エレン「同じ夢に向かって」②【リレーSS】
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- 1 : 2014/04/27(日) 03:27:40 :
- 前回からの続きでリレーSS作品になります!
(前作URL:http://www.ssnote.net/archives/10538)
初めましてのお方は初めまして、ゆきと申します。
内容は「エレアニ」でジャンルは「現パロ、ラブコメ風」でいきたいと思います(๑′ᴗ‵๑)
設定は、「高校2年生」のエレンが、3年の夏までにアニに告白して同じ夢を目指して同じ大学への進学を志す、という流れでいきたいと思います!
私の所属するグループで上がった企画なのですが、勿論途中からの参加もOKですので、参加希望の方はその旨をコメントでお伝え下さい!
書き手の順番は私から始まり、2番手に88さん!
それ以降は以下の方々となっており、順番に回して書いていこうと思います!↓
My.Loさん→ゆき→88さん→イェーガーの進撃さん→EreAniさん→submarineさん→店員さん→Aniっちさん→シュウさん→ライナー兄貴さん→そふとくりぃむ。さん→錬金術師さん→るーいさん→いちごさん→以降参加希望者(or最初に戻る)
たくさんの方々と面白い作品を書ければと思いますので、是非ともご参加くださいませ♪
簡単なルールとしまして、以下の3つをお守り下さい!
・作中の時間を飛ばしすぎない
・エロやグロなどは織り交ぜ無い
・参加の前には必ず流れやあらすじを把握しておく
(参考:My.Loさんによる当作品のあらすじまとめ→http://www.ssnote.net/groups/68/archives/11)
以下私の過去作品へのリンク↓
http://www.ssnote.net/users/cutkeen
よければSS作家、読者支援のグループも作成しましたので興味がある方はどうぞ!↓
http://www.ssnote.net/groups/68
制限付きSS執筆大会なんかもやろうとしています、次回以降で参加してみたいなという方がいれば是非とも、!↓
http://www.ssnote.net/groups/132
【New!】Twitter始めました。↓
https://mobile.twitter.com/cutkeen
では、始めていきたいと思います!
私の書き方に合わせる必要は無いので、皆さんの自由に、好きなキャラもたくさん混ぜ込んで書き連ねていってくださいね!
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- 2 : 2014/04/27(日) 06:39:49 :
- 期待です!
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- 3 : 2014/04/27(日) 07:32:00 :
- 前スレの最後がライナー兄貴さんの投稿でしたので、次の投稿はそふとくりぃむ。さんなのですが、
そふとくりぃむ。さんの最近のご活動が無いご様子ですので、先駆けて今回のリレーの最初のみ、私が務めさせて頂きますね!
(流石に一レスも本文が無いのは読者の方に申し訳ないと感じますので!(汗))
そふとくりぃむ。さん、もしご覧になられたらお早めのご連絡をお願いします!><
私の投稿から三日ほどで連絡が無い場合は次のるーいさんにバトンパスとさせて頂きます!
>2 アロマさん
早速の期待のコメントありがとうございます♪
引き続きよろしくお願いしますね(๑′ᴗ‵๑)
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- 4 : 2014/04/27(日) 08:07:57 :
――― 8月13日、夕方。
合宿が終わった翌日。
世間はいわゆるお盆という時期に入り、俺も他の人々同様、昼間は顔を合わせた事も無いようなご先祖様達への墓参りを済ませ、ただ気だるい気分のまま過ごすだけの一日だった。
けど、この気だるい感覚は連日続く猛暑のせいでも、増してや俺の体調が悪い訳でもない。
理由はそう、
――― 舞台の主役。
――― ロミオの役を取れなかったと言う事だ・・・
合宿で配役を言い渡されたあの日からずっとこの調子だ。
――― いや、まぁ。
新入りの、しかもど素人の俺が言うにしてはあまりにもおこがましい事だとは思う。
それに・・・
随分贅沢な悩みだとは思っている。
――― 何せ、
俺はロミオの代わりに、マルコが稽古で務めていた『マキューシオ』なんていう大役を授かったんだからな。
他に配役を言い渡されなかった奴らからしてみれば、羨ましい事この上ない状況だろうなとは思う。
――― でも・・・
――― それでも俺は・・・
そんな事を考えながら布団でごろ寝をしていると、不意にケータイの着信音が鳴り響く。
――― メール?
――― 誰からだろうか?
ケータイを手に取りメールの画面を開くと、随分無愛想な文面でこう書かれていた。
―――――
―――
20××/8/13 17:26
From: アニ
件名: 今から。
本文: 夏祭りが近くの神社であるみたいだから、一緒に行かないかい?
6時くらいに神社の鳥居の下で待ってるから。
―――
―――――
>次へ
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- 5 : 2014/04/27(日) 08:23:36 :
- ゆきさんがそふとくりぃむさんの代わりをやったから次は俺かな?流石ゆきさんです!!
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- 6 : 2014/04/27(日) 08:37:31 :
- >>ゆきさん
スレ立て乙です!
...夏祭りイベントきたーーッ!!ヾ(〃゚ω゚)ノ☆
流石、ゆきさん!ここに来て理想の先駆けをやってくれましたね!!(。ゝ∀・)b
エレンが挫折をどう乗り越えるのか、私達の腕の見せ所かな?と思います
>>錬金君
次は、一応そふとくりぃむ。さんの番だよ?>>2にも書いてある~|・ω・*)チラ
とりま、3日程度、そふとさんのアクションを待ってからだね!
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- 7 : 2014/04/27(日) 08:47:22 :
- >>6
ミロさん
三日たったら次はるーいさんになりますって書いてあったからあれ?俺は?って思って次は俺なのかな~って思ったんです。教えてくれてありがとうございます
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- 8 : 2014/04/27(日) 08:48:13 :
- >>3
訂正:るーいさん→錬金術師さん
でした(汗)
順番間違えました申し訳ない(汗)
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- 9 : 2014/04/27(日) 08:48:59 :
- >>8
ゆきさん
いえいえ、全然良いですよ
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- 10 : 2014/04/27(日) 08:49:39 :
- >7 錬金術師さん
ほんっとに!すいませんでしたっ!(汗)
あれ、そう言えばと思って確認したら違ってましたヽ(´・∀・`)
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- 11 : 2014/04/27(日) 08:54:40 :
- >>10
いえいえ、誰にだってありますよ!気にしないで下さい
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- 12 : 2014/04/27(日) 22:39:52 :
- 夏祭りきた!!
エレン男を見せるんだ( ̄+ー ̄)
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- 13 : 2014/04/29(火) 19:53:42 :
【更新のお知らせ】
リレーSSの第2部『夏合宿編』の終了に伴い、
エレン「同じ夢に向かって」【リレーSS】 あらすじまとめ(第一稿)[http://www.ssnote.net/groups/68/archives/11]
を合宿終了時点まで更新しました。
参加者の皆さまは、各自内容の確認をお願いします。誤植・間違いがございましたから、ご指摘ください。
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- 14 : 2014/05/02(金) 10:07:52 :
- 俺は直ぐに返信した
――――――
――――
20××/8/13/17:28
From:エレン
件名Re.
本文: 今から用意して直ぐ行く
――――
――――――
俺は急いで用意を済ませ、アニが待つ神社へ向かっていった
俺はアニに会えると思うと嬉しかった
しかし、やはり俺の心の隅には演劇の配役の事が残っている……
アニは主役、でも俺は………
いや、今はそんなことを考えるのはよそう…
折角アニが俺を誘ってくれたんだ。今日くらいは演劇の事は忘れて楽しもう
そう自分に言い聞かせた
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- 15 : 2014/05/08(木) 06:52:36 :
- 最近リレーSSの更新速度が低下しておられるので、新たにルールを設けることに致しました、!
新ルール↓
前の執筆者の方が執筆を終えてから、次の執筆者は二日以内に連絡を入れる、又はリレーへの投稿を行う事!
執筆が少し遅れる場合、連絡を入れ、そこから最大で3日以内に更新をする事!
それ以上かかりそうである場合、または連絡が二日以内に無かった場合は次の執筆者へとパスとする。
参加は果たしているものの、リレーを随時確認して更新して頂けないという事態を防ぐ為にも、こちらのルールを導入させて頂きたく思います、
よろしくお願いします(´ . .̫ . `)
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- 16 : 2014/05/08(木) 06:54:01 :
- 今から二日以内に連絡がない場合は、るーいさんの次のいちごさんにパスして頂く形になります、!
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- 17 : 2014/05/10(土) 23:25:19 :
- 5月8日から2日が経過しても尚、るーいさんからの連絡が無いとの事より、リレーのバトンはるーいさんからいちごさんへ移譲されました。
しかしながら、いちごさんも都合により、この周では投稿が困難との報せを受けたため、次の私が投稿を行います。
ご了承ください
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- 18 : 2014/05/10(土) 23:25:24 :
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- 19 : 2014/05/10(土) 23:27:59 :
彼女の家から、ほんの数kmの距離に位置する神社
彼が通学路として通う住宅街や街中からは、少し離れているものの、距離としても彼女のそれに相応する程度の手頃な場所である
普段は、風がそのモノ静けさを伝えている鳥居の周囲では、人の声がその賑わいの程を示していた
夜に差し掛かり闇がその支配するはずの空間を数多くの提灯《ちょうちん》や電灯が場所を…そして、人々を明るく照らす
そんな中、彼女は彼の事を待っていた…彼女の“その恰好”がその心情を物語っていた
「…はぁ」
小さく一言、溜息を漏らす彼女
約束の時間までは、まだ5分はある
その溜息は呆れではなく、自身の緊張を解《ほぐ》さんとする為の所作
はたまた、先のメールでの自身の無愛想な態度に対する嫌気を示唆する溜息なのかもしれない
ただ彼女は今、とても緊張していた…それは、偏に…
「…よぉ…アニ」
「あ…うん。来てくれて…ありがと、エレン」
少しぎこちない挨拶を交わす
その所以《ゆえん》は、語るまでもない
「……」
会話が続かない彼女
その様子に勘付いた彼は…
「あー…似合ってるな…浴衣」
「うん…ありがと…甲斐は…あったかもね」
彼の行動としての選択肢は悪くない
ただ、もっと言葉に工夫を凝らしても不足はない
彼女もまた、もっと好印象な反応を期待していたのだから…
「と、とりあえず、屋台とか回らない?」
「そ、そうだな…楽しもう…か」
そうして、二人は歩き出した
「…あっ、ちょっと待って」
「…あ、すまん。早足だったな…ごめん」
ただ、歩幅の差が互いへの配慮が欠けていることを示していた
…気にしないとは言ったものの、彼の心にはやはり先の事が思い出される
『気後れ』…自分の実力がアニに大きく後れをとっていることが『配役決定』という形で付きつけられた
「……」
「……」
暫く沈黙が続く中、二人は歩く
そんな雰囲気は、当然二人が望むものではない
いつまでも引きずっていては成長が叶わない事は、これまでの多くの教訓から学んだ彼は…一握り分の勇気を持ち、彼女へ声を掛けた
「ふぅ…アニ!何か食うか?」
「え?」
「ほら!折角アニが誘ってくれて、浴衣姿まで見せてくれたんだから、俺がおごるぞ!」
「あ、えっと…」
「今すぐに決められそうにないなら、色々見て回って決めようぜ!」
「う、うん。分かったから…そんなに引っ張らないでよ」
彼は彼女の手を握り、人混みの中へ飛び込んでいった
当初は、その賑やかな雰囲気にそぐわない様子の二人だったが、彼の心の強さがその壁を打ち破ったのであった
挫折したままで留まってはいられない
次に勝つ為に、負けない為に…好機《チャンス》を逃さない為に
だから、今も全力で楽しもうと、心に決めた彼であった――――
>>To ゆきさん
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- 20 : 2014/05/11(日) 07:31:07 :
期待です!
(アニの浴衣姿!!(≧∇≦))
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- 21 : 2014/05/12(月) 10:46:47 :
エレン「・・・」
アニ「・・・」
――― 二人に訪れる沈黙。
俺もアニも緊張感でいっぱいだった・・・
お互いに息を飲み、ただただ手先へと視線を集中させその一瞬を待つ。
ガヤガヤとした人波の喧騒と、遠くで鳴り響く太鼓や笛などの音だけがやけに鮮明に耳の中でこだまする。
エレン「・・・!」
ついに訪れる好機。
俺はその一瞬に全てを賭けて、繊細かつ大胆な手つきで獲物を掬い上げる。
――― しかし・・・
エレン、アニ「「あっ!」」
現実とはいつも残酷な物だ・・・
確かな質量をこの手で感じていたのもほんの一瞬で、既に獲物は元居た場所へと帰っていた。
俺とアニはただ残念そうに、ゆらゆらと揺れるその水面を無数の赤色が右へ左へと忙しなく蠢いているのを見つめた。
エレン「くっ、ダメだったか・・・」
アニ「すぐ破けちゃったね、ドンマイ」
俺とアニはお祭と言えば定番の金魚すくいに挑戦していた。
アニに少しでもいいところを見せてやりたかったんだけど、結果はまぁ見事に惨敗だ。
「ははっ!彼氏さん残念だったね!ハイ、これ残念賞!」ハッハッハッ!
そう言って陽気な口調で金魚一匹が入った袋を渡してくる店のおじさん。
エレン「あ、いや、そういうんじゃ・・・///」アセアセ
『彼氏さん』というフレーズに戸惑いを覚えながら、渡されたその巾着状の水袋を受け取る。
不意に見やったアニの顔は心無しか紅く染まっていて、浴衣姿と合わさったその横顔は、いつもより幾分も艶やかに俺の目へと映った。
・・・
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- 22 : 2014/05/12(月) 10:47:10 :
少し歩き疲れた俺たちは、屋台が並んでいる鳥居付近の参道を抜け、石垣に腰をかけていた。
エレン「型抜きにくじ引きに射的に金魚すくい・・・」
エレン「いろいろやったなぁ」
アニ「そうだね」
ひとこと言葉を交わしてはたこ焼きや焼きそばを口に運びながら、暫しの談笑をする。
エレン「アニ、誘ってくれた割には殆どこういうの来たこと無いって言ってたからさ、」
エレン「せっかくだしたくさん楽しんで欲しいし、それにいいところ見せられるチャンスかとも思ったけど・・・」
エレン「結果はもう全然、って感じだな」ハハッ
バツの悪そうな顔でポリポリと頭を掻く。
アニ「そんな事はないさ、楽しいよ」フフッ
何時ものように優しく透き通るような声で返すアニ。
エレン「そっか、それなら良かった・・・!」
横目でチラリと確認すると、少しいつもより高い口角が目に入り、自然と俺も笑みがこぼれていた。
アニ「あのさ・・・」
エレン「・・・あん?」
少し間を空けてからアニが口を開く。
俺は口まで運びかけていたたこ焼きをパックへと戻し、アニの話に耳を傾ける。
アニ「型抜きで・・・」
エレン「・・・型抜き?」
――― また型抜きでもしてみたいのかな?
あまりにも突拍子の無いアニの言葉に、一瞬そんな事を考える。
アニ「型抜きだけじゃないんだけどさ。」
エレン「ん?おう」
まだ意図を汲み取れない俺は曖昧な返事を返す。
アニは仕切り直しと言った感じで、こちらへ目を向けて語り掛ける。
アニ「型抜きでさ、」
エレン「うん」
アニ「全然まともに形を作れないまま直ぐに割れちゃうところとかさ。」
アニ「くじ引きで一番ハズレ引いちゃうところとか、射的で全然的外れなとこ打っちゃうところとか。」
アニ「金魚すくいで慎重な割には一匹も掬えないで終わっちゃうところとかさ。」
アニ「なんか・・・アンタらしいねって」クス
そう言って柔らかな笑顔を見せるアニ。
エレン「う、返す言葉もございません・・・」ハハッ
男としてちょっと情けないと思いつつも、アニの微笑む様子を見て安堵していた。
アニ「――― けど。」
エレン「うん?」
アニは続ける。
アニ「それ以上にね、」
アニ「こんな遊びにも、本当にどんなことにも・・・」
アニ「あんなに一生懸命に取り組める姿がさ、」
アニ「私は一番。アンタらしくていいなって、そう思ったよ?」ニコ
アニ「その一生懸命な姿はさ、きっと誰かの心を突き動かすと思うんだ。」
アニ「だからエレンにはさ。ただいつものように前を向いて頑張って欲しいって・・・」
アニ「私は、そう思ってるよ・・・」
思い掛けないアニからの激励。
エレン「アニ・・・」
アニが発する言葉の一つ一つに。
俺はただ、嬉しい気持ちでいっぱいになった。
――― それと同時に、
より一層、アニに抱く気持ちが大きくなるのを感じた・・・
アニ「・・・そういえば」
アニ「そろそろ花火があるみたいだし、もっと見晴らしのいい場所に行かないかい?」スッ
照れ隠しからなのか、顔を空へと逸らしてアニは言う。
差し込む橙色の光が仄かに照らすその横顔は、舞台上で見たそれとは全然違って。
もっと別の感情を俺の心の中に灯す。
教室で遠巻きに見ていたそれでも。
舞台脇で遠くから眺めていたそれでもなく。
俺のすぐ近くにいる、
このアニが、
俺はどうしようもなく好きなんだな・・・
>>次へ
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- 23 : 2014/05/12(月) 11:43:44 :
- 「ベルトルト、早くしないと花火に間に合わない」
ミカサはベルトルトの腕を引いて夏祭り会場の人だかりを縫うように歩いていた
「ご、ごめんミカサ・・・どうも人ごみが苦手で・・・っ痛・・・すみませんすみません」
ベルトルトは大きな体をなんとか人ごみの中、すり抜けようとするのだが、上手くよけられずに何度も人とぶつかっていた
その結果、ぶつかる事に丁寧に相手に謝っていたのだった
・・・そのため、なかなか花火大会の会場に近づく事ができずにいた
「ベルトルトは丁寧、だけどどんくさい・・・」
ミカサはその様子をちらりと見て呟いた
「ご、ごめんねミカサ・・・」
ベルトルトはミカサに手を引かれながら項垂れた
そうこうしている間にやっと人ごみを抜け、花火が見やすそうな小高い丘の上に到着した
周りには数組のカップルが思い思いの場所に腰をおろし、花火の開始を待ちわびていた
先ほどの夏祭り会場とはうって変わって、しんと静まり返る夜の丘
時折聞こえてくるのはカップル達のささやき声
「この辺に座ろう、ベルトルト」
ミカサはベルトルトの手を離し、地面に座ろうとした
「あ、待って・・折角の浴衣が汚れてしまうよ」
ベルトルトは鞄から大き目のタオルをとりだして地面に敷いた
「・・・ありがとう、ベルトルトはよく気が利く・・・ね」
ミカサはそう言って、ベルトルトが敷いたタオルの上に座った
ベルトルトはしばらくためらった後、ミカサの隣に腰を下ろした
少し間を置いて
「花火、楽しみだね」
小さな声で呟く様に言葉を発したベルトルトに、ミカサはちらりと目を向ける
「・・・どうしてそんなに離れて座るの?私、そんなに変なにおいがする?」
「え・・・いや、変なにおいなんか、しないよ」
ベルトルトはぶんぶんと首を横に振った
ミカサは怪訝そうな顔をベルトルトに向ける
「じゃあなぜそんなに離れて座るの?」
「・・・あ、ごめん・・・」
ベルトルトは何故か謝った
「謝られても・・・」
ミカサは頬を膨らませた
その様子を見たベルトルトが、意を決した様にミカサに視線を送った
「ミカサ・・・あの、もう少しそっちに座って、いいかな」
ベルトルトのその言葉に、ミカサは一瞬驚いたように目を見開いたが、やがて目を細めて微笑んだ
「もちろん」
「ありがとう、ミカサ」
ベルトルトははにかんだように笑った
月明かりがほんのりと射す小高い丘の上
その明かりがまるであたかも二人の距離をぐっと縮めるかの様に
温かく二人に降り注いでいた
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- 24 : 2014/05/16(金) 01:33:04 :
「花火始まるよ!!」
「ちょっと急ごうか!」
夏祭りは皆にとっても大きなイベント
回りには沢山の人で溢れていた
そんな中をね?
