:02
    エレン「兵長!」

    エレンの声に我に帰りエレンが不安気に見つめて居たことに気づく
    そっと腕を伸ばしてエレンを抱き締める
    硝子細工にでも触れるように優しく…

    エレン「//////…兵長…?…」

    リヴァイ「すまない…お前を守る筈が…俺が【闇】に呑まれたせいで…お前を壊してしまう所だった…」

    苦し気に言葉を紡ぐリヴァイにエレンは穏やかな笑顔を見せて応えた。

    エレン「貴方が気に病む必要はありませんよ。おれは今、貴方と話せて居ますし…貴方はこうして俺の傍に還って来てくれた…それだけでもう良いんです」

    エレンは自分を抱き締めるリヴァイの背に腕を回して静かに眼を閉じた。
    リヴァイの胸に耳を付け規則的に打たれる鼓動を感じていた
    『命』の鼓動はリヴァイが生きてると感じさせてくれる。
    リヴァイは背中に回されたエレンの手の温もりが【闇】の影を消し去っていく…その温もりに応えるようにエレンの髪を優しく透く。

    リヴァイ「…お前には…かなわねぇ…」

    エレン「?」

    胸元の傷口に視線を向けると、リヴァイの言葉の意味が解らず目を丸くしているエレンを何も言わずに抱き上げるリヴァイ

    エレン「わ…」





    脱衣場でエレンを下ろすと、柔らかなタオルでエレンは身体をすっぽりとくるまれた。
  147. 147 : : 2014/08/03(日) 09:16:21
    柔らかなタオルにくるまったままリヴァイを見つめるエレン
    先程までの荒々しい【闇】の気配は嘘のように全く感じない。
    エレンは自分の傷口に触れてみる

    (塞がらない傷痕…【闇】の気配と血の匂い…一体おれの内で何が起こってるんだ?…)

    じわじわ流れ出して行く赤い血がエレンの心に暗い影を落とす…。

    リヴァイ「エレンッ!」


  148. 148 : : 2014/08/03(日) 10:20:02
    エレンの様子にリヴァイが駆け寄り声を掛ける。

    リヴァイ「エレンどうした?」

    エレン肩を掴んで顔を見つめるリヴァイ

    エレン「リヴァイ兵長…?…」

    リヴァイの声にふっと力が抜け膝から崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込んでしまう。

    リヴァイ「!エレンッ!!」

    エレン「兵長…なんか足に…力入らな…い…」

    リヴァイが【闇】に捕らわれた事、自分の傷と【闇】の関係…触れた傷から流れる血の匂い。
    傷痕から流れ落ちる血は胸を伝い腹部まで染め上げている

    リヴァイ「しっかり意識を保てッ!良いな?!」

    エレン「…大丈夫です…ごめ…ん…なさい…心配ばかり…か…けて」

    リヴァイ「馬鹿が…そんな事はどうでもいい…」

    力なく笑みを見せるエレンを抱き上げ急いでベッドへと運ぶ。





    ゆっくりとベッドにエレンを下ろし、傷口の手当をするリヴァイ
    濡らしたタオルで胸元に流れ出た血を拭き傷口にガーゼをあてがう。
    血の気の引いた蒼白いエレンの顔色にリヴァイは微かな恐怖を感じていた

    リヴァイ
    (エレン…)

    エレン「兵長…」
  149. 149 : : 2014/08/03(日) 22:35:42
    エレン「兵長…おれは…いつの日にか『人間』で無くなるでしょう……けど…それまでは貴方の傍に…『人間』として…貴方の傍で生きていたいです…貴方の傍で…『人』として戦って…傷ついて…笑っていたい…」

    傷の手当をするリヴァイに真っ直ぐな視線を向け本心を伝えるエレン
    リヴァイが【闇】に呑まれた姿を目の当たりにした時に不確かな思いが確信へと姿を変えてエレンの心に刻まれたのだった…

    リヴァイ「ッ!」

    言葉を失うリヴァイ

    エレン「…兵長…おれの我儘ですけど…もしその時が来たら…必ず貴方の手で…おれの命を…終らせて下さい…」

    それだけ伝えると静かに眼を閉じるエレンその
    閉じた目尻には一筋の涙がこぼれる。

    リヴァイ「ッ…このバカ野郎が…余計な事考えてんじゃねぇッ!お前は俺だけを見ていればいい!俺の傍で俺の事を追い掛けて来ればいいんだよ!!」

    エレン「兵長…ごめ…んなさ…い…でもっ…おれは…」

    瞳を閉じたまま呟くエレン
    自分の運命に気づいてしまったエレンはそれ以上何も言えず、リヴァイに謝るしかなかった…

    リヴァイ「もう…何も言わ無くていい……解ってるよ…」




  150. 150 : : 2014/08/03(日) 23:11:32
    リヴァイの答えに眼を開きリヴァイを見つめるエレンその目からは止めどなく涙が溢れる
    リヴァイは静かにその涙を指先で拭いて穏やかに語り掛ける。

    リヴァイ「なぁエレン…例えどんな事であっても お前が望むなら必ず叶えてやる…それが俺やお前にとって酷く残酷な結末でもだ……だから…今は…生きる事を考えてくれ………頼むから…」

    エレン「リヴァイ兵長…」

    苦々しい表情で話すリヴァイの声が微かに震えている事にエレンは身体を起こしリヴァイにすがり声を上げて泣いた。

    リヴァイ「エレン…」

    リヴァイはエレンを抱き締める
    強く、強く自分の想い全てがエレンに伝わるように願いながら…




  151. 151 : : 2014/08/03(日) 23:52:32
    長い時間泣き続け、リヴァイの腕の中で泣き疲れ眠ってしまったエレンをベッドに寝かせるとリヴァイはゆっくり立ち上がり窓辺に視線を移す。外が真っ暗なことに気付きベッドサイドに手を伸ばす

    リヴァイ
    (…俺がエレンの命を…終らせる日が…いや……考えても仕方無い事…だが…)

    ベッドサイドのランプに灯りを灯しながらリヴァイはエレンの言葉を思い返していた。
    小さな灯りに照されるエレンの顔を見つめる

    リヴァイ「…俺は…『神』なんて者信じちゃいねぇ…だが…お前の命を護れるなら…祈ってやる…いや…『悪魔』でもいい…お前を失うのは…お前の命を奪うのは…死んでもゴメンだ…」

    リヴァイは大きくため息を吐く。

    リヴァイ「エレン…お前の存在がこれ程デカくなっていたとはな…」









  152. 152 : : 2014/08/04(月) 01:17:12
    瞼に感じる灯りゆっくりと目を開くエレン
    その灯りがベッドサイドのランプだと確認して辺りを見回すと、ベッドの横の椅子に腰掛けて腕組みしたまま眼を閉じたリヴァイを見つけ声を掛ける

    エレン「リヴァイ兵長…」

    エレンの声に応え椅子から立ち上がりエレンの傍に歩み寄る

    リヴァイ「少しは落ち着いたか…まだ寝ていいぞ?」

    ベッドの縁に腰掛けてエレンの頭を撫でる
    くすぐった気に笑うエレンにリヴァイも笑顔を見せた。

    エレン「ここは兵長の部屋でベッドも貴方のですし…兵長も一緒に寝て下さいよ?」

    笑顔を見せながらリヴァイを呼ぶエレンに
    リヴァイは少しだけ困ったような顔をしながらもう一度エレンの頭を撫でた。

    リヴァイ「分かった…そうしよう…」

    シャツを脱ぎエレンの隣に横になるとエレンの髪がリヴァイの顔に掛かる。

    リヴァイ「!?」

    横を向くとエレンの顔をがすぐ真横にあった
    大きく澄んだ瞳がリヴァイを見つめている
    リヴァイが腕左を差し出すとエレンはニコッと笑いその腕に頭を預ける。
    エレンの少し癖のある髪がリヴァイの頬を擽る

    リヴァイ「…エレン?俺をからかってんのか?」

    エレン「…いいえ…からかってなんていません…誘ってるんです…」

    身体を起こしリヴァイの顔を見つめる印象的な大きな瞳がリヴァイを捉えて放さない

    リヴァイ「おいエレンっ…ッ!!」

    エレンの唇がリヴァイの言葉を遮る
    ぎこちないエレンの口付けにリヴァイはエレンを組伏せる。

    (ギシッ…)

    リヴァイ「俺を煽って…後悔するなよ…」

    リヴァイはエレンの肩に歯を立ててきつく吸い上げる

  153. 153 : : 2014/08/04(月) 12:40:07
    エレン「っ…んッ!…」

    リヴァイが触れた部分の熱さに思わず声が漏れるエレンの上気した顔を見つめながらリヴァイはエレンの耳元で囁く

    リヴァイ「エレン…お前がして欲しいことはなんだ?ちゃんと言葉で言って見ろ…叶えてやるから」

    エレン「ッ!……キ…ス…して下さい…」

    リヴァイ「…聞こえないもっとハッキリ言えよ?」

    エレン「キスして…下さいッ!…」

    言葉にしたと
  154. 154 : : 2014/08/06(水) 03:09:11
    エレンの唇を指先で軽くなぞり自分の唇を重ねる

    エレン「…ん…っ…」

    深く激しい口付けに息をする事さえ忘れ甘い感触に身体を委ねるエレン

    エレン「!」

    リヴァイの舌がエレンの口内を犯し始める。
    硬く閉じられた歯列を割りエレンの舌に絡み付く。

    エレン「!んッ!」

    (ピチャッ…)

    濡れた音が部屋に響く
    リヴァイが唇を離すと唾液がつっと糸を引きエレンの唇のはしから
  155. 155 : : 2014/08/09(土) 20:42:36
    期待です
    頑張って下さい(≧∇≦)
  156. 156 : : 2014/08/10(日) 09:23:07
    キターーーーー!!!
    甘エロ期待です!!!
  157. 157 : : 2014/08/10(日) 21:45:25
    ご期待に答えられるよう頑張って見ます!宜しくですっ!!
  158. 158 : : 2014/08/10(日) 22:57:09
    エレン「…あ…ンッ…」

    エレンの口から甘い吐息が漏れ、刹那げな瞳でリヴァイを見つめるエレン。

    (ドクン…ドクン…)

    エレンの薄く開いた唇…上気して潤んだ瞳にリヴァイの鼓動が高鳴る

    リヴァイ「…ッ…エレン…お前が欲しい…身体だけじゃなく…心も、お前の命も…俺だけのものにしたい…」

    エレンの濡れた唇に指先で触れながら独り言のように囁く。

    エレン「おれは…おれの全ては…貴方のものですから…」

    (チュッ…)

    そう応えると自分の唇に触れるリヴァイの手にそっと口付けた。
    エレンの唇の感触にリヴァイは何かが弾けるのを感じる…
    エレンを抱き寄せ首筋に舌を這わせた。

