ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

鬼神演舞其之壱 兆候編

    • Good
    • 2

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/04/01(火) 08:46:48
    とりあえず、
    捏造とチートのオンパと化す可能性が大ですww

    ついでに言うと、どこからかは激甘ムードに
    なります!

    読んでる方が恥ずかしくなるかも・・・・・・

    そう言うのでもOKって人は期待してて下さい!

    あ、あと随時登場キャラについては
    変更とか入れます!

    相も変わらず更新はノロマです。
    カタツムリよろしくの遅さですのでご注意を
  2. 2 : : 2014/04/01(火) 15:03:10
    あ、ネタ元はGE-Bです!
    時期的にはリンドウ帰還後です。
    カップリングとかはまぁ、
    おいおい固めていきますww
    オリキャラも出現する可能性があります!
  3. 3 : : 2014/04/01(火) 19:26:44
    「コウタ、援護お願い!
    アリサはもう片方の気を
    僕から逸らし続けて!」

    僕らは、新種、それも第二接触禁忌種に
    相当しそうな化け物達と戦っていた。

    外見的にはヴァジュラタイプなのだが、
    機動性、火力ともに通常種を上回り、
    なおかつ集団戦法を心得ているようだ。

    全くもって質が悪い。

    リンドウさんが帰還してから
    もう1ヶ月近く経過していた。

    その間に、荒神の数も種類も増え
    アナグラのゴッドイーター達は
    専属任務とかそう言うのを
    かなぐり捨てて
    戦闘に赴く羽目になっていた。

    それは僕ら第1部隊にも言えることで。

    「ちぃっ!
    イリス! コイツ遠距離攻撃の効果が薄い!
    このままじゃジリ貧だ!」

    「それでも撃ち続けて!
    コイツの弱点は僕が見つけるから!」

    「っ、頼むぜ!」

    アリサもかなり消耗しているみたいで、
    積極的に攻め込むのを避けている。

    それでも、誘導を続けられるあたり
    改めて力強い仲間だと認識する。

    さて、僕本人はと言うと
    凄まじく状況がよろしくない。

    神機がなかなか
    言うことを聞いてくれないのだ。

    それも今始まった話ではないのだが。

    だけど、今はそんなことを愚痴っても
    いられないわけで、
    何としてもこの化け物2を
    片さないといけないのだ。

    「このぉ!」

    いつもよりもやや重く感じる僕の神機を
    腕力だけで無理矢理振り回す。

    当たるには当たるのだが、
    どれも手応えが薄い。

    少し欲張って、更にもう一撃を
    食らわせようとしたときだった。

    「リーダー、避けて下さい!!」

    アリサだ。

    僕はその声の意味を理解する前に、
    脊髄反射だけで追撃を中断し、
    盾を展開した・・・・・・はずだった。

    神機に直接衝撃が走り、
    僕は弾き飛ばされた。

    「「リーダー!!」」
  4. 4 : : 2014/04/01(火) 19:45:32
    吹き飛ばされている間、
    僕の視界から色彩の概念がなくなった。

    白黒の世界、
    いつもよりも良く聞こえる音、音、音・・・・・・・・・・・・

    やや近付いた空がまた遠のいていく。

    まるで僕をやんわりと拒絶するかのように。

    「うぐっ」

    地面に叩きつけられ、僕は咳き込んだ。

    まるで鳩尾を殴られたかのように
    呼吸が出来なくなる。

    一時的に全身の空気が抜けきったらしい。

    色はもう戻っていた。

    「大丈夫ですか!?」

    「う、うん・・・・・・何とか、ね
    それより、アイツの弱点なんだけど」

    「はい」

    「胸のあたりが結構柔らかいみたい
    そこを集中的に狙って」

    アリサは黙って頷くと、
    再び立ち上がり敵のもとへと駆けていった。

    僕も寝ころんでいられないなぁ、
    そう思いながら立ち上がり神機を構えた。

    「人間を・・・・・・・・・・・・ナメるなぁ!!」

    振りかざした神機が敵を捕らえた。

  5. 5 : : 2014/04/01(火) 22:10:11
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    戦闘が終了した。

    僕らの目の前には2つの新種の死体が
    無惨な姿で転がっていた。

    「ッはぁ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・・・・・・・
    ハァァ・・・・・・・・・・・・。
    皆大丈夫? 怪我とかしてない?」

    「私は問題ありません」

    「俺は肋何本かいっちゃったみたい。
    痛ててテテ・・・・・・・・・・・・」

    皆が無事なことに安堵のため息を
    ついていると、
    アリサが口を開いて言ってきた。

    「それより、リーダーの方こそ
    大丈夫なんですか!?
    直撃を喰らってたじゃないですか!」

    「あはははは、僕も大丈夫だよ。
    ウッカリしてただけだから」

    アリサの剣幕に圧されながら、
    僕は乾いた笑いを返すことしかできなかった。

    「じゃ、ちょっと待っててね。
    回収ヘリ、アーク11、アーク11。
    こちら極東1部、応答願います。オーバー」

    『こちらアーク11、どうぞ。オーバー』

    「任務完了しました。
    RP2にて回収お願いします。オーバー」

    『了解。
    RP2へ向かいます。アウト』

    「ふぅ~。
    じゃ、アナグラへ帰ろっか」

    そう言って、僕らは
    指定した回収ポイントへ移動を始めた。

    さて、口でこそああ言ったのだが、
    実際のところそんなに大丈夫ではない。

    ウッカリであんな事には、普通はならない。

    あの時、僕はアリサの声に反応して
    とっさに盾を展開したはずだった。

    なのに、盾は開かず、
    結果敵の攻撃を直で受けてしまったのだ。

    それに、まだバレていないみたいだけど、
    剣形態から銃形態へのスイッチも
    かなり遅くなっている。

    違和感を感じる、とか
    そんなレベルを通り越しているのだ。

    帰ったらリッカちゃんに見て貰おっかな、
    そう考えながら僕は歩いた。
  6. 6 : : 2014/04/01(火) 23:00:46
    私は見た。

    私の警告を聞き取って
    防御を試みようとしたリーダーの姿を。

    だけど、現実には
    リーダーの神機の盾は
    ちっとも動こうとせず
    本人はあの敵の遠距離攻撃の直撃を受けた。

    ああ、私のミスだ。

    敵の予備動作のを見た瞬間に攻撃をして
    敵の動きを強制的に
    止めさせるべきだったのに・・・・・・・・・・・・

    それに、何で私は
    素直にものが言えないんだろうか?