ミーナ「ほらほら!急ぐんでしょ!?」グイ
アルミン「あ、わぁ!引っ張らないで~!」
ミーナ「嫌で~す!!」
浴衣姿のミーナに引っ張られて歩いてる僕なんだけどね?
さっきから駆逐されるような殺気を向けられてるんだよ
アルミン「あはは…」
ミーナ「どうしたの?」
非リア充の時の自分は殺気を出した覚えはないけどね?きっと僕もこんなに可愛い女の子と歩いてる男の子を見たら睨んでると…思う…いや…絶対に睨んでるね
アルミン「(ミーナ可愛いな…)」
あの時、エレンが僕の家に泣きそうな顔で来たときが懐かしいな
ミーナ「ねぇ!アルミン?」
エレンが僕に謝りに来てくれに日…確かに電話で言われた事はね?心をへし折られたけどね
ミーナ「ちょっと!アルミン!泣いちゃうよ!!」
ギュッ
ミーナ「!」
ミーナの小さくて可愛らしい手を握って
アルミン「行こう!花火が綺麗に見える場所まで!!」
ミーナ「う、うん!///」
少しだけ顔が赤くなったミーナの横顔を見たら…またね?
ドキドキしてきちゃったよ
アルミン「ミーナ?」
ミーナ「ん?なになに?」
アルミン「今年の夏祭り今までで1番!楽しんでるんだ!僕!」
ミーナ「あ!それね!私も凄く楽しいよ!」
真夏の夜の下
普段とは違う景色に包まれた
賑やかな道を歩いてる
何でだろうね?
それだけなのに
それだけの事が幸せだと思える
アルミン「…///」
君の小さくて可愛い手を握ってる僕は
いつもの僕とは違って
少しだけヒーロになった気分なんだよ
ミーナ「アルミン?汗かいてるね!ちょっと待ってね!」
アルミン「え?ミーナ?」
ミーナ「ほら!」パタパタ
アルミン「扇子だ!アサガオの模様だね!」
ミーナ「うん!アサガオだよ~」パタパタ
優しい君が大好き
大好きな理由は言わない
大好きな理由を言ったら
君と過ごす時間が話してるだけで
終わってしまう気がするんだ
アルミン「僕もミーナを…」パタパタ
ミーナ「あははっ!手じゃ涼しくないよ!!」
アルミン「そっか…う~ん」
ミーナ「ほらほら!今度こそ本当に!」
アルミン「うん!」
早くしないと花火が始まっちゃうね!
ミーナの手を握ってまた、歩き出した
綺麗に花火が見える場所を目指して…
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- 25 : 2014/05/16(金) 03:12:14 :
- イェーガーの進撃さんからの連絡が無かったのでEreAniさんにリレーを繋いで頂きました、!
次の書き手はマリンさんになりますので、ご連絡、執筆、よろしくお願い申し上げます。(>人<
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- 26 : 2014/05/18(日) 00:29:44 :
- 期待してます!
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- 27 : 2014/05/18(日) 13:10:03 :
お祭りのメインイベント開始を告げる光が、夜空に上がる。
ミーナ「アルミン、始まったよ!」
アルミン「ほんとだ!どこかいい場所残ってるかなあ。」
ミーナ「あ、あっちの丘の上は?」
アルミン「いいね、行ってみようか。」
そのままミーナの手を引いて歩く。
…人混みに流されないように、時折ぎゅっと手に力を込めるミーナが愛おしい。
アルミン「うわあ…!」
ミーナ「ここに来て正解だったね。」
その丘は少しお祭りの会場から離れていたせいか、人もまばらで静かだった。
ドーン、ドーンという花火の音だけが、辺りに染み入るように聞こえてくる。
アルミン「綺麗だね。」
ミーナ「そうね。」
アルミン「…エレンとアニも、来てるかなあ。」
ミーナ「…」
アルミン「…ミーナ?」
ミーナ「…アニたちのことは、今はいいじゃん。」
アルミン「…そうだね。」
僕たちは手をつないだまま、天高く咲く花々を見つめていた。
・
・
・
その丘に腰を下ろしていた他の2人組もまた、夜空に浮かび上がる一瞬の芸術に目を奪われていた。
ミカサ「…綺麗。」
ベルトルト「そうだね。」
色とりどりの花火の光に照らされるミカサの横顔を、そっと盗み見る。
…マラソンを走ったわけでもないのに、鼓動が早まるのを感じた。
ミカサ「エレンたちも何処かにいるのだろうか。」
ベルトルト「…」
ミカサ「…ベルトルト?」
ベルトルト「…いいじゃないか、今そんなことは。」
ミカサ「…そうね。」
ミカサはちらりと僕に視線を送ると、そう言って身体を少しこちらに寄せた。
その仕草に、思わず口から心臓が飛び出しそうになる。
僕が震える手でミカサの肩を抱くと、彼女は僕の肩に頭を預けた。
ミカサ「…ベルトルト、手が震えてる。」
そういって笑うミカサの表情を、僕は一生忘れないだろう。
・
・
・
エレン「…ふう。」
アニ「あんた、いいとこ知ってるね。」
エレン「まあな。」
…花火のよく見える見晴らしの良いポイントを、直前にリサーチしていたなんて言えねえな。
お祭りの会場から少し離れた丘の中腹から見える景色に、アニが感嘆の声を上げる。
そこは人がまばらで、ただ聞こえてくるのは低く響く花火の音だけ。
移動に少し時間がかかってしまったせいで、もう花火も中盤を過ぎた頃だった。
エレン「悪りい、もう半分くらい終わっちまったみたいだ。」
アニ「いいよ。こんな素敵で静かなところで観れるなら、その方がいいし。」
アニと並んで石段に腰を下ろし、花火を見上げる。
ドーン、ドーンという音が低く響き、時折足元の地面を震わせた。
エレン「アルミンとベルトルトたちも、今日来てるみたいだぜ。」
アニ「そう。」
エレン「あいつら、何処にいるのかな。」
アニ「…さあね。」
エレン「案外近くにいたりしてな。」
アニ「…エレン。」
エレン「…?」
アニ「今はその話は、無しにしよう。」
エレン「え?なんで…」
アニ「エレン。」
アニが不意にこちらを向く。
彼女の瞳に花火が映り、碧の目の中に大輪の花が咲いた。
アニ「…今は、そんなこと考えないで。」
そう言って、アニが俺の手を握る。
その手は少し湿っていて、彼女の緊張感が伝わってくるようだった。
エレン「…そうだな。」
エレン「…今は花火と、お前のことだけ考えることにするよ。」
アニ「な…!」
その言葉に、アニがびくりと反応する。
アニ「そ、そう言うことじゃなくて…」
エレン「ふふ、アニ、そんな顔もするんだ。」
アニ「う、うるさいっ」
うっすら頬を紅く染めて、ふいっと空の方へ目線を逸らすアニ。
…そういう俺の顔も、きっと真っ赤になっていたんだろうけど。
辺りが暗いから、気付かれていないといいな。
2人の心臓の高鳴りを、花火の音がかき消していた。
秋の空気を含んだ夜風が、小高い丘の上を通り抜ける。
次々と夜空に咲いては散っていく花を見ながら、3組の男女は、長かった夏が終わるのを感じていた。
>>店員さん、お次お願いいたします。
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- 28 : 2014/05/18(日) 19:44:40 :
- ...タハァ、情緒的(๑>◡<๑)
各々が他の組の事に気を取られないようにする工夫で、各組にいい雰囲気が作られ、
高く打ち上がる花火の表現技法を凝らすことで情緒感を引き出していました~♪
最後に、本当に長かった夏がようやく終わりを迎えるニュアンスを含むことで、
読者にお話の流れや区切りを再認識させることが出来ていると思います!(。ゝ∀・)b
勿論、マリンさんだけでなく、姉さんやエレアニ君も皆が視点を少しずつ変えて、お話が多角的に構築されていっています。GJ
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- 29 : 2014/05/19(月) 00:16:23 :
- 本当に素敵な文章ですね
part1よりもレベルが上がってませんか?
皆さんひとりひとりの言葉のチョイスに感嘆せずにはいられませんね
夏祭りという定番のシチュエーションでもどこかに作者さんたちの個性が感じられて、part1同様に楽しみながら読ませてもらってます
続き待ってまーす(*^^*)
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- 30 : 2014/05/21(水) 17:15:56 :
- あなたはいま、どこにいるのかな?
きっと、今日の花火を、見に来ているんだよね?
やっぱり、ミーナと一緒?なのかな。
ーおい…あれ?
ーやべえ、声かけるか?
ーやめとけよ、あんな子をエスコートできんのか?
浴衣を纏う、一人の少女。
小柄ではあるが、見事な金髪と透き通った瞳、そして上品な佇まい。
その可憐な風貌からは圧倒的な存在感を示していた。
久しぶりに着る浴衣。カランコロンと踏み鳴らすが、足の指の隙間に食い込む鼻緒がちょっと痛い。
この夏休みが終わると、私の生活は一変する。
生まれて初めて、勇気を振り絞った、一世一代の告白。
彼が受け入れてくれると言ってくれた喜び。
喜んだ矢先、振られてしまった悲しさ。
何よりも、彼の魅せられた相手を越えられなかった悔しさ。
不思議と、彼に対する怒りは湧いて来なかった。
いままで知らなかった、様々なものを経験し思い悩んだ末に、私は自分を変えたいという結論に至った。
夜空に花が咲くたびに、あちこちから歓声が上がる。
時間的にも、もう終わりは近い。
ーふと、これまでで一番大きな花が咲き、その下に金色の花びらが舞う。
次の瞬間、恒例の群生花が咲き誇り、あたりは一時のみの昼の明かりを取り戻す。
一段と大きな歓声ののち、夜空は闇を取り戻した。
あーあ、終わってしまいましたか。
ざわつき、立ち上がりだす人の群れに、私と同じ、金髪に碧眼の彼を見つける。
だめだなぁ、話しかける勇気が湧かないや。
彼、あんなに幸せそうなんだもの。
願わくば、その隣には私が居たかった。
遠ざかる彼の背に向け、小さく一言。
「お願い。私のこと、忘れないでね。そして、見ててね。私、次に会う時は…」
それは、自分に言い聞かす、誓いでもあった。
「立派な女優になってるから」
クリスタは、こうして学校から旅立っていった。
-
- 31 : 2014/05/21(水) 17:17:08 :
- お待たせして申し訳なかったです。
Aniっちさん、あとをよろしくお願いします!
-
- 32 : 2014/05/21(水) 19:25:36 :
店員さん...やるんだな?!...『あの話を』...!!(; ・`д・´)ゴクリ
このタイミングで思い出させるかのような、読者も忘れかけていたクリスタの登場...見事な布石を打ち込みましたなぁ(。ゝ∀・)b
-
- 33 : 2014/05/22(木) 12:02:46 :
- ほんとだ!クリスタ出てきてる!
べ、別に忘れてないよ(汗)
みんな頑張ってくださいね!
-
- 34 : 2014/05/23(金) 00:54:33 :
みんなのカップリングがええわ…(*´꒳`*)
ベルミカがこんなにいいものだとは!
期待!!
-
- 35 : 2014/05/23(金) 23:45:20 :
- ポツ…ポツ… ポツ…
エレン「あっ、やべ!雨降ってきたぞ!」
アニ「ほんとだね…一旦雨宿りできるとこいこっか」
エレン「おう!」
急な雨、予報では晴れって言ってたんだけどな…
結構大降りになってきたな…
エレン「アニ、少し走れるか?」
アニ「うん、大丈夫」
俺達は少し小走りで雨宿りできる場所を探した。
カランッ!
下駄の甲高い音が耳を抜けた
アニ「痛っ…」
雨のせいで地面が濡れていた
エレン「アニ!大丈夫か?!」
アニ「私は平気…こんなの…いたっ」
エレン「お、おい!無理すんなって!」
エレン「ほら、乗れよ!」
アニ「え、けどさ…」
エレン「いいから!」
アニがけがしたのも俺が走らせたせいだ…
俺がしっかりしないと…
アニ「ありがと」
ベルトルト「わっ、ミカサ!雨降ってきたよ!」
ミカサ「ほんと」
ベルトルト「なんでそんな落ち着いてるのさ!早くどこか探そうよ!」
ミカサ「大丈夫」
ミカサはそういうとカバンから折り畳み傘を取り出した。
ミカサ「その…一つしかないから…」
ベルトルト「えっ?…」
ミカサ「一緒に…」…………
ミーナ「アルミン!雨だよ!逃げるよ!」
アルミン「逃げるって…」ハハハ
ミーナ「いいのいいの!」
そうやってまた僕の手を掴んでくれた。
こんなことでも僕は凄く嬉しい。
『忘れないでね…』
アルミン「えっ?…」
ふと声が聞こえた気がした、後ろを振り返るが誰もいない。
ミーナ「アルミン…?」
なぜだろう、この雨がとても寂しい雨…そんな気がしてならなかった。
-
- 36 : 2014/05/24(土) 00:39:02 :
- Aniっちさん、投稿お疲れ様でした!
ここでリレーの順番変更のおしらせです!
Aniっちさん→シュウさん→ライナー兄貴さんとなっておりましたが、この周回以降からAniっちさんの次はシュウさんが抜けてライナー兄貴さんとなりますので、どうかよろしくお願い申し上げます!
-
- 37 : 2014/05/24(土) 01:38:18 :
- クリスタぁ!ヾ(〃゚ω゚)ノ
この雨はきっと、クリスタの決意と決別を顕わす心の雨( ノω-、)ホロリ
-
- 38 : 2014/05/24(土) 21:48:16 :
- くっ…なんとも言えないこの気持ちはなんだろう
クリスタのこともあるけど、これをどう繋げようか…ヤバいお腹痛くなってきた(笑)
少し時間をくださいm(_ _)m明日の朝頃に投下します
-
- 39 : 2014/05/24(土) 23:24:47 :
- 「うぅ…うぅ…」ポロポロ
決意したはずなのに…後から後から涙が出てくる
それもそのはずだ…あんなに楽しそうな彼を初めて見るからだ
自分では引き出すことができなかった笑顔…
そう考えるだけで胸が苦しくなる
涙が止まらなくなる
空を見上げる…自分と同じように空も泣いているのかな?
大粒の雨粒が頬を幾度も流れ落ちる
もう、これじゃあ雨なのか自分の涙なのかわからない
私って本当ついてない子だなぁ
自分の想い人を取られた上にその人の楽しそうな姿を見て終いには、雨が降ってくるなんて…
「あーあ、浴衣がこんなに汚れちゃった」
今の自分を鏡で見たらさぞかし酷い姿なのだろう
限界だった…
「うっ…うっ…ぐすっ、うわーん」ポロポロ
私は崩れ落ちるように泣き崩れた
勇気が出なかった?違う…ただ逃げただけ…あれ以上、彼の幸せそうな顔を見るのが辛かった
私は、小さい頃から何も変わっていない辛いことがあるとすぐに逃げた…
女優になる夢もそうだった
. . . . . . . . .
そして、アルミンじゃない彼のこともそうだ…
クリスタの父は有名な映画監督、母は有名な女優だった
もちろん期待された…
けど、上手くいかなかった
両親はそんな私に失望した
何度も何度も怒られた
『なんでこんなことが出来ないの』『お前がこの様【ざま】だと外に出歩くことも恥ずかしい』
そんなようなことを毎日言われた
プレッシャーで押し潰されそうだった。このままだと自分自身が壊れてしまいそうだった…いや、確実に壊れていただろう
そんな時、彼と出会った
真っ直ぐな目を持った少年に…
まだまだ続く
以外とスラスラ書けました♪( ´▽`)しかし、眠いので続きの更新は朝頃です。
-
- 40 : 2014/05/25(日) 01:20:16 :
- 彼との出会いは偶然だった
両親の仕事の関係上、転校が多かった
小学5年の時に転校した小学校に彼はいた
自分で言うのもなんだけど顔は整っている方だと思っていた
現に周りから美少女だの可愛いと言われていたからだ
そして皆、知っていた私が有名人の子供だということを…
そのせいか、皆何処と無く他人行儀と言うべきか?よそよそしかった
そのよそよそしい態度も私を苦しめていた
しかし、彼だけは違った
「お前、クリスタって言うのか?俺は○○○よろしくな」ニコッ
「えっ///あ…うん、よろしくね///」
彼だけは、私を一人の女の子として扱ってくれた
彼に恋心を抱くにはそれ程かからなかった
家も近くにあったのですぐに仲良くなった彼との会話は時間を忘れるくらい幸せな時間だった
なにより彼は真っ直ぐだった
どんなに失敗しても決して諦めない…そんな所に惹かれたのかな?