    エレン「ッ…ンッ!…あぁッ…」

    エレンの甘い喘ぎ声にリヴァイはエレンを押し倒し首筋から下へと唇をずらしていくつもの朱い痕を付けて行く。

    エレン「ぁ…へいちょ…ンっ!」

    リヴァイ「…俺と居る時は名前で良い…俺の名を呼べ…エレン」

    少しだけ戸惑いながらもエレンは素直にリヴァイを呼ぶ

    エレン「リ…ヴァイ?…っ」

    リヴァイの名を呼んだだけでエレンは顔を赤らめリヴァイから視線を反らしてしまった
    そんなエレンがいとおしくてリヴァイは優しい笑みを浮かべエレンを見つめる。

    リヴァイ「こっちを向けエレン…」


  159. 159 : : 2014/08/11(月) 00:49:45
    リヴァイ「どんな時も俺から目を反らすな(俺が)良いと言うまで」

    リヴァイの声にエレンは顔を赤らめたままリヴァイを見つめる
    自分を見つめるエレンの印象的な瞳に自分だけが有る事がリヴァイの心を満たしていく。

    エレン「?…へい…ちょ?…」

    (兵長)と言おうとするエレンの唇を口付けで塞ぎもう一度自分の名を呼ばせるリヴァイ

    リヴァイ「さっき言ったはずだぞ?エレン俺の名を呼べと…」

    クスッと笑ながらエレンに問うリヴァイ

    エレン「…リヴァイ…名前で呼ぶのって…なんか…恥ずかしい…です…」

    リヴァイ「良いんだ…俺が良いっつってンだからな…なぁ…今からもっと恥ずかしい事すんだぞ?…」

    そう言うと包帯に隠れたエレンの胸の傷に唇を落とす。
    エレンの身体がビクン!と大きく跳ねる

    エレン「!やっ…リヴァイっ…ンっ」

    エレンの声を聞きながらリヴァイの手がエレンの胸の突起に触れる

    エレン「ァ…くっ……リ…ヴァ…イ…ンっ!」

    リヴァイの名を呼びながら必死に声を押し殺そうとするエレン

    リヴァイ「エレン…我慢しなくて良い…もっとお前の声を聞きてぇ…」

    リヴァイの手がエレンの脇腹をなぞり太股を撫でる
    ゾクゾクする感覚にエレンは身を捩る。今まで感じた事の無い全身が痺れ熔けてしまいそうになる
    リヴァイの手がエレン自身に触れた。

    エレン「!!やッ…ダ…リヴァイっ…!」

    リヴァイ「…嫌じゃ無いだろ?…こんなに成ってるじゃねぇか…苦しいだろ?抜いてやるから大人しくしてろよ…」

    リヴァイの手にやんわりとエレン自身が包み込まれる。全身の力が抜けていくのを感じながらリヴァイを呼ぶエレン

    エレン「っ!…リヴァ…イ…だめで……ンッ…汚れちゃいます!っ!」

    必死に耐えるエレンにリヴァイは優しく応える

    リヴァイ「気にするな…お前のモノなら何ともねえ…さっさと吐き出しちまえ」

    膨らんだエレン自身が触れるリヴァイの手に限界に近づきつつある事を伝えている。

    クスリと笑うリヴァイ

    リヴァイ「やはり若いな…」
     
    そう言うとリヴァイは動きを早める
    すでにエレンはもう何も考えられず、リヴァイに与えられる感覚に身体を預けるしか無かった。

    エレン「も…だめッ…っ!…ァ…リヴァイっ!!やぁ…!…」

    エレンの身体がビクンと跳ねた瞬間リヴァイの手の内で自身を吐き出した。

    ぐったりとベッドに身体を預け荒く肩で息を吐くエレンにリヴァイが声を掛ける。

    リヴァイ「エレン?」

    エレン「ごめ…んなさ…い手…汚して…」














  160. 160 : : 2014/08/11(月) 04:01:09
    リヴァイ「謝る事じゃ無いだろ?」

    荒い息を整えながら腕を伸ばしてリヴァイを呼ぶエレン

    エレン「…リヴァイ…」

    上気して赤らんだ頬に、はにかんだ笑みを浮かべもう一度リヴァイの名を呼ぶ。

    エレン「…リヴァイ…貴方が…好きです…」

    リヴァイ「!…もう一度言ってくれ無いか?…」

    エレンの言葉がリヴァイの胸を熱くする 

    エレン「おれは…リヴァイが好きです」

    エレンの伸ばした両腕に吸い込まれるようにエレンを抱き締め深く口付けする。リヴァイの繰り返される口付けが麻酔のようにエレンの唇から身体へと広がって行く。

    エレン「ン…」

    リヴァイに与えられる甘い感触に酔っていると不意にリヴァイの唇が離れた。

    エレン「?…リヴァイ?」

    リヴァイ「チッ…エレン俺もそろそろ…限界みてぇだ…お前とのキスだけで……くそッ…」

    ばつが悪そうにガシガシと頭を掻くリヴァイ

    エレン「あ…」

    腰の辺りに硬いモノがあたるのに気づいてエレンはリヴァイに話し掛ける。

    エレン「…リヴァイ?最後まで…ね?…貴方もそのままじゃツラいでしょ?…」

    エレンの言葉に思わず息を飲むリヴァイ
    ついさっきまで口付けしていたエレンの唇は紅く濡れて、首筋には朱い痕が点々と残っている。
    リヴァイを見つめるエレンの瞳は熱に浮かされたように潤んでリヴァイの欲望を駆り立てる…

    リヴァイ「優しくはしてやれねぇかもしれないが…良いのか?…」

    エレン「はい…平気です…ねぇリヴァイ……おれも…貴方に触れ…たい…です…」

    リヴァイの中心部に手を伸ばすエレン

    リヴァイ「!!エレンっ!」

    エレンの行動にリヴァイの思考回路はショート寸前まで陥る。
    ズボンの上からでもエレンの手の感触が伝わりリヴァイは唇を噛む。

    リヴァイ「グッ…エレンっ…ちょっと待てって!」

    エレンの手を止めエレンを見つめるリヴァイ
    トロンとした瞳を向けるエレン薄く開いた唇が妙に艶かしくリヴァイの名を呼ぶ。

    エレン「…リヴァイ?…」

    リヴァイ「…そんなエロい声で呼ばれたら…もう…止まらねえ…」

    エレンの首筋に顔を埋めて噛み付くように強く吸い上げ朱い痕を残してく。

    エレン「んッ…く…んッ…」

    肌に痕を残していく度にエレンからは甘い喘ぎ声が上がる
    首筋から下へと舌を這わせエレンの太股を撫で上げエレン自身を扱き始めた。
    リヴァイの手の内で与えられた快感また起き上がり徐々に膨らんでいく。

    エレン「あっ!ん…はっ…あ…リ…ヴァ…イッ…!…またッ…やだッ…」

    リヴァイ「構わねえから…いけよ」

    エレン「うっ!…あぁッ…!!リヴァ…イッ…ふ…ン…」

    二度目の絶頂にエレンの瞳は涙が溢れ焦点が定まらずに身体は小刻みに痙攣している。
    リヴァイはエレンのモノで濡れた指を双方の丘の間に滑り込ませる。

    エレン「はッ…あぁ!ッ…ぅッ…」
























  161. 161 : : 2014/08/11(月) 07:50:40
    本来受け入れるようにはなっていないその場所にリヴァイのしなやかな指が深く割り込み押し広げていく。
    微かな痛みにエレンは声をあげる

    エレン「いッ!…う…だめッ…無理でッ…す」

    エレンの声を聞きながらもリヴァイはその指を止めない

    リヴァイ「力を抜けエレン…お前を傷付け無い為だ…もう…俺自身限界なんだよ…」

    苦し気に言葉を紡ぐリヴァイの様子にエレンはギュッと目を閉じてリヴァイの指を受け入れる。

    エレン「んッ…」

    リヴァイの首筋に回されたエレンの腕が僅かに震える。

    フッと口元を緩め微笑むリヴァイ

    リヴァイ「良い子だ…すぐ楽になるから…俺の事だけ考えてろ」

    リヴァイの優しい声に小さな声で応えるエレン

    エレン「はい…」

    リヴァイ「エレン………愛してる……ずっとお前を…」

    エレン「…おれも…貴方を……愛…してます…」

    エレンの言葉を合図にエレンの両足を開かせると自分の身体を滑り込ませた。

    焼け付くような激しい痛みに小さく悲鳴を上げるエレン。

    エレン「!!うあッ!!グッ!…うぅッ…くっゥ…」

    痛みに耐え兼ねリヴァイの背に爪を立てて必死に耐える
    そんなエレンを抱き締め耳元で囁くリヴァイ

    リヴァイ「俺にしっかり掴まってろ…少しだけ動ごくぞ?…」

    エレン「!」

    自分の身体の奥深くに入り込んで来るそれにエレンは意識が薄れていくのを感じて意識を手離さないよう唇を噛み締めリヴァイにすがり付く

    エレン「ッ!リ…ヴァイッ!…」










  162. 162 : : 2014/08/11(月) 15:01:10
    リヴァイ「ッ…エレン力を抜いてくれ…キツすぎて動け無いッ…」

    エレン「むっ…無…理ですッ!…どうッした…らい…かわかッ…な…んッ!…」

    リヴァイの下で苦し気に喘ぐエレンの頬を撫で唇を指でなぞる。触れた指先の感触にエレンは微かな喘ぎ声をもらした。エレンの身体から余分な力が抜けた事を感じてリヴァイはエレンの腰を浮かせ我が身を押し進める。

    エレン「!?ぅあっ…やぁッ…」

    自分の身体の奥深くから焼かれるような熱い感覚にエレンは大きな瞳を見開きボロボロと大粒の涙を溢す。
    リヴァイは優しく口付けを繰り返しエレンの痛みを逃がしてやる

    エレン「ンッ…あ…」

    繰り返されるリヴァイの口付けに段々下腹部の痛みが薄れ快感へと刷り変わっていく。
    リヴァイが動く度にそれはエレンの身体を満たして、快感だけに変わる

    エレン「ァ…んンッ…!は…もッ…や…だッ…」

    痛みとは違う感覚に何も考えられずにリヴァイにすがり付く。
    リヴァイ「エレン…何処にも行くな…俺の傍に…お前を失ったら…俺は…耐えられねぇ…」

    繋がったままエレンを抱き締め囁く。リヴァイの言葉にエレンは掠れた声で応える

    エレン「ッ…おれ…ハァハァ…何処…にもいか…な…リ…ヴァ…イの傍に…いるッ…」

    精一杯の本心をリヴァイに伝えるエレン
    その言葉だけでリヴァイは充分だった…

    リヴァイ「エレン…約束だ俺達が果てるその日まで…傍に居るんだ…」

    そう言うとエレンをもう一度強く抱き締めエレンの奥深くに自分を吐き出した。

    (ドク…ドク…)

    エレン「!?あぁッ!!や…リヴァ…イッ!」

    リヴァイの熱い体液を感じなから意識が薄れて行のが分かるエレン身体に力が入らない…。
    それでも、自分の身体を満たしていたのはリヴァイの体温と心臓の鼓動そして…


     
  163. 163 : : 2014/08/11(月) 15:11:10
    そして・・・?
    期待です!
  164. 164 : : 2014/08/12(火) 00:57:08
    リヴァイが傍に居る安心感からエレンはゆっくりと意識を手放した。

    リヴァイ「…エレン…」

    自分の腕の中で穏やかに眠るエレンに話し掛ける

  165. 165 : : 2014/08/12(火) 20:49:38
    甘~~~い!(//∇//) ハアハア
    期待ですぅ(#^.^#)

  166. 166 : : 2014/08/15(金) 01:07:59
    リヴァイ「なぁ…エレン…お前が生きていく為なら…どれだけこの手を汚しても構わねぇ…お前が笑って生きていられるように…」

    リヴァイの声にエレンの目尻には涙が伝う。流れ落ちる滴を指で拭き取りそっと抱きしめるリヴァイ。  

    リヴァイ「ゆっくり休め…傍にいるから………愛してる…お前以外他に…何も……欲しくない…」

    腕の中で小さな寝息を付くエレンの重さと熱さを感じてリヴァイもまた静かに眠りに付く。
    月明かりだけが二人の穏やかな寝顔を照らしていた…






    翌朝
    (ギシッ…)

    「ん…」

    ベッドの中伸びをしようとして自分の傍に人の気配で目が覚めたエレン。

    エレン「!?」

    驚いて目を見開くと目の前にリヴァイの顔がある!

