この作品は執筆を終了しています。
七海「AIは涙を流せるのか?」
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- 1 : 2014/03/09(日) 20:51:13 :
- 二作目です。七海ちゃんの誕生日近いので、七海メインSSを書いてみます。
スーパーダンガンロンパ2のネタバレが最初から全開です。
一応七海視点中心です。
そしてヒナナミにしたいです。願望だけで書きます。
全開に引き続き拙い文章ですが、読んでいただけると幸いです。
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- 2 : 2014/03/09(日) 21:13:56 :
- >>1
いきなりの誤字()
全開→前回です。
**
「なぁ、七海。お前って誕生日いつなんだ?」
コロシアイ学園生活が始まって、もう何日もたったとき。
レストランで朝ごはんを食べていると、不意に向かいの席で食べていた日向くんが聞いてきた。
「誕生日、かぁ」
誕生日。人が生まれた月日のこと。
普通だったらすぐに答えられる、凄く簡単な質問。
でも、
「いつだっけ」
「……おいおい、お前いつからそんな忘れっぽいみたいな設定加わったんだ?」
それは私には答えられなかった。
呆れながら日向くんがそんなツッコミをしてくれているけど、私は忘れっぽいわけじゃないし、そんな設定も持ち合わせていない。
私には『誕生日』というものがない。
完成した日は存在するのだろう。でも、そのときの私は自我を持っていなくて、その日付を覚えていない。
だって私はAI。
人工知能のプログラムだから。
「みんなの誕生日を覚えといて、ちゃんとみんなでこの島から帰ったら、その日は盛大に祝ってやろうって思ってな。
ほら、そいつの家に押しかけて、色々パーティーできたらとか――――」
日向くんはそんな私をお構いなしに、楽しそうな顔で言う。
でも、そんな日向くんの顔を見ていると、なんだかうれしいような、楽しいような。
胸の中があったかくなって、どうにかなってしまいそうな。
そんな気持ちになる。
だから、日向くんのそんな顔をもっと見たいし、落ち込んだ顔を見たくない。
そうするためにもっとも有効な手段は、誕生日を教えること。
AIには誕生日はない。それなら、作ってしまえばいいんだ。
そう思って、誕生日を考えてみる。
すぐに思いついたのは、『お父さん』の誕生日。
だから私は『お父さん』の誕生日を、私の誕生日にすることにした。
「えっとね……3月14日だよ」
「そうなのか……ありがとな、七海」
微笑みながらメモに書き取る日向くんを見て、私もつられて微笑んでしまう。
でもね日向くん、私はこの島から出られないんだ。
だからね、日向くんが思っているようにして私の誕生日を祝うことは、限りなく不可能に近いんだよ。
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- 3 : 2014/03/09(日) 23:59:37 :
- 期待です!
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- 4 : 2014/03/10(月) 00:40:10 :
頑張ってください~(* ̄∇ ̄)ノ
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- 6 : 2014/03/11(火) 22:36:26 :
- これは期待!
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- 7 : 2014/03/12(水) 22:26:07 :
- >>6
ありがとうございます…!
がんばりますね!
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あの会話からもう、どれくらいたったのだろうか?
私はコロシアイ修学旅行のあと、奇跡的にデータが残っており、私は修学旅行の記憶を持ってまた、みんなの前に姿を現すことができた。
みんなは、私がプログラムだったということに驚きを隠せなかったけど、すぐになれてくれて。
今は未来機関の三人と、プログラムから帰ってきた日向くんたちを中心に他のみんなが目覚めてくれるように最善を尽くしている。
そのお手伝いを少しでもできたらな、と私も頑張っている、と思う。
今日も、お手伝いとして新世界プログラムの環境を整えていた。
のちのち、他の仲間たちが目覚めるのに、もう一度ちゃんとした修学旅行を開催してみよう、とのことで。
「七海」
「あ、日向くん」
日向くんが声をかけてくれる。
目の色は赤くなっていたけど、それ以外はプログラムの中とまったく同じな日向くん。
「作業は順調か?」
「うん、いい感じに進んでいる……と思うよ?」
「またお前はそれかよ……いい加減断言できるようになれって」
そういいながらも、日向くんは優しく笑っている。それにつられて、私も笑ってしまう。
「おいおい、なんで笑うんだよ」
「いや、日向くんが笑っていたから」
「そういうものなのか?」
ふふ、と私は笑った。
目覚めてから色々なことがあったけど、日向くんは日向くんだ。
あの優しい表情も、声も、言葉も。
プログラムの中であった時と同じ、少なくとも私にはそう思えた。
「だから何がおかしいんだって」
「いや、なんでもないよ」
ふふ、と日向くんに笑ってみせた。
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- 8 : 2014/03/14(金) 00:04:16 :
- 「あ、そろそろ時間だし行くな。頑張れよ」
日向くんはそういうと、私――――正確には私の映っているディスプレイに向かって手を振ると、走って去って行った。
自動ドアがウィィン、と閉まっていく。
ああ、いっちゃったなぁ。
私でも、やっぱり一人は寂しい? ものなのかもしれない。
なんとなくだけど、日向くんたちと接するようになってから、こういう感情みたいなものが目覚めている気がする。
感情。物事に感じておこる気持ち。
そんなものが私に存在していいのかな?