こんな気持ち初めてだった
好きだった…今の想い人と同じくらい
ずっと一緒に居たいと思った…
だけど…この気持ちを伝えることが出来なかった
当時、この気持ちを伝えると関係が崩れ落ちそうで怖いと思っていた
怖くて怖くてしょうがなかった…
告白して関係が崩れるならこのままで良いとずっと思っていた
そして中学、高校と時は流れた
高校に入ってしばらくすると私は、気付いてしまった…
彼が別の人のことが好きだと言うことを
高校1年の時だ…
その日の夜は泣いた…喉が痛くなるまで大声で…
もっと積極的になれば良かったなど後悔の念で頭がいっぱいだった
私が彼のことを好きだということは夢にも思っていないだろう
だって…彼、鈍感なんだもん
そして、彼からも逃げた…
彼の親友…今の想い人も小学校からの友達だった
今の想い人は落ち込んでいた私を支えてくれた
次第にその人に惹かれていった
今の想い人には悪いけど最初は彼の代わりだった…けど、気付いたらこんなにも好きになっていた
もう逃げたくない
そう思って告白…そして今に至る
フられた時、私のどこがいけなかったのかわからなかった
だけど今ならわかる気がする
それは、今まで辛いことがあったら逃げていたこと…その付けが回ってきたのだと
そう考えると自然と納得ができた
まだまだ続く
-
- 41 : 2014/05/25(日) 02:01:09 :
- 『私は変わらなければならない』
そう強く決意した
その始めとして女優になると決意した
まだ、私は想い人…アルミンのことが好きだった。彼のように諦めたくなかった
だから、少しの間だけさよなら
絶対に立派な女優になって戻ってくるからね
ひとしきり、泣いた私はふらふらと立ち上がったその時…
「君、可愛いね〜」
「俺たちと遊ばない?」
二人の若い男性に声をかけられた
「君、名前なんて言うの?」
「えっ…いや、あの」
怖いかった…怖くてその場から逃げることが出来なかった
「君、ずぶ濡れじゃないか?風邪引いたら大変だ!」
「ね?だから、俺たちと今から良いところに行かない?」
そういうと一人の男性が私の腕を掴んできた
そして、私の身体を舐めまわすように見てきた
「いやです!!離してください!!」
このままでは危険だ!必死に振りほどこうとしたが無理だった
「大人しくしてよ〜」
「あまり、痛い目に合わせたくないからさ」
「私に触らないで!」
大声を出して助けを呼んでも誰も助けてくれない
泣き崩れた場所が悪かったのか?そこは、運悪くひと気のない路地裏らしき所だったからだ…誰も助けてくれない
誰か助けて…
心の中で何度も叫んだ
その時…
「ぐぇ…」
ドサッ
突然、うめき声と共に大きな物が落ちる音がした…
「おい、てめぇら何やってるんだ?」
聞き覚えのある声が聞こえてきた
まだまだ続く…
もう限界だ…頑張って書いたけど眠気には勝てません…明日の昼頃また再開します
それでは、おやすみなさい
眠い中やったので雑になってしまったが気にせず行こうと思います(笑)
-
- 42 : 2014/05/25(日) 09:40:57 :
- 彼の声だ…
「なんだてめぇ!」
「うるせぇ!!その薄汚い手を今すぐクリスタから離せ!!」
エレン…
〜少し時を遡る〜
「おっ!あそこで雨宿りしようぜ」
「う、うん、いいよ///」
俺とアニは祭の場から少し離れた所にあった急な雨をやり過ごせるであろう場所に到着した
「ここなら、大丈夫だな」
アニを降ろし辺りを見渡す
雨はますます激しく降ってきた…
天気予報では雨なんて降らないって言ってたのにな〜
そう心でつぶやきながらアニを横目で見た
アニは少し顔を赤らめながらいそいそと浴衣を整えていた
背負って走った為か浴衣が乱れたらしい
アニには悪いと思ったが目が離せなかった
今のアニは何処と無く、色っぽかった…
すると視線に気付いたのかアニが振り向いた
アニの顔は真っ赤に染まっていた。するとゆっくりと口が開く…
「えっち…」
恥じらい気味に少し上目遣いでアニは言った
「…うっ///」
一気に顔が赤くなるのを感じた
アニを直視できなくなったエレンは視線を横にそらす
長い沈黙…
時間にして10秒もないがエレンにはこの上ないくらい長く感じた
「…ずぶ濡れだね」
最初に口を開いたのはアニだった
「ああ、そうだな」
「型抜き…濡れてないと良いね」
「…そうだな」
話が続かない…エレンはさっきのアニの姿を思い出し、そんな受け答えしか出来なかった
「最後こんな風だったけど…今日は、楽しかったよ。ありがとね」
「そうだな…俺も楽しかったよ。こっちこそ誘ってくれてありがとな」ニコッ
「そ、そうかい。なら良かったよ///」
そう言った瞬間、アニは顔を背けてしまった…
正直、ちょっとショックだった
雨の音を残し静寂が辺りを包む
エレンはこの状況にいたたまれない気持ちになり、何か話題はないかと辺りを見渡した
すると、一人の見覚えのある金髪の女の子が雨の中歩いていた
続く
-
- 43 : 2014/05/25(日) 10:52:01 :
- 「何やってんだ?あいつ…」
「…どうしたの?」
アニが尋ねてきた
「あれ?あの子…確か、クリスタって子だよね?学校一美少女って噂がある」
「その噂は知らないが…そうだよ」
最後の方、少しトゲのある言い方だった気がした
「あの子とは、どんな関係?」
少し頬を膨らませながらアニが尋ねてきた
アニが怒っている…
そう直感的に感じた俺は考えた
何か俺、変なこと言ったかな?
エレンには何故アニが怒っているのか解らなかったのだ
「どんな関係って言っても、ただの親友だよ」
「あいつとは小学からの付き合いで…まあ、アルミンやミカサと同じような関係かな」
「ふーん」
なにやら、疑っているような言い方だった
女ってわかんねぇ…
そうエレンは心の中でため息をついた
しかし、何故かクリスタのことが頭から離れなかった
クリスタの姿が尋常ではなかったからだ
なにやら、嫌な予感がする…このままほっとくともう会えない。そんな感じがした
「…行っておいでよ」
そんな俺を見てアニはこう言った
「え?いや…それじゃあ」
「ふふ…私を心配してくれるの?」
「そりゃあな…」
「ありがと、でも心配しなくても大丈夫だよ…ほら」
そう言って俺の後ろを指を差した
「…その通り」
「おわっ!!」
いきなり声がして驚いき後ろを振り向いた…そこには黒髪の女の子が立っていた
「ミ、ミカサ!いつからそこに?」
「ついさっき…」
「傘持ってきていたけど…折り畳みだったから小さくて」
「あはは…そうだね」
「ベルトルト、お前居たんだな…」
今の今まで気がつかなかった
と言うよりこんなに背が高くて目立ちそうなのに…影薄過ぎだろ!そう心の中で叫んだ
「え!ひ、酷いよエレン」
「悪い…余りにも影が薄くて」
「まあ、お前らがいれば安心だな」
「そう、何かあったらベルトルトが守ってくれるから」
ミカサは顔を赤く染めながらチラっとベルトルトのほうを見た
「そ、そうか?」
いつもと違う綺麗な黒髪の女の子を見て少し動揺する
「それじゃあ、ミカサにベルトルト!アニを頼んだ!すぐに戻ってくる」
そう言うとエレンは雨の中を走って行った
まだまだ続く
何かと長くなってしまったが次が最後のレスになると思いますm(_ _)m
相変わらずの駄文ですがあと少しお付き合いくださいm(_ _)m
今から用事があるので少々席を外します
-
- 44 : 2014/05/25(日) 13:47:10 :
- ...戦慄したッΣ(・ω・ノ)ノ!
ライナー兄貴...『あの話』の詳細は何も打ち明けていないのに、重厚なストーリーの再構築するこのチカラ...成長速度が桁違いですよ!(; ・`д・´)ゴクリ
ラストのレスも超絶期待して待ってます!
-
- 45 : 2014/05/25(日) 15:50:18 :
- 「ついていかないのね」
一息ついてミカサが尋ねてきた
「…大丈夫」
「私が付いて行っても足手まといになるからね」
「それに、あのクリスタって子…昔の私みたいでさ」
「夢から逃げていた昔の私に…」
「彼奴なら…エレンなら私みたいに救ってあげられると思ってさ」
「私はね…そんなどんな時でも真っ直ぐ夢に向かって、なにより人のために動けるエレンに惚れたんだ」
「好きになったんだ」
正直な気持ちだった…
「ふふ…」
「な、何よ」
「なんでもない」
私は、なんか釈然としなかったが聞き流した
「それより、あんたも頑張ってるんだね〜」
チラッとミカサを見ると顔を真っ赤にして人差し指を口の前に立てていた
全く可愛い奴…
次にベルトルトの方を見た
奴も満更でもない顔をしていて微笑ましい限りであった
「あっ!」
「どうしたの?」
「傘…エレンに渡せば良かった」
「大丈夫だよ…すぐに戻ってくるらしいから」
「もし、長くなるようなら何処かで雨宿りしてるよ」
「そうね」
雨が一層強くなる
「大丈夫かな?エレン」
ベルトルトがつぶやいた
大丈夫…大丈夫だと思いたいが少し胸騒ぎがしていたのも事実だった
「エレンなら大丈夫…」
ミカサがそう答える
その信頼関係にちょっと嫉妬してしまいそうだったが…
「そうだね…」
と、私はつぶやいた
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
俺は金髪の少女を必死に探した
「クソッ…どこに行った?」
嫌な胸騒ぎが一段と強くなる
ここは、もう路地裏…普通の人なら夜歩くのを躊躇する場所だ
「流石にこんな所、通らないよな」
俺は来た道を戻ろうとした瞬間…
『助けて…』
突然、頭の中に聞こえてきた声…
考えるより先に身体が動いた
まるで弓の弦のように勢いよく走り出す
「いやです!!離してください!!」
探している少女の…親友の声がした
そして見つけた…金髪の少女と二人の男を
そして俺は助けを求める親友の元へと駆け出した
次の人お願いしますm(_ _)m
-
- 46 : 2014/05/29(木) 21:46:06 :
- そして今に至る
「うるせぇ!その薄汚い手を今すぐクリスタから離せ!!」
「何だとてめぇ…調子のってんじゃねぇぞ!!」
もう一人の若い男性がエレンに掴みかかろうとする
「調子に乗ってるのはお前らだろうが!!」
エレンは力一杯握り締めた拳で相手を殴り付けた
「ぐぅ…」
殴られた若い男性は力なく倒れた
「おい、クリスタ…大丈夫か?」
エレンはクリスタに尋ねた
「エ…エレン……?」
クリスタはまだ頭の中の整理がついていない様だった
「あぁ、助けに来たぜ!」
「……ヒック……グスッ…うぅ…」
「怖かったよ~グスッ…グスッ…」
クリスタはエレンに抱きついた
「もう泣くな…大丈夫だからよ…」
エレンは優しくクリスタの頭を撫でた
「うぅ…グスッ…ヒック…助けてくれてありがとう……」
「どういたしまして」
その時、ほんの少しだけ雨が弱まった様に感じた
※まだ書きます
-
- 47 : 2014/05/29(木) 22:00:43 :
- しかし、今日はここまでで明日書きますね
-
- 48 : 2014/05/29(木) 22:10:29 :
- >>47 錬金君
ご苦労様~!早速、投稿を始めるとは驚かされたよΣ(・ω・*ノ)ノ!!
皆で期待しているよ~!(๑>◡<๑)
-
- 49 : 2014/05/29(木) 22:18:16 :
- おお~
とっても面白いです!
期待なのです!
-
- 51 : 2014/05/30(金) 11:40:35 :
- エレン「クリスタ、雨で濡れて風邪引いたら大変だから取り敢えず雨を凌げる場所に避難しないか?」
クリスタ「うん…そうだね」
エレン「それじゃあ行くか」
クリスタ「うん……………」
エレン……私の初恋の人……最初に愛した人……
けど彼には好きな人がいる……あの時は後悔したな……
いや、今でも私は後悔してるな……
エレン「クリスタ、着いたぞ」
クリスタ「え?あ、あぁ…うん」
エレン達はアニ達と少し離れた場所で雨を凌いでいた
エレン「そう言えばクリスタは何で一人でこんな所に来てたんだ?」
クリスタ「えっ?それは……あの……」
言えるわけない……自分が今好きな人を見に行ったなんて………
エレン「まぁ言いたくないなら良いけどよ…」
クリスタ「うん…」
何とかして話を反らさなきゃ……
クリスタ「エ…エレン、そう言えばエレンは演劇部に入ったんだっけ?どうして入ったの?」
エレン「それは…まぁ…最初はアニと一緒に演劇をしたかったからかな…」
クリスタ「そ…そうなんだ…」
アニ……そう私の初恋の人であるエレンが好きな人……
何でだろう……エレンの事は諦めてるのに心が締め付けられるみたい……
エレン「けど…」
クリスタ「けど?」
エレン「確かにアニと一緒に演劇をしたい……でもそれは少し違う様に感じた……」
エレン「だから俺はアニの夢の為に…一緒に主役を張れる位演劇を上手くなって…プロの道を目指せる位に…ってな」
エレン「だから俺はそれまでどんな事があろうとも諦めねぇ!今はまだアニを後ろを追いかけてる感じだけど……」
エレン「何時か…何時か必ず一緒に夢に向かって歩けるように頑張りたいんだ…」
エレンの瞳には闘志が燃えていた…もう先程の思いなど微塵もなかった
クリスタ「…………」
エレンはやっぱり凄いな~そして昔と変わらない……
どんなに難しい事でも彼は諦めずに前を見て突き進む……逃げてるだけの私とは全然違うな……
けど、そんな彼だったから私は好きになったんだと思う………
私もエレンみたいに諦めずに頑張れたらな……
中途半端な所ですがパスです!次お願い致します!!
-
- 52 : 2014/05/30(金) 19:09:22 :
面白いです!!
みなさん頑張って下さい(✧◡✧)
-
- 53 : 2014/06/01(日) 15:29:13 :
- やっと追いついた!皆さん頑張ってください。
期待してます!
-
- 54 : 2014/06/01(日) 17:48:22 :
- 【報告】
錬金君の投稿から2日間経過し、るーいさんからの連絡がなかった為、順番は「いちごさん」へ移動しました。
また、いちごさんもまた多忙の為、暫くお休みするとの事ですので、次の私に順番が移動しました
参加者共々、連絡の徹底に努め、混乱を招かないよう注意いたしますが、参加者の各々の都合が最優先である事は、読者の皆様にもご了承願います。
では、堅苦しい話もこの辺にしておき、リレーSSの続きをお送りします(*・ω・)/''' ♪
-
- 55 : 2014/06/01(日) 17:48:26 :
-
- 56 : 2014/06/01(日) 17:51:11 :
「私!諦めないからッ!!」
「…クリスタ?」
彼女が突然言い放ったのは、決意
その唐突さに唖然とし、戸惑いが表情に漏れたのは、彼の様子が物語っていた
「諦めないって…何がだ?」
要領を掴めない彼は、彼女に尋ねる
「…ううん!何でもないの」
笑いかける表情を見せる彼女。その繋がりが見えない表情に益々彼は困惑する
「あぁー、いまいち分からないけど…お前が諦めずに頑張るっていうなら、応援するぞ?」
「うん。ありがとう、エレン。まだ…言えないけど、私!必ず…次こそは…諦めないの!」
「そっか。クリスタ…お前、変わったな」
その容姿に似合うようなニカッとした表情を自然と見せる彼…それは、彼女が惹かれた所
最後に、彼のこの笑顔が見られて良かった、と彼女は真摯にそう思っていた
「…雨、止んだな」
「うん。よかった。これで帰れるね」
その雨は、まるで彼女の心そのものを示すかのように降り敷けっていた
ずっと、止む事のない雨のように、彼女自身は感じていた
だが、その雨もこうして降り止んだ…即ち、その心とは…
「…私、これで帰るね?」
「一人で大丈夫なのか?浴衣が濡れていることには変わりないんだし、それにまた、あんな輩に…」
「…でも」
「とにかく!俺達一緒に帰るんだ!いいな?」
「…うん。分かったよ…ありがとう、エレン」
「…おう」
最後に小さく『ありがとう』と呟いたのは、今日助けてくれた事に対して
そして…これまで自分の心の支えとなってくれた彼に対して
彼女の中で、一つの感情が完結しようとしていた
「うぅ…///」
「どうしたんだ?顔赤くして…」
「な、なんでもない…の」
「ははっ、変な奴だな、あはは」
彼女が顔を赤らめたのは、実は羞恥心が原因だ
きっぱりと彼の事も諦めて、新たに自分の夢へひた走ると決意した彼女
今、この場で帰路を分かれ、彼と決別するつもりだったのに…
結局、こうして一緒に帰る事になってしまった事への恥ずかしさが彼女を赤く染めていた
「…ようやく、帰って来たね」
「お帰りなさい、エレン…クリスタ」
「なんとか救い出せたみたいだね」
「おう、待たせたな、三人とも」
「…皆」
心苦しさを感じるも、心底安堵を感じるのは、友達の彼らを大切だと今でも思っているから
だから、例えこの先、夢を目指す為に決別したとしても、彼らの事は大切に想い続けよう
そう決意を更に強くした、クリスタなのであった
「今日はこれで帰りましょう。少し雨に濡れたし、お風呂に入らないと」
「そうだね。ミカサの言う通りだよ。風邪引かないようにしないとね」
「クリスタ、アンタびしょ濡れだけど、家まで大丈夫なの?」
「アニ…ありがとう。確かに寒いけど…でも、大丈夫だよ。ね、エレン?」
「え?あぁ…そう…だな?」
「んっ…むすっ」
エレンに視線を送り、アニへ挑発を含むクリスタと、その様子を見てわずかに頬を膨らませるアニ
肝心の彼は、そんな二人の心理をつゆ知らず
帰路へ足を運ばせる少年達
彼らの夏祭りの思い出は、この雨上がりの空と情緒的な灯りの景色と共に、ずっと記憶に残り続けるだろう
そして、彼らがまだ知る由もない『クリスタとの別れ』もまた…少しずつ近づいていくのだった――――
To ゆきさん
-
- 57 : 2014/06/01(日) 20:13:49 :
―――
「――― え〜。皆さん、おはようございます。夏休みは存分に満喫できたでしょうか?」
――― 小学、中学、高校と。
いつになっても変わることのない、校長先生の長話。
もはやテンプレートとも言えるような恒例の挨拶と共に、俺達は二学期の始まりを迎える。
小学校の時はまだまだ緊張感もあったこの始業式という行事も、
高校生ともなれば無駄に時間を浪費するだけの気だるい時間に感じてしまう。
――― まぁ、そんなところだろうな。
退屈そうにしているアニを横目で捕らえつつそんな事を考える。
エレン「(俺も人の事は言えない、か・・・ふぁ、)」
口許に手を当て、小さく欠伸をする。
俺は校長の話になど大して耳を傾ける事もなく、見慣れた面々を人垣の中から確認する。
俺よりも前の集団にアニ、アルミンに、ミーナ。
横一列、同じくらいのあたりにミカサとヒッチ。
後ろで見えないけど、ベルトルトとマルコは真面目だしまぁいるだろう。
他にも先輩や後輩含め、退屈凌ぎのように部活で一緒だった奴等を探していく。
夏休みの間も顔を合わせてたから、特に久しいと感じる訳でも無いけれど。
何となく探してしまうのはよくある事だと思う。
――― あれ、そう言えば・・・
「――― では、二学期もまた、皆さんが勉学に勤しんで下さる事を願いまして、挨拶とさせて頂きます。」
そうこうしている内に校長先生の長話も終わり、間も無く始業式が終わる時間になっていた。
――― ああ、もう二学期が始まるのか。
ぼんやりとした頭でありきたりな感想を述べる。
――― けど、
秋のコンクールももう目前まで迫ってきている。
――― 俺達に残された時間はあと僅かだ。
自分達が最高の演技が出来るように、万に一つも気が抜けないところだな。
――― 新学期のスタートと共に、
――― 一人の演者としてスパートをかけなくちゃな・・
小さな決意を胸に、俺は教室へ向かう集団の波と足並みを揃える。
>次へ
-
- 58 : 2014/06/01(日) 21:22:11 :
- 始業式が終わり、帰宅部は皆下校して行った
俺達は、そんな帰宅部の生徒を後目に、学校に残っていた
勿論、間近に控えた演劇コンクールのためだ
俺達演劇部員は、教室の一室で、皆で集まり、ランチに舌鼓を打っていた
「なあ皆、聞いたかい?」
演劇コンクールで主役をとった、部長のマルコが、弁当をつつく手を止めてそう言った
「何の話だい?マルコ」
アニが聞き返す
マルコの相手役のアニ
今は気だるげな表情で、いかにも眠たそうにしているが、アニは演技になるとその表情から、仕草から、声から、全てが一変する
今回の役どころのジュリエット…
深窓の令嬢でありながら、その愛に真っ直ぐに向き合う、強い心の持ち主
それを見事に演じきる
そのためにどれだけの努力をしているのか
俺も負けてはいられない
そう心に決めていた
そんな事をつらつらと考えていると、マルコの言葉が耳に入ってきた
「クリスタが転校したらしいね」
…そうなのか
あいつ、転校したのか
全くそんな素振りを見せなかったから、気がつかなかった
そういえば、夏祭りの時…何だか言いたげな表情をしていた気がする
両親が有名な映画監督に、女優
女優のサラブレッドの様なクリスタ
何故か、その表情はいつも何処か儚げで、何もかも諦めている様に見えていた
だが、あの夏祭りの時は何かが違った
転校するという決断に、影響されていたのか
強い、意思を感じた気がした
「クリスタ…転校したんだね」
アニは何か思いを巡らすかの様に、視線を上に上げた
「クリスタも新たなる第一歩を踏み出した。俺たちも頑張らなきゃな」
俺は皆に向かってそう言った
「…そう、私も負けない…必ず演劇コンクールは優勝…してみせる…」
ミカサはそう言いながら、拳を握りしめて、天につきあげた
それを見たベルトルトが、後ずさる
「ミ、ミカサ…演劇コンクールなんだから、暴力反対…!」
「何?私が握りこぶしを作ったら、暴力を振るうとでも言いたいの…?」
ジリジリとベルトルトににじり寄るミカサ
「いや、そんな、そんな事しないよね…?うわあ怖…痛っ!!」
ベルトルトは慌てて立ち上がりかけて、足を絡ませて尻餅をついた
「もう、ベルトルトはびびりでどんくさい!!冗談なのに…」
ミカサは頬を膨らませた
「ベルトルトはすっかりミカサに尻に敷かれてるね…」
アニはその様子を見て、クスッとわらった
確かに合宿中でミカサとベルトルトの距離が一気に縮まった…そんな風に見えた
俺とアニは…
これからどうなって行くんだろうな
俺はチラリとアニを盗み見て、ふうと息を吐いた
-
- 59 : 2014/06/03(火) 01:35:38 :
- アニ「なに?そのタメ息は?」
エレン「い、いや…タメ息じゃねぇよ!それに何もないぞ?」
気付いてたのかよ…?
