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  1. 1 : : 2014/05/25(日) 13:39:39

    生徒会長と副生徒会長…
    ウチらの関係って他人からはそう
    括られるんやもんね。



    えりち。
    えりちはウチの事どう思ってるん?




  2. 2 : : 2014/05/25(日) 13:53:55


    「ねぇ? そこにある書類なんだけど…


    またや。ウチには希って名前があんねん。
    名前で呼んでくれたの、いつが最後やろな?

    「これ?」

    「そうよ。部活別にまとめておいてくれると助かるの。」

    「りょーかぁい。」

    「ありがとう。」



    えりちはいつも真剣で 責任感があって
    真面目で…ザ、生徒会長って感じ?
    仕事が出来ることは良い事だと思うんよ。

    でもな、たまには肩の力抜いて
    心の底から笑ったり泣いたりする
    えりちを見てみたいんよ。

    こんな近くにウチはおるのに、
    そういう所あんまり見たことないなって。

    …近くにおるからやろか?
    他の人は見せたりするんかな…



    「…ねぇ?」


    …ウチには見せたってくれたって
    ええやん。

    「ちょっと!!」

    「へっ?」

    「…手が止まってるんだけど?!
    今日のあなた、ぼーっとして変よ?
    具合悪いなら先帰る?」

    むすっとしながらえりちはウチを睨む。


    「あぁ、ごめんごめん。大丈夫。
    ちょっと考えごとを…」

    ウチはとっさに苦笑いで誤魔化す。
    えりち、怒る時はいつも本気やん…笑






  3. 3 : : 2014/05/25(日) 14:08:15


    「ふぅ、終わったわぁっ」

    「この時間なら練習に間に合いそうやね。」

    「えぇ。急ぎましょう!」



    ーーーー屋上ーーーー

    「 あ、絵里ちゃんに希ちゃん!
    待ってたよ〜!早く早く!」

    屋上のドアを開けるなり穂乃果ちゃんがグイグイとウチらの腕を引っ張る。
    ホンマ穂乃果ちゃんは元気印の女のコやね。

    「あら?皆座っちゃって一体どうしたの?それに練習着に着替えてないじゃない」

    「ホンマや。みーんな制服やん。もしかして練習放棄?」

    「ちーがーうーよー!今日はねー?
    ライブまでの期間あるし、たまには皆でゆっくりお話ししようかな〜って!」

    「す、すみません。絵里や希にも伝えとかねば、と思っていたんですが…」

    「ごめんね?絵里ちゃんも希ちゃんも着替えて来ちゃったんだね、」

    海未ちゃんとことりちゃんが
    申し訳なさそうに弁解する。


  4. 4 : : 2014/05/25(日) 14:29:51

    「ええんよ。ウチら生徒会の仕事もあって遅れて来とるし、みんながまだ残っててくれて嬉しいやんな、えりち。」

    「えぇ。そういう事なら仕方ないわ。今日はみんなでゆっくりしましょうっ」


    みんなで…みんなでゆっくり、か。
    別にええねんけど。ウチと2人で、2人っきりでゆっくりした事もあんまりないね。





    「希ちゃーん何してるにゃ〜こっちこっち。こっちに座るにゃ〜!」

    「、えっ?あぁ、じゃあ凛ちゃんと花陽ちゃんの間にお邪魔するとしようかな〜?えりちはどこに座…

    「希ちゃん、お腹空いてない?今日はね、皆でもっとゆっくり出来るように、オニギリ作ってきたの。美味しくなぁれって思って握ったからきっと美味しいと思うんだっ(キラキラ」