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- 9 : 2014/03/15(土) 19:07:48 :
- 応援してますよ
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- 10 : 2014/03/15(土) 23:15:56 :
- >>9
ありがとうございます…!
がんばります!!
**
突然ですが、私は今とてつもない寂しさのようなものに襲われています。
何でかというと、ここ数日――――2月に入ってから位から、日向くんと話す時間がなかなか取れないのです。
お手伝いしている作業も量が多くなってきたし、日向くんもかなり仕事があるようで、私たちが一緒にいる時間はとても少ないし。
3月に入った今でも、それは続いていた。
「あら、七海さんがそんなことを言うなんて珍しいですね」
そんなことを偶然、私のディスプレイのところで仕事をしていたソニアさんに言ってみると、ふふと笑いながらそう返してくれた。
「まあ、しょうがないって思っているんだけどね。日向くんも私も忙しいし。でも、会いたいなとか。
これって、わがままだよね?」
「はい、わがままですね」
やっぱりそうだよね、とため息をつく。
「でも、それまでに会いたいのは、日向さんに惚れているからじゃないですか?」
「ほ、ほれ……?」
普段の生活では聞きなれない単語に、一瞬思考が停止してしまう。
「つまりは、好きってことですよ」
好き。心惹かれること。気に入ること。主に恋愛感情で使われ――――。
恋愛、感情?
「私は、日向くんが、好き……なのかな?」
「ええ、今の七海さんを見ている限りだと、そう見えますわ」
私が日向くんを恋愛感情的な意味で好き――――。
確かに、日向くんは頼れるリーダー的存在としてみんなを引っ張ってきているし、時には道を逸らしてしまうけど、その逸らしてしまった分も取り戻せるし、過去もがんばって乗り越えようとしている。
そんな日向くんの未来を応援してあげたい。
私はその思いが頭の中にずっとあっただけで、日向くんのことが好きだなんて……。
「あら、図星ですか? 顔が赤く見えますわよ?」
「……そうなの?」
無意識のうちに、顔が赤くなっていたようだ。
でも、日向くんのことを考えると、こんな風になるし……私は日向くんに、
「恋、しているのかな?」
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- 11 : 2014/03/15(土) 23:17:09 :
- >>10
上記投稿天風です
なぜか名無しにあるぇ?
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- 12 : 2014/03/16(日) 21:44:22 :
- 「いえ、きっとそうなんですよ! お二人は結ばれる運命なんですよ!
こんな風な不可能に近い恋の形も、私は応援しますよ!!」
ソニアさんに言われて気が付いたけど、やっぱり不可能に近い形なんだよね。
所詮私は人工知能でプログラムでAIで。
私がどれだけ、日向くんに触れたいと思っていても、修学旅行みたいなことが起こらないと、できないんだよね……。
日向くんのことは好きなんだと思う。でも、日向くんはちゃんと生きているから、私なんかにとらわれていないと思うし――――。
「そんな私が、恋してていいのかな? 日向くんにはちゃんと前向いてほしいし、私は――――」
「プログラムだから、ですか?」
どうやら、私が思っている事を見透かされたようだ。
「そんなこと、どうでもいいじゃないですか!