    エレン「!!なッ?…何で兵長が?!………?……あッ!」

    あわてて自分の口元を両手で塞ぎ叫びそうになるのを堪えるエレン
    昨日の夜起きた事をハッキリと思い出して赤面する
    リヴァイの腕にすっぽり抱き込まれている事が昨夜のシーンをまざまざと思い出させてくれた。

    エレン「(///.///)」

    顔を真っ赤にして言葉に詰まっていると不意に自分を抱き止める腕が力強くエレンを引寄せる。

    エレン「!!」

    リヴァイ「…まだ寝てろ…エレン…」

    エレン「リヴァイ兵長ッ!起きてたんですか?!」

    腕の中でもがくエレンにリヴァイは何事も無かったかのようにサラリと言って除ける。

    リヴァイ「ウルせぇな…まだ寝てろてのが聞こえ無かったか?…」




  167. 167 : : 2014/08/15(金) 01:54:19
    抱き止める腕の力を緩め片手でエレンの額にかかる髪を払う。

    エレン「兵長っ」

    リヴァイ「…『リヴァイ』でいい…堅っ苦しい呼び方するな…昨夜言った筈だが?…」

    リヴァイの涼しげな眼差しにエレンは真っ赤になりながらなんと応えればいいか考えあぐねている。
    そんなエレンを引寄せてククッと笑うリヴァイ。

    リヴァイ「昨夜は俺の名を呼んだろう?」

    エレン「(///^///)……リ…ヴァイ…」

    顔だけで無く全身まで真っ赤になりながら『リヴァイ』の名を口にするエレン。
    リヴァイはエレンを強く抱き締め額に口付けした。

    エレン「ちょっ!?」

    リヴァイ「ちゃんと出来たら褒美をやらねぇとな…」

    エレンの頭を優しく撫でながらリヴァイは笑う
    エレンは少しだけ怒ったように抗議しながらもリヴァイの笑顔が嬉しくてつられて笑顔を見せた。
    リヴァイの普段からは決して見る事が出来ない貴重な素顔を独り占めしている事がたまらなく嬉しかった。
    イタズラを思い付いた子供のような眼でリヴァイを見つめるエレン。

    リヴァイ「なんだ?」






  168. 168 : : 2014/08/16(土) 09:35:37
    エレン「リヴァイの笑顔って何か良いなって」

    満面の笑みをリヴァイに向けるエレン

    リヴァイ「あ?」

    エレンを見つめながら、少しだけ照れた様子のリヴァイ

    リヴァイ「…あのなぁ~…俺が笑えるのはお前の」

    (コン、コン…)

    リヴァイの言葉を遮るように部屋のドアをノックする音が響く。



  169. 169 : : 2014/08/16(土) 22:28:38
    リヴァイは僅かに形の良い眉を寄せてベッドから出た。
    シャツを羽織るとドアの向こう側の人物に応える。

    リヴァイ「…なんだ?…」

    「すみません!まだお休みだとは思いましたが…」

    聞き慣れた声がドアの向こう側から聞こえる
    リヴァイは振り向きエレンを見た。
    エレンも身体を起こしてリヴァイを見る

    エレン「あの声は…アルミン…ですよね?…何か有ったんでしょうか?」

    リヴァイ「…」

    (カチャッ…)

    ドアの鍵を開け、外の人物を中に通す。

    アルミン「リヴァイ兵長、朝早くからすみません…エルヴィン団長からの伝達を伝えに来ました…」

    アルミンは申し訳無さそうにリヴァイを見る。
    リヴァイは無言のままアルミンの話を聞いている表情からその感情を読み取る事は不可能だった。
    エレンはベッドの上からアルミンの話を聞いている。

    リヴァイ「…続けろ」

    アルミン「…はいッ!エルヴィン団長からの伝達は明日もう一度壁外遠征に行くと…その際、エレンも同行するようにとの事でした…」

    エレン「明日…」

    リヴァイ「…解った…エルヴィンに伝えてくれ了解したと」

    アルミンはエレンに視線を向けた。それに気付いたリヴァイはアルミンに話し掛ける。

    リヴァイ「エルヴィンの部屋に行く…しばらく帰らないからエレンの傷のガーゼを替えてやってくれ」

    アルミン「あ…分かりました!」

    それだけ言うと、エレンの傍に腰掛けエレンの頭をクシャッと撫でる。
    微かな不安と困惑を隠せないエレンに笑顔を見せた

    リヴァイ「…そんな顔をすんな?心配ない…な?」

    エレン「はいッ!」

    リヴァイの顔を真っ直ぐ見つめ強く応えるエレン

    リヴァイ「それで良い」

    立ち上がり近くのソファーに掛けたジャケットを肩にかけるとドアの側に立つアルミンの肩に手を置き声をかける。

    リヴァイ「お前まで湿気た顔すんな…大丈夫だ」

    肩に置かれたリヴァイの手にアルミンは明るく応える。

    アルミン「そうですよね」

    アルミンの応えを聞いてリヴァイはドアを開け外に出て行った。


  170. 170 : : 2014/08/17(日) 01:59:48
    (ギシッ…)

    エレンのベッドに歩み寄ると隣に腰掛けエレンを見るアルミン
    エレンの肩にそっと手を置くと話し掛ける。

    アルミン「調子はどう?兵長とはうまくいってる?」

    聞き慣れたその声にエレンはアルミンを見つめる

    エレン「なぁアルミン…遠征の話はいつ決まったんだ?」

    アルミン「ん…昨日の訓練後に団長に呼ばれてね…」
  171. 171 : : 2014/08/17(日) 21:07:43
    言い淀むアルミンにエレンは冷静に応える

    エレン「前回現れた『巨人』の件だな?アルミン」

    アルミン「…そう…どんなに大きな傷も直ぐに回復出来たきみにこれだけのダメージを与える『巨人』…その目的を知る為にもエルヴィン団長は早期の遠征を決めたんだ…」

    エレン「…」

    アルミンの言葉を黙って聞く。
    あからさまに自分を狙っていると思われる『巨人』の正体…『目的』…そして、自分の内に蠢く『闇』…エレンは何故か総てが一つの意図で繋がっているような気がしてならなかった…。

    エレン「団長の決めた事だから従う。おれ自身やられぱなしは嫌だしな?」

    アルミン「エレン」

    アルミンはエレンの以外に冷静に状況を判断し理解している事に少しだけ安堵する
  172. 172 : : 2014/08/17(日) 23:59:46
    安堵したと同時にリヴァイからの言い付けを思い出してエレンに話し掛ける。

    アルミン「思った以上に落ち着いているから安心したよ。傷口のガーゼ代えさせてね?」

    穏やかな笑顔を見せながらエレンに尋ねる

    エレン「あぁ、頼むよ」

    包帯の結び目をほどきゆっくりとガーゼを剥がす。
    胸元の傷痕は酷く、一部はまだ塞がりきっていないが出血はもうほとんど無い様だ。

  173. 173 : : 2014/08/19(火) 10:07:37
    手早く消毒して真新しいガーゼに薬を染み込ませ傷口に重ねる。

    アルミン「痛みは無い?」

    エレン「ん…もうほとんど感じない、大丈夫だよ」

    エレンの返事に安心して包帯を巻いていくアルミン。窓辺から朝日が射し込み夜が開けた事を告げる鐘の音がなり響く。
    鐘の音を聞きながらエレンが口を開く

    エレン「なぁアルミン…明日の遠征でもし…おれに何か有ってもけして驚かないでくれよ…」

    アルミン「!?なっ…意気なり何言うのさ!?」

    エレンの言葉に驚き包帯を巻く手を止めた。




  174. 174 : : 2014/08/20(水) 08:04:32
    驚きを隠せないアルミンにエレンは静かに話を続ける

    エレン「そんなに驚かないでくれよ?前回の件を考えれば何が有ってもオカシイ事じゃない…どうやら(巨人)達の狙いはおれらしいしな…」

    淡々と話すエレンに微かな違和感を感じアルミンは尋ねる。

    アルミン「何か…あったんだね?…兵長は知ってるの…?」

    エレン「…いやなにも言って無い…でもおそらく何も言わなくても兵長は…気付いているだろうな」

    アルミン「…」

    エレンの言葉に考えこむ。
    (確かに…何が有ってもおかしくない状況だけど…一体何が起こると?…)

    (ガチャ…キィ…)

    ドアが小さな軋む音を立てて開かれる。
    二人は開かれたドアに視線を向ける

    エレン「兵長、どうでしたか?」

    リヴァイ「あぁ…」

    いつにも増して険しい表情のリヴァイにアルミンが尋ねる。

    アルミン「…納得しかねているんですね…」

    リヴァイ「…当然だ…だが…エルヴィンの考え方は間違いじゃねぇ…従うさ…アルミンお前もそう決めたから俺に伝えに来たんだろう?」

    アルミン「…はい」

    二人の会話である程度の状況を理解したエレン。ベッドから降りるとシャツに腕を通す。

    アルミン「エレン」

    リヴァイ「…」

    エレン「アルミン、おれはどんな困難な命令でも従う!幾ら考えたって仕方無い。」

    アルミン「…」

    エレン「兵長、エルヴィン団長の決めた事ならば従います。おれはもう平気です!迷いも在りません。」





  175. 175 : : 2014/08/21(木) 21:48:32
    エレンの瞳には強い決意が秘められている。

    アルミン「エレン?…」

    その決意の裏にあるものがアルミンの心に言い様の無い不安が押し寄せる。言葉に詰まるアルミンにエレンは声をかける

    エレン「アルミン」

    アルミン「え?」

    エレン「朝食の時間だろ?先に行っててくれ、おれも直ぐに行くからミカサの奴お前まで居ないと騒ぎだしちまうからさ!」

    軽い口調で明るく話すエレンにアルミンは少しだけ考え込むがエレンの言葉に従う事にした。

    アルミン「…そうだね…そうするよ…じゃあまた後でね?」

    ぽんとエレンの肩を叩くとリヴァイに会釈して部屋を後にした。





    (パタン…)

    アルミンの後ろ姿がドアの向こうに消えるのを見送ったエレン
    リヴァイは手近なソファーに深く腰を降ろしエレンを見る。




  176. 176 : : 2014/08/22(金) 08:36:01
    リヴァイは一つ大きく息を吐き出しエレンを呼ぶ。

    リヴァイ「エレン」

    エレン「はい」

    リヴァイに応え傍に歩み寄るエレンの腕を引寄せ抱き締める。

    エレン「…リヴァイ?」

    リヴァイ「…」

    何も言わないリヴァイの想いが抱き締められた腕から伝わってくる
    その想いに応えるようにエレンはリヴァイに話し掛ける。

    エレン「心配しないで…おれは必ず貴方の傍に居ますから」

    リヴァイ「…当たり前だ…俺の眼が黒い内は勝手な事は許さねぇ…」

    リヴァイは抱き締める腕に力を込める不安を打ち消すように強く強く…
    エレンの身体から伝わる体温がその存在をリヴァイに伝えてくる。
    鼓動が小気味良いリズムを刻んでいるのを感じながらも、リヴァイの心は晴れなかった…

    エレン「…リヴァイ…」

    エレンの声に抱き締める腕を緩めその身体を解放する。

    リヴァイ「悪い…」

    エレン「何も心配しないで…明日の遠征だけを考えましょう!ね?」

    リヴァイの手を取り穏やかな笑顔を向けると更に言葉を続ける。

    エレン「さぁ立って下さい!そんな顔貴方らしく無いですよ!!」

    (グイッ!)