    本来なら、リーダーこそ大丈夫ですか?
    って普通に聞くところなのに、
    結果的に語調を強めて、
    責めるような言い方をしてしまった。

    リーダーもリーダーだから、軽く笑って
    特に何かを言うこともしなかったけれど。

    それでも、あの榊博士と同じくらいの糸目
    に動揺が垣間見えたのは事実だ。

    リーダーも、あのアクシデントは
    本当に予想外だったのだろう。

    あの人が、ウッカリしてた、なんて事を
    言うときは
    大抵もっと大きな問題を抱えているときだ。

    もっと私を、私達を頼ってほしいのに、
    あの人は頑なにそれをしようとはしない。

    あの人が危ないめに遭う度に、
    私は嫌と言うほどに
    心臓を締め付けられる思いをしているのに。


    ってもう、私は・・・・・・・・・・・・。
    ・・・・・・・・・・・・もうフられてるのに
    まだ未練が捨てきれないのか。

    そんな個人的な感情を
    無理矢理押し付けるつもりか、まったく。

    あの日、あの人は言ったじゃないか。
    「アリサをそう言う目で見ることは出来ない」
    って。

    せめてもの思いで、
    唇こそあの人に奪って貰ったけど、
    そこから先はやんわりと拒絶された。

    私の恋は終わったはずなのに・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・イリス
  7. 7 : : 2014/04/01(火) 23:34:33
    地下ヘリポートに、
    僕らを乗せたヘリが着陸した。

    スライド式のハッチが開くと、
    外からアナグラ特有の臭いが入り込んできた。

    人が生きている、そんなことを
    実感させる臭いだ。

    「・・・・・・・・・・・・ただいまぁ」

    誰に言うわけでもないが、
    僕はいつも任務から帰ってきたら
    そう言っている。

    それを言うことで、
    生きて帰ってこられた、と
    実感できるからだと思うけど、
    真意は僕にも分からない。

    僕は重たい神機を担いで、
    神機管理庫へ歩いた。

    先に行った2人は既に
    エレベーターの前に立っていた。

    それでも僕は、ノコノコと
    自分のペースを乱さずに歩き続けた。

    神機管理庫の中に入ると、
    いつも通りリッカちゃんが
    笑顔で迎えてくれた。

    僕も笑いながら、ヒラヒラと手を振って
    返事をする。

    「お帰り。
    また随分とボロボロになってきたね、
    キミも、キミの神機も」

    彼女は腰に手を当てて、
    ある種の感動を示すように言った。

    「リッカちゃぁん」

    そんな彼女に僕は弱々しく口を開いた。

    「ん、何?」

    「更に神機が言うことを
    聞かなくなっちゃった。
    今日は盾が開かなくなったし、
    スイッチも1段と遅くなってる」

    そう訴えると、彼女は
    真っ青になりながら聞き返した。

    「え、盾が開かなく、なった・・・・・・?」

    しまった、僕のバカ!
    この舌足らず!

    「あ、いや、リッカちゃんの
    整備不良とかじゃないとは思うんだけど」

    僕は慌てて、訂正を入れたのだが
    それがかえって彼女を混乱させた。

    「そんな・・・・・・・・・・・・
    スイッチ時のスライドパーツは
    私特性のやつを組み込んで
    対応してたのに・・・・・・
    それに盾が開かなくなったって・・・・・・」

    彼女は、そう下を向きながらブツブツと
    考察を始めた。

    僕のこの訴え自体は、
    彼女は前から知っていた。

    と言うより、喋らされた、の方が正しい。

    傷の付き方が最近おかしい、と突然言われ
    誤魔化そうとしても、
    ことごとく問いただされたのだ。

    そう言う経緯のもと、彼女は
    更に神機整備に力を入れはじめ、
    挙げ句の果てには
    オリジナルパーツを開発し
    実戦運用させるまでに至ったのだ。

    そう言う彼女の努力を知っているから、
    尚更この神機の動作不良が気になる。

    この原因は、彼女の仕事には由来しない。

    それら、僕も胸を張って言える。

    僕も一端の技術者だから、
    彼女の整備の信頼度の高さは理解している。

    なら原因は何だ、と訊かれれば
    返答に窮してしまうのだが。
  8. 8 : : 2014/04/01(火) 23:57:12
    「まあ、もう一度
    最初から見直してみるよ。
    後は私に任せて、キミは休んで」

    リッカちゃんにそう言われて、
    僕はエントランスまで戻ってきた。

    ほかの部隊のメンバーたちは
    まだ帰ってきていないらしい。

    人がいないと、ここはこんなにも広いのか。

    そう思わせるのに十分な空間が、
    エントランスに出来ていた。

    「あ、イリスさん! お疲れさまでした。
    帰還報告入れておきますね」

    「あ、ヒバリさん。
    有り難うござます」

    いつものやりとり、だけど僕としては
    一刻も早く自室に戻りたかった。

    色んな意味で疲れていたのだ、僕は。

    エレベーターの前に立つと、
    丁度下から上がってきたのが止まった。

    中から出てきたのはソーマだった。

    「ソーマ、お疲れさま」

    僕はそう微笑んだ。

    「あぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

    ソーマも普通に返してくれたけど、
    何か考えるような沈黙がついてきた。

    「どうかした」

    僕は訊いた。

    「・・・・・・・・・・・・いや、何でもない。
    気にするな」

    彼はそう返してきた。

    返してきたのだが、
    それで、気にするな、と言う方が
    いささか無茶じゃないでしょうかソーマ君。

    でも、ここで追求しようとも
    思わなかったし、
    まずそんな気力もなかったので、
    そのまま僕はエレベーターに乗り、
    自室まで戻った。
  9. 9 : : 2014/04/02(水) 07:54:01
    自室に戻ると、僕は真っ先に
    ベッドに飛び込んだ。

    バフッとした、さして柔らかくない
    無愛想な反動が僕を迎え入れた。

    だけど、僕はこの感触が気に入っていた。

    昔、僕が神機使いになる前までいた
    児童用護施設のベッドは
    もっと酷かったからだ。

    それと比べれば、ここのベッドは
    善意と良心の塊に天女の加護を
    施したようなものだ。

    「・・・・・・・・・・・・キツカッタナァ」

    僕はそう、小さく独り言た。

    そう、キツかったのだ、
    今日対峙したあの新種の相手は。

    相手の戦闘力はさることながら、
    僕の神機がぜんぜん
    言うことを聞かないことが、
    僕を参らせていた。

    「・・・・・・・・・・・・ボクガキライニナッチャッタノカナァ」

    半ば心が抜け落ちた心境で、再び独り言た。

    このまま、疲れに任せて寝てしまおうかな、
    と思ったときだった。

    僕の部屋のインターホンが鳴った。

    誰だろ、のんびりとした思考回路で
    そう思いながら
    僕はスライドドアまで歩いた。
  10. 10 : : 2014/04/02(水) 08:41:54

    『や』

    外にいたのはリッカちゃんだった。

    『話したいことがあるんだけど、
    今良いかな?』

    「あ、ちょっと待ってて」

    僕はそう言って、一度部屋を見渡した。

    イカガワシいもの、見られて困るもの、
    掃除できていないところ・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・無い、よね。

    うん、大丈夫だ、問題ない。

    「入って良いよ」

    僕がそう言うと、予定調和の如く
    良いタイミングでドアが開いた。

    「お邪魔しまーす」

    「どうぞどうぞ。
    リッカちゃんが
    僕の部屋に来るなんて珍しいね。
    あ、そうだ、お茶が良い? 
    それともコーヒー?
    あ、冷やしカレードリンクもあるけど」