まぁ別に言ってダメって事ではないと思うけどよ
ダメ…ではない…けど…
言えるわけねぇよ
アニ「じゃあ何なのさ?」
エレン「…」
そんな興味津々みたいな顔で見てくるなよ?なかなか恥ずかしいと思うしな…
エレン「…へへ」
こんな簡単な、ちょっとした会話が楽しいと思うのは夏祭りを一緒に行けたからだよな?
アニ「笑ってないで答えな」
エレン「今日も暑いよな」
アニ「あんたねぇ…」
俺達2人のやり取りを見て笑ってくる部活の仲間たち…
俺も楽しい気分なんだけど、少しだけ心配してることがあるんだよな
エレン「(アルミン…大丈夫かな…)」
クリスタが転校した事は知ってるはず
アルミンがクリスタの告白に最初は答えたけど…
エレン「…」
あいつ…気にしてないと良いけどな…
気にしないのは絶対に無理だよな…うん…アルミンはそういう奴だ
責任感が強くて、優しくて、本当に良い奴だからな
エレン「(後で連絡してみるか…)」
マルコ「エレン?」
エレン「ん?」
マルコ「考え事?」
エレン「まぁ…少しだけな」
何かを言いたそうな顔
すぐに理解できたよ
今の俺達にとったら大事な時期だからな
他の事なんか気にしてたらダメって事はわかってるんだけどな
わかってるけどよ…大事な親友が悩んでるかもって思うとな
アニ「…」
エレン「ん?」
アニ「わかりやすい奴だよ…エレンはね」
エレン「?」
アニが何を分かったのかが、正直わかんねぇけど…
エレン「あ~早く練習したいな…」
そう一言呟いたら
その場にいた皆が【エレンらしい】って笑いだした
-
- 60 : 2014/06/05(木) 00:13:53 :
マルコ「エレンもそう言ってることだし、そろそろ始めようか。」
マルコの一声で、何十人もの部員が彼の元へ集まる。
その日は主に、台本を読みながらのセリフ合わせや、各登場人物の心情イメージを、場面ごとに擦り合わせるミーティングなどを行った。
練習を始めた時には天の真上にあった太陽は、解散の号令がかかる頃には地平線すれすれまで降りてきていた。
マルコ「…では、みんな気をつけて帰ってね。また明日。お疲れさまでした。」
部員一同「「ありがとうございました。」」
部員たちは帰り支度をして、各々教室を出て行く。
その後ろ姿を見送りながら、俺は鞄にしまっていたスマートフォンを取り出した。
…案の定着信が入っている。
俺はその着信の主に、すぐに折り返し電話をかけた。
エレン「おい、アルミン…今どこにいるんだ?…分かった、すぐ行くから待ってろ。」
そう言って電話を切ると、後ろから視線を感じた。
アニ「…アルミンが、どうかしたのかい?」
その視線の主は、心配そうに俺のスマートフォンを見つめている。
けど、アニにクリスタとアルミンのことを話すのは、なんとなくよそうと思った。
アルミン「いや、ただの遊びの誘いだ。だから、今日は一緒に帰れなくなっちまった。ごめんな、また明日!」
アニ「…そう、また明日ね。」
俺は一刻も早くアルミンのもとへ向かおうと、鞄を引っ付かむと練習着のまま教室を飛び出した。
パタパタと廊下を走る音が遠ざかって行く。
アニ「…演技は上達したのに、嘘を付くのは下手だね。」
残されたアニはぽつりとそう呟くと、戸締りを確認して教室を後にした。
>>遅くなりまして申し訳ありません。店員さん、お次お願いいたします。
-
- 61 : 2014/06/05(木) 16:34:06 :
- エレンのいない下駄箱。
履き替えて。しまって。
久しぶりの慣れた動作、どことないさみしさとともに上履きをロッカーにしまいこむ。
今日のエレン、練習には集中していても何か感じる違和感は、きっとアルミンに関わることなのだろう。
エレンが私にわざわざ嘘をつく以上、きっと私の…出る幕ではないのだろう。
何と無く、置いてけぼりを受けなようなさみしさ。
今日は一人、かあ。
そう思ったまさにその時。携帯が下駄箱に鳴り響く。
だれがいるわけでもないのだけど、慌ててカバンから携帯を取り出す。
「何?どうしたの?」
珍しい相手からの電話。
『あの…さ、今日のエレン、様子がおかしかったでしょ?それに…アルミンも、ミーナも…』
アルミンとミーナには、今日は会っていない。
…それでも、エレンの行動と、帰り際のつぶやきを聞けば、それで十分だった。
「うん。わかった。これから行くよ」
学校から10分。駅前のファミレスは、仕事の終わった人々と学生で混み合っていた。
ヒッチ「来たね、こっちだよ。」
アニ「ミーナは…いた」
親友の様子を見て、大体のことを察した。
ミーナ「…アニ…」
私を呼ぶその顔は、不安と心配、そして涙が溢れている。
ミーナ「あのね、アルミンが急にそっけなくなって…。」
ヒッチ「私はほら、アルミンとクラス一緒だからさ。あいつ今日様子がおかしくて…。ミーナが心配で帰りに捕まえたらこの調子でさ…。ほら、落ち着きなよ」
うろたえながら、ミーナを気遣うヒッチ。
『おい、アルミン…今どこにいるんだ?…分かった、すぐ行くから待ってろ。』
帰り際のエレンの言葉を思い出す、
エレン、頼んだよ。
私の大切な親友なんだ。泣かせないで。
私はそっと、携帯に思いを託した。
-
- 62 : 2014/06/05(木) 16:34:16 :
- エレン「待たせたな。」
アルミン「ううん、だいじょうぶ」
そう言いながら、目はどこを見ているかもわからないほど虚ろになっている。
やっぱり、動揺してるな。
アルミン「クリスタ、転校したって…。やっぱり…」
エレン「お前のせい、って言い方はしないぜ?」
アルミン「知ってるの?」
エレン「クリスタとは仲が良かったからな。だからいいかげんに付き合いそうになったお前に、腹も立てたんだろ。あの時は自分に対してってのもあったけどさ。」
アルミン「…そうか、気づかなかったよ」
エレン「確かにあのことが関わってないといったら嘘になる。でもな、あれをきっかけに、クリスタは自分の成長を求めた。あいつの転校は、その結果だ。前向きに進んでるんだよ。」
アルミン「本当?」
エレン「本当だよ。何なら直接本人に聞くか?」
アルミン「いや、いいよ。今更僕が何を言ってもしょうがない」
何を返してやればいいか、言葉に詰まる。
アルミン「…でもさ、僕、クリスタにもミーナにもひどいことしたよね…」
エレン「…そうかもな。」
ーはぁぁぁぁぁぁぁ…
深いため息が、辺りに響く。
俺の親友の悪い癖。ネガティブになるととことん落ち込む。
エレン「じゃあ聞くけど、お前はミーナのこと、クリスタの転校をきっかけに嫌いになったのか?」
アルミン「そんなわけない!」がたっ!
エレン「おお…わかったから」
急に立ち上がるほどの否定に気押される。
エレン「じゃあいいじゃないかよ。お前は頭良すぎるから、どうせ責任とらなきゃ、ミーナにいままでみたいに親しく接するのはやめよう、とかそんなこと考えてたんだろ?」
アルミン「…やっぱりエレンはなんでもお見通しだね」
エレン「アルミンは賢いくせに、人の気持ちはてんで解ってないよな。」
アルミン「…ねえ、どうしたらいいと思う?」
エレン「お前はミーナが好きなんだろ?クリスタのことは気にするな、俺が保障する」
アルミン「ミーナは…どう思ってるのかな」
エレン「…お前、やっぱり人の気持ちってものを解ってないな」
まあ、俺も人のことは言えないけど。
エレン「嫌いなやつとデートするか?」
アルミン「あの時は…君とアニのことがあったから…うまくエスコートできなかったし…」
エレン「一週間も一緒に旅行したんだろ?」
アルミン「あれは…君たちのことが2人とも気になってたから…」
む、今回は重症だな。
エレン「花火にも行ったんだろ?2人で」
アルミン「…うん」
エレン「アルミン、ミーナがどう思ってるかも大事だけどさ。もっと大事なのは自分がどう思ってるかだろ?」
アルミン「僕が、どう思ってるか…」
エレン「思いきり、お前の想いを伝えてみろよ。ミーナとクリスタに悪いことしたって思ってるなら、そこでミーナに判断して貰えるだろ」
丁度届いたメールに目を通しながら、俺は親友を焚きつける。
エレン「さて、アルミン。俺はいま、たまたまミーナの居場所を知っている。」
エレン「どうする?このまま、明日、明後日って引きずるのか?それとも…」
エレン「今日のうちに、スッキリしておくか」
アルミンの答えは、聞く前からはっきりしていた。
-
- 63 : 2014/06/05(木) 16:35:36 :
- 今回は2スレ使ってしまいました…。ではaniっちさん、よろしくお願いします!
-
- 64 : 2014/06/05(木) 20:10:43 :
「私ね…知ってたんだ…」
ミーナが不意に口を開く
「何を?」
「クリスタがアルミンの事…『好き』ってこと
「…そうだったんだ」
「…」
私は前にミーナから相談を受けていた
だからあえてまだ言葉は発っさなかった
「あと…クリスタがアルミンに…告白したこと…」
「えっ?」
ヒッチも驚いていたようだが、さすがに私も驚いた。
「けどね!…別に嫉妬とかはなかったんだよ…」
「けどやっぱり…辛かったんだ」
ミーナには珍しく、口調が弱々しかった。
「だから、諦めることにしたんだ…じゃないとクリスタにも悪いしね…」
「それでね、アルミンがクリスタと別れたことを知ったんだ」
「けど次頑張ろうって気持ちになれなかったんだ…」
「そんな時にまた声をかけてくれたのが…アルミンだったんだ」
「…」
声が震えている。それだけこの言葉に力を入れたかったのだろう。
「好きな人の言葉ってさ、なぜかわからないけど…なんか…心にくるんだよね」
「また期待してもいい、私自身をそんな気持ちにしてくれた。」
「すごく、…嬉しかった」
気がつけば隣にいるヒッチの頬にも光る雫が見えた
「…ごめんね!なんか話の意味わかんないこと言っちゃって!」
鼻をすすりながらミーナがさっきより楽に言った
「信じなよ…」
初めて私は言葉をかけた。
「…」
「ミーナ…あんたはそんなあいつの事を好きになったんでしょ?」
「…うん」
「クリスタと別れたんだ」
「それがどんな理由だとしてもアルミンはあんたに希望をくれたんでしょ?」
「だったら…信じて待つ価値は、あると私は思うよ」
あとは私の言葉をどうミーナが受け取ったか、
私は信じていいと思うよ。あいつに根性は似てるんだ。
親友どうしらしいからね、私は信じてみるよ。
そんなことを思い、胸の中で泣きじゃくるミーナの頭をそっと撫でた。
-
- 65 : 2014/06/06(金) 00:41:29 :
- やっと追いついた!
皆さん、レベル高過ぎwww
期待してます!
-
- 66 : 2014/06/06(金) 05:59:47 :
- そんな時、机の上に置いてあったアニの携帯が軽快な音楽と共にリズム良く振動した
私はそれを取り確認をする…
エレンからのメールだ
メールの内容を見て笑みがこぼれる
フフ…やっぱり、彼奴は凄いね…
心の中でそう思いながら返信のメールを送る
「ミーナ、ほら顔上げな…可愛い顔が台無しだよ」
一呼吸おいてまだ、私の胸で泣きじゃくるミーナにそっと話しかける
「そんな顔してたら、今から此処に来る人に会えないでしょ?」
「…え?」
頭が上手く回らないのかミーナは困惑した様子だった
そんなミーナを尻目に話を続ける
「まぁー、ただでさえ目立っているのにさらに目立たせることになるからね。違う場所で待っててもらったけどね…」
私は周りを見渡した
ここはファミレス…しかも駅前のだ
時間を問わず多く人が入っていた
そのほとんどが自分達を見ていた…
誰もが泣きじゃくっているミーナを何があったのか興味を抱いている人もいれば心配そうな目で見ている人もいた
先程まで、泣きそうだったヒッチもこの視線に気が付いたのか顔を少し赤らめながら俯いていた
まあ、気持ちはわからないでもない…決してミーナの行為で恥ずかしいと思っている訳では無い
知らない多くの人に見られている…そのことが恥ずかしい気分にさせた。いや、緊張していたのかもしれない
少なくとも私やヒッチは多くの知らない人に見られること自体あまり無いので不慣れだ
こんなんじゃ、ダメだ…
仮にも役者がこんなことで恥ずかしがったり緊張していたら、これから行われる秋のコンクールはもっと多くの人に見られることになる
ミーナには悪いと思うが感謝する
一度でも良いからこんな経験ができたのは私自身とても大きかった
ヒッチもそう思っているはずだ
それと同時に私は、場所を変えるようエレンに連絡を入れて正解だったとシミジミと感じた
「ほら、その場所に行こう」
「…うん」
「あ…でも、私とヒッチは途中まで付いて行くけどその場所には一人で行くんだよ」
「わ、わかってるよ〜」
すっかり泣き止んだミーナはこう言ったがどこか不安気な目をしていた
私たちは会計を済ませてその場所…此処から10分程度歩いたところにある公園に足を運んだ
>>次の人、お願いしますm(_ _)m
-
- 68 : 2014/06/08(日) 11:42:17 :
- 【告知】
以下のグループにてリレーの参加者の皆様にお伝えしたい事がございますので、次の周回(次のMy.Loさん以降の周回)で自分の番が回ってくるまでに確認し、ご連絡ください!
http://www.ssnote.net/groups/68/archives/13
-
- 69 : 2014/06/11(水) 17:14:13 :
- そして、私達は公園の近くまで来た
「ミーナ、私達が付いて行けるのは此処までだからね…頑張りなよ…」
「うん…」
「大丈夫よ。ミーナなら」
「うん…ヒッチもありがとう…」
ミーナは返事をするもののその声には不安と緊張が隠しきれないでいた
「じゃあ…行ってくるね…」
「「うん、行ってらっしゃい…」」
ミーナは一人で公園に向かった
公園に向かうと其処には何時もよく見ている金髪の男性が目に入った
「アルミン……待った?」
「いや、全然待ってないよ…」
「………………」
「………………」
お互いに沈黙が続いた…
「「あっ、あのさ(ね)」」
「あっ、先に喋っていいよ…」
「いや、アルミンが先に喋っていいよ…」
「う…うん、分かったよ…」
「(あぁ…何で先に喋らないのよ…私の意気地無し…!)」
とミーナは心の中で呟いた
-
- 70 : 2014/06/15(日) 22:51:17 :
アルミン「そ、しょの…ね…」
アルミン「あ、ご、ごめんね、噛んじゃって!!」
アルミンが重い口を開く、しかし、やはり緊張しているのだろうか、噛んでしまっていた
ミーナ「うん…」
私はこれからアルミンが何を自分に伝えてくるのか察していた。
もしも私の考えが当たっているなら、噛んでしまうのも頷ける。
だから、いつもなら笑っているけど…
今回は私は笑わなかった。
この"噛み"は、同時に私のことを、いや、周りの人を思いやる彼の優しさを表しているのかもしれないから…
アルミン「…あ、改めて言うね…」
ミーナ「うん」
アルミン「僕は、ミーナを愛しています…!!」
ミーナ「!」
アルミン「今までいろいろあったけど…でもっ!」
アルミン「これが僕の出した答えです!」
私は少し驚いた。
でも…嬉しかった。
きっと、アルミンはたくさん悩んだだろう
だからこそ、嬉しかった。
ミーナ「うん…ありがとぅ…」ボロボロ
葛藤から解放された私は、いつの間にか泣いていた…
-
- 71 : 2014/06/15(日) 23:00:57 :
- きたーいw
-
- 72 : 2014/06/17(火) 00:32:05 :
- 【告知】
出番から二日以上連絡が無い場合、以後自動で順番を飛ばし、これが続いている場合は、更に順番から暫定的に外れる方針が定まりました。
再度、参加を希望する場合は、またその意志をお示しください。「歓迎します」との全体の意見です。
よろしくお願いします
-
- 73 : 2014/06/17(火) 00:32:08 :
-
- 74 : 2014/06/17(火) 00:33:45 :
――――どうしよう…まさか、ミーナが泣きだすなんて…想定外だった
その少年は、内なる戸惑いを隠せずにいた
その表情は、目の前の女の子の涙への困惑
――――僕は、こういう時どうすればいいのか…なぜか知っている気がする
「……」
「…え?」
少年は、一歩、彼女の傍へ歩み寄った
彼の行動に気付き、彼女の涙も一時的に治まった
その行動の趣旨が気になったからである
「……」
「…!!」
彼は、彼女に唇を重ねた
「な…なんで…アルミン?」
「ミーナ…突然、ごめん。でも…こうすると…君の涙が…止まる気がして…」
「…止まるわけないじゃん」
「…え?」
「だって…こんなに嬉しい事があったら…余計に泣いちゃうよ…ぐすっ」
「……」
一時的に治まった彼女の涙は、再び止めどなく溢れ出た
それほどまでに、彼女は幸福感を噛みしめていたのであった
てっきり、そのキスによって彼女が泣き止むとばかり思っていた彼の表情は、呆けていた
普段は賢い彼も、その類に関して…とりわけ女心というものに関しては、無知であったのだった――――
――――彼女達は…いや、“彼ら3人”は、帰路を歩いていた
「エレン、アルミンをここに導いてくれて…ありがとう」
「気にするなよ。アニの方もミーナを元気づけてくれていたんだろ?」
「ちょっと、私だってあの子の事、第一に心配していたんだけどぉ?」
エレンは、アニとヒッチの二人に合流していた
「ミーナ…上手く気持ち言えたかな?」
「いや、気持ちを伝えるのは、男のアルミンの役目だろ?そこはさ!」
「うーん、さっさと退散しちゃったから、何とも言えないよね…でも、あの子なら」
彼らは、アルミンとミーナの事を信じていた
信じていたからこそ、何も干渉せず、帰路へ引き返したのだった
そこへ、同じ考えのエレンが二人の前に現れた
「…あっ、私ここの道で別れるから!」
「そっか。ヒッチの家は、俺達の家とは少し方向が違うんだな」
「そっ、だから…またね?」
「おう、またな…って言っても、明日もまた部活でしのぎを削るんだろうけどな」
「…じゃあね、ヒッチ」
「うん。アニも…またね!」
そう言って、彼女は小走りに駆けだした
少し距離を置いた後、最後にクルリと振り返り、手を振った
その明るい仕草に、二人は心を温かくした
「…俺達も帰るか」
「うん、そうだね」
彼女の背中を見送った後、彼らも再び、帰路をたどり始めた
ヒッチの漂わせた“間”が、アニは気になっていた
油断はできない、と直感したアニは、エレンへある提案をした。それは…
「ね、ねぇ…エレン」
「…ん?」
「あの…良かったらさ…」
「良かったら…何だ?」
手をモジつかせる彼女とは対照的に、彼の表情は…言うまでもない
「これから…私の家に…来ないかい?」
「アニの家に!?」
「うん…チーズハンバーグ…食べて行って…ほしいんだ」
「ほ、本当に!?」
「今日の…感謝“も”込めて」
「よっしゃ!善は急げだ、早く行こう!!」
“も”が意味するところは…彼女のみ知る――――
~続~
-
- 75 : 2014/06/17(火) 00:35:04 :
――――この日、“彼女”は新しい日々を歩もうとしていた
生徒の声でざわつく教室
ここは、とある高校
教室にいるのは、どこか品の良さそうな身なりの生徒ばかり
それもそのはず。ここへ通う生徒の大半は、素封家の跡取り。所謂「お嬢様」学校である
「全員、着席!HRの時間です」
教師の一声と共に、途端に静まり返る教室。流石、躾を受けて来た子供達である
「えー、本日より、この教室に新しい生徒が編入してきました。まぁ、転校生ですね」
転校生という言葉に、再び教室がざわつく。しかし、教師の視線により沈黙は守られる
「では、紹介します。入ってください」
音とともに、教室の扉が開く。そこから歩みを始めたのは、“彼女”だった
「んっ、あ…『クリスタ・レンズ』です。皆さん、よろしくお願いします」
クリスタは、今日ここへ転校してきたのだった
エレン達がアルミンとミーナの問題で奔走している最中《さなか》
これまでとは異なるこの環境で、クリスタは新たな人生の始まりに胸の躍動を感じていた
「彼女…綺麗な顔立ちね」
「女優の卵を見ているみたい」
小柄で可愛らしい容姿をもつ彼女の登場に、生徒達は興味の視線を送っていた
しかし、構わず彼女は自己紹介を続ける
「私は、この間まで少し離れた『トロスト高校』に通っていました」
「とある事情で、この度はこの『ストヘス高校』へ転校となりました」
「この学校では、演劇部へ入部して、コンクールで賞を狙う志を持っています!」
演劇部という言葉の登場に、ざわめきが起こる
「確か、トロスト高校の演劇部って言えば“古豪”で、何人か女優を輩出していたっけ?」
「あぁ。ナナバさんとか…まぁ、色々とな」
「そんな強豪から、こっちの演劇部へ移るって事かしら?」
「でも、この学校の演劇部もかなりの強豪で、レベルも頭一つ抜けているらしいわよ?」
生徒達の口から次々と、演劇部に関する噂が飛び交う
そんな教室の空気は“彼女”の宣言によって、一蹴された
彼女は、すぅっと息を吸うと、この先に自分の見据える道を言葉として表現した
「私は…夢を叶える為に…舞台女優となる為に!…ここへ来ました!!」
新たな好敵手《ライバル》は…図らずもその志が蘇り…そして、静かに育ち始めた――――
To ゆきさん
コメント:アルミンとミーナの恋物語は、私のさじ加減で一旦、簡潔に纏めさせていただきました。その代わりに、テロを…ゲフン…置き土産(=話題)を2つ残しておきましたよ?どう扱うかは皆さん次第です。よろしくお願いしますね?(笑顔)
-
- 76 : 2014/06/17(火) 05:38:38 :
- すごく面白いですね~。
期待です。
-
- 77 : 2014/06/18(水) 21:02:48 :
- 期待です!!!!!