    リヴァイ「!?」

    リヴァイの両腕を引っ張り立たせるとリヴァイの頬に顔を寄せて軽く口付ける。
    不意討ちを喰らったリヴァイは瞬きも忘れその場に立ち尽くす。
    そんなリヴァイにエレンは笑いながら声を掛ける

    エレン「今からいろんな事考えたって何にも成らない全ては明日考えましょう」

    リヴァイ「そうだな…」

    苦笑を浮かべエレンに応えるリヴァイ。エレンも笑顔でリヴァイを見つめる

    エレン「そろそろ食堂に行きましょう、おれもう腹ペコです」

    そう言いながら自分のジャケットに腕を通し身支度を整えているとリヴァイがその手を止めた。

    エレン「?リヴァイ?どうし…」

    リヴァイはエレンの襟首を掴むと強引に口付けする。

    エレン「ん!?ッ!」

    襟首から手を放しニヤリと笑う。

    エレン「(////)いきなり何なんですか?!」

    エレンの抗議の声に一言返す。

    リヴァイ「さっきの御返しだ」

    言い返しても無駄だと判断して抗議を諦めたエレン

    エレン「…もう良いです…早く食堂行きますよ?」

    リヴァイはククッと込み上げる笑いを抑えエレンに応える

    リヴァイ「あぁ、分かった」

    リヴァイも支度を整えてエレンと二人部屋を後にした。





  177. 177 : : 2014/08/23(土) 22:30:37
    食堂に続く廊下を歩く二人ただ靴音だけが響く。

    (カツン…コツン…カツン…コツン…)

    リヴァイの後ろを付いて歩くエレンに足を止めてリヴァイが声をかける。

    リヴァイ「傷はもう良いのか?…」

    エレン「え?あぁ、もう平気ですよ?血も止まりましたから」

    リヴァイ「…そうか…」

    少しだけ複雑な表情を浮かべるリヴァイ
    エレンは大きく息を吸い込むとリヴァイの勢いをつけ名を呼ぶ

    エレン「…リヴァイ!!」

    リヴァイ「!!いきなりデカイ声を出すんじゃねぇ…聞こえてるよ」
  178. 178 : : 2014/08/24(日) 21:15:42
    眉間にシワを寄せエレンに応えるリヴァイ
    リヴァイの応えにエレンは怒りを含んだ声で話し掛ける。

    エレン「リヴァイ!貴方はおれの…いや…全ての団員にとって最強の兵士なんです!!貴方の背中に背負ったその『翼』を信じ皆戦い続ける…なのに…貴方にそんな不安な顔されたら…どうすればいいか解らなくなりますッ!」
  179. 179 : : 2014/08/24(日) 22:21:50
    エレンは自分の気持ちも込めてリヴァイにぶつける。
    どんな結果が待っていても、例えリヴァイと離ればなれになるとしても…それでも『人類』のそして自分の命を引き替えにしてでも守りたい愛しいひとの『自由』を手にするた迷いも不安も全てを押し殺し戦い抜くと決めたのだ…。
    エレンはリヴァイの胸元をドンッ!と拳で殴る。

    リヴァイ「エレン…」

    エレン「…リヴァイが迷っていたら…おれは…どうしたら良いんですか?!…」

    真剣な眼差しがリヴァイを見据える
    エレンの強い決意が瞳の奥揺らいでいるのを感じエレンに応える。

    リヴァイ「エレン、お前の決めた事を否定したりはしない…お前が望むならば、どんな結末でも受け入れよう…だが…」

    言い掛けたリヴァイの言葉をエレンが遮る。




  180. 180 : : 2014/08/25(月) 22:24:05
    エレン「リヴァイ兵長その先の言葉は…聞きません。」

    きっぱりと言い切るエレンの声は強い意志に充たされていた。
    自分の言わんとした言葉を理解しての応えだと解ったリヴァイは言い掛けた言葉を胸の内に深くしまい込む。

    エレン「今、この瞬間からは『リヴァイ兵長』として堂々として下さいね?」

    リヴァイ「…あぁ、分かった」

    短く返事を返すと微かに眉をひそめ、視線をエレンから反らし静かに目を閉じる。

    大きく息を吐き出し、ゆっくりと目を開くとリヴァイは何時もの『兵長』としてエレンを見据える。
    エレンはそのリヴァイの姿をを少しだけ切なく見つめ、笑顔で応える。

    エレン「やっぱり貴方は『兵長』が一番合ってますね。」

    リヴァイ「…」

    エレン「さぁ急いで朝食に行きましょう!食いそびれたまま兵長にシゴかれるのだけは勘弁ですから。」

    わざとらしく首をすくめて笑顔を見せた。おどけて見せるエレンにリヴァイは苦笑を浮かべエレンの首に腕を回しグイッと引き寄せた。

    リヴァイ「エレン…無理に笑うな…」

    エレン「兵長…」

    首に回されたリヴァイの腕は力強くエレンの心を包み込むように確かな安らぎを与えてくれる。

    エレン「兵長…?」

    リヴァイ「なんだ?」

    エレン「あの、そろそろこの腕ほどいて貰えませんか?…」

    リヴァイ「別に構わねぇだろ?」

    エレン「嬉しいけど…このままじゃ食堂に行けませんよ?」

    リヴァイ「そうだな」

    エレンの抗議の言葉を聞いているのかいないのか、腕に力を込めそのまま歩き出す。









  181. 181 : : 2014/08/28(木) 22:32:09
    リヴァイに羽交い締めれた格好のまま連れられて歩きながらリヴァイに尋ねる。

    エレン「兵長、このまま食堂に行くつもりですか?」

    リヴァイ「?」

    エレン「兵長の腕…暖かくて好きなんですが、このまま行くのはまずく無いでしょうか(∵`ハンジさんとか、…それにミカサも居るでしょうし」

    リヴァイ「…離して欲しいか?」

    淡々とした口調で答えるリヴァイ

    エレン「そうですね。歩きづらいし離して頂けると有り難いですけど?」

    少し考えてリヴァイはエレンに応える。

    リヴァイ「仕方ねぇな、開放してやる…だが、条件がある」

    エレン「条件ですか?…何でしょうう?」

    首を傾げながらリヴァイさの条件が何なのか考えるエレン。

    リヴァイ「俺にはどんな些細な事でも隠さず話せ…嘘をつかずに誓えるなら離してやる」

    エレン「…はい、誓います!」

    リヴァイ「…ならいい…」

    ハッキリとした口調で答えたエレンの首から腕を離すとリヴァイは渡り廊下から見える空に視線を移す。
    遥か遠くに聳え立つ壁を軽々飛んでいく鳩の姿を視線だけで追う。

    エレン「兵長?」



  182. 182 : : 2014/08/29(金) 09:43:00
    鳩の飛んで行った塀を見つめたままリヴァイは呟く。

    リヴァイ「…けして…死なせない…失わねぇ…」

    エレン「え?」

    リヴァイの呟きを聞き取れず聞き返すエレン

    リヴァイ「…何でもねぇ…行くぞエレン」

    振り向きエレンに視線を送ると食堂に向かいスタスタと歩き出す。

    エレン「!待って下さいよッ」

    先を歩くリヴァイの背中をエレンは慌てて追い掛けた。



    食堂にて

    食堂の扉が近くなるとガヤガヤとした喧騒と雑談する声が聞こえて来る。

    エレン「あ、俺が開けます」

    扉を開くとエレンの姿を目ざとく確認したミカサが駆け寄る。

    ミカサ「エレン!」

    エレンの両肩を掴み異常が無いか確認する。

    エレン「ちょ!ミカサっ痛てぇって…力加減しろよ!!」

    ミカサ「あ、ごめんなさい…」

    エレンの苦情に申し訳なさげに両肩から手を離してエレンに謝る。

    「ミカサ.アッカーマン」

    エレンの背後に居る人物に名を呼ばれ険しい視線をその人物に向けるミカサ。

    ミカサ「…リヴァイ兵長…何でしょうか?」

    リヴァイ「出入り口を塞がれちゃ中に入れねぇんだかな?」

    エレン「すみません兵長!今どきますので」

    リヴァイに冷ややかな視線を向けるミカサの腕を強く引きリヴァイを通すエレン。
    二人の横を通り過ぎるリヴァイ

    リヴァイ「エレン朝食を済ませたら訓練施設に来い。分かったな?」

    エレン「はい!了解ですっ」

    リヴァイはミカサに視線を向ける。エレンの返事に頷くとそのまま奥の団長達の座るテーブルに歩いて行く。



  183. 183 : : 2014/08/29(金) 10:21:57
    リヴァイへ向けられる鋭い視線にエレンはミカサに呆れながら話し掛ける。

    エレン「なぁ?ミカサ…いい加減リヴァイ兵長を敵視するの止めろよ…」

    ミカサ「…無理…あの人はエレンを…傷付け過ぎるから…許せ無い」

    ミカサの答にそれ以上話をしても埒が明かないとエレンは大きくため息をつく。

    エレン「…もぉいいわ…取り敢えず飯食おう。おれは何処に座れば良いんだ?」

    とにかく今は朝食を摂る事を優先しようと話しをそらすエレンだった。


  184. 184 : : 2014/08/29(金) 13:45:34
    ひとまずミカサを座席に座らせ自分も席に着くと、後ろからアルミンが声をかけて来た。

    アルミン「遅かったね?はい、エレンの分持って来たよ」

    ニコッと笑うとアルミンはパンやスープの乗ったトレーをエレンに差し出すと向かい合わせの席に腰掛ける。

    エレン「おぅ、アルミンありがとな」

    ミカサ「…アルミン…もう食べたの?」

    ミカサの問に応える。

    アルミン「うんミカサより早く来たからね」

    二人の他愛もない会話を聞きながら朝食を摂る。こんな朝は久しぶりだと思うエレン。
    明日の朝また遠征に出る事以外は全てエレンが寝込む前と変わらない時間が流れていた。


    あらかた食べ終わり片付けようと席を立った時ミカサが口を開く。

    ミカサ「エレン…本当はリヴァイ兵長と一緒に居るの?」

    (∑(0д0) えっ!?!)