    僕は、簡易の台所を
    パタパタと動き回りながら訊いた。

    「ありがと。
    じゃあ、冷やしカレードリンクで」

    「はいは~い」

    返事をしながら、僕は下の棚の中から
    箱詰めにされた件のドリンクを
    引きずり出した。

    そして・・・・・・

    「ところで、僕に話したいことって?」

    冷やしカレりドリンクを
    出しながら僕は訊いた。

    「うん。
    キミの神機のことなんだけど・・・・・・気を悪くせずに聞いてくれるかな?」

    深刻そうな顔でそう告げられて、
    僕は身構えた。

    返事はもちろん

    「良いよ、僕も気にしてたし」

    あんな事になって、
    気にしない方がおかしい。

    出来ることなら真相も知りたい、
    例えどんな結果であっても。

    僕は話すように仕草で促した。

    「えっとね・・・・・・・・・・・・
    現段階で確実なのは、神機そのものに
    異常は見られなかったってこと。
    基本分解も、完全分解をしても
    何も見つからなかったんだ」

    「・・・・・・・・・・・・うん」

    正直、ショックだった。

    卑怯だけど、
    神機の整備不良だったら
    僕には何の問題もなかったのに、
    とか思っている自分がどこかにいたのだ。

    だけど、その可能性は案外早く、
    そしてあっさりと消された。

    「じゃあ、原因は神機じゃなくて
    僕の方にある、そう言うことだね?」

    「・・・・・・そうなるね」

    神機が無罪なら、
    使用者たる僕の方に
    問題があるに決まっているじゃないか。

    最後まで、図々しく神機に責任を
    押し付けようとしていた僕自身に、
    少し腹が立った。

    「ん~、参ったなぁ・・・・・・
    僕自身に問題があるって
    言われてもなぁ・・・・・・・・・・・・
    急に適合率が凄く低下した、
    とかそんな感じのかな?」

    「多分そんな感じだと思う。
    ただ、何でそんなことになったのかが、
    全分からないんだよね」

    「・・・・・・・・・・・・ヤッパリ、キノセイジャナカッタノカナ」

    マズい、口に出てしまった!

    聞こえちゃったかな、
    聞こえちゃったよね!?

    「ん?」

    あぁ、やっぱりぃ!

    何とかして誤魔化さないと。

    「あ、いや、何でもないよ。
    ただの独り言だから、気にしないで?」

    苦しいかな、誤魔化せた、かな?

    「う、うん・・・・・・?」

    うぅん、まあその場凌ぎくらいには
    なったかな。

    「じゃあ、話をまとめると、
    神機の動作不良は
    整備不良に由来するものじゃなくて、
    使用者である僕の方に何らかの原因がある、
    って言う感じかな?」

    「言い辛いけど、そう言う結論に至ったよ」

    真剣な顔で彼女は頷いた。

    「早くも引退を迫られることに
    なるなんてねぇ・・・・・・・・・・・・
    ちっとも考えてなかったや。
    引退はゲンさんくらいの歳になってからだ
    って思ってたから」

    半ばヤケになって、そう口にした。

    だけど、リッカちゃんはそんな僕に
    ちゃんと接してくれた。

    「私の方でも、全力を尽くしてみるよ。
    完全に動かなくなったときが、
    キミの神機使いとしての限界だけど、
    それまでは私も精一杯頑張ってみる」

    そう言って、リッカちゃんは
    冷やしカレードリンクを飲み干した。

    僕にとって、彼女のこういう真摯な態度は
    凄く嬉しいものだった。

    もう少し、神機を振り回そうかな、
    心からそう思えるようになるのだ。

    「うん、有り難うね、リッカちゃん」

    思った以上に自然と、明るい声が出せた。

    「こっちこそ、任務帰りで疲れてるのに
    ゴメンね?」

    「気にしないで、凄く大事なことだし」

    「うん・・・・・・
    じゃ、私はこの辺で」

    「ばいば~い」

    僕はそう言って、廊下まで彼女を見送った。
  11. 11 : : 2014/04/02(水) 09:26:31
    俺としたことが、まさか
    イリスにあった瞬間、いきなり
    戦闘態勢に入ろうとしちまうとは。

    最近、アイツの調子が悪いことは
    見てて何となくは分かっていた。

    前に、素材回収の任務で
    アイツと一緒になったときに、
    俺は確信した。

    イリスはあの神機の適合者から
    除外されつつある、
    もう神機使いじゃなくなりかけている、と。

    だが、今日エントランスで
    アイツとはち合わせたとき、
    その確信すらまだ
    甘かったことを思い知った。

    アイツは、俺に近付いて・・・・・・・・・・・・
    いや、俺以上に人からかけ離れかけている。

    それだけは、本能で理解できた。

    アイツは、イリスは
    あのままじゃ人じゃなくなっちまう・・・・・・

    ・・・・・・ったく、仕方ねぇな、俺も動くか。
  12. 12 : : 2014/04/02(水) 09:52:03
    僕は夢を見た。

    この食べ残しの世界でたった独り
    生き残ってしまった、
    と言う何ともイタい、
    がイヤに現実的な夢だ。

    その夢の中で僕は、荒神達に喰われていく
    仲間やほかの人たちをただ傍観している、
    それだけだった。

    神機は破壊され、
    ブレードパーツと神機本体が
    バラバラになっていて、
    使い物にならない状態になっていた。

    僕自身も、左腕を食いちぎられていて、
    どうして生きているのかすら
    分からないほどの重傷を負っていた。

    横腹の部分も喰い取られ、
    小腸がズルとこぼれ出て、
    そこに、どこからか来た小さな蟲がたかって
    一心不乱に肉をかじっていた。

    夢だと分かっているのに、
    それが夢なのか現実なのかが曖昧になる。

    見渡せば、仲間の死体、死体、死体・・・・・・

    コウタらしきその肉塊は、
    頭から腹にかけてきれいに喰われ、
    断面から、中に残った内蔵が飛び出ている。

    その手元には
    シワクチャで血に汚された
    彼の家族の写真があった。

    ヒバリさんは、
    腹から下が無くなったタツミさんに
    必死で蘇生術を施していたのだが、
    後ろから飛び出てきたオウガテイルに
    諸とも喰われた。

    リンドウさんは右腕の荒神化が
    再び始まって、既に理性を失っていた。

    その傍らには、彼の最愛のヒトの亡骸が
    無造作に転がっていた。

    誰か助けて、その訴えも声にならない。

    皆が喰われていく中で、
    僕だけがそれを見つめ続けている。

    荒神共は僕を無視して、
    他の人を貪り喰らう。

    止めて。

     止めてやめてやめてヤメてヤメテヤメテ
      ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ
       ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ


             ヤメテ
  13. 13 : : 2014/04/02(水) 10:15:27
    「ぅわぁっ!?」

    僕は飛び起きた。

    呼吸は乱れまくり、肩で息をしていた。

    ビッショリと汗をかいていて、
    シャツが背中に張り付いていた。

    背中が冷たい。

    色は戻っていた。

    夢の最後、片言の思考に入る直前から、
    色が無くなっていたのだ。

    無機質な、白黒の世界。

    油断すれば奈落の底に
    引きずり込まれそうな際限のない脱力感。

    そこから逃げ出そうと必死になったとき、
    僕の意識が覚醒した。

    そうして、僕は起きたのだ。

    無理矢理、強制的に。

    「・・・・・・・・・・・・寒いな」

    僕は慌てて口を塞いだ。

    制御が行き届いていない所為で、
    思ったことが口から出てしまったのだ

    色々な思いがごちゃ混ぜになり、
    重苦しいため息となって
    体内から出ていった。

    悪夢、そう、あれは正しく悪夢だった。

    何の救いもない世界、
    もしかしたら明日にでも実現しそうな世界。

    何を弱気なって考えているんだ、
    そんなことにさせないために
    僕達は戦っているんじゃないか!