-
- 78 : 2014/06/19(木) 00:33:15 :
-
――― ザァァァァァ・・・
勢い良く地面を叩く水音が、俺の耳へと入ってくる。
音の出処は窓の外で止むことなく降り注いでいる大雨。
――― そして。
それよりも幾分か遠く、小さく聞こえる・・・
浴室からの水音だった。
――― 待て待て、どうしてこんな事になった?
――― 確か俺はチーズハンバーグをご馳走になりに来たハズなんだ・・・
――― それが今、どうしてこんな状況にあるんだ?
かれこれ30分程前の事だ。
アニと二人で帰ってる最中、俺達は急な雨に襲われてしまい急いでアニの家まで走り込んだんだ。
それ故、お互いに頭から爪先までびしょ濡れになってしまったので、俺は今こうしてタオルで頭を拭いていて・・・
――― そして、
アニは風邪引かないように、
シャワーを浴びている。
――― ただ、それだけの事だ・・・
自分の焦る気持ちを抑制するが為か、無意味な程に、いつもより増して冷静に分析しようとする。
どうしてこうなっているかなんてのは、そんな事をしなくても分かっているんだ。
――― けど、
はやる気持ちを落ち着かせるには、こうして気を紛らわせるしか俺には無かった。
――― ザァァァァァ・・・
ふと気を抜いてしまうと、雨音に紛れて微かに聞こえてくるアニの肢体を伝う水音の方へと無意識に耳が傾いてしまう。
――― ゴクリ。
思わず生唾を飲み込んでしまう。
――― いやいや、何を考えてるんだ?
――― 俺はただチーズハンバーグを食って帰るだけなんだ。
――― 何も起こる訳ないだろ?
そう何度も何度も心の中で言い聞かせ、頭の中をよぎる不埒な妄想を完結させる。
-
- 79 : 2014/06/19(木) 00:34:25 :
やがてキュッという蛇口を捻る音が遠くから聞こえてくる。
そしてそれから1、2分くらいしてから、ペタペタと廊下を歩む素足の音が、こちらの部屋へと向かってくるのを感じた。
これだけの大雨降りなのに、そのほんの小さな足音だけが、やけに鮮明に俺の聴覚を刺激する。
――― ヒタリ。
・・・と、静かに足音が止まり。
アニ「お待たせ・・・」
と、一言声をかけてくるアニ。
エレン「お、おう。お帰り・・・」
俺は大層ぎこちなく返事を返してそちらを伺う。
何気無い一言だが、俺の動揺を再び呼び起こすには十分過ぎる格好のアニがそこにはいた。
『今日は両親ともいないから遠慮なく上がってよ』
玄関口で、アニがあんな一言さえ言わなければここまで変に意識する事も無かっただろうに。
なぜこんなにも艶かしい≪なまめかしい≫姿で、いつも通り平然とした様子で俺の前に立っていられるのか?
窓の外で降り続ける雨は、俺の心を映すかのように強さを増すばかりだった。
R指定な展開は無しよ?>88さんよろしくです!
-
- 80 : 2014/06/19(木) 06:59:35 :
- ザーザー…
少し熱めのシャワーで、雨に濡れて冷えた身体を暖める
両親がいないから…なんて言って、完全に誘ってる、と思われたよね
そういう意味じゃないんだけど…
でも、全く何も期待していない…と言えば嘘になる?
私はそこまで考えて、頭をぶんぶん振る
何を考えてるんだ、私は
顔が赤くなったのが、鏡を見なくてもわかる
私はただ、チーハンを…エレンに食べて貰いたかった、それだけだ
本当に、それだけなんだから
そんな取りとめもない事を考えながら、シャワーを止めて、風呂場を出る
洗面所の鏡に映るのは、風呂上がりで紅潮した顔
そう、ただ身体が暖まったから顔が赤いんだ
でも…耳朶のこの熱さは、シャワーを浴びたせいだとは、言い切れなかった
-
- 81 : 2014/06/19(木) 07:16:28 :
- 風呂場を出て、私はある重大な事実に気が付く
…しまった、着替え、持ってくるのをわすれた…
どうしよう、うっかりしてた
下着は洗面所にあるからいいとして…
私ったら、致命的なミスじゃないか
完全に誘ってる…
としか言い様がない、よね
いや、エレンはそんな風には思わない!!
私は下着だけ着けて、大きなバスタオルを念入りに体に巻いて…
意を決して、洗面所を出た
-
- 82 : 2014/06/19(木) 16:44:56 :
- この状況は何なんだろうか………?
アニ「ジロジロ見るな」
エレン「おまっ…な、何て格好してんだよ!?///」
ジロジロ見るなって…無理だからな?
思春期の男子には刺激が…
エレン「ちょっ、ちょっと待てよ!俺はどうすりゃあ良いんだ!?」アセアセ
アニ「な、何もしなくて良いから!き、着替えを忘れたの!」
着替えを忘れたのか、何か…ごめん…
いやいや、ありがとうございます…
エレン「…」チラッ
アニ「ちょっと!見てるでしょ!?」
エレン「だ、だってよ…!」
普通の男子が目の前にさ?美人でスタイル完璧でさ?可愛い女の子がさ?
エレン「い、いや…その…さ…」
バスタオル姿で目の前にいたら…しかもさ?
俺は…
エレン「(惚れてる女が…バスタオル姿って…///)」
お前の事が大好き何だぞ!?
本当に俺はどうすれば良いんだ?
目を瞑ってればいいのか?何も考えずに無心に…無心…
無理です…
エレン「目!目を閉じてればいいか!?」
動揺してるのはバレてるよな?
目を閉じれば良いか?って聞いてるけどさ…
本音を言ってしまえば
エレン「(うわぁ…ずげぇ見たい…)」
アニ「ちょっと、そのまま動かないでよ?着替え出すから!!」
無心になれ
無心になるんだ、エレン・イェーガー
エレン「(ほ、他の事を考えよう!)」
え~と
…アルミンが1人…アルミンが2人…アルミンが3人…
アルミンが24人…バスタオル姿のアニが25人…
ん?
エレン「う~///」
アニ「?」
ダメだ、アニの事しか考えれない…
いやいや、アニの事はよく考えてるけどよ?
エレン「(お、俺も…男の子…うん…男の子です)」
天国だけど…辛い時間です…………
-
- 83 : 2014/06/20(金) 16:38:09 :
アニ「…くすっ」
両目をぎゅっと瞑っているせいか、普段より敏感になった聴覚が、アニの小さな笑い声を捉える。
エレン「な、なんだよ。」
アニ「いや、面白いなあと思ってさ。」
エレン「お前っ…か、からかうんじゃねぇよ!!さっさと服着ないと、風邪引くぞ。」
アニ「うん、そうするよ。」
箪笥を開け閉めする音が数回聞こえ、アニが部屋を移動するぺたぺたと言う音を無意識に耳で追う。
アニ「…あっちで着替えてくるから、もう目開けてもいいよ。」
エレン「お、おう。」
アニ「じゃあね。楽にしてて。」
俺が目を開けると同時に、ぱたん、という音がして洗面所のドアが閉まった。
それを確認して、俺は深い深いため息をついた。
…ったく、いろんな意味で生きた心地がしねぇよ。
改めて、アニの部屋をぐるりと見渡す。
壁には、何処か外国…たぶんブロードウェイのミュージカルのものかな…のポスターが数枚貼ってある。
テレビの下のデッキには、同じくミュージカル映画や舞台のDVDがずらりと並んでいた。
その隣に置いてあるラックの中には、恐らく観劇した時に買ったものなのであろう、劇のパンフレットが数冊入っている。
…アニは本当に、演劇が好きなんだな。
そのとき洗面所の扉が開く音がして、俺はぴしっと姿勢を正した。
アニ「…お待たせ。」
現れたアニは、薄いピンク色のTシャツに、ゆるっとした黒の膝丈パンツを身につけていた。
乾かしたてのアニの金髪が、彼女の動きに合わせてふわりと揺れる。
…普段は上げてるからよく見られないけど、髪も綺麗なんだな…
アニ「…あんまり見ないでもらえる?」
エレン「あ、わ、悪りい!」
慌ててそっぽを向いた俺に、アニはまたくすくす笑った。
アニ「はい、これ。」
エレン「?」
そっぽを向いた俺の頭に、ふわっとしたものが乗せられる。
エレン「バスタオル…?」
アニ「シャワー、浴びておいでよ。そのまんまじゃ、あんたこそ風邪引くよ。着替えは、お父さんのを適当に見繕って出しておくからさ。」
エレン「…えぇ!?」
一難去ってまた一難と言うべきか
再び訪れたチャンスと見るべきか。
男、エレン・イェーガーが試される瞬間が、再びやってきたようだ。
>> 店員さん、お次よろしくお願いいたします!
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- 84 : 2014/06/20(金) 20:12:09 :
- あなたがたもうプロですよ!
文章の連携力あり過ぎwww
このサイトで人気の作家さん達が集まっているから当然ですね( ^ω^ )
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- 85 : 2014/06/20(金) 20:46:24 :
- >読者の皆様へ!
たくさんの応援、お褒めのコメントありがとうございます♪
執筆者一同、これからも読者の皆様に楽しんで頂ける様に尽力して参りますので、今後も引き続きのご愛顧の程よろしくお願い致します(๑′ᴗ‵๑)
一人一人の書き手の方々の忙しさもありなかなかお返事などまで手を回せていませんでしたね、申し訳ありません!(汗)
執筆陣を代表して遅ればせながら感謝のコメントとさせて頂きます、!
お読み下さり、本当にありがとうございます(๑>◡<๑)
-
- 86 : 2014/06/21(土) 16:54:34 :
- アニ「それじゃ、お風呂はそこの突き当たりだから、服はカゴに入れて。後で時短乾燥かけとくから」
おいおいおい、俺は本当に風呂借りるのか…。
エレン「ああ、さんきゅ」
うおお、めっちゃ声上ずってる。
アニ「私はチーハン準備始めるからさ」
エレン「おう、あとでな!」
ーカラカラカラ…
別に変なことはない。たまたま、ずぶ濡れになってしまったから風呂を借りるだけだ。
…でも。
…。
……。
ここでついさっきアニが………ぐはぁ!
ダメだ、あらぬことばかり考えちまう前に…急いで入ってしまおう!
ーーーー
ーーー
あいつ、もう入ったかな?
なんだか変な気分。私の家で、エレンがお風呂に入っている。
ーくすくす。
自分の笑い声にちょっとびっくり。私、笑ってたんだ。
さて、腕によりをかけるんだ。炒め玉ねぎには白ワインを入れて。うん、良い香り。
今回は合挽じゃなくて牛挽肉。つなぎのパン粉も少なめに。しっかり練って練って。
よし、白っぽくなってきた。氷で冷やした玉ねぎも…よし。混ぜ合わせてまた練って…と。
…あいつと…もし、もしだけど。結婚したら。こうやってご飯の用意をするのかな?
ボウルに映る私の顔はまん丸で、少し赤く見えた気がした。
あ、いけない、着替えを用意しなきゃ!
ーーーー
ーーー
ーシャァァァァァ…キュッ
湯を止めるとまだ何となく寒さを感じるものの、だいぶ温まった。
頭も洗った、顔も洗った、身体も洗った。…大丈夫、だよな?
綺麗にたたまれていたバスタオルに顔をうずめる。…嗅ぎ憶えのある、アニの香り。
いや、意識するなよ、するなよ?
…
身体を拭いて、頭を拭いて、下着を履いて…あれ?俺に合いそうな服を見繕ってくれるっていってたけど…?
ーカラカラカラ
…。
…。
…。
アニ「〜〜〜〜〜〜⁉︎ごめん!」カラカラピシャッ!バタバタバタ!
エレン「お、おう、気にしないでくれ」
アニ「ま…まだハンバーグ焼けてないんだけど…リビングにテレビあるから見てる?」
エレン「おう、とりあえず服着たらキッチンに行くよ」
アニ「わかった」
これまで見たことも聞いたこともないようなアニの狼狽ぶりに、下着姿を見られたこともどこへやら、むしろ楽しくなりながら、俺は親父さんの服の袖に手を通した。
-
- 87 : 2014/06/21(土) 20:30:27 :
- エロ展開無しでこの際どさ……
キラーパスの連続じゃないですかwww
-
- 88 : 2014/06/22(日) 00:59:15 :
- こういったギリギリの緊張感は、我々にとっては割と日常茶飯事ですやぁ~!(*・ω・)/''' ♪
夏合宿編とか、すご~く緊迫の連続でしたからね!あなオソロシヤ~(笑)
-
- 89 : 2014/06/22(日) 10:40:00 :
- ガチャ
エレン「お風呂ありがとな」
アニ「うん、あとは焼くだけだからテレビでも見てて」
エレン「わかった」
下着姿を見られた羞恥心はどこえやら、今はアニの手料理を食べられる嬉しさで胸がいっぱいだった。
その気持ちに抱えつつソファーに座る。
めっちゃふかふかだ…
テレビを見ながら出来上がりを待つ。
ふと視線を窓の方に向けるとここについたときより大分と雨の勢いが強くなって、ガラスにうちつけていた。
これは帰れそうもないな…
もしかしたら…泊まるなんてことに…いやいや、
さすがにそれはだめだ。
女の子一人だけの家に男が泊まるなんて
けど…泊まってもみたい…
そんな思いが交差していると、焼ける音とともに香ばしい香りが俺の鼻をつついた。
しばらくして、
アニ「できたよ!」
エレン「早く食べようぜ!」
アニ「うん」
エレアニ「いただきます!」
俺はアニの手料理を口に運んだ。
アニ「どう?」
エレン「めちゃくちゃうまい!」
アニ「よかった」
前に作ってくれた時よりおいしく感じた。
そしてその言葉を聞いたアニは優しく微笑んでくれた。
エレン「ご馳走さま、うまかったよ!ありがとう」
アニ「いいよ、私が食べてほしかっただけだから」
アニが窓に視線を送る。
アニ「雨…強くなってきたね」
エレン「ん?あ、あぁ…」
アニ「……泊まってく?」
エレン「えっ?い、いいのか?」
アニ「エレンが…いいなら…」
頬を紅に染め、下を向きながら恥じらうアニを見て俺は答えた。
-
- 90 : 2014/06/22(日) 13:17:11 :
- 「お、おふぅ…そそそそれじゃあ、そうさせてもらうか」
うわぁぁぁぁ!めっちゃ動揺してるよ俺!
しかしな、なんだよ今の…
クッソ可愛い!!
そんな顔で言われたら断れないよ
いや、断る気なんて端からないが…
「ふふ…そうかい」
アニはさらに紅くなった顔を隠そうと背を向けて答えた
「じゃあ私は準備してくるからアンタはテレビでも観ててよ」
「お、おう」
アニはそう言うと二階へと続く階段を登って行った
そんなアニを心臓が口から飛び出てくるんじゃないと思うぐらいドキドキしながら見送った
そして、ふと思った…
俺の寝る場所って何処だろう
準備だから俺の寝る場所を準備してるんだよな
アニの部屋だったらどうしよう寝れるのか?