好きな人は好き、そういってしまいましょうよ!」
「う、うん……そう、言えたらいいんだけどな」
そんなことを言える気がしないから困るんだけどね。
「ほら、チャンスがあるときに言っておかないと後悔しますよ?……私のように」
さっきまでテンションが上がっていたソニアさんが、少しだけ悲しそうに目を伏せた。
そういえばだが、彼女は、コロシアイ修学旅行で思い人を亡くしていた。
あの二人は、とても仲が良かったしコンビネーションもばっちりだったし。
きっと、そんな彼を思い出したのだろう。
目覚める可能性はあるにしても、数値は絶望的だし、もう言葉を交わせないまま、一生を終えてしまうかもしれない。
「ソニアさんは、自分の分まで恋してほしい……って言いたいのかな?」
「……ええ、希望は持っていますけど、もしかしたらのこともあるので」
悲しそうに笑うソニアさん。
応援してくれるのはうれしいけど、そんな顔、私は見たくないよ。
「でも、もしかしたらのことを考えちゃうと、目覚めるものも目覚めなくなる……かもしれないよ?」
私なりに、ソニアさんを元気づけるような一言を選んでみたつもり。
「そう、ですわね。私もしっかり気を持たなくてはですね」
さっきよりは表情が明るくなったように見える。
よかった、どうやら元気になったみたい。
「彼が目覚めて、ソニアさんの恋が実ることを応援してるね」
「ありがとうございます。私も、七海さんの恋応援しますね」
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- 13 : 2014/03/16(日) 22:05:40 :
- がんばってください
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- 14 : 2014/03/21(金) 14:53:54 :
- >>13
ありがとうございます!!
私がぜつぼうびょ…ゲフン、風邪(4年ぶりとなる高熱)だったため更新できませんでしたすみません!!
**
いつの間にか、3月に入ってから2週間が経とうとしていた。
3月14日。
その日はホワイトデーというイベントがあるらしいが、そんなことよりも重要なことがあった。
私のお父さん、不二咲千尋の誕生日。
そして私が作った、私の誕生日の日。
もっとも、私の誕生日の件については日向くんにしか言っていないし、覚えている確立も少ないんじゃないかな。
一回くらい、祝われてみたいなぁ。
はあ、とため息をついて、今日の分のお手伝いを確認する。
まあ、お手伝いをするのも楽しいし、みんなのためになってるっていう実感もわくからいいんだけどね。
そこで、私は疑問を感じた。
いつもだったら、お手伝いの内容はリストアップされているはずなんだけど、今日に限ってはそれが存在しない。
あれ、あれれ。
これはどういうことなんだろう? 私の力がなくても大丈夫とか、そういうものなのかな……?
「七海さん、七海さん」
「おい、七海」
混乱状態に陥っていた私の耳に聞こえたのは、ソニアさんと九頭龍くんの声。
「あ、あれ、二人とも。どうしたの?」
「七海さんのほうこそ、混乱してるじゃないですか……七海さん、深呼吸ですよ! ひっひっふーです!」
「ソニア、それラマーズ法。出産だ」
混乱を隠そうとしていたのに、どうやら見透かされていたようだ。
天然なのか、狙ったのかはわからないけど、ソニアさんのギャグに、フフと笑ってしまった。
「でよ、七海。俺らがここに来た理由なんだけどよ」
「うん、なにかな?」
笑っていて、少し忘れそうだったけど、二人が来た理由ってなんだろう?
「新世界プログラム、それの一部分が完成したんだよな」
「それで、七海さんにテストしにきてほしいのですが……」
新世界プログラムの一部分、完成してたんだ、と私はまず、そのことにびっくりしていた。
いつの間に一部分復元していたんだろう――――――みんなもがんばっているんだな。
で、テストだっけ。確かに、私が一番行きやすいもんね。
「わかった、いいよ」
二人に向かって私は、微笑んで答えた。
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- 15 : 2014/03/21(金) 15:51:20 :
- 新世界プログラム内部――――――。
私は今、あの砂浜に立っていた。
教室がいきなり開いて、ここの砂浜にきたときはみんな混乱していたっけ。
この砂浜って、いい思い出や嫌な思い出がいっぱいあるんだということを、改めて思い知らされる。
それにしてもあの時そのままで、よくここまでやってくれたね、と思う。
『七海、どうだ? そっちの様子は』
外のほうで管理している左右田くんの声が聞こえる。
「大丈夫だよ。特に異常もないし。というか、よくここまで復元できたよね! すごいよ!」
素直な感想とともに、伝えると、向こうのほうは喜んでいるような様子が声だけでも伝わってくる。
『なら、よかったぜ……あ、そろそろか?』
「そろそろ……?」
そろそろって、どういうことだろう? まさか、ウサミちゃんとか?