    そうやって自分を鼓舞してみるのだが、

    ・・・・・・・・・・・・・・・でも、
       僕はその中からもうすぐ
       外されるんだろうな・・・・・・・・・・・・

    と、またすぐにナイーブな思考に
    戻ってしまう。

    どうにかしたい現実と、
    どうにも出来ない現実に
    板挟みにされたときって
    こんな感じなのだろうか?

    僕の中で、焦りが加速する。

    まだやれる、皆と一緒に戦える、
    その思いだけが僕にとっての頼代だった。
  14. 14 : : 2014/04/02(水) 11:27:05
    そして、そのまま寝付くこともなく、
    僕は朝を迎えた。

    流石にシャワーも浴びたし、
    着替えもしたが。

    さて、今日も頑張ろっかな、
    そう思って部屋を出た。

    エントランスは昨日と変わらず
    人気が少ない。

    まだほかの部隊は帰還していないようだ。

    遠征任務なのだろうか?

    そんなことを考えながら、
    すぐ下のロビーへ降りた。

    「ヒバリさん、おはようございます」

    PCを使って何やら難しいことを
    した彼女に、僕は挨拶をした。

    「あ、おはようございますイリスさん!
    ・・・・・・あ、そうだ、イリスさんに榊支部長から
    出頭命令が下りてます」

    にこやかな返事の後、
    急に事務的な声になってそう報告してきた。

    「え、何か悪いことしちゃったのかな?」

    「いえ、懲罰とかじゃないと思いますよ?
    それなら正式な辞令が
    本人に直接行くはずですから」

    「じゃあ何だろ・・・・・・
    あ、いつ来いって言う話だった?」

    「いつでも良いようですが、
    早い方が支部長としては良いみたいですよ」

    「分かりました、有り難うございます」

    僕はそう言ってヒバリさんに頭を下げると
    エレベーターへと向かった。


    そして、支部長室の前にきた。

    悪いことをしたわけじゃないのに、
    呼び出された場所に赴くと
    どんな状況であれ凄く緊張する。

    深呼吸を何回かして、
    ドアを4回ノックした。

    「極東支部第1部隊隊長、神谷・イリス。
    命令につき出頭しました」

    『ああ、入って良いよ』

    そう言われて、僕は認証機に
    自分のIDカードを通した。

    「・・・・・・失礼します」

    緊張がなす技なのか、
    ぎこちない感じがする。

    「ああ、緊張しなくても良いよ。
    君をココに呼んだのは、
    別に君が悪いことをしたから
    じゃあ無いしね。
    それとも何かな、心当たりでもある?」

    呼び出した本人は、
    僕の気持ちを知ってか知らずか
    いつも通り明るく接してくる。

    「いえ、特に心当たりは。
    って言うか、何で
    僕は呼び出されたのでしょうか?」

    「うん、実に良い質問だ」

    そう言って榊博士は、立ち上がり、
    スクリーンをおろした。

    そして、投影機を動かして
    何かしらのグラフをそこに映し出した。

    「このグラフが何を示すか、
    君には分かるかい?」

    「いえ」

    僕は即答した。

    まず、僕はグラフとかを見るのが
    苦手なのだ、ずっと前から。

    「これはね、
    君がゴッドイーターになってから
    今に至るまでの戦闘データを
    グラフ化した物なんだ。
    縦軸は各任務の戦闘成績、
    横が初陣から今に至るまでの
    各任務を表している。
    ちなみにグラフの赤い色で
    塗ったところは君の功績で、
    灰色の部分はその時の他のメンバーの分ね」

    何とか話についていけている。

    僕は黙って頷いた。

    「よろしい。
    で、今の君の戦績なんだけど・・・・・・
    これだね、一番右端の棒グラフ。
    ・・・・・・うん、過去最悪の成績だね」

    「・・・・・・はい」

    否定が出来ない。
    悔しいけれど、その通りなのだ。

    「さて、この低迷している状態で
    君を戦場に送り出すのは、僕としては
    非常に不安でね。
    君もそうだし、君と一緒に行く仲間もだ。
    ・・・・・・理由は分かるよね?」

    「・・・・・・足手纏いとは言え
    神機使いの消耗は出来る限り避けたい
    任務に赴く神機使い達には
    可能な限りリスクを背負わせたくない、
    ですよね?」

    「・・・・・・その通り。
    そして、言うまでもないけれどこの場合
    前者は君に当たる」

    僕が足手纏い、かぁ・・・・・・
    何だか傷つく言い方だ。

    「ただ、ここ極東支部も、
    人員が足りているかと言えば、NOだ。
    これは他の支部にも言えることだけど、
    神機使いの数がどこも慢性的に不足している
    のが、僕達人類の現状だ」

    「・・・・・・はい」

    グラスゴー支部なんて、
    全体で3人だけじゃなかったっけ?

    「そこで、だ。
    君にはこれからも第1部隊を
    率いて貰うんだけど、
    今後は戦い方に制限を設けて欲しいんだ」 

    「制限、ですか?」

    「そう、制限さ。
    君には今後、遠距離戦闘に
    重点を置いて欲しい。
    攻撃、支援、回復、これらは
    遠距離戦闘における基本戦術だ。
    これからは、それに専念して戦って欲しい。
    良いかな?」

    「・・・・・・・・・・・・努力はしますけど、
    やむを得ない場合は斬りに入きますよ?」

    そもそも第二世代型の神機は
    遠近両方に対応できる柔軟性が
    一番のウリなんだから、
    近距離戦闘禁止なんて言うのは論外だ。

    「勿論、それは構わないよ。
    ただ、遠距離戦闘をメインにして欲しい
    と言っているだけで、
    近距離戦闘を禁止する訳じゃないからね」

    そうでなきゃ、僕も困る。

    「・・・・・・分かりました」
  15. 15 : : 2014/04/02(水) 12:02:02
    エントランスに戻って、
    上に設置されているソファに座り込んだ。