    アイドルとオニギリに関してはすごい熱が入る花陽ちゃんが目をキラキラさせる。

    「そーなん?花陽ちゃんの魔法がかかったお結びなんてめっちゃスピリチュアルやん?」

    花陽ちゃん特製のオニギリを一つ手に取る。


    「ちょっとぉーー!それあたしのオニギリなんだけど?!返しなさいよ!!」

    その大きな声にビックリして目をやると
    そこには顔を真っ赤にして怒る真姫ちゃんが居た。

    「いいじゃないのー?!真姫ちゃんさっき
    『完食なんて美意識に欠けるわ』って言ってたくせにーー!これはニコのものだニコ!」

    「ちょっと、にこ。あなたいくつだと思ってるの?上級生として恥ずかしいと思わないの?!真姫にオニギリ返しなさい。」


    あ…えりち。そっちに座ったんや。
    やっぱりいつも生徒会室で隣に座ってるしな、ウチの隣には来うへんよね。


    「…もー、仕方ないわねー。おこちゃまの真姫ちゃんにオニギリ、返してあげるわ。やだぁーにこってば本当優しい〜。」

    「…いちいちシャクに障るわね。」

    「なによ?なんか言った?!」

    「ベツニ〜っ!」

    「あははははっ、もう2人とと
    仲が良いのか悪いのか分からないわね、
    ふふふふふっ」


  5. 5 : : 2014/05/25(日) 14:48:26


    えりち、笑っとるやん。
    なんなん。最近ウチには怒ってばっかやん。

    「希ちゃん…?どうしたの?食べないの?」

    花陽ちゃんがウチの顔を覗き込み
    瞳をウルウルさせる。

    「おっ、そうやったそうやった。いただきますっ! 」

    ぁむっ…もぐもぐ

    「うん!美味しい!このふっくらとした食感。花陽ちゃんの魔法、大成功やん♡」

    「本当…?嬉しいぃいっ!まだ沢山あるからいっぱい食べてね!」

    バスケットいっぱいに入ったオニギリを見て花陽ちゃんのお米好きは本物やなって思った。

    「さて。わたしも一つオニギリいただこうかしら。」

    にこっちと真姫ちゃんの喧嘩の仲裁役を終えてえりちが近づいてくる。

    「あ。絵里ち!このオニギリめっちゃ…

    「絵里ちゃん絵里ちゃん!みてみて!穂乃果のお家のお饅頭も沢山持ってきたんだよ!!」


    あかん…なんや今日は絵里ちと話さない方がいいって皆言うてるみたいやな。笑

    「穂乃果は持って来すぎです!全く…誰がこんなに食べれると言うんですか!」

    「えーっ、いいじゃーん!余ったら穂乃果1人で食べれるもーん!」

    「いけません!こんな量のお饅頭食べたら穂乃果、あなたがお饅頭になりますよ?!」

    「ふふふふっ、もう、穂乃果も海未も本当に仲が良いのね。仲裁役は不要みたいね、ふふふっ」

    「2人とも落ち着いて〜、もし残っちゃったらみんなで持ち帰ろうよ〜、ね?」

    「ことりの言う通りよ、妹の亜里沙も穂乃果のお饅頭大好きだからお土産に持って帰るわ。」



    えりち、沢山笑っとるやん。
    みんなのことも名前でちゃんと呼んどるし。

    …別にええねんけど。なんや寂しい。
    この気持ちなんなんやろう。



  6. 6 : : 2014/05/25(日) 15:06:59






    「それでは、暗くなってきましたしそろそろ帰宅しましょうか」

    「そうだねぇ、穂乃果ちゃんも帰ろう?」

    「うんっ、みんなお饅頭持ち帰ってくれてありがとうっまた明日ねーっ!!」

    「ねーねーかよちん、明日もオニギリ作ってきてよ!凛ね、かよちんのオニギリなら何個でも食べれるよ!」

    「えぇっ?ほんとに?嬉しい…凛ちゃんありがとう。明日もいっぱい持ってくるねっ」

    「ちょっとあんた…お饅頭何個貰ったの?」

    「三つよ。文句ある?」

    「なんであんたが上級生のにこより一つ多いのよ!!一個よこしなさいよ!」

    「なんでそうなるのよ!意味わかんない!!」



    みんなのやりとりを微笑ましく優しそうに見守るえりち。ウチはそんなえりちを、えりちだけを見つめていた。



    「…!そろそろ私達も帰りましょうか、」

    ウチの視線に気付くと
    えりちはせかせかと帰る準備をした。

    「…!そやね…。」

    なんや、今日は熱いな。
    そろそろ夏が始まるんやもんね。






  7. 7 : : 2014/05/25(日) 15:26:53

    ーーー帰宅途中ーーー



    「 … 」

    「 … 」

    なんやこの沈黙。
    えりちなに考えてるんやろ、
    さっきまであんなに笑っとったやん。
    ウチには笑いかけてもくれんの?


