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リヴァイ「結末」

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  1. 1 : : 2014/05/11(日) 04:38:52


    俺にはわからない。

    ずっとそうだ。



    事の結末は、その瞬間を迎えるまで誰にもわからない。

    いつだってそうだ。

    だから俺は、なるべく物事を先伸ばしにしない。

    やると決めたらその時にやる。



    だが たった一つだけ、先伸ばしにしてしまったことがある。

  2. 2 : : 2014/05/11(日) 04:41:17





    お前に、俺の想いを伝えることだ。





    …ペトラよ。




  3. 3 : : 2014/05/11(日) 04:45:02



    俺は事の結末を、自分自身で勝手に決めていたらしい。

    俺とお前との関係の結末を。

    正直に言えば、いずれ伝えればいいと思っていた。

    こういうことに慣れていないからな、俺は。



    …お前の淹れた紅茶は、いつもうまかった。





    _____________________





    ペトラ「おはようございます、兵長。」

    リヴァイ「あぁ。」

    ペトラ「…こ、紅茶!淹れますね!」









    ペトラ「どうぞ!」

    リヴァイ「悪い。」

    ペトラ「…兵長は、その…心に決めた方とか…いらっしゃらないんですか…?」

    リヴァイ「…。」

    ペトラ「…すっ、すみません…!」


  4. 4 : : 2014/05/11(日) 04:49:19



    リヴァイ「…いない…こともないが。」

    ペトラ「そっ、そうなんですか…!」

    リヴァイ「…自分から聞いておいてなんだ…。」

    ペトラ「すっ、少し 気になって…。」

    ペトラ「…きっと…素敵な方なんでしょう…。兵長が想われるくらいですから。」

    リヴァイ「…ああ…そうだな。」

    リヴァイ「そいつは…綺麗な髪をしてる。仲間を思いやれる奴で…少し抜けてるが。」

    リヴァイ「背が小せぇから、俺が隣に立っても見下ろせるくらいだ。」

    リヴァイ「あとは…」

    ペトラ「素敵な…方なんですね…!羨ましいです…。とっても…とっても…!」

    ペトラ「…明日は…壁外調査ですね!頑張りましょう!失礼します!」





    _____________________






    それからあいつは、走って部屋を出ていった。

    俺はその時、気にも留めなかった。

    「あとは…そいつが淹れる紅茶はうまい。」

    この一言を言えなかったことや、
    あいつが目に涙を浮かべていたのを 少しも気にしなかった。


  5. 5 : : 2014/05/11(日) 04:50:23





    いつか言おうと思っていた。




    あいつは、次の日 死んだ。




  6. 6 : : 2014/05/11(日) 04:52:23



    あいつが淹れる紅茶に「うまい」と言わないまま、あいつはいなくなった。



    綺麗な髪

    仲間を思いやれる性格

    少し抜けている雰囲気

    うまい紅茶を淹れる器用さ

    儚いその笑み



    俺が想いを伝えることの出来ないうちに、あいつは死んだ。





    俺とあいつの関係は、こんな結末を迎えて終わった。


  7. 7 : : 2014/05/11(日) 04:54:24



    俺はお前に、何をしてやれた。

    俺はお前に、何を与えてやれた。

    俺が先伸ばしにした末に迎えた事の結末は、
    俺が勝手に決めたそれとは大違いだった。

    俺はお前に、何もしてやれなかった。

    何も与えてやれなかった。

    ただ お前の想いを無駄にしただけだ。





    『兵長。』

    『私はあなたから たくさんのものをいただいたんですよ。』

    『それに、終わったなんて思わないでくださいよ!兵長は私のこと、もう忘れるんですか!』プンスカ


  8. 8 : : 2014/05/11(日) 04:57:04



    ペトラ…?



    リヴァイ「ペトラ…か…?」

    『そうですよ!もう、ひどいです 兵長ったら!』

    リヴァイ「ペトラ!どこに居るんだ!姿が見えないが…。」

    『…姿はないんです。声だけ、兵長に伝えられるんです。』

    リヴァイ「ペトラ…。」

    『兵長!泣かないでくださいよ!あっ、でも 兵長の泣くところ 見てみたいかも…。』クスクス

    リヴァイ「…笑ってんじゃねえ…。」

    『すっ、すみません!』

    リヴァイ「…今は…どうしてるんだ。」

    『もちろん天国にいますよ~!周りが一面 お花畑なんです!』

    『かわいいおうちに オルオとエルド、グンタと一緒に住んでるんです!』

    リヴァイ「…そうか…4人一緒か。」

    『はい!』


  9. 9 : : 2014/05/11(日) 05:01:25



    『兵長、さっきも言いましたけど、』

    『私は、私たちは 兵長からたくさんのものをいただいたんです。』

    『戦闘技術、仲間を思いやること、チームワーク』

    『あと、美味しい紅茶の淹れ方』

    リヴァイ「紅茶の淹れ方?」

    『兵長の淹れ方を見て、真似したんです!』



    『それに…こんなに人を好きになること。』

    リヴァイ「…。」

    『何度も言いますが、兵長は私たちに本当にたくさんのものを与えてくれました。』

    『その恩返しといっては何ですが、』

    『私たちは、いつも兵長のそばに居ます。』

    『だから兵長…忘れないで下さい。』

    『兵長と私たちの関係は、まだ終わってません。』

    『悲しい結末なんかじゃありませんよ!ちょっと形は変ですけど…。』

    リヴァイ「…あぁ。」

    『…悲しいけど、もうお別れの時間みたいです。』

    『さようなら、リヴァイ兵長。…愛しています。』

    リヴァイ「待て ペトラ!聞け!俺もお前を!」

    リヴァイ「ペトラ!おい ペトラ…!!!」


  10. 10 : : 2014/05/11(日) 05:04:57



    ″兵長は私たちに本当にたくさんのものを与えてくれました″



    約束しよう。俺は必ず…

    全力を尽くして 戦う、と。

    たとえ、この身が最期を迎えようとする時も。


  11. 11 : : 2014/05/11(日) 05:06:20





    ペトラ。



    いつか もし もう一度、お前に会えたら



    必ず 伝えよう。





    「ペトラ、愛している。」




    と。









    おわり

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