いやいやいや、幾らなんでもそれはないな
いやでも…
そんな複雑な気持ちのままリビングへと向かった
〜15分後〜
今、テレビでは俺が好きな芸人が漫才をしていたが全く耳に入ってこなかった
何故か?それは、皆もわかるだろう
緊張とそして何かあるのかという期待で胸がいっぱいだったからだ
学校一とも呼べる美少女と一つ屋根の下で夜を過ごすかもしれないのだから何かを期待しない方が可笑しい
いや、男なら必ず期待せざるおえないだろう
そして…
「お待たせ」
この瞬間俺の心臓は今迄にないほど高鳴り出した
-
- 91 : 2014/06/22(日) 13:18:14 :
- 次の人よろしくお願いします
-
- 92 : 2014/06/24(火) 17:22:38 :
- 期待です。
-
- 93 : 2014/06/25(水) 22:29:22 :
「お、おう…あ、ありがとな…」
気を抜いたら声が裏返りそうだった
「…あんた、顔がニヤけてるよ」
どうやら顔に期待と書いてあったようだ
「そ、そうか?」
必死に平静を装おうとするが、やはりニヤけてしまう
だって…アニが可愛すぎる…
風呂でのこともあるし…
「何を期待してるんだか…」
俺は、アニに核心的なものを突かれた
指先が小刻みに震えるが、押さえつける
「な、なんもしてねぇよ!それで、俺の寝床はどこだ?」
今回はちゃんと言えた…
このまま頑張れ、俺…
「その前に…」
アニが洗面所を指差す
…なにかあるのか?
よく見ると、その先に歯ブラシがある…
…あ、歯磨き忘れてた…
…寝る前には歯磨きだよな、うんうん…
-
- 94 : 2014/06/26(木) 23:12:27 :
彼の手の動きは、どことなくぎこちない
これまで数百、数千と繰り返して来た所作にもかかわらず…
エレンはアニと並んで歯を磨いていた
アニの動きは淡々と、作業をこなすかのよう
対するエレンは、その基本的な動きこそままならない
「…んぺっ…私、終わったけど?」
「あ、あぁ…俺も…もう磨き終わるから…さ」
「……」
「……」
彼が目の前のコップに手を掛ける間際、彼女の視線はそちらへ誘導された
その微《かす》かな視線を感じ取り、彼の手はほんの一瞬…戸惑いの挙動を表した
それが…アニが普段使うコップだったから…
「…気にしなくても…いいよ」
「あ……」
「た、たかだかコップくらい…何とも思わないから…さ」
「だ、だけど…ほら」
その『たかだか』と言う割に、しきりに彼とコップを交互に見やる彼女
コップに対して、こうも視線を送られていては、彼にも尚戸惑いが生じるだけである
だが、そんな事は今の彼女の心情にとっては、お構いなしとの事
「……」
「わ、わかったよ。俺も気にしないから…ぺっと」
無言ほど、その意志を伝える術《すべ》はない。無言は『信』の裏返し
「…それじゃあね。おやすみ」
「あ、あぁ…おやすみ、な」
済むだけ済んだら、アニはさっさと部屋に戻っていった
…その横顔は、わずかに口角を緩ませていた――――
アニが見繕った一室。この客間でエレンは、布団に入り横になっていた
部屋の明かりも消えたこの部屋の外では、変わらず強く雨が降り敷けっていた
外の景色を見ずとも、雨が窓を打ち付ける音で、その勢いの強さは容易に把握できた
…それだけではない
ピシャーーーッン!ゴロゴロゴロ!
…轟雷である。眩《まばゆ》い閃光から音が響くまでの間が短い。場所は近いようだ
その眩しさを避けようと布団を深くかぶる…寒さを垣間見せる秋直前で都合が良さそうだ
ペタペタペタ
外の喧騒に紛れる足音
その“潜《ひそ》み足”は、部屋の中央に敷かれた布団の傍《かたわ》らへ…
「…え?」
「……」
その“侵入者”は、小刻みに震える様子を見せる
姿がはっきりと捉えられずとも、布団を揺らす振動が彼女の挙動を彼に伝えていた
「ど、どうした…んだ?」
「…か、雷」
「雷が…どうしたって?」
「こ、怖いの…」
「…は?」
「だ、だから…その…」
『今日という日は、自分に一息つかせるつもりも毛頭ないらしい』
そんな…自分が世界の因果律の中心となったかのような“錯覚を抱かされた”彼
そんな…彼の『幸せな苦悩』は、まだ終わらない――――
To ゆきさん
コメント:まだだ、まだイケる!(๑و•̀ω•́)و
私達は、ずっと戦わないといけないから!そして、全員でこの戦いを制すんだ!(←)
でもこのまま、アニがエレンにとらr…ぐ、ぐぬぬ…(←今だに葛藤中)
-
- 95 : 2014/06/27(金) 19:22:41 :
―――
・・・深夜0時を回った頃だろうか?
俺は見えもしない掛け時計の針を、暗闇の中で無意味に探していた。
――― ザァァァァァッ...
窓の外の雷雨は、未だにその勢いをとどめる事なく降り注ぎ・・・
――― ピカッ!
相も変わらず、時折眩い光を放っては・・・
――― ゴロゴロゴロ!!
まるで楽しんでいるかのように俺達の静かな夜を脅かしていた・・・
――― ドクン...
――― ドクン...
――― ドクン...
――― まるで夢のような、
――― それでいて悪夢のようなシチュエーションに。
――― 俺の心臓はかつて無い程に落ち着きを失っていた・・・
『考えないように・・・』
『考えないように・・・』
そう言い聞かせれば言い聞かせる程、俺の意識は彼女の方へと集中していく。
――― 鼻をくすぐるシャンプーの仄かな香り。
――― 直ぐ近くで聴こえる微かな吐息。
――― 恐怖と不安に小刻みに震える温もり。
――― その全てを背中越しに感じていた・・・
――― 手を伸ばせば届く位置にある、
――― 触れたら壊れてしまいそうな小さな身体。
俺は今、一人分しかない狭苦しい布団の中で・・・
好きな子と二人、背中合わせで横になっている・・・
――― やましい事は何も起こらない。
――― そう、起こらないんだ。
今にも途切れそうな、『理性』という名の細いロープの上での綱渡り。
何度も何度も、そう心に言い聞かせては、
俺はただただ必死にバランスを取り続けていた・・・
-
- 96 : 2014/06/27(金) 19:23:44 :
アニ「エレン・・・」
ドキリ、と胸が鳴る。
アニ「エレン、起きてる・・・?」
不安を宿した声色で、アニが問いかけてくる。
この場には不相応な自分の淡い劣情に感付かれたのかと咄嗟に思ったけれど。
どうやら違ったようだ・・・
俺はホッと胸を撫で下ろすと、
エレン「あぁ、起きてるぞ。・・・どうした?」
・・・と、務めて平然を装いながら、アニの方へと返事を返す。
アニ「あの・・・えっと、その・・・」
アニは何やら歯切れの悪い様子で、もごもごと口をこもらせる。
エレン「・・・?どうしたんだ?」
そんな様子のアニに、今一度声を掛けてみる。
アニ「・・・」
エレン「・・・」
ほんの数秒の沈黙の後。
アニはようやく決意したのか、
アニ「・・・て。」
・・・と、一言だけ漏らした。
エレン「・・・て?」
その言葉を咄嗟に理解する事ができなかった俺は、思わずやまびこのように言葉を返す。
アニ「・・・」
そんな要領を得ない俺の態度に少しムッとしたのか、掛け布団を少しだけ巻き込みながら俺とは反対方向へ寝返りを打つアニ。
――― そうは言っても、
――― 何の事だかまるで分からなかったんだけどな・・・(汗)
そんなアニの反応に、焦りと呆れを同時に感じた俺だったが、
不意に俺の左手の先に何かが触れるのを感じる。
俺の手の甲を優しくなぞるように触れるそれは・・・
細く、小さな、アニの指先だった。
――― あぁ、『手』の事を言ってたのか。
ようやく先程のアニの言葉を理解すると同時に、そんないじらしい彼女の態度に思わず笑みがこぼれてしまう。
――― そのお陰なのか。
未だこの状況に対して緊張感が残ってはいるものの、
それとは別に、妙に安心してしまう自分もそこにはいた。
俺はフッと軽く息を漏らすと、ただ黙って彼女の震える手先を握り締めた。
それに応えるように、
彼女の指先にも、ほんの少しだけ力が込められた。
-
- 97 : 2014/06/27(金) 19:27:40 :
・・・
アニ「ねぇ、エレン・・・」
――― 機嫌を直してくれたのだろうか?
ほんの少しの沈黙の後で、またアニが口を開く。
エレン「ん、どうしたんだアニ?」
だいぶ平静を取り戻した声で、アニへと言葉を返す俺。
アニ「その、私・・・」
そんな俺とは対照的に、未だ不安と動揺を含んだ様子でおずおずと言葉を紡ぐアニ。
アニ「まだドキドキしてて、全然眠れそうにないからさ・・・」
アニはそう言うと・・・
――― ピタリ。
・・・と、
ただでさえゼロ距離の位置にあるその背中を、更に詰め寄ってきた。
エレン「ア、アニ・・・?///」
――― またも高鳴る心音。
――― おいおい、これは一体どういう状況だ?
俺は『理性』と『本能』とが目まぐるしく右往左往している頭の中で、必死に状況を整理しようとする。
だが、そんな俺の様子も露知らずと言った様子でアニは続ける。
アニ「だから・・・その・・・」
躊躇うように、恥じらうように、
どこか妙に艶っぽい様子で口ごもるアニ。
――― そして今度は、
――― 俺の動揺を誘うかのように指先に軽く力を込めながら、
――― か細い声で一言。
アニ「安心できるまで、その・・・」
アニ「私と二人で・・・して欲しいんだ・・・」
・・・
・・・
――― 一瞬思考が停止する。
エレン「・・・へっ?」
俺は思わず、なんとも間抜けな声が出てしまう。
――― 今、アニはなんて?
先程の言葉を本能が大半を占める脳内で反芻し、思わず緊張感でいっぱいになる。
そのお陰で感覚が研ぎ澄まされている俺の耳に・・・
アニ「だから、えっと・・・」
――― アニは止めの一言を発する。
アニ「会話・・・」
・・・
アニ「雷が止むまで・・・一緒にお話、して欲しいんだ・・・」
エレン「・・・えっ?」
――― またも間抜けな声を上げる。
アニ「えっ・・・?」
釣られるようにしてアニも呟く。
エレン「・・・あ、ああ!会話ね!会話っ!」アセアセ
アニの反応から、一方的に勘違いをしていた事を思い知らされた俺は焦る気持ちを誤魔化そうと、
――― また、
自分自身に言い聞かせるかのように、『会話』という言葉を強調して発する。
アニはアニで、俺のそんな反応を困っていると捉えたのか、
アニ「ダメ、かな・・・?」
・・・と、申し訳なさそうに言葉をかけてくる。
――― いや、そんな事は無いんだ、
――― けど・・・
落ち着きを取り戻していたはずの俺の心を、またも動揺させるようなアニの行動に半ばモヤモヤとしながらも・・・
エレン「あ、あぁ。いや・・・全然構わねぇです、ははっ・・・(汗)」
――― 俺にはただ、
――― 彼女の請いに対して、応えるより他なかった・・・
>次へ
エレンが何を勘違いしたのか?
それが何の事だか全く皆目見当付かないという良い子のみんなは、そんな細かい事は気にせずに続けて読んで下さいませ☆〜(ゝ。∂)
-
- 98 : 2014/06/27(金) 19:31:27 :
- やばいぉ。ゆきさんの本気を見たぉ(๑╹ω╹๑)
エレンの勘違い...な、何の事だろうか?w(震え声
-
- 99 : 2014/06/27(金) 20:08:14 :
少し期待してしまった(灬╹ω╹灬)
でもいじらしい方がエレン達らしいっすねぇ…ニヤニヤ
-
- 100 : 2014/06/27(金) 20:16:52 :
- 私は本当に、雷が怖い…
小さい頃から、ずっとそう
怖い物が少しずつ無くなっていっても、雷の光と音だけは、どうしても慣れる事が出来なくて…
だから、今もこうしてエレンに甘えてしまってる
ピカッ…
「あっ…!」
思わず隣にいるエレンの背中に、身を寄せる
手を、ぎゅっと強く、握り締める
その瞬間、エレンの背中が、ビクッと震えたのがわかった
会話…して欲しい、そうは言ったものの…
エレンが必死に、話し掛けてくれても…
その度に雷が邪魔をして、会話にならなかった
今のこの状況を作ったのは私…
よく考えてみると、なんて大それた事をしているんだろうと、思う
さっきのシャワーの時といい、今といい…
私は軽い女だと、エレンに思われても仕方がないよね…
現に、さっきからエレンは、一言も話さなくなった
嫌われたり、しないかな…
誰にでも、こんな事をしているんだろうと、思われてはいないかな…
心配が頭を持ち上げてきたその時
ピカッ!!
「きゃっ!!」
気持ちの準備など、雷は待ってくれるはずがない
私は思わず、繋いでいた手を離して、エレンの身体にしがみついた
-
- 101 : 2014/06/27(金) 21:36:44 :
- エレン「あ…」
え~と…………うん………雷様……ありがとうございます……かな?
手が離れたのは悲しい気もする…まぁ、手を繋いでた時より凄い状況なんだけどな…
エレン「…」
状況は理解してるし、雷の音でビックリして………の……事故……だよな?
アニ「ツ……」ギュウ
落ち着けよ?エレン・イェーガーよ…
エレン「…」
落ち着く?
むりむりむりむりむり!
無理です
エレン「ツ…」
思わず声が漏れた…普通に考えたら中々あり得ない状況だよな…
でも、俺が今やるべきことはハッキリしたんだよ……
エレン「あ、アニ……俺な?」
アニ「え?」
普段はクールなイメージが強いけど…
アニもこういう時は本当にか弱い女の子だな……
雷の音に怯えるのは…当たり前の事なんだろうな…
エレン「俺の小さい時の話とか…してもいいか?そ、それかさ…俺に何か聞きたいことあるか?」
少しでも何か話して、アニの震えを何とかするのが…………
俺の仕事だと思ったんです。
-
- 102 : 2014/06/29(日) 19:46:39 :
アニ「…エレンの小さい時の話、聞きたい。」
アニは碧の瞳を潤ませて、か細い声でそう言った。
エレン「そ、そうだな、えっと…」
咄嗟にそんなこと言っちまったけど…
小さい頃の話って、何をしたらいいんだ?
記憶の糸を深く深く手繰る。
と、ある出来事に辿り着いた。
ずっと、ずっと、ずっと今まで心の奥底にしまっていた話。
俺は自分の頭の中を整理しながら、また自分の理性と戦いながら、静かに口を開いた。
エレン「…昔々あるところに、エレンと言う男の子が居ました。」
アニ「ふふっ、なにその始まり。」
エレン「この方が昔の話っぽいだろ?」
猫のようなアニの半月型の目がキラリと輝く。
エレン「エレンはとても活発な男の子でした。公園で遊ぶのが大好きで、毎日何処かを擦りむいて帰って来ました。」
アニ「何だか想像がつくね。」
エレン「るせぇ。」
隣でくすくすと笑うアニに、ほとんど恐怖の色は見られなくなっていた。
が、そんな時に外から轟音と共に鋭い光が入ってくる。
エレン「うわ!?」
アニ「ひゃっ!」
頭から布団を被り、俺に身体を寄せるアニ。
俺のパジャマの袖を引っ張りながら、蚊の鳴くような声で彼女は言った。
アニ「エレン、話の続き、早く…」
エレン「お、おう。」
突然の密着に対応し切れていない心身に鞭打ち、頭の中の記憶を引き摺り出す。
-
- 103 : 2014/06/29(日) 19:47:45 :
エレン「…ある日エレンがいつものように公園に行くと、知らないお兄さんがいました。その人は本を持ちながら、ぶつぶつと独り言を言っていました。」
アニ「…」
エレン「エレンはそのお兄さんに、何をしているのか訪ねました。そのお兄さんの声がとても大きくて、気になったからです。」
エレン「するとお兄さんは、劇の練習をしているんだ、と答えました。お兄さんは自分で劇団を立ち上げて、その初めての舞台の台詞の練習をしていたのです。」
エレン「エレンはまだ小さかったので、劇と言うものが何なのかよく分かりませんでしたが、お兄さんの笑顔があまりにも眩しくて、そのお兄さんと仲良くなりたいと思いました。」
エレン「それからお兄さんは、毎日公園に台詞の練習をしに来ました。エレンもまた、その公園に毎日遊びに行って、お兄さんとお話しすることを楽しみにしていました。」
アニは布団の中に潜ったまま、黙って話を聞いている。
俺はそのまま話を続けた。
エレン「それから半年くらい経ちました。その頃にはエレンとお兄さんは、すっかり仲良しになっていました。お兄さんの仲間たちも加わって、公園は毎日とても賑やかでした。」
エレン「お兄さんたちは、『俺たちは、いつか世界に知られる有名な俳優になるんだ。』と、口癖のように言っていました。エレンは、大きくなったら自分もお兄さんたちのようになりたいと、幼心に夢見ていました。」
エレン「そんなある日のことでした。エレンが何時ものように公園に遊びに行くと、公園の前にパトカーと救急車が止まっていました。」
アニがぴくりと動いたのが、薄い布越しに伝わってきた。
エレン「エレンは電信柱の影に隠れました。すると、知らない男の人がパトカーに乗せられるのが見えました。その人の白いシャツには、べったりと血が付いていました。パトカーはそのまま、エレンの前の通りを走り抜けて行きました。」
エレン「次に、何人かの人が何かを一生懸命叫んでいるのが聞こえました。よく見ると、それはいつも劇を練習していた仲間たちで、叫んでいたのはお兄さんの名前でした。仲間たちの真ん中に、倒れているお兄さんの姿がちらりと見えました。お兄さんはそのまま救急車に乗せられて、エレンは遠くから、その様子をじっと見ていました。」
エレン「エレンはその夜のニュースで、お兄さんが死んだことを知りました。それ以降お兄さんの仲間たちは、公園にやって来ることはありませんでした。」
アニ「…」
エレン「…そして今、エレンはそのお兄さんと同じくらいの年齢になりました。エレンは高校で演劇部に所属し、沢山の仲間たちと練習に励んでいます。」
エレン「今のエレンには夢があります。それは…す、好きな女の子と一緒に、世界で俳優として活躍することです。その夢を見る中で、知らず知らずのうちに、あのお兄さんたちの夢も一緒に叶えようとしていたのかも知れません。」
そうだ。
遠い昔のことだけれど、今でもあのお兄さんの笑顔を思い出すことが出来る。
綺麗な金髪に、美しい碧の瞳。
アニの夢を共に追いかけたいと思い、それがいつしか俺自身の夢となったのは、あのお兄さんの面影をアニに見ていたからなのかも知れない。
アニと一緒に、あのお兄さんたちの夢も叶えたい。
無意識の中で生まれた俺の夢は、日毎に大きくなっている。
俺は狭い布団の中で、そんなことを思っていた。
エレン「…アニ?」
アニ「…」
アニはまだ布団をかぶったまま出てこない。けど、手は俺のパジャマの袖を掴んだままだった。
雷鳴はいつの間にか、何処か遠くへと去っていた。
エレン「あ、ご、ごめん。こんな話、嫌だったよな…」
アニ「…ねえ」
アニ「私の昔話も、聞いてくれるかい?」
久しぶりに口を開いたアニの声は、心なしか震えていた。
>>長くなってしまってすみません;;
店員さん、お次よろしくお願いいたします。
-
- 104 : 2014/07/01(火) 17:03:08 :
- アニ「昔々あるところに」
エレン「お、始まったな」
もそもそ、エレンに顔がみられないように寝返り。
エレン「アニ?」
アニ「その女の子はなかなか素直になれない、可愛げのない子でした」
エレン「おいおい」ははっ
アニ「お母さんがいない一人っ子なのに、お父さんも忙しくて遅くまで帰ってこない、そんな寂しい日々の息抜きに、お父さんがお出かけに連れ出してくれました」
エレンは驚いた顔をしながらも、優しげに頷き相槌をくれる。顔を見てなくても、絶対にそうだと解ってる。
アニ「生まれて初めて見た舞台、それはとても刺激的で、素直でないけれど単純な女の子は、すぐにある役者さんに憧れを抱くのでした」
アニ「その人の名はモーゼス。女の子のお父さんは『とりひきさき』という魔法の言葉で、その舞台に何度も来れるチケットを用意してくれました」
エレン「ふふ、魔法って…」
アニ「何度も何度もお父さんにねだっては通ううち、お兄さんの出番はわずかしかなかったので、女の子はすぐにお兄さんのセリフも動きも覚えてしまいました。不思議なことに、お兄さんより下手な人が主役をやっていて、お兄さんは少ししか出番がありません」
エレンが唾を飲む。その音が、空気の動きが敏感になった肌に伝わって来た。
アニ「」
-
- 105 : 2014/07/01(火) 17:04:14 :
- ごめんなさい、まだ続きます!