    アルミン「∑!!」

    いつもながらミカサの動物的な勘はかなりの正確さでエレンを追詰めて行く。
    追詰められているエレンにアルミンが助け船を出す。

    アルミン「いきなり何を言い出すのさミカサ?ほら、エレン困ってるよ」

    エレン「だから、いい加減にしろって!なんで何時もリヴァイ兵長を出してくんだよ?」

    ミカサ「…何時もエレンの後ろに兵長が居る…なぜ?…」

    言いながらリヴァイの居る方へ視線を向ける。
    エレン達のやり取りを見ていたリヴァイとミカサの視線がぶつかる。
    睨みつけるような冷たい視線がリヴァイに向けられる

    エレン「おいっ!ミカサ!!」

    アルミン「ミカサ!」

    今にもリヴァイの元に殴り込みしそうなミカサを止ようとした時、リヴァイの方から三人のそばに歩いて来た。

    アルミン「リヴァイ兵長!」

    リヴァイ「…エレン食事は済んだな?行くぞ」

    エレン「え?…あ、はいっ…て…わっ!」

    エレンの手首を掴むと有無を言わさず連れて行く。

    ミカサ「待って下さい…エレンを何処に連れて行くんですか?…」

    リヴァイ「あ?何処にだと?…決まってんだろ訓練場だが」

    眉一つ動かす事無く淡々と言葉を吐くリヴァイ
    一触即発状態に先程までの喧騒が嘘のように静まり返って事の成り行きを見守っている



  185. 185 : : 2014/08/29(金) 20:08:51
    さ、三角関係…(;゜∀゜)ゴクリ
    期待です!
  186. 186 : : 2014/08/30(土) 21:18:04
    しんと静り返った食堂の中、誰一人として動ける者は居ない。そんな空気を打ち破ったのはリヴァイの一声だった。

    リヴァイ「ミカサ.アッカーマン。訓練をさせるのは死なない為にも必要不可欠だ…まぁ、俺に付いて来るか決めるのはエレン自身だがな?」

    顔色一つ変えず視線だけをミカサに向ける。あからさまな挑発しているリヴァイの言葉にエレンは、この状態が一触即発な事を理解しているためなんと応えれば良いか困惑しきっている。
    そんなエレンを見かねミカサがリヴァイに問う。

    ミカサ「…貴方の言い分は理解しました決めるのはエレンですよね?」



  187. 187 : : 2014/08/31(日) 02:44:04
    ミカサはエレンに尋ねる。

    ミカサ「エレン…無理して訓練に付き合わなくていい。明日の遠征も私があなたを守るから安心して」

    エレンに声を掛けリヴァイを貫くような眼差で睨む。
    リヴァイも冷ややかにミカサを見る

    ミカサ「貴方は信用出来ない…エレンは私の大切な『家族 』なので…私が守る!貴方には渡さない」

    エレン「ミカサ?…」

    いつもとは明らかに違うミカサの態度に戸惑うエレン。
    側にいるアルミンさえもリヴァイとミカサのやり取りを見守るしかなかった。
  188. 188 : : 2014/08/31(日) 12:19:56
    リヴァイとミカサ二人の只ならぬ気配にエレンは頭を掻きながら助けを求めアルミンに視線を送る。
    エレンの視線にアルミンは意を決し口を開く。

    アルミン「エレン、君が思う通りで良いんだよ」

    エレン「…」

    アルミンはリヴァイとミカサに話し掛ける。

    アルミン「リヴァイ兵長、ミカサを挑発するのは余り関心出来ませんよ,周りが見えていないのですか?それから…ミカサ、エレンは君の『家族』でけして失いたく無い存在なのは重々承知してる。でもエレンの意思を無視して良い筈ないよね?」

    ミカサ「…」

    言葉を詰らせるミカサ
    黙ったままアルミンの話しを聞くリヴァイ

    アルミン「エレン君の気持ちは決まっているんだろう?それに従って行動したらいいんだ。それで良いよね?ミカサ」

    ミカサ「…エレンが決めたならそれで…」

    リヴァイ「あぁ…それでいい」

    二人共静かにエレンの答を待つ。

    …しばらくの沈黙が辺りを包む。
    アルミンはエレンに小さく頷き答るように促す。
    穏やかなアルミンの表情に頷きミカサに話し掛ける。

    エレン「ミカサおれは兵長と行く。自分の事は自分で守れる…その為にはリヴァイ兵長といる事が一番だって思う」

  189. 189 : : 2014/08/31(日) 17:34:08
    エレン「…悪いミカサ…俺が自分で決めたんだもう俺に固執しないでくれ…行きましょう兵長」

    ミカサにはっきりと自分の意思を告げリヴァイと食堂を後にする。

    ミカサ「エレンっ」

    エレンを追おうとするミカサの腕を掴んで首を横に振るアルミン

    ミカサ「離してっアルミン!エレンが…」

    アルミン「…駄目だよ…ミカサ…エレンが自分で選んだ…今はエレンの意思を尊重するべきなんだと思うよ」

    ミカサ「…」

    アルミン「それに今追い掛けたらエレンとの距離は離れてしまうばかりだよ?…」

    諭すように穏やかなアルミンの言葉をミカサはただ漠然と聞いていた。

    (エレン…なぜ?私を選んでくれないの?…なぜ…兵長を…)

    エレンの去った扉を見詰め呆然と立ち尽くすミカサは言いようの無い虚無に包まれていた…。



  190. 190 : : 2014/09/01(月) 06:20:22

    (コツン…コツン…コツ…)

    訓練場に向かう渡り廊下に二人の靴音が響く。

    リヴァイ「おいエレン」

    リヴァイに呼ばれ足を止めてリヴァイを振り返るエレン。

    エレン「…何ですか?」

    リヴァイ「いい加減腕を離せ…」

    エレン「!?わっ!すっ、すみませんッ」

    慌てて掴んでいたリヴァイの腕を離す。







  191. 191 : : 2014/09/01(月) 10:38:44
    リヴァイの腕を離してエレンはリヴァイの顔を見る。

    リヴァイ「なんだ?言いたい事が有るなら言え…」

    リヴァイの言葉にエレンが続けて話し掛ける。

    エレン「…なぜミカサを挑発したんですか?…」

    リヴァイ「…気に入らねぇ…」

    ボソッと呟きエレンの襟首を掴む。

    エレン「え?」

    リヴァイ「俺以外の奴が…お前の側にいるのは気に入らねぇ…お前は俺を…俺だけを見てればいい」

    エレン「リヴァイ兵長…」

    (グイッ!)

    掴んだ襟を一気に引き寄せるとエレンの肩口に自分の額を押し当てる。

    リヴァイ「…クソッ…」

    エレン「兵長?…どうしたんですか…」

    エレンはリヴァイの背中に両腕を回しリヴァイを抱き締めた。

    エレン「おれは貴方を選んだんです…大丈夫!離れたりしません」

    やんわりと腕の力を抜きリヴァイに語り掛ける。

    エレン「…リヴァイ?ちゃんと貴方の傍に居るのに見てはくれないのですか?」

    エレンの言葉にリヴァイは顔を上げた。リヴァイの顔覗き込みながらエレンは人懐っこい笑顔を見せる。

    エレン「ね?ちゃんと居るでしょ」

    リヴァイは掴んでいた襟首から手を離すとエレンを見据える。
    エレンの笑顔に自分の独占欲がくだらない事だったと改めて感じるリヴァイ。

    リヴァイ「…悪かった…」

    エレン「…さぁ、明日の遠征のために訓練しましよう」

    いい終わるとエレンはリヴァイの顔に近づく。

    リヴァイ「エレン?…!」

    リヴァイの頬に軽く口付けして笑う。

    エレン「早く行きますよ!」

    不意打ちに驚き固まったリヴァイにいたずらっ子の様に笑顔で走り出す。

    エレン「ほら、早く行きましょうって!時間は待ってはくれませんよ?」

    走り出すエレンの姿にリヴァイは笑った。

    リヴァイ「ハハッ…全く…お前にはかなわねぇな…エレン!覚悟しろよ?みっちり鍛えてらるからな!」





    先に走り出したエレンを追いかけるようにリヴァイも訓練場へと駆け出した…。





  192. 192 : : 2014/09/01(月) 11:48:44

    訓練場 森の中



    グリップを握り締めアンカーを巻き取る。凄い勢いで巻取られるワイヤー、装着したベルトに全体重を預け攻撃対象である仮想巨人のうなじめがけて刀身を振り下ろす。

    「うぉぉッ!!」

    (バシュッ!)

    「切り込みが浅いッ!」

    すぐ後ろから飛び込んだ人影がさらに深く抉り削ぎ落とした。

    (ザシュッ!!)


    2本のブレードが鋭く項をえぐる。
    もう一度アンカーを近くの幹に打ち込み地上へと降り立つ。

    リヴァイ「エレン!切込みが浅すぎる!!目標物の判断が遅い…もう少し遠心力でブレードを叩き込め」

    エレン「はいっ!」

    エレンはリヴァイの削いだ切込みに目を向ける。
    鋭く深い切込みにはエレンが斬り込んだよりも深く的確に『縦1m横10cm』を抉り削いでいる。

    エレン「…まだまだ…リヴァイ兵長には追い付いていないって事か…」

    エレンの直ぐ側に降り立つとリヴァイが声を掛けた。

    リヴァイ「…エレン少し早いが切りあげるぞ」

    エレン「え?まだやれます!」

    リヴァイ「訓練に打ち込むのは悪いことじゃ無いが、明日のために立体機動装置も点検整備しなきゃならねぇ…それに…上を見てみろ?」

    リヴァイに言われるまま空を仰ぐ。
    いつの間にか木々の隙間からドンヨリとした薄暗い雲が雨を含んで低く垂れ込めていた。

    エレン「あ」

    ポツンと一粒の雨がエレンの頬に落てくる。

    リヴァイ「分かったか?どうも本降りに成りそうだ…その前に宿舎に戻るぞ」

    エレン「了解しました!」
  193. 193 : : 2014/09/01(月) 22:48:21
    朝の陽射しが嘘のように澱んだ雲に隠されポツポツと大粒の滴を落とす。
    雨粒は段々と勢いを増して、急ぎ宿舎に走る二人を容赦無く濡らしていた。

    リヴァイ「降り出しやがった…急げエレン」

    エレン「はいっ」

    雨はますます強くなる。
    ずぶ濡れになりながら先を走るリヴァイはふと森の中の資材置き場を思い出しエレンに話す。

    リヴァイ「この先に資材置き場がある、そこで雨が小振りになるのを待つ。いいな?」

    エレン「分かりましたっ」

    素直に従いリヴァイの後を走り資材置き場へと急ぐ
    真冬では無いがまだ肌寒い季節、土砂降りの雨に長く打たれずぶ濡れでは芯から体温を奪われる…
    エレン自身かなり体力が落ていた。

    しばらく薄暗い森を走ると小さな小屋が視界に飛び込んできた。
    小屋の軒下に走り込み二人は空を仰ぐ。
    病みそうもない雨を恨めし気に睨むリヴァイ

    リヴァイ「止みそうもねェな…」

    エレン「そうですね…このまま宿舎まで走りますか?」

    そう言いながらエレンの身体は身体は刻みに震えている。
    無理も無い事だった…ただでさえ体力が落ちている上にこの冷たい雨に打たれずぶ濡れで体温を奪われてはたまったものではない…

    リヴァイ「寒いか?」

    エレン「大丈夫ですよ」

    笑って応えるエレンそれでも身体の震えは止まらない。

    リヴァイ「少し待ってろ…」

    そう言うと物置の扉を引く。

    (ガチャガチャッ…)