    僕が足手纏い、その事実が
    僕の心に刺さって抜けないでいた。

    「ハァ・・・・・・」

    ため息をつく。

    僕だってまだ戦える、十分じゃないか、
    欲張る心にそう言い聞かせる。

    言い聞かせても、やっぱり
    心のどこかで納得できない物があるわけで。

    僕は、悶々としていた。

    昨日見た夢のこともあって、
    朝からいきなりグロッキーなのだ、僕は。

    それでも時間は過ぎ、人は動く。

    「よっ、リーダー!
    今日も新種討伐、頑張ろうぜ!」

    背後から聞こえる
    この元気なこの口調はコウタだ。

    「うん、頑張ろっか!」

    そう言って振り返る。

    すると。

    そこにいるのは生きているコウタなのに
    夢に出てきたあの死体と重なって見えた。

    「っ・・・・・・・・・・・・」

    ショックで、倒れそうになるのを
    気合いで耐えた。

    「おい、大丈夫か・・・・・・?」

    心配そうにのぞき込む彼は、普通に見えた。

    「ご、ごめん。
    立ち眩みしちゃっただけだから。
    大丈夫だよ」

    「・・・・・・無理、すんなよ?」

    「うん、ありがと。気をつける」

    そう言って、僕らはロビーに降りた。

    再びヒバリさんのところへ行く。

    「ヒバリさん、
    支部長のところへ行ってきました!」

    「分かりました、消化しておきますね」

    事務的なやりとり。

    それはそうと。

    「今日入っている任務は何があるんですか?」

    「嘆きの平原に展開していた偵察班から
    の報告で、ヴァジュラ種の新種が
    3体確認されたそうです。
    その討伐依頼が来ています」

    「じゃ、そいつに決まりだな!
    アリサと、あとソーマも一緒にしようぜ」

    「じゃあ、久しぶりに
    第1部隊全員で挑もっか」

    「ああ!」

    「では、この任務を受注しますね。
    ・・・・・・・・・・・・出撃時刻は1050時、
    今から90分後です。
    準備を怠らないで下さい」

    「分かりました!」

    そう言って、僕らは受付を離れた。

    「じゃあ、僕が・・・・・・ソーマを呼ぶから
    コウタはアリサを呼んできて」

    「・・・・・・了解!」

    僕らは分かれて、それぞれ呼びに行った。
  16. 16 : : 2014/04/02(水) 14:43:23
    ソーマの部屋の前にきた。

    僕はドアを3回ノックして、
    確認を取った。

    『誰だ?』

    インターホン越しに、
    くぐもったソーマの声が聞こえてきた。

    「僕だよ、ソーマ」

    『何の用だ?』

    口調だけはいつでも機嫌が悪そうだ。

    「酷いなぁ・・・・・・任務だよ、任務。
    久しぶりの、第1部隊全員参加の任務」

    その機嫌の悪そうな口調も、
    慣れてしまえばどうと言うこともなく、
    僕も砕けたやりとりが出来るようになった。

    『ちっ・・・・・・相手は?』

    「ヴァジュラ種の新種。
    最近増えてきた、群れる奴らだよ。
    嘆きの平原で偵察班が3体見つけて、
    その討伐任務だよ」

    しばしの沈黙が訪れる。

    すると、僅かにドアが開いて、
    隙間からソーマが顔を出してきた。

    「分かった、俺も行く。
    準備するから少し待ってろ。
    それと、出撃時刻はいつだ?」

    「1050時だよ」

    「分かった」

    ソーマはそう言うとドアを閉めた。

    僕はソーマが出てくるまで
    壁にもたれて待つことにした。

    それにしてもアナグラの天井は少し低い、
    僕は常々そう思っていた。

    僕の身長は176㎝と少しある。

    それに対してここの天井は2,3mで、
    僕としては少し狭苦しく感じる。

    だからなんだと言われれば、
    特に言うこともないのだが。

    そんなことを考えていると、
    ソーマが中から出てきた。

    「待たせた」

    「!」

    「・・・・・・何だよ?」

    僕は驚いてしまった。

    あのソーマが、まさか黒以外の上着を
    着て出てくるとは
    微塵も考えていなかったのだ。

    今のソーマは、
    カーキ色のカーゴパンツに、
    黄色のカッターシャツ、
    黒のネクタイ、その上から
    青と白のストライプのパーカーを着ている。

    「その色は、
    かぐや姫のいる場所の色に
    合わせたの?」

    純粋な疑問だった。

    「・・・・・・うるせぇ」

    ソーマは隠すようにしてそう言った。

    不機嫌そうな語調は、
    時たまそういう感情の
    隠れ蓑にもなっていることを
    僕らは知っている。

    「エントランス行こっか」

    「ああ」

    僕らはエレベーターへ向かった。
  17. 17 : : 2014/04/02(水) 15:09:11
    僕らがエントランスに着いたとき、
    既にコウタとアリサはそこにいた。

    「呼んできたぜ」

    「ありがと!
    じゃあ、皆そろったことだし、今の内に
    簡単な作戦会議でもしよっか」

    「そうですね」

    「分かった」

    そういって、僕達はソファに座った。

    「んんと、じゃあ、今回の敵について
    分かっていることだけど、まずは僕から。
    今回の敵は全体的に硬い。
    斬撃で狙うなら
    胸の部分と、後ろ足の膝裏が
    比較的有効みたいだね。
    他はある?」

    「えぇと、じゃあ俺。
    銃で攻撃するときの注意点だけど、
    まず正面から撃ち合うこと
    だけは絶対にだめ。
    それと、イリスも言ってたけど、
    アイツら硬いから
    有効属性のバレットで責めなきゃ
    埒が開かない」

    僕の簡単な説明の後、
    コウタが補足を入れてきた。

    だけどコウタ君、その補足だと
    重要なことが分からないんだなぁ・・・・・・

    そう思っていると

    「でも、その有効属性は分かっていない、
    ですよね?」

    と、アリサが更に補填した。

    「すまん、その通りだ」

    コウタは申し訳無さそうに
    ペコリと頭を下げた。

    「あと、怒ったときは
    攻撃の予備動作が無くなっているときが
    あるから、怒らせたときは
    更に警戒してね」

    「「「了解」」」

    「じゃあ、次は責め方なんだけど・・・・・・
    どうしたらいいと思う?」

    「今回の任務の標的数は何体ですか?」

    「報告によると3体なんだって」

    「・・・・・・なら、1体ずつ確実に
    仕留めていくのが無難だろ」

    ソーマの言っていることは正しい。 

    複数の目標がいる場合、
    1体ずつ確実かつ迅速に殲滅していくのが、
    戦法としては正しい。

    「・・・・・・そうなんだけど、ね。
    ミッションエリアが
    嘆きの平原なんだよね、イヤなことに」

    「・・・・・・囮が必要ですね・・・・・・」
  18. 18 : : 2014/04/02(水) 15:29:45
    僕達は、考えに考え抜いた末に、
    僕、ソーマ、アリサのメンバーを討伐班、
    コウタを陽動要員として振り分けた。

    僕が、事情によって今後の任務は
    基本的に遠距離支援をすることになった、
    と皆に伝えた結果だ。

    最初はアリサが囮役を買ったのだが、
    コウタが、
    討伐班に火力を集中させるべきだ、
    と主張し最終的に僕の判断で編成を決めた。

    「コウタのためにも、僕達は出来るだけ
    早く目標を片付けよう。
    ソーマが攻撃の主力で
    、アリサはソーマの援護。
    僕が全力で2人をサポートするから」

    「囮は俺に任せろ、な!」

    コウタの一言で全員が力強く頷いた。

    時計を見ると、もう1035時を過ぎていた。

    「じゃ、ヘリポートまで降りよっか」

    そういって、僕らは移動した。
  19. 19 : : 2014/04/02(水) 15:44:43
    エレベーターを降りて、
    僕達は神機管理庫に向かった。

    中からリッカちゃんが迎えてくれた。

    「神機のメンテナンスはバッチリだよ。
    頑張ってきて!」

    僕達がそれぞれの
    神機を取りに行こうとすると、
    僕はリッカりゃんにとめられた。

    「キミの神機だけど、
    榊博士の指示でスタートは
    銃形態にしてあるからそのつもりでお願い。
    あ、あと盾の展開パーツも
    抵抗が少ないやつに換えたから、
    開くようにはなったと思うよ」