向こうのほうではなにやらゴダゴダしたのち、マイクの主導権が変わったようだ。
『なんかいろいろこっちでやってるんだけどよー、オレにはよくわかんねーや。バトっていいか?』
「それはダメ……だと思うよ?」
どうやら、声の主は終里さんのようだった。
バトられると、色々と厄介なことになりそうだしとめておいた。
そういえばだけど、ほかのみんなの声は聞いたのに、まだ日向くんの声を聞いていない。
日向くん、どうしたのかな?
「ねえ、日向くんは――――――」
「ここにいるぞ」
-
- 16 : 2014/03/22(土) 12:05:55 :
- 期待です!
-
- 17 : 2014/03/22(土) 16:39:08 :
- 期待です!!
-
- 18 : 2014/03/22(土) 19:53:19 :
- >>16 >>17
ありがとうございます!
たぶんもう少しで終わると思うので、そこまでがんばります…!
**
「え、日向、くん?」
外からのマイク越しの声じゃない声が聞こえてきて、その方向に振り返ってみた。
そこには、あの修学旅行の日の服装のまんま――――あの時と同じアバターであろう。そんな日向くんが、笑ってこっちをみているじゃないか。
私が、私が一番最初に見た日向くん。
そんな彼は、やっぱり現実と変わっていなくて。でも、凄く懐かしくて。そんな彼にも、私はなんらかの形容しがたい感情――――多分恋心を抱いている気がする。
「七海……そんなに驚かなくてもいいじゃないか」
「……え、そんなに驚いてたの?」
そういってみたはいいけど、ハッとするまでに結構時間はかかったし、その間も目も口も開きっぱなしだった。
やっぱり、驚いていた……みたい。
「でさ、七海。俺がここに来た理由……わかるか?」
日向くんが顔を少しだけ赤らめながら言う。
そういわれたって、
「私にはわからないよ。私は、ここのテストを頼まれただけだし」
「じゃあ、教えてやるよ」
そういうと日向くんは私のほうに歩みよってきて、今まで後ろに隠していた手を私のほうに……そういえば、ずっと後ろで腕組していたんだ。
私のほうに向けられた手の中には、花束。
向日葵とか薔薇とかメジャーなものからマイナーなものまでたくさん。
「ひ、日向くん、これって」
「お誕生日おめでとう、七海」
私の疑問の言葉を遮って、日向くんはそう言ってくれた。
お誕生日おめでとう。誕生日を祝うための言葉。
日向くんが、私の誕生日を祝ってくれたの?
確立なんて、ほとんどなかったに等しかったのに。
それに日向くん忙しかったのに、なんで私のために。
「あのな、七海。このプログラムの一部分を急いで作ったのって、お前のためなんだ」
「え?」
どういうこと、私のため?
だめだ、処理が追いつかないよ。
「七海の誕生日……ちゃんと七海の姿、実体をちゃんと見てって言えばいいのか? それで祝いたかったんだよ。
そのせいで、みんなに無理してくれたりお前も少しきつくなって、今日までなかなか会えなくて――――」
日向くんは、私のために頑張ってくれたの?
それで会えなくて、でも。
私のために、ここまでして祝ってくれた?
日向くんと対面して、面と向かって祝ってくれた?
その事実がわかった瞬間、私の中の何かが切れたような気がした。
-
- 19 : 2014/03/22(土) 20:05:57 :
- >>18
な ん で な な し な の
上レス天風です
**
目の奥から、何かが湧き出てくるような。そんな感じ。
今までそんな体験してこなかったから、一体何なのかがまったくわからない。
「ねえ、日向くん。これって何? 私、何か可笑しくなっちゃったみたいなんだ。
日向くんが、みんなが、祝ってくれて、とってもうれしいんだよ。嬉しくて、嬉しくて、たまらないんだよぉ……!」
ここまで言うと、私は抑えきれなくなって日向くんの胸元にダイブした。もう、日向くんだから触るのとかは大丈夫だし、花束越しってことは気にしない。
その湧き出てきたものは、とまらないで私の目を、頬を、ぬらしていく。
いきなりダイブされた側の日向くんは、一瞬驚いたみたいだけど私の頭に手を乗せてきてくれた。なんだか、とても落ちつく。
私は、落ち着くまで日向くんの胸元で、その湧き出るものを流し続た。
-
- 20 : 2014/03/27(木) 20:59:22 :
-
「ひなた、くん」
自分では落ち着いているつもりだけど、声がどうしても落ちつかない。
いつの間にか日向くんの服が私の目の前にあって、花束が落ちてしまったのだろうか? そんなのは、どうでもいいや。
「七海、落ち着いた、か?」
「……多分」
自分でも信用できないけど、さっきよりは落ち着いてきたはずだ。多分。
日向くんのぬくもりが、とても暖かい気がする。データだってわかっているけど、日向くんが暖かいのは事実なんだって、信じたくなる。
そう考えると、自然にまた何かが目元から――――。
「七海、また泣いてるのか?」
泣いている?