    鍵が掛かっていて開かない
    リヴァイはホルダーからグリップを抜くと刀身を装着して扉の取っ手部分に一気に振り下ろす。

    エレン「兵長っ?!」

    鍵の部分だけを綺麗に落すと扉を開け中へと歩みを進める。

    リヴァイ「エレン中に入れ…外よりはマシだ」

    エレンを内側に





  194. 194 : : 2014/09/02(火) 04:15:23
    エレンを内側に呼び扉を閉める。

    リヴァイ「とりあえずジャケット脱いで絞っとけ…」

    エレン「あ、はい…」

    寒さでカタカタと小刻みに震える手で言われた通りにジャケットを絞り水分を抜く,リヴァイは辺りを見回して暖を摂れそうな物を探す。棚の奥に布地を見つけ引き出した それは模擬巨人のうなじを作るための布地だった細かく編み込まれ厚手のその布地のは濡れた衣服を着ているよりも遥かにマシだろう。
    リヴァイはエレンにその布地を手渡す。

    リヴァイ「着てる物全て脱いでそれを羽織ってろ…濡れた衣服着てるより温かい筈だ」

    リヴァイは入り口付近の棚を漁る

    リヴァイ「お、ここに有ったか…」

    野営訓練に使う大鍋と火打ち石を手にエレンの傍に戻る

    エレン「兵長?それをどうするんですか?」

    キョトンとリヴァイに尋ねる。
    リヴァイは近場に無造作に積まれた角材を膝で折り大鍋の中へ放り込む古びた書類の束に火打ち石を数回打つと火花が散り火種が移る。
    それを角材の下に仕込んでしばらくすると角材に火が移りじわじわと燃え始めた。
    火が起こった事を確認してリヴァイはジャケットを脱ぎ起動装置を取外す。

    リヴァイ「上から下までびしょ濡れだ…冷え…」

    シャツを脱ぎ絞ると、大鍋の前にしゃがみ込む。

    エレン「一緒に羽織りませんか?以外に温かいですよ」

    エレンは布の片方を持ち上げリヴァイを呼ぶ。
  195. 195 : : 2014/09/02(火) 16:46:09
    止む気配の全く無い雨にリヴァイは大きな溜息をつきながらエレンの隣に腰を下ろす。

    エレン「兵長、こっちをどうぞ」

    笑顔でリヴァイに広げた布地を肩に掛ける。意外にも温かかった事に少し驚いたようだった。

    リヴァイ「…悪くない…」

    エレン「ね?意外に温かかいでしょ…兵長明日も雨降りますかね…」

    先程よりも更に降り出した大粒の雨は二人の居る小屋の屋根を激しく叩く。

    リヴァイ「明日の事は分からん…まぁ、例え雨でも遠征は実行される…」

    大鍋に角材を投げ入れながらリヴァイは言う。





  196. 196 : : 2014/09/03(水) 05:16:31
    リヴァイ「…どんな結果なのか蓋を開けてみなけりゃ分からない…か」

    エレン「そうですね…」

    リヴァイ「エレン?」

    リヴァイの言葉にエレンは頷きリヴァイの肩にもたれ掛かる。

    リヴァイ「寒いのか?」

    エレン「少し…」

    応えるエレンの身体は小刻みに震えている
    もたれ掛かるエレンの肩を引き寄せ羽織った布を掛け直すリヴァイ
    触れたエレンの身体は酷く冷え切っている…

    リヴァイ「もっと傍に来い」

    エレン「え?」

    リヴァイ「知ってるか?冷えた身体を温める手取り早い方法が有るんだが」

    グイッとエレンの身体を引き寄せ抱き締める。

    エレン「!」

    リヴァイ「こうやって裸で抱き合うのが一番体温を失わずに済むんだ」

    抱き締められたままエレンが呟く。





  197. 197 : : 2014/09/03(水) 08:52:00
    エレン「雨…止みませんね…」

    リヴァイ「ん?…そうだな…まぁその内止むさ…」

    リヴァイはエレンの身体が少しずつ体温を取り戻し震えが止まったのに安堵する。

    リヴァイ「震えが止まったな」

    エレン「はい…兵長もう大丈夫ですありがとうございます。 」

    エレンが礼を伝え身体を離そうとするとリヴァイがそれを拒否する。

    リヴァイ「じっとしてろ…」

    がっしりとエレンの身体を抱き直し静かに目を閉じる。

    エレン「あのっ兵長」

    リヴァイ「…『リヴァイ』でいい」

    目を閉じたまま応えるリヴァイ
    パチパチとはぜ燃える音を聞きながらエレンはリヴァイの名を呼ぶ。

    エレン「…リヴァイ…あの…」

    リヴァイ「何だ?」

    エレン「ホントにもう平気ですから、離して下さい…」

    目を開けてエレンを見るリヴァイ
    うつ向き表情を見せないエレンにリヴァイが声を掛ける。









  198. 198 : : 2014/09/03(水) 15:15:38
    リヴァイ「なぁエレン…生まれ変われるとして巨人の居ない時代に産まれ育っても俺達は出逢えると思うか?」

    エレン「リヴァイ?いきなりどうしたんですか?」

    顔を上げリヴァイを見つめる。

    エレン「…きっと出逢うと思います。…少なくともおれは貴方を絶対に忘れたりしません…必ず捜し出してまた恋をします」

    笑顔で応えるエレン
    思いもしない答に驚きの表情を浮かべるリヴァイ。

    リヴァイ「そうか。」

    胸の奥が熱くなるのを感じながらリヴァイはもう一度エレンを抱き締めた。

    エレン「ちょ…リヴァイっ苦しいっ
    力抜いてっ」

    リヴァイ「温めててやってんだ…文句言ってんじゃねぇぞ?」

    エレン「うぅ~」

    居心地悪そうにモゾモゾ身体をよじるエレン。
    それでもリヴァイの肌の温もりに逆らえずエレンは素直にリヴァイの腕の中に収まる
    リヴァイは小さく笑うとエレンに視線を向ける。

    リヴァイ「大人しくしてろ…」

    エレン「…はい」

    外の雨は止む気配さえ無いまま降り続いている…。






  199. 199 : : 2014/09/03(水) 18:39:35

    (ピカッ!…ゴロゴロゴロ…)

    腕の中でいつの間にか小さな寝息を立てているエレンを起こさないようそっと寝かせて換気用の小窓から外を覗くリヴァイ。

    雨は先程よりも激しさを増し、雷までが空を被っている…

    リヴァイ「…参ったな…」

    右手で前髪を掻き上げるとエレンを見つめる

    (この雨は止みそうにねぇし…有難い事に雷のオマケ付き…エレンもまだ本調子とは言えない…)

    リヴァイ「俺だけで一旦宿舎に戻るか…」

    独り言のように呟くリヴァイ

    (カッ!!ドオォォッ…)

    リヴァイ「落ちたナ…かなり近く見てぇだが…」

    入り口の側まで歩みを進め扉を開くと土砂降りの暗い森の奥に小さな灯を確認する。
    小さな灯は段々とこちらに近づいて来る
    リヴァイは目を凝らしてその灯を見詰めるとかすかな声が聞こえて来る

    「大丈夫ですかっ!?兵長とエレンが戻ら無いと皆が心配していますっ!」



  200. 200 : : 2014/09/03(水) 22:46:53
    (バシャバャバシャッ!…)