    あの博士は、もぅ、書類仕事は遅いくせに
    こういう手回しの早さだけは
    一流なんだから、ホントにタチが悪い。

    そして、リッカの仕事の速さも凄い。

    「うん、ありがと。
    いつも迷惑かけてゴメンね?」

    「だいじょーぶ!
    気にしないで行ってきて!」

    「うん、行ってくる!」

    僕も、自分の神機を手に取り、
    手を降りながら応えた。

    皆は既にヘリに乗り込んでいた。

    僕もヘリの方へと駆けた。
  20. 20 : : 2014/04/02(水) 16:09:19
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    作戦ポイントに到着した。

    確かに例の新種が3体いた。

    予想外なのは
    サイゴートも何体かいることだ。

    「コウタは、危ないと思ったら迷わずに
    スタングレネードを使って。
    あ、あと出来ればサイゴートも
    可能な限り片しておいて」

    「分かった」

    「じゃあ、皆。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行くよ!」

    その合図で、僕達は飛び降りた。

    コウタは右側の奥に確認できた2匹のもとへ、
    僕たちは左側の手前にいる奴のもとへ、
    それぞれ駆けた。

    「俺が斬り込む!
    イリス、バックアップ頼む!」

    「うん、任せて!
    アリサはソーマの直援に回って!」

    「了解!」

    僕は神属性のレーザーを装填した
    神機を構えた。

    (・・・・・・正面は禁物・・・・・・)

    僕狙いを付けながら走って、
    相手の側面に入り込んだ。

    「これはどうかなっ!?」

    やや重たい反動と同時に、
    レザーがゆるやかに湾曲しながら
    相手の胸元を捕らえた。

    手応えは・・・・・・・・・・・・薄い。

    そうと分かると、僕はすぐに
    氷のバレットに装填し直した。

    「次はこれだぁっ!」

    同じくらいの反動が全身を揺さぶる。

    感触は・・・・・・・・・・・・あった!

    すぐさま、僕はトランシーバーに叫んだ。

    「アリサ、コウタ!
    敵は氷属性の攻撃が有効!
    遠距離攻撃を仕掛けるときは
    氷属性弾を使って!!」

    「こっちもそんな感じだ!
    助かった!」

    「了解しました!
    留意しておきます」

    心強い返答がヘッドフォンから聞こえてくる。

  21. 21 : : 2014/04/02(水) 16:21:18
    「ちょこまかとウゼェなっ!!」

    ソーマが敵の左後ろ足を砕いた。

    その瞬間、敵が突っ伏してダウンした。

    「アリサ、斬り込んで!」

    「了解!」

    僕は2人の間に出来た僅かな射線を逃さず、
    間髪入れずに発射した。

    ダウンして小さくなったとは言え、
    もとは中型種。

    2人とって、それは分け合いが
    可能な大きさの的だった。

    「アリサ、お前はコイツの胸を削げ、
    俺は徹底的に足を砕く!」

    「分かりました!」

    「「ァァァアアあああ!!!」」

    それは情け容赦のないいたぶりで、
    相手は見る見るうちに
    体中が結合崩壊していった。

    「さっさと・・・・・・くたばれっ!!」

    ソーマの止めの一撃で敵は完全に沈黙した。

    アリサがすかさずコアを摘出する。

    「リーダー、受け取って下さい!」

    「ありがと!
    じゃあ次、コウタのところ行くよ!!」

    僕達は走った。
  22. 22 : : 2014/04/02(水) 16:49:57
    読んでくれてる?(´・ω・`)
  23. 23 : : 2014/04/02(水) 17:03:43
    読んでますよ。めちゃくちゃ面白いです。
    これからも頑張ってください!
  24. 24 : : 2014/04/02(水) 18:37:34
    ウワーン°・(ノД`)・°・
    ありがと、謝謝、Thank you、グラッツェ!
    いかんせん人が少ないから
    不安この上なかったんですよぉ!!
    >>23
    頑張ります!
    もしかしたらシリーズ化するかもだから
    そん時は、最後までお付き合い下さい!
  25. 25 : : 2014/04/02(水) 19:14:09
    ちっくしょぉ、
    あの時はああは言ったけど、
    流石に2体同時に相手するのは
    結構キチぃな・・・・・・

    サイゴートは全部撃ち落としたけど、
    この新種をどうにかしないと。

    有効属性弾が分かってからは、
    ちょっとは立ち回りやすくなったけど、
    ジリ貧なのには変わりないし。

    討伐班は、まだ手こずってんのかな・・・・・・?


    ったく、リーダーもリーダーだよ!

    前々から調子が良くなかったのは
    何となく気付いてたけど、
    そう言うことだったら
    もっと早く相談しろよな!

    そのための俺たち仲間だろうがっ!

    アリサをフって、
    自分のことにも手をつけかねるとか・・・・・・

    そりゃあ、皆には知って欲しくないって
    言う気持ちも分かるけどさ・・・・・・・・・・・・

    あぁ、もう!

    柄にもなく難しいこと考えちまった!

    集中だ集中!

    目の前の敵から目をそらすなっての!

    どうせアイツ等のことだ、
    パパァッと片付けて
    すぐにこっちに駆けつけるに決まってる。

    それまで持ち堪えるのが俺の仕事だし、
    もいっちょ頑張るとするかぁ!
  26. 26 : : 2014/04/02(水) 20:05:36
    僕らが駆けつけた頃には、
    敵の一方は既にかなり削られていた。

    だけど、それと同じくらいに
    コウタもかなり疲弊している様子だった。

    「コウタ!
    スタングレネードいくよっ!!」

    僕はそう叫んで、
    ポーチからグレネードを取り出し
    力一杯に投げた。

    それはうまい具合に
    コウタと敵の間で炸裂した。

    すかさず僕は指示をとばした。

    「アリサ、奥の方の敵をお願い!
    コウタはアリサのバックアップ!
    僕らは手前のピンピンした奴を片すよ!」

    そして、僕達はそれぞれ
    割り振った目標のもとへ走った。

    「ソーマ、アイツの後ろ脚壊して!」

    「了解だっ!」

    ソーマはそう返すと、
    人間離れした速さで敵の懐へ走り、
    その下を滑り込みながら相手の足を凪いだ。

    「凄い・・・・・・!
    僕もいくよぉっ!」

    そう叫んで、
    僕はレーザーからトルクボウに再装填して
    構え直した。

    狙う先は、相手の胸の側面。

    僕は躊躇わず真正面から攻め込んだ。

    「バカっ!」

    ソーマが怒鳴ったが無視する。

    敵が攻撃の予備動作を見せた。

    僕はそれを認識した瞬間、
    左斜め前へ回転受け身をとった。

    さっきまでいた場所が、敵の攻撃で
    削り取られていた。

    「残念、がら空きだよっ!」

    トルクボウ3発を放った。

    それらは吸い込まれるように
    狙った場所へととんだ。

    「当たった!
    ソーマ、少し距離をとって!」

    「ちぃっ!」

    舌打ちをしながらも、
    彼は素直にバックステップを踏んだ。

    そして、爆発。

    敵の左胸の外皮が
    粉々に砕け散り、
    中から肉が顔をのぞかせていた。

    「ソーマ、畳みかけるよ!」

    「ああ!」

    僕は再びレーザーを装填して、
    ソーマのバックアップにつとめた。

    「くたばりやがれぇっ!!」

    その一撃で、敵の体は真っ二つに割れた。

    「コアの回収お願い、
    僕は向こうの支援に行ってくる!」

    「・・・・・・分かった」

    その返事を聞いて、僕は駆けた
  27. 27 : : 2014/04/02(水) 22:05:40
    めっちゃおもろいやん!
    これからも期待してます
  28. 28 : : 2014/04/02(水) 22:38:54
    2人は思った以上に苦戦していた。