泣く、という感情はプログラムされていない、はず。
「私は今、泣いているの?」
-
- 21 : 2014/03/29(土) 19:10:12 :
-
「そうだ……って、今まで気づいていなかったのか?」
驚いたように日向くんは目を見開く。
「だって、私の中にはプログラムされてないんだよ、この涙って奴」
私みたいに感情がプログラムされているAIはとても珍しいこと。
嬉しいとか、怒りとか、悲しみとか、簡単には表現できるし、感じ取ることもできる。
でもそれは不完全で、たとえば恋する感情とか、人を嫌う基準とか、涙を流すタイミングとか、笑いのツボとか。
そんなものはプログラムされていない、はずだった。
でも、今私はここで日向くんに恋して、日向くんの前で涙を流していて。
私は、どうしてしまったのだろう?
どれだけ考えても、ワカラナイ。
「ねぇ、日向くん……私は、どうしてAIなのに、プログラムの存在なのに、涙がでたり、恋したり、そんなことができるの? 私の力じゃ、そんなことわかんないよ」
日向くん、教えてよ。
そんな思いで言うと、日向くんは優しい笑みを浮かべて
「それは、七海が奇跡を起こしたんじゃないか?」
「奇跡……」
奇跡。常識で考えては起こりえない、不思議な出来事、現象。
「ほら、あの時言っていただろ? 都合のいい奇跡は起こせるって。俺だって、みんなだって起きたんだ。きっと他の奴らも――――。だから、今度は七海の番なんだよ」
「私の番、か」
「七海だって、大切な仲間なんだ。七海の分の奇跡は、人間のような感情を持つことだったんじゃないのか?」
そんな考えは日向くんらしいなぁ、と思ってしまう。
私のことまで思ってくれる、日向くん。それに、仲間のみんな。
「ありがとう、本当嬉しいよ」
少しだけ、鼻にかかっていた声で、私はお礼を言った。
-
- 22 : 2014/03/29(土) 19:30:56 :
- 「そういえばだけど、さっき七海恋したりって……お前、好きな奴」
「いるよ」
はっきり言うと、日向くんは少しだけ残念そうな顔をしていた。
「そう、なんだな。じゃあ、いっか」
何がいいのか、私には理解できない。
というか、言いたいことをちゃんと言うタイプの日向くんが、こんな風に渋っているのはらしくないよ。
だって、私が好きなのは、
「日向くん」
「え?」
「私が好きなの、日向くんだもん」
そういった後、数秒の沈黙。
その沈黙の間、日向くんは顔真っ赤になっていった。
あれ、私何かしたかな?
「い、今の、告白って受け取っていいのか?」
真っ赤な顔を手で覆いながら、日向くんが言う。
告白。秘密を言うこと。好きな相手に思いを伝えること。
「……うんそう、だと思う」
「なんで確信が持てないんだよ…あーもう――――」
恥ずかしそうに私から目をそらしてから、何か決心したように日向くんは改めて私のほうを向く。
その顔つきは真剣そのもので、思わず私のほうも緊張してしまった。
「七海、お前が言ってからでなんかかっこ悪いけどさ。
俺も七海が好きだ。付き合って、くれないか?」
日向くんも私のことが好きで、付き合ってほしい。
答えは、一つに決まっている。
「うん。私でよければ、よろしくお願いします」
-
- 23 : 2014/04/04(金) 10:02:56 :
- 良い話だな・・・
-
- 24 : 2014/04/04(金) 17:41:24 :
- >>23
ありがとうございます!
そういって頂けると嬉しいです!
**
『んだぁぁぁぁぁ!! お前ら爆発しろ!!』
いきなり聞こえてきて、ビクッと震える。
その声は、マイク越しのとても聞き覚えのある声――――多分左右田くんの声だろう。
その他にも色々聞こえてくるけど、よく聞き取れなかった。
いつもどおりだなぁ、と日向くんと苦笑いしていると
『左右田さん! いい雰囲気の邪魔はダメです!……あ、お二人ともカップル成立おめでとうございます!』
ソニアさんの声がマイク越しに響いた。声色からも、私たちを祝福していることがわかる。
『日向! 七海! おめぇら見てるとむず痒かったんだよ! お前らもうは離れんじゃねーぞ!!』
九頭龍くんも彼なりの祝福をしてくれ……ているのかな?