-
- 106 : 2014/07/01(火) 17:21:06 :
- アニ「ひと夏が過ぎる頃、ついに女の子に驚きの言葉が告げられます。それは、ずっと見てきた舞台が最終回だ、ということ。女の子は驚き、最終回の舞台に連れて行ってもらいました」
エレン「……」
布団越しにではあるが、アニの言葉には力がこもっていて、俺は言葉も発せず、黙って唾を飲み込むしかできなかった。
アニ「ところが…その最後の舞台に、お兄さんが出てくることはありませんでした」
ー不意に訪れる沈黙。それはまたしてもアニの言葉で打ち破られた。
アニ「舞台の終わりに、舞台の関係者みんなが出てきて、挨拶をしました。……そして、お兄さんが出て来なかった理由もそこで、教えてもらいました」
それは、俺も知っている結末。
アニ「…お兄さんはその後、二度と舞台に立つことはありませんでした。きっと今頃、遠い世界で…きらめく演技をしているのでしょう」
エレン「驚いたな…」
アニ「…私こそだよ」
もそもそ。また動くアニ。
今度は顔が見える。それはそうだ。全身すっぽり布団に入ったと思ったら、俺の胸板をまくらがわりにのしかかり、布団から顔を出すのだから。
その目から恐怖の色は消え、優しげな微笑みをたたえ、しっかりとこちらを見つめていた。
-
- 107 : 2014/07/01(火) 17:22:11 :
- お待たせしました!つぎはあにっちさん、よろしくお願いします!
-
- 108 : 2014/07/01(火) 20:58:15 :
- すいません、テスト期間で書けないので飛ばしてください!
-
- 109 : 2014/07/01(火) 21:56:41 :
- ((((;゚Д゚)))))))
ということは兄貴!よろしくお願いします!
-
- 110 : 2014/07/01(火) 22:24:16 :
- うおー((((;゚Д゚)))))))もう、俺の番か…
明日書きます
そして、大学の期末が近いので少しだけ離れます
-
- 111 : 2014/07/01(火) 22:29:33 :
- 密着したアニが布団の中から小さな頭を出しt...うぉぉおお!←
ライナー兄貴!もう色々と頑張れ!!(๑و•̀ω•́)و
-
- 112 : 2014/07/02(水) 00:41:59 :
- 誠にすみませんm(_ _)m
テスト勉強が思ってた以上に大変で考える暇があまりないので飛ばして貰っても良いですか?
クソ!復習をしっかりとやっておくべきだった(笑)
学生の方は、自分と同じにならないよう毎日欠かさず予習復習をやろう
また、息抜き程度に遊びにきます♪(´ε` )
-
- 113 : 2014/07/04(金) 08:16:07 :
- ヤバイ…皆ヤバイですよ…プレッシャー半端ないですって(笑)余りの緊張で髪の毛がキース教官になりそう(笑)
-
- 114 : 2014/07/04(金) 08:50:21 :
- ――ドクンッ…ドクンッ…――
彼の鼓動が早く鳴ってるのが聞こえる…
それもそうだよね…私、彼にのし掛かってるような感じだからね…
彼は話を聞いていたがやはり少し緊張しているのか鼓動が早く鳴っていた
アニ「ねぇ、エレン……」
アニはそっと口を開いた
エレン「ん、何だ?」
アニ「お兄さん…本当に今遠い所できらめくような演技をしているのかな…?」
エレン「……………」
答えは分かっている……本当は演技など出来ないと言うことは……
それはアニも分かっている…ただそうあって欲しいと言う願望だと言うことを……
しかし、エレンは…口を開いて言った
エレン「あぁ、今頃遠い所で皆を魅了させるような名演技をやってると思うぞ」
エレン「それにお兄さんは頭の中消えない限り永遠に俺達のスターだからな」
アニ「だね……」
エレン「そして、俺達であの人達の夢も叶えてやろうぜ…」
アニ「うん…!」
二人が昔話をしているうちに気が付いたらいつの間にか雷は止んでいた
-
- 115 : 2014/07/06(日) 22:44:23 :
おおっ!
お兄さんになにが起こったのか
気になる…>_<
-
- 116 : 2014/07/09(水) 19:28:48 :
エレン「…外が静かになったな…」
アニ「うん…」
エレン「…通り雨だったのかもな」
アニ「うん…」
雨が止み、静かになった
あの雷雨は、俺たちに夢を託したお兄さんだったのかもしれない
だって…
雷雨のおかげでお互いが昔話を出来て…聞けて…
そして、俺たちは、お兄さんの夢…俺たちの夢を
叶えると誓えた…
そして、誓ったら、知らぬ間に去っていた
こんなことを考えながらエレンは…
少し笑ったのだった
-
- 117 : 2014/07/09(水) 20:07:58 :
- イチアズッキーニに誘われてきました…!
お忙しい中、皆さんお疲れ様です(≧∇≦)
期待してます!
-
- 118 : 2014/07/09(水) 22:05:17 :
-
- 119 : 2014/07/09(水) 22:06:27 :
――――朝の日差しに促され、彼は目を覚ました
「…あれ?朝…か?」
エレンは身体を起こし、不思議な様子で呆けた
自分の身に何が起こったのか、理解が少しばかり追いついていない
彼らはあの決意の後、吸い込まれるように眠りについてしまっていた
だが、その唐突さ故に、あたかも昨晩の出来事が夢であるかのような錯覚に陥っていた
「……」
周囲は見慣れない部屋。そして、布団の中から寝息が聞こえる
試しにそれを剥いでみる
「…すぅ」
これで、彼は自分の記憶が現実の物であった事を認識した
アニの寝顔に促され、昨晩の事を今一度反芻するエレン
「…あれ?今何時だ?」
回想も束の間、急に現実的な思考へシフトする
ゆっくりと周囲に時計がないかを見渡した
状況に反して、彼の脳は案外“冷静”に働いていた
…ケータイを見ればいい、というのは、ご法度だ
「…あぁ、おはよう…エレン」
「ん?…あぁ、アニ。起きたのか」
「うん…私、いつ寝ちゃったんだろう?」
「さぁ…気が付いたら朝になっていて、俺も驚いたんだ」
エレンが話す事情を半分聞きながら、アニはケータイを手に取った
「6時30分…あっ!学校…」
「そうだよ!もう夏休みじゃないんだ。さっさと一旦帰らねぇと!」
「今日が二学期2日目だったね…連休のリズムがまだ…」
「とにかく!俺は家に帰るっ!」
「なんだよ?あんまりのんびりとは…」
「あ、あのさ…」
急にかしこまった様子のアニと、焦りを顕わにするエレン
恥ずかしがらずに、すぐに言わないといけない、とアニは悟った
「昨晩は…ありがとう…一緒に居てくれて」
「…あぁ、いや…俺も…良かったよ」
「…え?」
「あっ、その…お、お兄さんの事が聞けてさ!アニから!」
一瞬、ドキリと固まったアニを見て、照れを感じたエレンは、モーゼスの話題で誤魔化した
「うん…この上ない偶然だったけど…よかったよ、アンタからその話が聞けてさ」
「…あぁ。次は俺達が…俺達こそが夢を叶えるんだ!」
「そうだね。ひたすらに頑張ろう!」
「…それじゃあ、俺はこれで帰るからな?一晩、お邪魔した」
「ううん。私の方こそ…居てくれて、ありがとう。嬉しかった」
「…っ」
最後に朗らかな笑顔を見せた彼女に対し、彼は感情を内に留めておけず、僅かな声となって漏れ出た
その様子を悟られまいとし、彼は即座に身体を翻し、荷物を持ってその場を後にした
…長い時間、その笑顔を見ていられない事への…若干の悔いを胸に秘めつつ――――
雨と雷がもたらした、『記憶』の巡り遭わせ
『偶然』と『必然』。一見、相反する二者の表裏一体性
彼らを取り巻く見えない歯車は、少しずつ…少しずつ…噛み合い、回り続けていく――――
To ゆきさん
コメント:ゆきさん>>57から始まった二学期初日。私が締めさせていただきました!いやぁ、随分とお話が膨らんできました。設定が出る度に、私達参加者にすら物語の細部が視えて来て、初心の様にわくわくしています。これからも頑張りしょう!
-
- 120 : 2014/07/09(水) 22:10:38 :
- いちごさん、ミロさん、お早い対応ありがとうございました、!
明日あたりには続きを引き受けさせていますね〜ฅʕ•̫͡•ʔ
>チェリーさん
いらっしゃいませ、のんびりみんなで更新しておりますので、応援の方よろしくお願い申し上げますね!
-
- 121 : 2014/07/10(木) 00:49:04 :
これからどうなるのかドキドキです!
-
- 122 : 2014/07/10(木) 05:24:37 :
―――
エレン「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
昨夜の雨が嘘のように晴れ晴れとした空の下。
俺は額を伝う汗を拭いながら、学校へと向かい走っていた。
いつもより少し遅めというだけの話だが、常にギリギリの時間に登校する俺にとってはたった10分でも5分でも遅刻に繋がりかねない状況だ。
俺は腕時計と何度も睨めっこを繰り返しながら、ただただ坂の頂上を目指して足を進める。
昨日の大雨のせいか、いつも以上にまとわりつくような熱気に包まれている中を全力疾走しなければいけないなんてな・・・
こりゃあ幸運続きだった昨日のツケが回ってきた、というところだろうか?
エレン「(――― とはいえ、それでもまだお釣りがくるくらいだったけどな・・・)」
・・・
エレン「(・・・って、何を考えてるんだ俺は?!///)」
・・・昨日の出来事を思い出してか、火照った顔に更に熱が集まってくる。
記憶の底から次々と蘇るアニの感触を振り払おうと、ブンブンと頭を横に振りながら、
無我夢中で通学路を駆け抜けた。
―――
必死で走っているうちに、学校の正門付近まで辿り着いていた。
腕時計に目をやると予鈴が鳴るまでまだ5分以上はある時間だった。
エレン「(いつも通りの時間くらいに着けたな・・・)」
――― 心の中でホッと一息つく。
焦る必要も無くなった俺は走るのをやめ、残り僅かとなった通学路をゆっくりと歩み始める。
エレン「・・・ん?」
ふと目の前に視線をやると、見慣れた金髪の男子生徒の背中が見えた。
エレン「――― っ?!アルミン、お前っ?!」
――― 思わず声が裏返る。
アルミン「うん?・・・エレン?」
驚く俺とは対照的に、落ち着いた雰囲気で返してくるアルミン。
いつもならそんなに驚くような光景でも無いのだが、今日は平然としてはいられなかった。
・・・なんでかって?
――― 理由は単純だ。
ミーナ「あ、エレン!おっはよー♪」
いつもとは違う、黒髪お下げがアルミンと二人で、
人で溢れかえる道の上を堂々と手を繋いで歩いていたからだ。
――― なんだろう・・・
エレン「(めでたい事なんだけど、なんか負けた気分だ・・・)」
口にこそ出さなかったが、俺は心の中でドでかい溜め息をつき、
エレン「お、おう。おはようさん(汗)」
曖昧な返事を二人へと送った。
>>次へ
-
- 124 : 2014/07/10(木) 08:41:53 :
- 「あれえー?エレンがすっごく変な顔してるよ?!」
ミーナはアルミンの手を離すと、エレンに駆け寄り、その顔を覗き込んだ
ミーナの突然の行動に目を丸くするエレン
「うわっ・・・なんだよミーナ。変な顔なんてしてねえよ!」
狼狽えるエレンに、ミーナはにやりと不敵な笑みを浮かべる
「あーいつも変な顔だったっけ・・・ふふ」
「ちょっと待てよ、俺のどこがいつも変な顔なんだよ!」
エレンは抗議をするような口調で捲し立て、頬を膨らませた
「そうだよね、確かに夏の合宿中のエレンは、変な顔している事が多かったなあ。ははは」
アルミンは思い出したように笑った
ミーナが頷く
「そうそう、じれったーい顔ずーっと顔面に張り付けて、とっても見ていて・・・イライラしたよ!」
そう言ってエレンの背中をバシッと一発叩いた
「いでっ!」
エレンは顔を思い切りしかめた
「ねね、どうしてそんなに変な顔してるの?もしかして、私たちがうらやましくてまぶしいとか?!」
ミーナはアルミンの腕をとり、にこやかに微笑みながらそう言った
「わっ、ミーナ」
アルミンは突然腕を組まれて、顔を真っ赤にした
「まぶしいってなんだよまぶしいって!・・・まあ、でもお前らうまくいって、本当に良かった。朝から見せつけられるとは思ってもみなかったけどな」
エレンは優しげな口調でそう言いながら、肩をすくめた
「ふふ、ありがとうエレン。あなたの方はどうなのよ?アニとはどうなのよ?ねえねえ!」
ミーナはまるで水を得た魚の如く生き生きとしながら、エレンに詰め寄った
「どうなのよって言われても、お前なあ・・・遅刻寸前なんだぜ?わかってるのかよ・・・」
エレンがげんなりした時・・・
「あっ噂をすれば!!おはよう!!アニ!」
アルミンが後方に向かって手を振った
-
- 125 : 2014/07/10(木) 09:34:19 :
- アニ「おはよ……遅刻覚悟してるの?」
眠たそうな声で質問してくる。
エレン「(いつも通りか)」
変に意識してるのは自分だけなのか?
少しだけ悔しい気持ちになる。
彼女の方を気になって見つめてしまう。それに気が付いたのか、目線をずらしてしまう。
ミーナ「あれれ~?どうしたの?」
アルミン「アニ?顔が赤いよ?」
アニの異変に気付いた2人が彼女の顔をマジマジと見つめる。
アニ「何もないよ」
そう答えているが照れ臭そうにしてる姿を見て
自分だけじゃなくて良かったと思えた。
エレン「あ!おい!遅刻するぞ!!」
正門付近と言っても余裕があるわけじゃない。鐘が鳴ったら遅刻だ。
ミーナ「あ~!!やばい、やばい!」
ミーナは楽しそうに叫んでアルミンの手を握って走っていく
そんな彼女の行動に照れ臭そうにしてるアルミンの後ろ姿を見つめていた。
エレン「アニ!俺達も行こうぜ!」
アニ「もう遅刻だよ?」
エレン「………ギリギリセーフになる……かも…だぞ?」
アニ「遅刻しようよ?面倒だしさ」
エレン「いや!でもさ?」
アニ「あ…」
何を思ったのかわからないが彼女は一緒に行きたい所があるって言って彼の手を握ったんだ。
思い出した彼女の手の感触や温かさに恥ずかしくて言葉が出せなかった。
エレン「?」
それにしても本当にどこにいく気だ?
そんな事を思っていたら…
キーンコーンカーンコーン
遅刻だな…まぁこんな熱気で最悪な時に授業も真剣に聞けないだろうし…
彼女が行きたかった場所に黙って連れていってもらうことにした。
熱気で死にそうな中を歩いて辿り着いた場所は以前アニに初めて演劇に誘われた場所だった。
エレン「………久し振りだな、何でここなんだ?」
アニ「ふふふ…何となく」
ちょっと来たかったからって答えた彼女の返事に少しだけデート気分になった。
何の話をしようか、どうしたら笑ってくれるか?
そんな事を朝から考えてしまう。
-
- 126 : 2014/07/11(金) 21:53:41 :
- ミロさんのこのリレーssのあらすじをまとめたスレを見てなんとか追いつきました!
期待してます!! (俺もラブコメを書けるようにならないと...)
-
- 127 : 2014/07/12(土) 22:44:42 :
朝の爽やかな風が、校舎の裏庭を通り抜ける。
心地いい。
アニは、自分でも何でこんなことをしたのか、実はよく分かっていなかった。
…ただこうしてエレンの横顔を、眺めていたかっただけなのかも知れない。
それに、此処は…
エレン「…此処に来ると、アニに演劇部に誘ってもらったことを思い出すな。」
エレンのその言葉に、どきりとする。
そう、此処は、わたしがエレンを演劇部に誘った場所。
…私たちの、始まりの場所。
アニ「…私もそう思っていたよ。」
エレン「どうして此処に?」
アニ「さあ。足の赴くままに歩いたら、此処に着いたんだ。」
エレン「はは、なんかそれ、劇の台詞みたいだな。」
太陽の光を受けて、ただでさえ眩しい笑顔がさらに輝いて見える。
思わず頬が熱くなるのを感じ、目を伏せてぼそぼそと言葉を零す。
アニ「…それか昨日モーゼスさんの話をしたから、私たちの原点に戻ってみたくなったのかもね。」
エレン「私『たち』の、原点…?」
アニ「あ、いや、その、ごめん」
ああ、落ち着け。アニ。
静かに慌てる私の横で、エレンはけらけらと声を上げて笑った。
>>遅くなってすみません;;
店員さん、よろしくおねがいいたします(o'∀'o)ノ
-
- 128 : 2014/07/13(日) 06:48:27 :
- 皆さん、すごいですね。
期待です;
-
- 129 : 2014/07/21(月) 09:04:15 :
- あの時と同じ景色。
いや、同じように見えてもあの時とは違う。
あの時、正面にいた人は、隣にいる。
…それだけで全く世界が別のものに見える。
エレン「なあ、アニ、今、何考えてる?」
演劇のこと。そう言おうと思うが先に口をついてでたのは。
アニ「…あんたのこと」
エレン「……え?」
アニ「ばか、嘘だよ」
そう言ってちょっとはにかむアニは、恥ずかしそうに俯きながら、目だけはまっすぐに俺を捉えていた。
恥ずかしいのならやらなきゃ良いのに、なんて言ったら、君は怒るのかな?
アニ「……」ふいっ
言ってはみたものの恥ずかしくなって下を向く。でも、絶対に目はそらさない。
エレン「……」
なによ、ここで軽口を言ってきたらいつもみたいに不機嫌な振りしてからかうのに。
エレン「……」
ちょっと、黙ってないで、何か言ってよ。
みるみる顔が赤くなっていくのがわかる。
うう、ヤバイ、私の鼓動聞こえてるんじゃないだろうか。
鎮まれ、私の心臓。
演劇と同じ、クールに、クールになれ。
エレン「…ぷっ」
何かわからないが、何か必死になり始めたアニを見て自然に笑いがこみ上げる。
アニ「何?何かおかしかった?」
どうやら冷静の仮面を纏えたアニが、至ってクールに、赤い顔をしながら切り返す。
今日は午前授業。部活が長くできる日だ。
エレン 「さあ、原点の人にがっかりされないためにも、部活頑張るか」
アニ「…あんた、ロミオのセリフ、覚えてるでしょ?」
エレン「ん?まあな。仮役だったし代役候補だし。」
アニ「…練「いいぜ?」
アニ「…‼︎」
ちょっと落ち着いてきた心を見透かされて、また真っ赤になってしまった。
-
- 130 : 2014/07/21(月) 09:05:40 :
- 遅くなりましてすみませんでしたorz
本当すみませんでしたorz
-
- 131 : 2014/07/23(水) 19:59:46 :
- すいません。
時間がなくて書けません…飛ばしてください!