    「アリサ、コウタ!」

    僕はどこからか沸いてきた
    コンゴウに牽制射撃をしつつ
    2人と合流した。

    「苦戦してるようだけど、何があったの?」

    僕が訊くと、

    「怒らせ ちゃった みた い。
    桁違いに動き が速く なり やがっ た」

    コウタが息を切らせながら応えた。

    「それに、急に吼えたと思ったら
    コンゴウまで出て来ちゃったんです」 

    「あちゃぁ、それはマズいね」 

    「何が起きてる?」

    「ソーマ!」

    「ここのポイントに
    荒神が集結してきている。
    何が起きた?」

    「分からないけど、あの討伐対象を
    片さないと、何も出来ないみたいだね」

    そして、1秒間の思考の後・・・・・・

    「ソーマは討伐対象を、
    アリサとコータは他の中型種の討伐。
    僕が皆を援護するから」

    皆が無言で頷いた。

    「よぉし・・・・・・・・・・・・Now!」

    その合図とともに、皆が走り出した。

    「ソーマ、そいつは今怒ってるみ
    たいだから間合いの取り方に気をつけて!
    僕は2人の援護に行くから、
    危なくなったら知らせて!」

    「了解」

    当のアリサとコウタは、
    コンゴウの相手をしていた。

    周りにはサイゴート、オウガテイルが
    これでもかと言わんくらいに溢れている。

    「私が斬り込みます!
    コウタは部位破壊とトラップ支援を!」

    「りょーかいっ!」

    2人のそのやりとりの外から
    襲い来る影が現れた。

    「コウタ、伏せて!!」

    僕は反射でソレを撃った。

    質量のある反動の後、
    地面に落ちたのは
    赤いヴァジュラテイルだった。

    「イリス、助かった!」

    「僕が2人を援護するから、
    気にせずそのまま行って!」

    「分かった!」

    コウタは誘導弾を撃ちながら、
    アリサの方へ走っていった。

    振り向けば、ソーマと
    その相手が視界に入る。

    ベストポジション。

    僕はそこに陣取り、
    僕の戦いに専念し始めた。
  29. 29 : : 2014/04/02(水) 23:18:06
    「イリス!
    周りのオウガテイルが邪魔です!
    排除お願いします!」

    「はいよぉっ!」

    要請があった方面を向き構える。

    対象を確認し、牽制、牽制、
    そして攻撃、排除。

    「有り難うございます!」

    「イリス、モロに喰らった、頼む!」

    「りょぉかい!」

    振り向きざまに回復弾を装填し、
    ソーマを狙い、撃つ。

    それは緑の尾を引いてソーマにヒットした。

    続けて僕は氷属性のトルクボウを装填し
    討伐対象に向けて撃った。

    全弾命中し、
    そして爆発した。

    パラパラと中に飛び散るのは
    爆風でまいあげられた
    小石や砂埃だけではない。

    「ありがとよっ!」

    「イリス、そっちに何体かいったぞ!」

    「ありがとっ」

    僕は向き直り、氷属性の通常弾を装填し、
    向かってくる敵に対して弾幕を張った。

    こっちへ向かってくるのは
    4体のオウガテイル。

    現状な僕としては、
    対峙することは避けたい相手だ。

    忘れがちになるけど、僕の神機は
    もう近距離線ではほとんど使えなく
    なっているのだ。

    4体の内、3体をダウンさせたが、
    1匹撃ちもらした。

    更に弾幕を張ろうとしたら、
    ガチンと冷たい金属音が響いた。

    弾切れだ。

    「くっ」

    OPを回復しようとしたら、
    オウガテイルが飛びかかってきた。

    距離は10m程だったが、
    荒神の脚力に言わせれば
    どうという事も無い距離だ。

    僕はOP回復材を投げ捨てて、
    その場から緊急回避した。
  30. 30 : : 2014/04/02(水) 23:23:34
    今日はここらへんで寝ます。

    皆さん、遠慮せずにじゃんじゃん読んで
        ばんばんコメント下さい!
    じゃないと寂しい、というのが本音ww
  31. 31 : : 2014/04/03(木) 01:22:56
    期待
  32. 32 : : 2014/04/03(木) 09:58:30
    僕は左の方へ思いっきり飛び込んで
    受け身を取った。

    オウガテイルがさっきまで
    僕が立っていた場所を
    きれいにかじり取っていた。

    立ち上がり、スイッチする。

    遅く鈍い感触が、
    柄を通して伝わってくる。

    何とか神機を剣形態に変形させて、
    僕は敵と向き合った。

    「はぁっ!」

    大剣で、オウガテイルを
    無理やり横凪にする。

    吹き飛ばされたオウガテイルは、
    そのままダウンして体を丸め込んだ。

    僕はといえば、敵を跳ばしたときの反動で
    少し腕がビリビリと痺れていた。

    「まだまだぁっ!」

    僕は痺れる腕に強引に力を入れて、
    更に斬り込んでいった。

    「このぉ・・・・・・割れろぉっ!!」

    オウガテイルの頭部が砕け散った。

    視覚を失ったオウガテイルは、
    倒れ込んだままモゾモゾとのた打っていた。

    そして、僕は神機を捕食形態にして構えた。

    ズルリと赤黒い
    グロテスクな顎が出てきた。

    「悪く思わないでね!」


            バクンっ
  33. 33 : : 2014/04/03(木) 11:55:53
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    戦闘が終了した。