なんとなく、照れながら言っている姿が目に浮かんでしまった。
『なんだなんだ? 祝い事か? メシ食えんのか!?』
終里さんも祝って……くれているのかもしれない。
「みんな、ありがとう。嬉しいよ」
自然に笑顔になる。
こんな素敵な仲間たちに出会えて、私のようなAIに奇跡を起こさせてくれて。
私は、なんて幸せ者なのだろうか?
-
- 25 : 2014/04/04(金) 18:44:42 :
- 「まあ、色々大変だったけどな……七海が喜んでくれて嬉しいよ。みんなも、俺の無茶振りに付き合ってもらってありがとな」
『いえいえ! そんなことありません! むしろ率先してやりたいくらいです!』
『もうお前ら爆発しろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
『俺はお前らのためじゃなくて、ぺ……いやあいつらが帰ってくるために手伝っただけだよ』
「九頭龍くんって……ツンデレ?」
『んなわけねーだろ!?あほ!』
思わず笑ってしまう。
みんなと話していると、とても楽しいし嬉しい。私はこんな時間が大好きだ。
そんな時、
『なぁ、おめーらキスってしねーのか?』
終里さんからいきなりそんな発言がきて、私は思わず硬直。日向くんは、特に何も口に入れていなかったけど盛大に吹き出した。
『いいですね、それ! 二人は幸せなキスをして終幕というのはよくあることですよ!』
『まぁ…悪くはねーな』
「そ、そういうものかよ!?」
賛同するソニアさんと九頭龍くんに、赤面で突っ込みを入れる日向くん。
日向くんとキス、かぁ。
「私は別に、いいよ?」
『って相手は言ってるぞ日向』
日向くんは顔を真っ赤にしてうつむくと、やがて決心を決めたように私のほうに顔を近づける。
「本当に、いいのか?」
「うん」
そう返事をして、目を閉じる。
期待と緊張で、胸が高鳴っている気がする。
そんな時、唇になにやらやわらかくて暖かいものが押し付けられる。
これがキス、だよね?
恐る恐る目を開けると、顔を赤くしている日向くんが目の前にいた。距離なんてゼロに限りなく近い、いやゼロだろう。
だって、唇を重ね合わせているのだから。
そう考えると、頬が熱くなるような、そんな気がした――――ところで、日向くんは唇を離した。
「こ、これでいいだろ!?」
カメラがおいてあるところに向かって叫ぶ日向くんは、とても顔が赤かった。
日向くんも私と同じような気持ちなのかな?
そうだったら、なんとなく嬉しいな。
ひゅーひゅー、というような冷やかしを受けながら私と日向くんの頬は赤く熱くなった。
恥ずかしいけど、こんな関係を持てたということはとても嬉しいことだと思う。
「ありがとう」
どたばたしている中、私は小さくつぶやいた。
-End-
-
- 26 : 2014/04/04(金) 18:52:21 :
- ≪あとがき的なカオス≫
七海ちゃんごめんなさい約一ヶ月遅刻しました。準備はできているのでこの消化弾をな
日向「おいやめろ」
七海「とりあえず、ありがとうね」
そして、もろもろカオスになりました。申し訳ありませんでした。
日向「安定の天風だな」
七海「とりあえず、PV300越え。閲覧ありがとうございました」
一応前作の宣言達成したよ! やったぜ。
そして、ヒナナミよ永遠なれです。
そろそろ日向くん目線の話を作りたいです。
日向「お、俺!?」
-
- 27 : 2014/04/04(金) 19:16:13 :
- 日向、七海、おめでとう!!
-
- 28 : 2014/04/04(金) 19:16:44 :
- 日向、七海、おめでとう!!
-
- 29 : 2014/04/04(金) 19:17:40 :
- 間違って二回行ったが許してくれ!!
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- 30 : 2014/04/07(月) 23:46:22 :
- 面白かったです。お疲れさまでした!
日向目線の作品も楽しみに待ってます!(笑)
-
- 31 : 2014/04/09(水) 13:12:13 :
- いいですね(*´∀`)
ほんわかする。次回作も楽しみに待ってますよ!
-
- 32 : 2014/04/15(火) 00:51:48 :
- 皆様ありがとうございます!
-
- 33 : 2014/11/25(火) 00:44:35 :
- だいぶこの話がてきてからたっていますがいま読ませてもらいました!すごくよかったです!
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