    水飛沫を上げリヴァイの元に走り込んで来たのはアルミンとミカサだった。

    アルミン「ハァハァ…ハンジ分隊長から…森に行ったと聞いて…雨が酷く…なったからっハァハァ…」

    必死に探したのだろう。
    息も絶え絶えなアルミンとミカサを労うリヴァイ

    リヴァイ「すまんなアルミン、ミカサ…助かった」

    大きく深呼吸し息を整えて改めてリヴァイに応える。

    アルミン「いいえっ多分エレンの事だから天候を見ずに訓練していたんでしょうから。」

    アルミンの後に続きミカサが口を開く。

    ミカサ「…これを…雨具を持ってきました…」

    淡々とした口調で二人分の雨具を手渡す。

    リヴァイ「あぁ」

    受取ると二人を小屋の中に入るように促す

    リヴァイ「エレンは中だ…今は寝てる」

    リヴァイの後に続き中へと足を進めると白い布地にくるまっているエレンが視界に入った。

    アルミン「呑気だなぁエレンてば…」

    ミカサ「エレン…」

    穏やかな寝顔にホッと胸を撫で下ろす。同じくアルミンも安心したようだった

    エレン「ん…」

    聞き覚えのある声にエレンが目を覚ました。

    エレン「あ?…あれっ?アルミン、ミカサ?」

    アルミン「全くっ!心配ばかりさせて…」

    ミカサ「…」

    起き上がるとやっと状況が解ったらしくアルミンとミカサに謝るエレン

    エレン「悪いッ!訓練に夢中で天候を見てなくてさ…兵長に言われるまで気づかなくて…あれ?兵長?」

    リヴァイ「ここにいる」

    エレンの肩に手を置くと隣に腰を下ろす。

    エレンを見た時は無事かと、そればかり気にしていたが冷静になったミカサはエレンとリヴァイが上半身何も着ていない事に気付いた。

    ミカサ「エレン?なぜ上着を着てないの?…」

    エレン「へ??あぁ、この小屋に着くまでにびしょ濡れであまりにも冷たくて脱いだんだよ?…それがどうかしたか??」

    リヴァイ「濡れた衣服のままじゃ体温を奪われるからな」

    事も無げに話すリヴァイ
    無表情のミカサ
    不穏な気配に戸惑うアルミン


    アルミン「そうですよね、あ、二人の着替えも持ってきました。兵長の分はハンジさんが持たせてくれたので…」

    アルミンは野営用のリュックから二人の着替えとタオルを手渡す。

    アルミン「はいっエレンの分」

    エレン「Thank you!アルミンっ」

    アルミン「こっちが兵長のです」

    リヴァイ「あぁ」

    着替えを受け取ったリヴァイがミカサに話しかける。

    リヴァイ「…ミカサ、何もしてねぇから安心しろ」

    ミカサ「!!当たり前です…」

    リヴァイは苦笑しながらシャツに腕を通す。
    ミカサはリヴァイの背中を軽く睨んだ。

    エレン「ミカサっお前男の着替え見るのが趣味なのか?!」

    ミカサ「え?…」

    アルミン「二人とも着替えるからミカサは後向いてね?」

    アルミンはミカサの肩を掴むとくるりと後ろを向かせる。

    ミカサ「あ」











  201. 201 : : 2014/09/04(木) 09:22:18
    エレン達に背を向けたままミカサが尋ねる。

    ミカサ「アルミン…エレンの傷は?…」

    アルミン「うん、出血も無いし、ほとんど傷は塞がってるから大丈夫みたい。」

    エレン「平気だから心配するなよっ?」

    アルミンとエレンの声に頷くミカサ

    ミカサ「そう…良かった…」

    二人が着替え終わるとアルミンがミカサに声を掛ける。

    アルミン「もうこっち向いても良いよ」

  202. 202 : : 2014/09/04(木) 16:16:04
    振り向くと二人共着替え終わり雨具を手にしていた。

    リヴァイ「そろそろ戻ろう…ここにいても雨は止みそうにねぇ」

    アルミン「はい。その方がいいと思います」

    リヴァイ「…エレン、いけるな?」

    エレン「はいっ!」

    リヴァイ「ミカサ」

    ミカサ「…はい」

    リヴァイ「…行くぞ遅れるな。」



    土砂降りの雨の中四人は一斉に宿舎に向かい走りだした…。





    宿舎前

    雷雨を避けながらようやく宿舎にたどり着くとリヴァイは振り向きミカサに視線をむける。
    ミカサはリヴァイの視線に気づきリヴァイの元へと歩き出す。

    ミカサ「…ご用件は?…」

    リヴァイ「話がある…少し付き合え」

    二人の雰囲気にアルミンが声を掛ける

    アルミン「リヴァイ兵長っあの…」

    リヴァイ「心配しなくていい少し話すだけだ…アルミン、エレンを部屋に、後風呂に入れてやれ。体が冷えてるだろう…」

    穏やかな口調にアルミンはリヴァイの言葉に従う事にした。

    アルミン「さぁ、部屋に行こう?兵長の言う通り身体を温めないとね」

    エレンの背中を押して部屋に戻る

    エレン「ちょ…アルミンっ二人だけにしていいのかよ!?」

    アルミン「大丈夫だよ。喧嘩を売る訳じゃないし、二人とも大人だからね」

    ニッコリ笑顔で応えるとエレンを部屋へとグイグイ押し進む。
    リヴァイとミカサが気になるエレン。

    アルミン「君が居るとお互い感情的になるから…素直に部屋に戻ろう…ね?」

    エレン「…わかった」

    アルミンに押されながらその場を後にした…。
  203. 203 : : 2014/09/04(木) 17:25:32

    リヴァイは人気のないエントランスのソファーに腰掛けエレン達が去った後を見詰めると、ミカサに話しかけた。

    リヴァイ「…俺はエレンに好意を持っている」

    ミカサ「…やはり…つまり貴方はエレンを『恋愛対象』として見ている…そう言う事ですね」

    リヴァイ「そうだ」

    ミカサ「…」

    予感はあったが、まさかこれ程ストレートな答えが来るとは思いもしなかったミカサ
    次の言葉が出て来ない。

    リヴァイ「…お前も俺と同じでエレンを『恋愛対象』として見てるだろ?」

    ミカサ「エレンはッ…私の…家族…」

    リヴァイ「…正直に答えろ…俺も正直に答えている」

    真っ直ぐにミカサを見るリヴァイ
    ミカサは腹決め正直な気持ちを告げる。

    ミカサ「…幼い頃は家族としてエレンと接して来ました…でも、今は…私にとってエレンは家族以上…いいえ…エレンを『愛』している!私以上にエレンを理解して愛せる人なんて居ませんッ!!」

    自分の言葉にハッとするミカサ
    自分がエレンに対してそんな気持ちを抱いていてそれを口に出してしまった事に驚く。

    リヴァイ「…やっと本心を話したな…ならば話しは早い」

    ミカサ「私は…」

    リヴァイ「俺はエレンのすべてが欲しい…身体も心も命も…全てが欲しい。手に入れる為なら俺の命でもくれてやる…」

    ミカサ「…宣戦布告ですか」

    リヴァイ「そうなるな…俺は引かねぇ…エレンは渡さん」

    強い(確信)に満ちた眼差しでミカサを見据えるリヴァイ

    ミカサ「…貴方の本心が聞けて良かった、今は…貴方にエレンを預けましょう…エレンも貴方を望んでいるでも、エレンを傷付ける事があれば…」

    冷ややかな笑顔を魅せるミカサ
    リヴァイの側に歩み寄り、耳元で囁く。

    ミカサ「私は貴方を許さない」

    ニヤッと不敵な笑みを浮かべるリヴァイ

    リヴァイ「あぁ…覚えておこう」


    リヴァイはソファーから立ち上がるとミカサの肩を叩くとそのまま歩き出す

    リヴァイ「今日はゆっくり休め明日の遠征に遅れるなるな」

    ミカサ「…了解」



    二人はお互いを振り返る事無く互の部屋へと歩き出した…。


  204. 204 : : 2014/09/05(金) 08:54:20
    部屋に戻りリヴァイの帰りを待つエレンとアルミン。
    リヴァイの言い付け通りエレンを風呂に入れてタオルで頭を拭き上げていると、扉の向こうから呼ばれる。

    「両手が塞がってるんだ…開けろ」

    リヴァイの声に慌てて扉を開けるアルミン

    エレン「兵長!ミカサと何を話したンですか?!怪我とかしてませんかっ?」

    オタオタと落ち着きなく早口でまくし立てるエレンに視線を向けながら両手で抱えた紙袋をテーブルに置く

    リヴァイ「落ち着け」

    一言言うとエレンの頭を押さえ込む

    エレン「ゔっ…」

    リヴァイとエレンのやり取りを笑いを堪えて見つめるアルミン。
    リヴァイはエレンの頭を押さえ込んだままアルミンに話しかける。

    リヴァイ「食料庫から拝借して来た、まぁ適当に食え…エレンもな」

    アルミン「あ、有難うございます。」
    (拝借って…(°д°)兵長って…)

    リヴァイはエレンが落ち着いたのを見てエレンを解放する。

    リヴァイ「…あいつに話して来た」

    アルミン「え?」

    エレン「!?」



  205. 205 : : 2014/09/05(金) 11:44:23
    戸惑う二人を尻目にリヴァイは紙袋を広げ葡萄酒の瓶を手にする。

    アルミン「…話したんですか…ミカサは何と応えたんですか?」

    リヴァイ「…『今は俺に預ける』と、『もし傷付ける事が有れば許さない』とも言っていたな」

    アルミンとエレンにグラスを手渡すと手近なソファーに腰掛けた。

    アルミン「では…ミカサは貴方の宣戦布告を受けたんですね。」

    リヴァイ「あぁ」

    手招きしてエレンを呼ぶ。
    イマイチ二人の会話について行けず首を傾げながらリヴァイの元に行くエレン

    エレン「兵長?一体ミカサとどんな話したンですか?」

    リヴァイ「お前は俺のものだと宣言しといた」

    エレン「!!!」

    リヴァイの応えに耳まで真っ赤にして言葉を失う
    リヴァイは苦笑しながらエレンを見る

    リヴァイ「対した話じゃねぇ。お前は俺の傍で生き残る事に専念しろ…解ったな?」

    エレン「?はいっ」

    リヴァイ「…分かったら飯を食え遠征に備えて体力を少しでも取り戻しておかねぇとな」

    リヴァイの言葉にアルミンも笑いながらエレンに話す。

    アルミン「折角リヴァイ兵長が仕入れてくれたんだからしっかり食べ無いとダメだよ?」

    エレン「ガキ扱いしないで来れっ!」

    怒るエレンをなだめながらリヴァイの仕入れてきたパンや干し芋を食べ始める

    窓の外では未だに雨が降り続いていた…。











  206. 206 : : 2014/09/05(金) 15:24:06

    二時間ほど話してただろうか、アルミンの肩が不意に重くなる。

    アルミン「?…エレン?」

    アルミンが首を傾げ覗き込むとエレンはアルミンの肩に寄り掛かって眠ってしまっていた。

    葡萄酒のグラスを握ったまま小さな寝息をたてているエレンにアルミンはクスリと笑う

    アルミン「ホントに呑気だね…エレンは」

    リヴァイ「…仕方ねぇさ、まだ本調子じゃ無いからな…」

    ソファーから立ち上がりエレンの前に立つとエレンのグラスをテーブルに置く。

    アルミン「兵長?」

    リヴァイは軽々とエレンを抱き上げベットへと運んで行く。
    その姿にアルミンは穏やかに微笑む

    アルミン「兵長は本当にエレンが大切なんですね…」

    リヴァイ「…アルミン…何が言いたい?」

    エレンを寝かせアルミンのいるテーブルに戻りながら尋ねる。

    エレン「…貴方がエレンの『想い人』で良かったとそう思ったんです。」

    リヴァイ「…さぁ…どうなんだろうな俺には分からんが…エレンが望む間は傍に居てやりたい…いや…俺自身が…それを望んでる…」

    笑顔のままリヴァイの言葉を聞いているアルミン

    アルミン「きっと、どんな事も二人で打破出来ますよ…明日もきっと…


    リヴァイ「そうだな」

    アルミン「リヴァイ兵長、エレンも寝ちゃいましたしそろそろ部屋に戻りますネ。」

    リヴァイ「あぁ、ゆっくり休め…アルミン…今日はありがとう…助かった」

    リヴァイの言葉にアルミンは一層笑顔を見せる。

    アルミン「兵長。普段見られない貴方の素顔を見せてもらえて光栄です。エレンに感謝しなきゃ(^-^)


    リヴァイ「!くだらねえ事言ってんじゃねぇよっ!…部屋に戻ってサッサと寝ろ…」

    アルミン「はいっ!ご馳走様でした。では失礼します」

    リヴァイ「あぁ…」

    照れて口調が荒いリヴァイに笑顔のまま敬礼して部屋を出る。

    リヴァイ「ッタク…ガキに振り回されっぱ無しだな…」

    アルミンの出た扉の鍵を掛けながら溜息をつくと自分の両頬をバシッと叩きテーブルを片付ける。

    (明日に備えて装置の点検と陣形の確認しておくか…今は色恋に興じてる場合じゃ無いからな…)


    気持を切り替えるとリヴァイは起動装置の点検を始めた。




  207. 207 : : 2014/09/06(土) 03:51:56

    深い闇の中手探りで歩く…
    光など無い深い深い闇、自分の目が開いているのか、閉じているのか…それさえも解らない…

    (…ナゼ助ケテクレナイ?)(オ前ノセイダ…)

    (コワイ…)

    上下の感覚もつかめ無い

    (ダレカ…イナイノカ!)

    恐怖だけが膨らんで行く…誰かの声がする…

    (オ前ノセイダ…)(オ前ノセイデ人ガ死ヌ…)

    (チガウッ!イヤダ…!!)

    闇の中で声が体中を喰い破って行く。



    「ゔわぁァッ!!!!」

    リヴァイ「エレン!しっかりしろっ!!」

    肩を捕まれて我に返えるエレン

    エレン「あ…」

    リヴァイ「夢でも見たか?…ひでぇ汗だぞ…」



  208. 208 : : 2014/09/06(土) 22:14:20
    ベッドに腰掛けエレンの顔を覗き込む。エレンは身体を起こしリヴァイを見る

    リヴァイ「…平気か?」

    エレン「はい…大丈夫です…」

    その瞳からは涙が止めどなく溢れているリヴァイはエレンの涙に触れて話しかける。

    リヴァイ「傍に居る…お前を独り逝かせたりしない。」








  209. 209 : : 2014/09/07(日) 23:20:46
    リヴァイ「くだらねえ夢など、忘れちまえ…」

    クシャっとエレンの頭を撫でる。

    エレン「…リヴァイ…お…れ…」

    うつ向いて言葉を呑むエレン

    リヴァイ「もう自分を責めるな…遠征までまだ時間がある、今の内に着替えてもう少し休め」

    そう言うとリヴァイは乾いたタオルを取りに行く。

    リヴァイ「とりあえずその汗でベットリの身体を何とかしろ」

    タオルをエレンに投げて渡す。

    エレン「わ…」

    タオルを受け取るとエレンはリヴァイを見る。
    ベッドから降りリヴァイの傍に歩み寄ると背中に抱きつく。

    リヴァイ「…何だ?」

    エレン「少しだけ…こうしていて…良いですか…」

    背中から抱きつくエレンの頭を肩越しに撫でながら眼を閉じるリヴァイ

    (…コイツはまだ15のガキだったな…現実を受け入れて『力』に変えるには時間が必要か…)