    「こちらは片付きました」

    「こっちも終わった」

    無線機から報告が聞こえる。

    「よし、じゃあ皆、
    僕のところに集まって!」

    すぐに皆が集結した。

    皆の姿は、満身創痍といったところで
    僕も含めて、全員がボロボロだった。

    「皆お疲れ。
    さ、アナグラに帰ろっか!」

    そう言って、戦闘区域を離れようとした、
    そのときだった。

    突然、地響きが僕達を襲った。

    余りに突然すぎて、
    全員が動揺してしまった。

    揺れがおさまった瞬間、僕らは
    神機を構えた。

    たここにいる誰もが、感じたのだ。

    ただ揺れるだけで終わるわけがない、と。

  34. 34 : : 2014/04/03(木) 12:33:07
    「皆、警戒して。
    何がどこから来ても大丈夫なように」

    そう言って、僕は神機を構えた。

    目だけを動かして、周囲の状況を観る。

    重たい神機の柄を、
    握り潰しそうなくらいに
    手に力を込める。

    いつも異常に神機が冷たい。

    張りつめた緊張が、僕の神経を
    ギリギリまで擦り減らす。

    僕らを取り巻く空気が、刺すように痛い。

    こんなに感じるのは、初陣以来だ。

    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来るぞ」

    ソーマが警告した、その次の瞬間。

    さっきのとは比べものにならない震動が
    僕らを襲った。

    その揺れ方は、地震と言うよりも
    鼓動に近い感覚で。

    すると、そこら中に散らばっていた
    荒神の死体や肉片が
    モゾモゾと蠢きだしたのだ、
    まるでどこかに集まろうとするように。

    「・・・・・・気をつけて」

    僕は、自分に言い聞かせるような口調で、
    皆に言った。

    触れれば切り刻まれそうな、鋭い空気。

    刹那、凄まじい敵意と殺気が
    僕達を呑み込んだ。

    「っ!?」

    ソレは、今回の任務の
    討伐対象のような姿だった。

    だが、それはあくまで、
    辛うじてそう見える、と言ったレベルだ。

    その姿はまるで、このエリアで倒した
    全ての荒神の死体や肉片を
    継ぎ接ぎ合わせたような、
    ひどく歪で、グロテスクな外見をしていた。

    「何なんだよアレ!?」

    コウタが悲鳴にも似た声で訴えた。

    だけど、この場でそれに応えられる人物は
    僕も含めて、誰もいない。

    コイツはマトモじゃない、僕の本能が
    そうけたたましく叫び散らしていた。

    「・・・・・・・・・・・・撤退するよ」

    「そんな!?」

    抗議してきたのはアリサだった。

    「せめて威力偵察だけでも!」

    「ダメ。
    僕らの現状を考えて。
    訳分かんない敵、対してボロボな僕ら。
    カチ合っても、ロクな事にならないのは
    火をみるより明らかだよ!」

    「でも!」

    「くどいよ、アリサ。
    それとも死にたいの!?」

    「っ・・・・・・」

    僕も、アリサの言いたいことは理解できた。

    新種が出てきたのなら、
    形態や行動パターンの情報くらいは
    最低限持ち帰りたいのだ。

    ソレが出来ないもどかしさも、
    充分に理解できる。

    でも、ここは生と死が紙一重におかれる
    情け容赦のない戦場だ。

    ここで、選択を誤るわけにはいかない。

    「皆、撤退するよ。
    ソーマ、ヘリに連絡を入れて。
    RPは任意で決めてくれて構わない。
    コウタはソーマの援護。
    アリサは周辺警戒を。
    僕が殿をやるから」

    そう言うと僕はポーチから
    スタングレネードを取り出した。

    安全ピンを抜いて・・・・・・・・・・・・投げた。

    その瞬間

    「走って!!!」
  35. 35 : : 2014/04/03(木) 12:34:45
    何か格好いいですね!
    期待です
  36. 36 : : 2014/04/03(木) 12:47:46
    >>35
    有り難うございます!
    カッコいいって、タイトルが? 中身が?
    まぁどっちでも嬉しいけど(爆)

    もうそろそろしたら、
    いっぺん区切りを入れます。
    連載決定です!
    つーことで今後とも付き合い下さい!!
  37. 37 : : 2014/04/03(木) 15:39:42
    僕らが走り出すと、
    ヤツもこっちについて来た。

    「皆そのまま走り続けて!」

    そう叫んだ瞬間、強い閃光に続いて
    炸裂音が響いた。

    ヤツが呻き声を上げて怯んだ。

    「・・・・・・・・・・・・モウシバラクイウコトキイテネ・・・!!」

    僕はそう小さく呟いて、
    銃形態にスイッチした。

    炸裂音が響いてから10秒も経たない内に
    奴は復活し、僕らを追いかけ始めた。

    ヤツが駆ける度に地鳴りが重たく響く。

    「くっ」

    僕は後ろを向いて、弾幕を張った。

    「ソーマ、ヘリの手配は!?」

    「終わった、LZ4だ!!」

    「分かった!」

    弾幕を張り続けながら、駆け足で後退する。

    頃合いを見て、僕は踵を返し
    皆の後を追った。

    その際にスタングレネードを
    しっかり見舞った。


    ヤツが復活する度に、僕が弾幕を張り
    退き際にスタングレネードを見舞って、
    それをいくら繰り返していても、
    根本的な体格差ですぐに距離を縮められる。

    気が付けば、ヤツはもうすぐ後ろに
    ピッタリと張り付いていた。

    「全然引き離せないっ」

    「イリス、
    俺がホールドトラップ置くから
    援護頼む!」

    「! 了解!」

    僕はそこで立ち止まり、
    さっきよりも更に濃い弾幕を張った。

    ヤツを消し飛ばさんとするくらいの勢いで。

    「コウタ、まだ!?
    もうそろそろ残弾が・・・・・・あっ!」

    一瞬だった。

    ヤツがこっちに飛びかかろうとしたのは。

    いや、その予備動作を見せたのが。

    狙っているのは、
    僕じゃなくてすぐ後ろのコウタだ。

    「コウタどけぇっ!!」

    語調を荒げて、僕は彼我の間に割り込んだ。

    無理やりスイッチして、盾を開きながら。

    強く重量のある衝撃が
    僕を襲った。

    だがそれは、防御出来たことの
    揺るがない証左でもある。

    「つっ!!」

    精一杯踏ん張っても、ジリジリと圧される。

    「・・・・・・出来た、下がれイリス!」

    コウタの声に反応しようとした、
    その時だった。

    僕は、右側へ吹き飛ばされた。

    体が宙を舞っている感覚。

    時間経過が遅く感じた。

    「ぐはぁっ」 

    受け身に失敗して、地面に横腹をぶつけた。

    苦しい。

    息が詰まり、生理反射で吐き気を催す。

    「イリス避けろ!!」

    更に僕は宙に打ち上げられた。

    ヤツの遠距離攻撃をモロに食らったらしい。

    だけど不思議なことに、
    痛みは伴っていなかった。

    全身から力が抜け落ちる、
    不気味な感覚が僕を支配する。

    悟った言葉は、死。


    刹那、色がなくなった。

    耳が冴え、全ての動きが
    スローモーションに感じる。

    視界が真っ暗になった。

    冷たい空間の中で声が聞こえる。

    死ぬのか? イヤだ死にたくない。

    恐いのか? 恐くなんて無い。

    力は? ・・・・・・・・・・・・欲しい。

    何の故に? ・・・・・・・・・・・・戦うために。

    本当に? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    本当に戦うためか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ならば訊き方を換えよう。

    何のために戦う?



      サアネ、ソンナコト、ドウデモイイ
     タダ、コワシタイダケ、ソレダケダカラ
  38. 38 : : 2014/04/03(木) 15:40:58
            
            ~END~
  39. 39 : : 2014/04/03(木) 16:02:45
    皆様、ご愛読有り難うございます!

    さて、『鬼神演舞其之壱 兆候編』
    如何でしたでしょうか!?

    この話を思いついたのは、
    ひさしぶりにGE-Bを全部最初から
    始めたときなんです!

    詳しい話は最終話にて書くとして・・・・・・

    コメント、ご指摘、感想など
    あればよろしくお願いいたします!

    では!
  40. 40 : : 2014/04/03(木) 17:12:04
    http://www.ssnote.net/archives/13805

    第2話です! こっちもよろしく!!
  41. 41 : : 2020/10/03(土) 09:01:39
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
suemoto1225T90

スー君

@suemoto1225T90

この作品はシリーズ作品です

鬼神演舞 シリーズ

「未分類」カテゴリの人気記事
「未分類」カテゴリの最新記事
「未分類」SSの交流広場
未分類 交流広場