    「ねぇ…」

    えりちの口が開く。


    「どうして黙ってるのよ。」

    「…それは、それはこっちのセリフやん。」

    「あなたが黙ってるからじゃない。」


    また少し不機嫌そうな顔をするえりち。
    何にも、返せなくてまた黙って歩き出す。
    そろそろするとえりちは曲がってしまう。
    その前に…


    「なぁえりち。」

    「なぁに」


    「ウチの事…好き?」

    「…な"っ…

    「ち、ちがくて、変な意味やなくてっ
    その…友達としてちゃんと好いてくれてるんかなって…!!」

    あかんー、ウチ何言うてんねやろ…
    多分きっとウチの顔、今のえりちみたく
    真っ赤っかや…

    …!えりちすごい顔真っ赤っかやん…
    やっぱりあかんかったかな。


    「それは…なんとも言えないわ。
    ごめんなさい。これ以上言うと傷付けちゃうかもしれないから。でもね、


    「…え?そうやったん。…はは
    ほんならこれから好かれるように頑張るな。ありがとうえりち。…ほな!!!」

    いつもバイバイするところよりも早い曲がり角でウチは走り去ることしか出来んくて。
    あかん、あかん、あかん、あかん、
    泣いてまう…。

    なんやねん。えりちのアホ…
    名前で呼んでくれんのも
    笑いかけてくれんのも
    帰り道話してくれんのも

    ウチのこと嫌いやからやってん。


    バカみたいやん。
    そんなウチはえりちから名前で呼ばれたくて
    笑いかけてもらいたくて

    ヤキモチだって…


    ヤキモチ?あれ?…ウチ。
    ウチ…えりちのこと。









  8. 8 : : 2014/05/25(日) 15:41:17



    帰宅して電気をつけソファに座る。
    独り暮らしはもう慣れたんよ。
    テレビをつけても内容なんて入ってこなくて。


    お風呂に入ってものぼせるまで湯船に浸かって。

    考えるのはえりちのこと。
    帰り道のことを思い出して目に涙が浮かぶ。

    あかんー泣いたらあかん。
    そう言い聞かせて湯船に潜る。

    そうしたらウチの涙も湯船のお湯に紛れてなかったことに、なるからね。


    お風呂から上がり
    髪を梳かしながら少しぼーっとする。

    ウチ、えりちのこと好きやったんやな。
    友達とかじゃなくって。

    …副生徒会長とかやなくて
    特別な存在になりたくて…

    頭をくしゃくしゃしながら
    ベッドへ向かう。

    なんや今日は眠れなさそう。



    すると
    ピーンポーン…

    インターホンが静かなこの部屋に
    鳴り響く。


  9. 9 : : 2014/05/25(日) 15:50:29





    …誰やろ。こんな時間やのに。
    覗き穴に顔を近づけようとしたとき。

    「あたし。エリーよ。」



    えりち?!あかん。あかん。
    どないしよう。どないしよう。


    「えりち,何の用や…?」

    …顔なんで合わせれんし、
    ドア越しで話しかける。


    「怒ってるのね…」


    「…ちゃうよ。怒ってるんやない。」


    「それならドアを開けて


    「いやや。」


    「どうして…。」


    そんなの泣いてしまうからに決まってるやん。えりちの、アホ。


    「ねぇ…さっきはごめんなさい。傷つける気はなかったのよ。」


    ホンマえりちは鈍感さんやな。


    「もうええって。今日は遅いしはよ帰った方が


    「ねぇ… … 好きよ 。 」



    ……ウチはいつからこんなワガママな子に
    なってしまっんやろ。友達同士の言う"好き"なんて全然欲しくなくなってしまったんよ。

    えりちごめんな。





  10. 10 : : 2014/05/25(日) 15:57:19



    「…うん。えりち、ありがとう。もう今日は

    「……私、ずっと、その…好きだったの。その気持ちがどんどん大きくなって行くのが自分でも分かったわ。」


    え?何言うてるんえりち。

    「それでね。さっき聞いたでしょ。ウチの事好きかって…でも私なんとも言えないなんて言っちゃって。ごめんなさい。あなたの事傷つけたくなかったの。」


    えりち…意味分からないよ。
    うちはもうとっくに傷ついて…


    「誤解されたままだと私嫌なの。だから言わせてもらうわ。私、あなたの事が好き。…それは友達としてなんかじゃなくって。

    だけどあなたが友達として好きっていう感情が欲しかったのなら多分、きっとこういう気持ちは迷惑だろうなって…」


    えりちから飛び出した言葉を
    頭の中で整理するのもやっとで。

    「顔を見て謝りたいの。
    お願いよ。鍵を開けて。」




    …カチャっ

  11. 11 : : 2014/05/25(日) 16:13:21


    鍵を開けるとすぐに
    えりちがドアを開けた
    真剣な眼差しでこっちを見ている。


    あかんよ…うち…。

    「…えりち……、うち。うち。」

    ーー泣いてもうた。

    「…ごめんね。やっぱり傷つけちゃったかしら。」

    頭を撫でるえりちにウチは子供みたいに泣き付いた。

    「…ウチもな、えりちの事好きやったん…大好きやったん!…だからな、傷ついてなんかないんよ…っ、えりち。えりち。」

    「… それはほんとなの?」

    目を丸くしてえりちが見つめる。
    あかん、こんな泣き顔でグシャグシャな顔見んといてよ。


    「ほんまよ、ウチ、えりちにずっと名前で呼ばれたりしたかった。近くで笑ってもらいたかった。ホンマは…独り占めしたかったし…ぐす…ぐす…」

    「…かわいい。」

    えりちがウチの涙を綺麗な真っ白い指で拭う。

    「ごめんなさい。すごく意識しちゃって。名前で呼ぶのも笑いかけるのも話しかけるのすら上手にできなくて…」


    ウチを抱きしめながらえりちは
    どんな顔してるんやろう。


    「ぐす…ぐす…」

    「でもね、もう両想いだって分かったんだもの。遠慮はしないわよ、"希"!」


    えりちの口から希って。
    ウチの名前。

    ほんまにウチ、なんや、すごい
    世界一のラッキーガールなだけ
    あるやんっ。


    「えりち。もっとぎゅーしてっ…」

    「分かってるわよ。」

    えりちの細い腕に包まれて、
    そのまま今夜は夢の中やん?






    「 希、好きよ。」

    「…うん」

    「希、大好きよ。」

    「…っ うん///」

    「希は言ってくれないの?」

    「もー…っえりちの、アホ!
    愛してるよっ///」






    おしまい
  12. 12 : : 2014/07/21(月) 21:55:42
    凄く良いです!
    ニヤニヤしてしまいました。
    このような作品、また書いて頂ければと思います。

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