    リヴァイ「エレン」

    エレン「はい…」

    リヴァイ「俺の前に来い」

    リヴァイの声に従い腕を離してリヴァイの前に立つ。
    眼の前に立つエレンの頭を自分の肩に押し付ける。

    エレン「リ…ヴァイ?」

    リヴァイ「エレンよ…泣く時は俺の前で泣け…解ったか?」



  210. 210 : : 2014/09/08(月) 22:10:48
    エレンはリヴァイにすがり付く。

    エレン「そんなに優しくしないで下さい…」

    リヴァイ「…普通だろ?元々俺は優しいンだよ」

    そう言いながらエレンの頭を撫でる。

    リヴァイ「少しは落ち着いたか?」

    エレン「はい…すみません…」

    リヴァイがエレンの顔を上向かせる
    泣き腫らした真っ赤な目がリヴァイを見つめる。

    リヴァイ「なんて顔だよ?エレン…ほら、風呂入って流して来い。」

    エレン「わ」
  211. 211 : : 2014/09/10(水) 05:41:12
    リヴァイはエレンの背中を押してシャワーを浴びるように促す。

    リヴァイ「遠征までまだ時間がある…着替えたらもう少し休んでおけ…分かったな?」

    エレン「はい…」

    エレンがシャワーに行くのを見届けてリヴァイは小さく溜息を吐く…

    リヴァイ「…不安要素多過ぎだろ…明日の遠征が何事も無く終れば良いが…」

    ふと、顔を上げ窓の外に目を向けるとあれ程酷く降っていた雨がいつの間にか上がっていた。
    窓際に歩み寄り窓を開けて空を見る
    月も星も無い漆黒の闇が広がる…
    湿った風が辺りを包み込み、全てが時間を止められたようにどんよりとした空気を孕んでいる。

    リヴァイ「嫌な風だ…」

    気持ちの悪い感覚を覚え、リヴァイは澱んた闇を睨み付けた…。

    リヴァイ「チッ…」

    自分の中に湧き上がる言い様のない不安感を打ち消すように頭を大きく左右に振る。



    リヴァイの想いを呑み込むように、漆黒の暗闇が広がっていた…。

  212. 212 : : 2014/09/10(水) 10:06:43
    シャワーに打たれながらエレンは唇を噛み締める。
    どんな時も『戦う』と自分で決めた…自分の選択を後悔てはいない
    それでも心の深層ではもう一人の自分が泣き叫ぶ…『もう無理だ』と。
    リヴァイとの約束を果すまでリヴァイの背中を追い掛け続けると決めたのに…。

    エレン「なんで…こんな時に…おれはッ…」

    壁に両手を付き、額を壁に打ち付ける。

    (こんな姿…リヴァイ兵長には見せられないッ!…しっかりしろよ!おれッ)

    シャワーを止め、頬をバチッと叩き気合いを入れるとリヴァイの待つ部屋へ戻る。
  213. 213 : : 2014/09/10(水) 13:12:20
    (キィッ…)

    扉を開けて部屋に戻ると、窓の外を見つめているリヴァイが目に映った
    澱んだ風にリヴァイの髪が揺れている。
    少しだけ躊躇ったが、声を掛けるエレン

    エレン「リヴァイ…?…」

    エレンの声で我に返り振り向くリヴァイ

    リヴァイ「あぁ…上がってたのか」

    エレン「どうかしましたか?…」

    リヴァイの返事を聞きながらリヴァイの隣まで歩み寄る

    エレン「あ、雨上がりましたね」

    リヴァイ「あぁ、雨は…な」

    エレン「?…」

    リヴァイの隣から空を見るエレン。
    生ぬるく澱んだ風とインクをこぼした様な暗い空が全てを覆い尽くして
    いる…気味の悪さを感じてエレンは身震いした。

    エレン「なんか…嫌な…感じですね…」

    エレンの不安気な声にリヴァイが応える

    リヴァイ「確かにな…」

    窓の外からエレンへと視線を戻し肩に触れる。

    リヴァイ「まぁ、こんな空気は何時もの事だ…」





  214. 214 : : 2014/09/10(水) 23:33:22
    窓際から離れ二人掛けのソファーに腰掛けエレンを呼ぶ。

    リヴァイ「エレン」

    エレン「はい」

    リヴァイ「こっちに来い」

    エレン「え?」

    傍に歩み寄るエレンの腕を掴み自分のとなりに座らせる。

    エレン「あのッ…」

    訳が判らず尋ねようとするエレンの頭を有無を言わせず引き倒す
    リヴァイに膝枕されたような体勢になり慌てて起き上がろうともがいているエレン。

    エレン「ちょっと待ってッ…いきなり何なんですか?!」

    リヴァイ「うるせぇな…黙って寝ろ。遠征まで後三時間程ある…少しでも身体を休ませて明日に備えろ」

    ぶっきらぼうな言葉とは裏腹にリヴァイの手はエレンの髪を優しく撫でている。

    リヴァイ「ベッドじゃ寝過ぎちまうだろ…俺の膝じゃ不満だってのか?」

    エレン「!不満なんてとんでもないッ」

    リヴァイ「…なら良い…大人しく寝ろ…俺の膝で寝れる貴重な体験させてやるよ」

    エレンの髪を撫でながらニヤッと笑うリヴァイ
    リヴァイの自信有り気な笑にエレンは抵抗するのを止め静かにリヴァイの膝に頭を預けた。

    リヴァイ「今は…何も考えずに眠れ」

    エレン「…はい…兵長」

    リヴァイ「名前で呼べよ」

    穏やかな笑顔を浮かべながらエレンはリヴァイの名を呼ぶ。

    エレン「リヴァイ…貴方と出逢えて幸せです…」

    リヴァイ「…俺もだ…」

    エレンはリヴァイの答えに小さく微笑んで目を閉じた。
    先程感じた気味の悪さも、不思議と感じなくなっている…
    リヴァイの膝の暖かさと髪を撫でる手の優しさに包まれゆっくりと眠りに落ちる…。

    リヴァイは膝に感じる重みを確かめるようにエレンの頬に触れる

    リヴァイ「必ず俺が守るから…」



    穏やかな時間が二人を包んでいた…。










  215. 215 : : 2014/09/11(木) 10:28:31
    (カラン…カラン…カラン…)

    朝を告げる鐘の音を聞きながらリヴァイはエレンに声をかける。
    壁外遠征に向う時間だと…

    リヴァイ「エレン支度しろ…時間だ」

    エレン「はいっ!あ?…わっ!!」

    リヴァイの声で目を開くとリヴァイの顔が自分の顔を真上から覗いている。

    (昨日兵長の膝の上で寝ちゃったんだっ!)

    エレン「すみませんっ!すぐ起きますからっ」

    エレンが慌てて身体を起こすとリヴァイはソファーから立ち上がり窓の外を見る。
    白い蒸気にも似た霧が濃く立ち込め視界が悪い、夜の暗闇よりはマシだがそれでも遠征に適した状況とは言い難い天候だった。

    リヴァイ「朝っぱらからご機嫌な天候だな…」

    エレン「…それでも進まななきゃ…でしょ?リヴァイ兵長」

    エレンの返答にリヴァイは頷く

    リヴァイ「身体を流してくる、少し待ってろ」

    エレン「あ、はいっ」

    リヴァイの背中を見送りエレンは自分の支度を進めベッド脇の棚から新しいシャツに着替えて機動装置を装着するためのベルトを身に付ける。

    エレン「…大丈夫…おれは戦える…弱気になるな…」

    拳を握り締め気持ちを引き締める。
    深い霧の立ち込める窓の外に視線を向けながら自分を奮い起たせるエレンの姿があった…。





  216. 216 : : 2014/09/12(金) 00:08:37

    「おい、エレン?」

    名を呼ばれ振り向くとリヴァイが立っている。

    エレン「すみませんっボッとしてました」

    ニコっと笑顔でリヴァイの傍に歩み寄る。

    リヴァイ「支度は終わったか?エレン」

    エレン「はい、後は機動装置を装着するだけです!」

    リヴァイ「なら良い」

    短い返答を返してリヴァイはクローゼットからシャツを手にして腕を通す。
    慣れた手付きでベルトを装着し終えるとエレンを呼ぶ。

    リヴァイ「エレン、ここに来い」

    エレン「?はい」

    リヴァイ「傷の具合は?」

    エレン「あぁ、さっきシャワー浴びる時見ましたけど傷口は塞がってました。出血もありません…傷痕は残りましたけど」

    言い終わるとエレンは自分の傷痕を押さえる

    リヴァイ「エレン…余計な事は考えず全て排除しろ。今日、今からの事だけに集中しておけ…いいな?」

    傷痕を押さえるエレンの手に自分の手を重ね言葉を続ける。


  217. 217 : : 2014/09/12(金) 22:20:32
    リヴァイ「今日の遠征はこの間のリベンジだ、お前に残した傷痕の礼をしなきゃな…必ず…見つけ出してこの手でズタズタに削いで殺る…」

    エレン「倍返ししてやります」
  218. 218 : : 2014/09/13(土) 11:53:26
    エレンの大きな瞳には強い意志と決意の光が宿っている。
    真っすぐリヴァイを見据えきつく唇を引き結ぶ

    リヴァイ「あぁ、そうだな」

    エレンの背中に腕を回し抱き締める

    エレン「…リヴァイ?」

    リヴァイ「なぁ、キスしてぇんだか構わねえよナ?」

    グイッと腰を引き寄せ顔を寄せる。

    エレン「ッいきなりですか!?」

    リヴァイ「遠征に出たら早々お前に触れる機会は無ぇからな…サッサと目を閉じろ」

    大きく見開いたエレンの瞳にだんだんとリヴァイの顔が近づいて来る
    エレンはギュッと目を閉じた。

    チュッ…

    唇に触れた感覚に身体を強ばらせるエレンにリヴァイは小さく笑う。

    リヴァイ「いい加減慣れろよ?」

    エレン「(////)無茶言わないでくださいよ!…そりゃリヴァイは慣れてるから良いでしょうけど…おれは…貴方が…初めてでっ…」

    口ごもるエレンの髪をぐしゃぐしゃと撫で耳元で囁く。

    リヴァイ「帰ったら…もっとシテやるよ…」

    エレン「やっ…」

    エレンの耳たぶを軽く噛んで、エレンから離れる。

    リヴァイ「さぁ、気合い入れて行くぞ、エレン…」


  219. 219 : : 2014/09/13(土) 17:53:08
    噛まれ耳たぶの熱さに目眩を感じながら顔を真っ赤にして呆然としているエレンの前にリヴァイは手を差し延べる。

    リヴァイ「ほら、行くぞ!ぼさっとすんな」

    涼しげな笑顔で差し出された手をしっかりと握り返すエレン。

    エレン「行きましょう!!」

    エレンの返事に頷くとマントを翻し羽織るリヴァイ
    その背中には『自由の翼』が鮮やかに旗めく。
    リヴァイが背負う『自由の翼』は人類の光であり、希望なのだと改めて感じる、そしてエレン自身もリヴァ イと共に希望の光であろうと強く思うのだった。
    エレンもマントを羽織りリヴァイに
    話し掛ける

    エレン「『自由の翼』に恥じ無い遠征にしましょう」

    リヴァイ「当たり前だ」

    エレンに応え扉の前に立つ。

    リヴァイ「…行くぞ!」

    エレン「はいっ!!」


    二人は皆の集まる広場へと歩き出した…互の明日を掴む為に。









  220. 220 : : 2014/09/26(金) 15:04:41
    続きは…ありますか?
    毎日見てますよ(^-^)
    期待です!
  221. 221 : : 2014/10/15(水) 14:58:45
    終わりなら終わりと書いていただけるとありがたいのですが…

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