-
- 132 : 2014/08/06(水) 19:49:39 :
- ライナー兄貴、いちごちゃんも都合で書けないので、私が2日以内に書きますね!
-
- 133 : 2014/08/10(日) 06:09:15 :
- 皆さん頑張ってください。
-
- 134 : 2014/08/10(日) 20:28:01 :
-
- 135 : 2014/08/10(日) 20:29:14 :
「でも…」
「え…」
「まずは、謝りに行こうぜ。授業さぼったんだし」
「あ、そ、そうだ…ね」
ここにきて、アニは自分が公然と授業を放棄していた事に気が付いた――――
「やぁ、二人とも。午前はどこに行っていたんだい?」
今は、午後の部活の時間。部長のマルコに二人は追及される。
その口調は優しげながらも、奥に授業をさぼった事を咎める意志が伺える
自分の事よりも他人の心配を優先するマルコらしさである。
「いや、まぁ…その…な?」
「…うん」
「うぅん、それじゃあよく分からないな」
彼らの返答にマルコは困惑の表情を見せる
至極当然の反応である。彼らが不在だった午前中、マルコは二人の心配ばかりしていた
だが、彼らが思い悩んだ時、壁に衝突した時、決まってどこかに行ってしまう癖
マルコはその事をなんとなく察していた
「まっ、君達も先生に謝りに行ったんだし、僕からは特に言う事もないよ。さぁ、部活だ!」
「…あぁ!」
「…そうだね」
彼らが少ない言葉数で返答するのも、ひとえにマルコを信頼しているが由縁である
ようやく尋問から解放された彼らの目に、再び火が灯る
「ねぇねぇ、アンタ達、結局どこ行ってたのさぁ?」
いざ気合を入れ、部活を開始しようとした矢先、案の定絡んでくるのがこのお方
「…別にどこでもいいでしょ」
「えぇぇ、気になるから教えなさいよ」
「…ヤダ」
ヒッチである。だが、彼女も単にちょっかいを掛けに来たわけではない
自分が思いを寄せる人が、ライバルと二人で授業をボイコット。気にならない訳がない
いつも自分がしそうな挙動でカモフラージュし、アニに探りを入れに行く
「……」
「……」
漂う妙な緊張感。エレンとマルコもそれを感じ取るも、手を出せない雰囲気である
「…まっ、いいや…負けないから」
「……!」
「……」
「…私も」
最後に小さな声で添えられた布告を聞き取れたのは、おそらくアニのみ
その真意を瞬時に汲み取り、ハッとし僅かに眉がピクリと動いた
その後、ヒッチの口角は小さく緩む
その僅かな挙動もアニは見逃さず、交戦を承諾した
また一波乱起こりそうなトロスト高校演劇部である――――
――――場所は変わって、ストヘス高校
今日もクリスタは、演劇部の部室へ足を運ぶ
昨日ここへ転校し、女優になると宣戦布告して以来、彼女は学校での話題の的となっていた
彼女は入部初日から、素晴らしい演技力を見せた
実力主義のこの演劇部では、入部当初から演技力の試験がなされ、その実力が把握される
彼女はその華麗な容姿だけなく、内に秘めた感性高い演技力を発揮し、即座に認められた
『…私はできる!越えてみせる。そして、必ずあなたと共に、あの舞台へ』
クリスタは、必ずこの台詞を自分に言い聞かせる
それが今の彼女の全てを支えている
強い意志を秘めた彼女の信念は、大成の兆し――――
To ゆきさん
コメント:SS書いていないブランクと、状況の難しさも相まって、繋ぐのがとても難しかったです(笑)。ゆきさん、遅れてしまって申し訳ないです。次よろしくお願いします!
-
- 136 : 2014/08/13(水) 00:31:33 :
- しっかり見てます!
頑張ってください>_<
-
- 137 : 2014/08/13(水) 01:10:11 :
- 夏は終わったとはいえ、まだまだ暑いこの季節
演劇部は、合宿で得た忍耐力と結束力、そして確かに培われた演劇の土台になる体力…それらを引っ提げ、間近に迫る秋の演劇コンクールに向けて、ギアチェンジをして走り始めていた
暑さに負ける様な精神力の部員はもういない
皆が、コンクールに向けて、必死で練習に打ち込んでいた
「こら!!エレン!!声の出し方を忘れたんじゃないか!?ヒッチ、君はだらだらするな!!」
部長のマルコも、日を追うごとに部員達への発破が大きくなる
エレンは、自分の役になりきるために、必死に努力をした
マルコに主役をさらわれた事は、エレンの熱い闘志に火をつけた
昼間も、授業中でさえもこっそり台本を確認していた
その台本には、沢山の書き込みがされていた
エレンは自分なりに考えた事や、アニやマルコにもらったアドバイスを、みっちり書き込んでいたのだ
演劇をやる以前の彼からは考えられない事だ
細かい事を気にしないタイプの人間だからだ
だが、事演劇に関してだけは…
彼は真面目に、細部にわたって拘って役作りをしていたのであった
エレンは確かに変わった
演技力だけではない
部活動を通して、精神的にも見違える様に成長していたのである
そしてその変化を驚きながらも、頼もしく感じていたのが、一番の理解者である、アニだった
アニは気が付いているだろうか
エレンが成長した一番重要な要因が、自分にあったのだということを…
-
- 138 : 2014/08/13(水) 01:11:23 :
- ※ゆきさんご多忙のため、私が繋ぎました!!よろしくお願いいたします♪
-
- 139 : 2014/08/13(水) 01:42:17 :
- そんな彼の姿を見ていた彼女は不意に声に出してしまう
「最近のあんたは凄いね」
「ん?まぁな!」
惚れた相手の笑顔は見ていて胸が苦しくなるのが分かる
今でもドキドキしてしまう、さらに格好いい事を言うから尚更だ
「負けたくねぇからよ」
「マルコかい?」
「マルコを抜くつもりで頑張ってるよ……ありがとな?」
お礼を言われたが、お礼を言われる意味が彼女には分からなかった
「え?」
「アニのおかげだよ……ありがとな!」
「変なこと言うね?」
「へへ!」
「変なの…ふふっ」
練習中に少しだけリラックスすることが出来たのも、彼の魅力の1つだと感じてしまった
「皆!ちょっと集まって!」
マルコが部員を集合させ、何かを言おうとした
彼らしくない言葉を口に出したので、部活の皆は驚いた……
「覚えたところまで……一通り通してみよう!もちろん、台本は持っていて良いし、見ても良いよ」
「覚えてない台詞もあると思うからね」
彼はエレンの方へ目線をずらした
その視線にエレンは気が付かなかった
部長であるマルコが、演劇の素人であったエレンを完全にライバル視していたのだった。
「いいじゃん……やろうよ?ちょうど台詞も覚えてきたしねぇ」
ヒッチがマルコの提案に賛成する
彼女はアニに負けまいと必死に練習をしてきていた
「そうだな……俺もやりたいな、緊張するけどな」
自分の役になりきるため、必死にアドバイスを書き込んだ
台本を何度も読み、何度も声を出して役になりきろうとした
その努力の結果が自分をどれだけ成長させたのかを知りたかった
そして、彼女に見てもらいたかったんだ。
-
- 140 : 2014/10/05(日) 12:45:36 :
- 二月たちましたので、僕書いちゃいます Σ(ノ≧ڡ≦)テヘペロ
-
- 141 : 2014/10/05(日) 13:15:06 :
見ていてほしい…
アニに…いや、俺はみんなに認めてもらえるような演技をする
なりきってみせる…
アニは…どう思うだろう…?
私はエレンの成長を見て来た
それはずっと努力を続けてきたから
その姿を見て、私の感情は高揚した
だから、私はもっと頑張れた…
エレンは輝いている
きっと今日、これからやる練習でもエレンは輝く
私はどこまで輝けるのだろうか…
「頑張れ…」
自分とエレン、そしてみんなへのメッセージを小さく一言
気合いを入れて、臨んだ
-
- 142 : 2014/10/06(月) 13:46:54 :
- >>いちごさん♪ナイステヘペロ♪
しばらくたったら私が繋ぎますね(*^ー^)ノ♪
-
- 143 : 2014/10/06(月) 13:50:25 :
- 期待です(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ु⁾⁾
-
- 144 : 2014/10/06(月) 20:50:08 :
-
- 145 : 2014/10/06(月) 20:52:06 :
――――終始、緊張が漂っていた『通し練習』が終わった
一同は、押し込めていた息を思いっきり吐く事で、気を落ち着かせた
緊張の糸が切れたと同時に、その場は雑踏とし始める
所々で声が上がり始める。褒める言葉、省みる言葉、感謝の言葉など様々である
「アニ!ジュリエットは名演技だったな」
「エレン、よしなよ。まだこんな練習の段階で、その言葉は早すぎるさ」
「いやでも…オレはそう思ったからな。アニ凄ぇ!って」
「ふふっ、子供みたいな感想だね。マキューシオの死にっぷりも見事な演技だったけど?」
「ちょっ!褒めるところそこかよ」
「うふふ、冗談だって――――」
一組の男女が楽しそうに談笑する様子を、少し離れた所から見ていた人物が居た
「…ヒッチ、どうかしたの?」
「…あぁ、マルコ…ううん、何でもないよ。終わって気が抜けていただけ」
「…“向こう”を見ていたの?あの二人」
「…そんなじゃないさ、“ロミオ様”」
視線の先を見透かされ、“役名”で悪態をついて見せる
しかし、彼がその事に気付けたのは…自分も同様だったからに他ならない
お互いに意識する(していた)相手の様子が、気になって仕方がなかった
ついつい、自然と目がそちらに移ってしまうのも、当然の事…かもしれない
「でも、ヒッチの『エスカラス』の役も、とても迫真だったと思うよ?」
「…なんで、女の私がこの役を貰っているんだろうね。今でも不可解だよ」
「演劇で女性が男性役を演じる事は、よくある事じゃないか。それに、とても合っていたし」
「…は?どういう事?」
褒められたから素直に受け取ってみれば、何やら含みのある言い方をされて気が逆立つ
その言葉の真意。自身の性格を知っている自分なら分かっているものの、追及してみる事に
「ティボルトを殺したロミオを街から追放し、ジュリエットとパリスの婚約を企てる…」
「……」
「そんな陰謀を描写したシーンでの君の演技力、見事だったよ」
「……」
段々と彼女の表情に苛立ちの“雲”が現れ始めた
「なんて言うんだろう…『水を得た魚』というか…演技中、“妙に活き活きとしていた”というか」
「…ねぇ、それどういう意味で?」
その先の答えは、言われずとも知っている気がするも、確かめずには居られなかった
「…あっ!もしかしたら、ヒッチの性格がエスカラスの役とマッチしていたせいなのかも」
“発達した雲”から怒りの雷鳴が轟く
「ぶちっ…うっせぇぇええ!!」
「うわっ?!一体、どうしたんだい、ヒッチ?」
「どうせ、性格悪いって言いたいんだろ?!それならそうと、はっきり言えよ、こらぁ!!」
怒りの形相でマルコを追いかけ回すヒッチ
当の本人は、なぜ彼女が怒っているのか分からず、ただ困惑して逃げ回っていた
周囲の部員達は、突然の事態に半分驚き、半分呆れている
この二人もその類であった
「…なぁ、あいつら走り回って何やってるんだ?」
「…さぁ?」
『知らぬは、本人ばかりなり』――――
To Next Writer
コメント:アホな喧嘩からの……っていう展開を期待。ベタだなぁ(笑)文章中で配役の再確認及びヒッチの役を決定、ロミジュリのストーリーにもちょろっと触れて。ワンアイデアを基に書いていると、いつの間にか方向性が変わった。でもこっちの方がきっと面白いし、内容や表現も自信あり!…かも。
-
- 146 : 2014/10/06(月) 22:12:33 :
- 「ジュリエット、君はわしの嫁になるのじゃ…ふぉふぉふぉ…こんな感じでどうだい?なかなか迫真の演技だろ?まだいたいけない少女のジュリエットを我が物にしたい、ロリコンの金持ち貴族パリス…俺には向いてないと思ったんだが、なかなかやるだろ」
ジュリエットに迫るシーンを、にやつきながら何度も練習していたダズ
台本とにらめっこをしていたミカサとベルトルトは、そんなダズに時おり視線を送っていた
「…確かに、迫真の演技だと思う。それに、パリス役はダズにピッタリ。顔とか…中年ぽいし」
「ミカサ、しーっ、声が大きい、聴こえちゃうよ」
正直な感想を、思いの外よく通る声で発言したミカサに、ベルトルトはあわてて人差し指を彼女の唇に充てた
「ベルトルトがロリコンパリス役じゃなくて良かった。私は心からそう思う。あなたには優しく聡明な僧侶ロレンスが適役」
ミカサはそう言いながら、うんうんと頷いた
「ミカサは、ティボルトだよね。結構暴れん坊の男の役…なのに、ミカサがやるとかっこいいんだよね。剣さばきとかさ…惚れ惚れしてしまうよ。君が…ロミオでも、きっと素敵だと思う…よ」
ベルトルトはゆっくり言葉を選ぶように言った
顔が真っ赤に染まっていた
「ベルトルト…誉めても何も、出ない」
ミカサはプイッとそっぽを向いた
だが、彼女の顔も朱に染まっていた
「君たち、赤面しあって、青春真っ只中だな!!俺かい?俺はまだそんな暇は無くてな、ほら、演劇に命をかけているしな!!ははは」
ミカサとベルトルトの様子に気が付いたダズは、そう言っておどけて見せたのだった
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- 147 : 2014/10/06(月) 22:14:22 :
- ※ゆきさんご多忙のため、しばらく私がみろさんのパスを受けます♪
更新頑張りますので、よろしくお願いいたしますm(__)m
-
- 148 : 2014/10/06(月) 22:50:06 :
- そんな彼等の横を本気で怒ってしまったのか?
顔を真っ赤にし、少しだけ涙を浮かべた少女が怒鳴って通りすぎた
ヒッチ「邪魔!!どいてよ!!!」
普段から人付き合いを上手くするため、怒った彼女を見た人は中々いない
だからか?はっきり言って凄い険悪なムードに包まれている
ダズ「え、お?おぉ?」
ミカサ「……大変…な……気がする」
ベルトルト「た、大変な気じゃないよね」
彼女は小さな声で『もう嫌』と言って体育館を出ていってしまう
彼女が出ていってしまった後、体育館の中にいた演劇部は一斉に1人の少年に答えを求めた……。
エレン「お、おい……マルコ?」
アニ「あんた…何かヒッチを怒らせる様なこと言ったの?」
マルコ「えっ……えっと…」
マルコはいつもの様なリーダーシップ力は全く見られない様子であった
池から釣られて地上に置き去りにされた魚の様なイメージである
上手く言葉が出ないのか?
何を言っているのか全くわからない演劇部
そんなマルコを見ていたベルトルトが…
ベルトルト「ねぇ?マルコ……深呼吸してよ」
マルコ「あ……う、うん……」
深呼吸をして落ち着かせようとした
その間にミカサが他の部員が急かさない様に目で訴える
ベルトルトは自分も意思が弱く、こういう事が多かったからか?
何だか昔の自分を見ているような目でマルコを見ていた。
マルコ「ふぅ……えっとね」
それから数分が過ぎてから、マルコはヒッチに自分が何て言ったのかを説明した……。
-
- 149 : 2014/10/06(月) 22:50:24 :
- アニ「…」
ミカサ「貴方は乙女の気持ちが一ミリもミジンコ程もわかっていない」
マルコ「え?」
演劇部の女子達に鋭い目線で睨まれている状態に素直に怯えてしまうマルコ…
演劇部は最後に必ずミーティングをするが、今日はそんな余裕はない
ヒッチが怒って出ていってしまう理由もわかる
思春期であり、年頃の女の子である
今回はマルコがその乙女心を傷付けたのが原因である
アニ「はぁ……」
エレン「?」
アニはヒッチの気持ちを知っているからか?
本当なら言いたくないであろう言葉を口にした
アニ「取り敢えずさ……エレン?悪いけどヒッチを探してきてくれない?」
その言葉を聞いてベルトルトが凄い驚いた顔をする
もちろん、アニ自身も好きな男を恋のライバルの元に向かわせるのは気が引ける
それでも辛い合宿を乗り越えた『大事な仲間』である
アニ「(それに……ヒッチも乙女なんだよね)」
エレンは急な展開に戸惑っていたが、好きな女の子からの頼みを断る気もないし
そもそもエレンにとっても彼女は大事な存在である
エレンは『任せろよ』といつもの様な笑顔を見せて体育館を飛び出して行った
アニ「さて、マルコ君」
ミカサ「今から貴方に乙女との話し方を教えてあげよう」
体育館に残った部員が一斉に血の気が引くのを感じた
超絶美女2人による、お説教タイムが始まるのであった……。
ダズ「なんだよ、マルコの奴……ご褒美みたいな感じじゃねぇかよ」
ちょっと変な言葉が耳に入ったベルトルトだが、聞かなかった事にした
ベルトルトを含めた部員達はヒッチを心配しているのである。
-
- 150 : 2014/10/08(水) 22:21:01 :
「はぁ…はぁ……。ヒッチのやつどこいったんだよ…」
心当たりのある場所をすべて当たってみたがヒッチは見つからなかった
半ば諦めかけた俺は学校にある最後の希望にかける
ここの学校の裏には林がある。だかヒッチが立ち入る所なんかじゃない。
「行くだけ行ってみるか…」
あまり期待せずに森のなかへ入った。
すると事は唐突にやってきた。
「ニャーー!」
「ん…猫?」
猫の鳴き声の後に声が続いて聞こえてきた
「猫ちゃんまってよぉ」
草むらからでてきたのはなんとヒッチだった
「…ヒッチ!?」
「なっ…なんでここにエレンがいるの?!」
「なんでって…お前が急に出ていくから!」
「…探しに…きてくれたんだ…」
ヒッチの表情が曇り、その場に座り混んでしまった。
「どうしたんだよ」
「私って…小さい人間だよ…」
「えっ?」
「聞いてたでしょ…私とマルコのやり取り」
「あ、あぁ。少しな。耳に入ってきた程度だったけど…」
「マルコはただ私にいい演技してたってことを言いたかっただけなのに…」
「つい気持ちが入っちゃってさ…」
「本気で怒っちゃった…」
うつむきながらそう言った。
「そうだとしてもマルコも悪いだろ!言い方ってものがある」
「ううん、いいの。」
こんなときなんて声をかければいいんだろう
それよりなぜアニは俺をいかせたんだろう…
「俺はさ、今のお前…好きだぞ」
「えっ?…」………。
-
- 151 : 2014/11/28(金) 05:06:46 :
- 皆さん、頑張ってください!
-
- 152 : 2014/12/03(水) 21:01:01 :
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっ・・
-
- 153 : 2020/10/27(火) 10:28:25 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
-
- 154 : 2023/07/04(火) 01:55:49 :
- http://www.ssnote.net/archives/90995
●トロのフリーアカウント(^ω^)●
http://www.ssnote.net/archives/90991
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
sex_shitai
toyama3190
oppai_jirou
catlinlove
sukebe_erotarou
errenlove
cherryboy
momoyamanaoki
16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
unko_chinchin
shoheikingdom
mikasatosex
unko
pantie_ero_sex
unko
http://www.ssnote.net/archives/90992
アカウントの譲渡について
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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